平成27年度 中津市社会福祉協議会 事業計画の重点事業

平成27年度
中津市社会福祉協議会
事業計画の重点事業
1. 事業方針
今日の地域社会は、少子高齢化と経済格差の拡大などによる生活困窮等の課題や過疎化による集
落機能の低下、家族関係や地域住民同士のつながりが希薄化している状況に加え、高齢者や障がい
のある人への虐待、孤立死など、深刻な福祉課題が山積みしている現状です。
また、団塊の世代が後期高齢者となる2025年問題を控え、国は平成27年度から大幅な介護
保険制度の改正を行うと共に、その施策は、誰もが住み慣れた地域で住み続けられる社会を目指し
た地域包括ケアシステムや児童、障がい者、生活困窮者等の自立に向けた取り組みにより、今後の
方向性は、
「施設」から「地域」へと向かい、地域の力で支える仕組みづくりへ注力しており、中津
市における福祉施策も同様の方向性となっています。
更に、社会福祉法人や施設等の社会貢献活動等による社会資源の多様化により、社会福祉協議会
のあり方も問われているところです。
こうした社会情勢を踏まえ、地域や住民生活の課題に対して、地域福祉を推進する社会福祉協議
会だからこそできる地域づくりの手法や技術を活かした活動や支援により、中津市社会福祉協議会
(以下「本会」という。
)としての役割や使命を果たし、基本理念である『心とこころ 人とひとと
の“つながり”
』を基に、
「暮らし続けたい、住み続けたい、と思う・思える地域づくり」を目指し
ていきます。
具体的には、第二次発展・強化計画に位置づけた目標を基本に、国が示す介護保険制度改正への
対応や障がい者、児童福祉事業の運営の見直し、生活困窮者や認知症にかかる支援の強化、生きが
いにつながる福祉活動とボランティア活動支援の充実、住民による支え合い活動への支援強化など
を重点事業として取り組むと同時に、経営戦略として組織強化や人材の育成と財政の健全化を図り、
効果的で効率的な経営基盤を確立してまいります。
2.重点目標
Ⅰ
総合相談支援体制基盤の確立
本会では、住民生活の課題など多様なケースに素早く対応できる総合相談支援体制の整備を進め
ており、国の生活困窮者自立支援法の自立相談支援事業を活用し、平成26年度からモデル事業と
して社会福祉士を配置して生活に困窮された方への支援強化を図り、その人がその人らしく地域で
生活できるよう相談者の視点に立った支援を行っています。平成27年度からは国の制度導入に伴
い、自立相談支援に関わる専任の相談員を増員して、増えつつある生活に困窮された方への支援を
強化し、専門機関や関係団体等との連携を深めます。
また、認知症に係る支援においては、地域包括支援センターに認知症支援推進員を新規配置し、
旧下毛地域の認知症の人やその家族への相談及び支援、地域住民への理解と協力を広く促しながら、
認知症になっても地域で住みつづけられる地域づくりに向けて支援を行います。
① 個別の生活課題に対応できる総合的な相談支援体制づくり
・生活困窮者への自立相談支援(Ⅰ‐A‐1)←※第二次発展強化計画で位置づけた項目と記号以下同様
相談員の1名増員による生活に困窮された方へのさらなる支援強化
・地域包括支援センターの充実(Ⅰ‐A‐1)
認知症地域支援推進員を1名配置し、認知症の人や家族等への相談・支援体制を整備
Ⅱ
福祉サービスの開発と展開
少子高齢化の進展、地域社会や家族の変化に伴い、高齢者や障がい者、子育て世帯等の置かれて
いる状況やライフスタイルは大きく変化しつつあります。また身近なところで家族からの支援を受
けることが難しいケースも増加し、制度では対応できない生活支援ニーズや孤立、生活困窮を背景
とした深刻な生活課題が広がっています。
このような中で、平成27年度介護保険制度改正では、日常生活圏域に着目した地域包括ケアシ
ステムの推進と費用負担の公平化を柱に、2025 年を見据えたさまざまな改革が行われることとなり
ました。特に在宅サービスについては、介護予防の一部を市町村事業である地域支援事業に移行す
ることとなり、中津市では平成27年4月より介護予防・日常生活支援総合事業を実施することに
なっています。
本会としては介護保険制度改正への対応を最大の課題とし、認知症の方や中重度要介護者への支
援の強化を図り、
「できる限り住み慣れた地域で暮らし続けることを支える」ことを使命とし、また
特別養護老人ホームやすらぎ荘や養護老人ホーム中津市豊寿園も「施設」としての括りではなく、
地域にある「住まい」として捉え、高齢者をはじめとする要援護者が安心して“生活”を送ること
が出来るように、地域のニーズに応えた福祉サービス展開と開発を目指します。
(1)ニーズを抱える高齢者や障がい者の生活を地域の実情に沿って支援するサービスの開発
①日常生活を営む上での必要な支援を行う生活サポート事業の展開
・市内の拠点(地域サロン)に出向き、ニーズの把握や相談を受け付け、関係機関等への橋渡
しを行い、地域住民による支えあいの仕組みづくりを支援
(Ⅱ‐B‐1)
(生活支援コーディネーターの設置)
② 住民の権利を継続的にサポートする権利擁護事業の展開
・その人らしい生活を支援する「権利擁護センター(仮称)」の設置検討(Ⅱ‐B‐2)
(2)子育て世代が交流できる機会づくりと生活しやすい環境整備
①ファミリー・サポート・センター事業の推進
・会員増を図るための周知活動と専門のアドバイザーによる相互援助活動の支援(Ⅱ‐C‐1)
(3)介護事業などを活かした、地域に必要とされるサービスの展開
①介護保険制度改正に対応したサービスの展開
・各種サービスの機能強化と介護予防・日常生活支援総合事業への取り組み
②認知症高齢者の支援体制の充実
・認知症介護の専門職の配置など、各デイサービスの認知症対応機能を強化
※デイサービスセンターもくれん(認知症型通所介護)平成 27 年 4 月から休止
③地域のニーズに応じた新たな高齢者サービスの実施
・ひとり暮らし高齢者等が安心して地域で生活を継続できるための24時間対応サービス
(仮称)の検討 (Ⅱ‐D‐1)
(4)特別養護老人ホームやすらぎ荘の経営充実
①介護保険制度改正に対応した施設サービスの展開
・報酬改正を踏まえた財政運営の検討(加算に向けた体制づくり)
・これまで蓄積してきた施設の介護力を活かした、地域貢献活動への取り組み
・サービスの向上を図り入所者が快適で安心・安全な生活の場の提供
・待機者の早期入荘に繋ながる効果的な入所検討委員会の開催
達成目標稼働率
本入荘 96.0
%(現95.0%) 定員:80床
短期入所 68.0%(現行65.0%)
定員:20床
(5)養護老人ホーム中津市豊寿園の経営充実
①養護施設(措置制度)の周知等に関する取り組み
・住民向けに施設の概要や入所状況をホームページやパンフレット等で周知
・行政や地域包括支援センターとの連携による市内の生活困窮者の掘り起し強化
達成目標
入所者の受入目標 35名
②入所者の生きがいにつながる活動の展開と地域資源としての施設の地域貢献活動の取り組み
・施設外活動やボランティアの受入への積極的な取り組み
Ⅲ
“生きがい”につながる福祉活動とボランティア活動
介護に関する制度が進められていく中、
「支援」という視点での施策や事業はさまざまに展開され
ていますが、高齢であっても障がいがあっても一人の個人としてだれもが生きがいを持って安心し
て地域で暮らせるような環境整備は、今後とも充実させなければならない課題です。
このような中、寄り合いの場(サロン)活動は市内でも広がってきており、高齢者を中心に「誰
もが集まる地域の場所」として、全体で80カ所に迫る状況です。
この寄り合いの場はボランティアも含め、生活していく上での心の拠り所となっている人も多く、
今後の地域福祉を推進していくうえで重要な活動となっています。この活動の継続が、ボランティ
アを含む参加者の生きがいの継続にもつながることから、普段は単体で活動している寄り合いの場
が横につながる機会をつくり、自分たちの活動を改めて見直す機会と活力へつなげていきます。
また、全社協による「社会福祉協議会における第3次ボランティア・市民活動推進5ヵ年プラン」
の中で、市民参加や多様なボランティア・市民活動の活性化を支援する社会的な環境整備が掲げら
れており、中津市ボランティア・市民活動センターにおいても、市民の参画による運営委員会を立
ち上げ、市内の多様なボランティア・市民活動がより活性化し、連携できる仕組みづくりを市民参
画による協働により進めていきます。
(1)地域の社会資源を活用した高齢者・障がい者の生きがいづくり
①高齢者・障がい者が交流できる地域行事の企画・支援
・寄り合いの場同士の連携を図る交流研修会の充実
(Ⅲ‐E‐1)
・地域の施設における高齢者・障がい者等の社会参加・社会貢献活動
(Ⅲ‐E‐1)
(2)ボランティアをしたいという想いをカタチにするためのボランティア・市民活動センター機能
の強化
①ボランティア・市民活動センター運営委員会設置・運営の確立
・運営委員会の立上げと運営
Ⅳ
(Ⅲ‐F‐1)
地域福祉ネットワークの実現
第2次地域福祉活動計画に沿い、お互い地域で支えあう仕組みづくりが各校区で進められており、
校区全体で福祉の課題解決に向けた話し合いを行う「地域福祉ネットワーク協議会(9校区)」、日
常の生活の中で見守りを行う「見守りネットワーク(96地区)」、住民同士が楽しく集う「寄り合
いの場(サロン78ヵ所)
」など、住民同士がお互いのたすけあいの中で、安心して暮らせる地域を
目指したネットワークづくりの支援を行っています。これらの活動が活発に進む中、自分の地域の
課題に気づき、解決に向けた取組みを行うことのできる人財づくりも必要不可欠となっています。
そこで、地域を担う福祉人財の養成講座を本年度も取り組み、強い地域づくりの推進に努めます。
また、それぞれの福祉ネットワークを支援していく中で、地区を超えたネットワークの共有の場を
設け、既存のネットワークの更なる活性化、新しく立ち上げようとしている地域への積極的な支援
を行っていきます。
(1)地域の課題解決に向けてつなげられる地域の人財(リーダー)づくり
①福祉課題の解決につながる専門的な知識を身につけることのできる講座の開催・支援
・市民後見人の育成(養成講座の開催・啓発活動の推進) (Ⅳ‐G‐1)
達成目標:平成27年度市民後見人養成講座修了者数 10 名
②地域の課題に気が付き、それを解決できるところとつなげることができる「地域福祉コーディ
ネーター」の養成
・地域福祉コーディネーター養成講座の開催
(Ⅳ‐G‐2)
(2)見守り体制や災害対応ができる住民参画の地域福祉ネットワークづくり
①地域住民が集まる場と機会の充実
・住民同士が出会うサロンの立上げ支援、サロン活動内容のさらなる充実 (Ⅳ‐H‐1)
達成目標:新規サロン立ち上げ 5地区
②広域(15地区単位)のネットワークと小地域ネットワークの組織化と連携
・地域福祉ネットワーク協議会の全域化(地域福祉圏域15地区)(Ⅳ‐H‐1)
達成目標:ネットワーク協議会立ち上げ支援
2地区
地区同士のネットワークを共有できる会議の開催
・ネットワークにつながる見守り活動の推進 (Ⅳ‐H‐2)
③ 地域の活動や資源に関する情報収集・発信・共有の充実
・地区を超えてサロン団体やネットワーク団体が集まり、活動に関する情報が共有できる場づ
くり
Ⅴ
(Ⅳ‐H‐2)
効果的・効率的な経営基盤(組織・人財・財政)の確立
国の地域福祉に係る制度改正により、住民主体による支えあい活動が重要視される中、地域福祉を
推進する団体として、誰もが住み慣れた地域で安心して住み続けられる地域づくりを目指し、本会の
各種事業を確実、効果的かつ適正に行うことが求められます。
法人内の抱える課題や責務を役職員で合意形成を図ると共にその解決に努め、将来を見据えた経営
基盤の強化を図る「経営戦略3カ年計画(平成27年度から平成29年度)」を策定して計画的かつ安
定した事業運営の構築を図り、本会が行う事業の透明性の確保に努めます。
また、災害時などの不測の事態に備えたBCP(事業継続計画)により、事業の継続を図りながら、
被災者や利用者への支援体制が整えられるよう、平時から調査・研究・訓練を行うなど、法人内の横
のつながりの強化と関係機関との連携を図ります。
さらに、住民主体の地域福祉活動を積極的に支援していくため、地域における様々な福祉課題に対
応できる人財をOJT(職場内教育)の観点から育成し、地域活動のさらなる支援強化に努めます。
〔組織に関すること〕
(1)災害時の地域ニーズに対応できる組織体制づくり
①災害時に職員が迅速に動くためのマニュアル作成
・各事業所の災害対応マニュアルの作成
(Ⅴ‐I‐2)
②各種マニュアルを基に災害対応できる取組みの実施
・災害対応マニュアルを活用した避難訓練の実施 (Ⅴ‐I‐3)
(2)多様なニーズに対応するための職員間の連携・情報共有の強化
①職員間の連携を図るための会議等の開催
・各部署との連携や地域の課題共有を行うために、エリア会議の
見直しを行う。
(Ⅴ‐I-1)
・情報共有及び経営改善を図るため、定例での主任会議を開催
(Ⅴ‐I‐1)
(3)住民の代表である役員と職員が一体的に事業運営できる仕組みづくり
①役職員がお互いの役割と業務を理解できる場の設定
・役職員研修会の実施(本会施設・事業の視察等)
(Ⅴ‐K‐1)
〔人材育成に関すること〕
(1)地域に信頼される職員を目指した職場環境の改善
①職員のメンタルヘルスケアの充実
・階層別・職種別の講座の実施
(Ⅴ‐L‐1)
・産業医の設置によるメンタルヘルスケア
(Ⅴ‐L‐1)
(2)福祉の専門職集団としての意識醸成のための研修体系の確立
①スキルアップにつながる専門的な研修会の開催
・階層別・職種別の研修会の実施
(Ⅴ‐M‐1)
②職員としての基礎力向上を目的とした研修の充実
・全体職員研修の実施
(Ⅴ‐M‐2)
〔財政に関すること〕
(1)地域福祉事業に有効活用できる自主財源を確保するために多様な取り組みの実施
①社協会員制度の拡充
・中津市全域における社協会員制度導入に対する取り組み
(Ⅴ‐O‐1)
(2)地域に密着した地域福祉事業運営方針と収支管理体制とが一体となった経営体制の確立
①迅速かつ的確な判断ができる「収支管理体制」の確立
・新会計基準に即した財政運営の実施
(Ⅴ‐O‐1)
・適正な予算管理によるコストの削減と職員意識の改革
(Ⅴ‐O‐1)
(単位:千円)
担当課
総務課
事業名
歳出予算額
法人運営事業
130,853
福祉バス運行事業
5,538
三光福祉保健センター事業
4,359
教育福祉センター事業
9,514
本耶馬渓総合福祉センター事業
1,669
介護研修センター事業
336
すぱーく耶馬溪管理運営事業
258
介護保険認定調査事業
地域福祉課
39,497
地域福祉推進事業
355
地域福祉推進事業三光
1,563
地域福祉推進事業本耶馬渓
996
地域福祉推進事業耶馬溪
1,735
地域福祉推進事業山国
1,074
地域福祉活動推進事業(ネットワーク)
2,105
ふれ愛ネットワーク事業
2,568
買い物支援事業
2,123
ボランティア・市民活動センター事業
3,908
福祉育成・援助活動事業
5,158
歳末たすけあい配分金事業
6,249
障がい児・者支援事業(鈴の音)
209
長期休暇支援事業(さんぽ)
1,221
余暇活動支援事業(てくてく)
453
有償サービス事業
880
生活福祉資金貸付事業
3,291
福祉サービス利用援助事業
2,547
心のケア事業
450
自立相談支援事業(生活困窮者)
15,897
法人後見事業
6,522
市民後見推進事業
3,427
生活支援コーディネート事業
※新規
地域包括支援センター事業
認知症支援推進事業
福祉サービス課
4,333
37,973
※新規
5,701
ファミリーサポート事業
2,000
介護ボランティア事業
4,167
生きがい三光・外出事業
4,800
生きがい耶馬溪・外出事業
6,117
生きがい山国・外出事業
2,382
本耶馬溪訪問介護事業
14,117
耶馬溪訪問介護事業
35,052
三光通所介護事業
41,584
本耶馬渓通所介護事業
46,582
耶馬溪通所介護事業
51,112
山国通所介護事業
49,125
三光訪問入浴事業
5,528
耶馬溪訪問入浴事業
2,603
三光・本耶馬渓居宅介護支援事業
21,612
耶馬溪居宅介護支援事業
14,890
山国居宅介護支援事業
15,221
三光児童館事業
4,634
児童クラブ事業
15,872
本耶馬渓生活支援ハウス事業
20,940
耶馬溪生活支援ホーム事業
16,161
山国生活支援ハウス事業
34,822
やすらぎ荘
やすらぎ荘経営管理事業
349,310
豊寿園
豊寿園経営管理事業
100,344