短期予報解説資料1 2015年 6月24日15時40分発表 気象庁 予報部 1.実況上の着目点 ①梅雨前線の雲バンドの南に九州 南部から奄美にかけて広がる比較 的大きな対流雲域に対応して、鹿 児島島しょ部で南風が予想よりも 強まった。付近の降水域は鹿児島 の西に前線上のじょう乱を表現し ている MSM が近い。これに伴い一 時非常に激しい雨を観測。 500hPa5820m 沿いにのび出してき た比較的強い正渦域に対応。 ②09時高層観測では500hPa気温は 東・西日本で昨日よりも昇温。中 層から下層にかけても湿度が下が っており、山沿い中心の雷雨とな る傾向。ただし、可降水量は 30mm 以上あり激しい雨のポテンシャルがある。 ③北日本には千島の寒冷渦の周りの流れに対応した傾圧帯がかかっており、シアーライン付近で一時 対流雲が発達し発雷を検知したが、北海道から東北北部にかけては比較的低い下層雲が卓越している。 2.主要じょう乱の予想根拠と解説上の留意点 ①梅雨前線は、500hPa5820m 付近の正渦帯が明瞭化するのに対応して西から次第に北上、25 日夜には 九州南部付近にかかる。九州南部・北部では、25 日朝から夜にかけて 850hPa 相当温位 345K 以上の暖 湿気が順次入り、30mm/h 以上の激しい雨、局地的に 50mm/h 以上の非常に激しい雨のおそれがある。落 雷、竜巻などの激しい突風にも注意。これまでの降水で地盤が緩んでいる地域では土砂災害に警戒。 その後、26 日はじめに中国東北区に現れる寒冷渦により、本州付近の上空の流れはやや北上成分をも つ東西流に変わるため、九州付近から東日本太平沿岸沿いに前線がのびるようになる。また、 500hPa5760m 付近の流れに対応して次第に北緯 35 度付近に低気圧が発生する可能性があり、26 日には 下層暖湿気が前線付近までかなり北上して厚く流入し、西日本や東日本の太平洋側に激しい雨の範囲 が広がり、大雨となるおそれがある。 ②500hPaの気温は昇温傾向となるが、 東日本や東北地方は25日にかけて-9℃以下の寒気が残る。 一方、 地上は晴れて気温が上昇するため、午後山沿いを中心に局地的に対流雲が発達する見込み。落雷、突 風や急な強い雨に注意。 3.数値予報資料解釈上の留意点 ①総観場は最新の GSM を基本とするが、前線上のじょう乱は MSM を参考とし、26 日にかけても 500hPa5820m 付近の強風軸やトラフを目安に低気圧への発達は抑えて考える。 4.防災関連事項[量的予報と根拠] ①大雨ポテンシャル(18 時からの 24 時間):九州南部 150mm、奄 美 120mm、九州北部 100mm。2 項の短時間強雨に留意。②波(明日まで):高い所(3m 以上)はない。 5.全般気象情報発表の有無 発表の予定はありません。 1 量的な予報については、今後の状況により変化する場合がありますので、注意報・警報や全般気象情報等に記述する数値を利用願います。
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