短期予報解説資料1 2016年 3月 8日03時40分発表 気象庁 予報部 1.実況上の着目点 ①日本の南の低気圧のうち北側の低気圧は、 衛星で渦循環が見られ、八丈島の南海上をゆ っくり東北東進しており、八丈島付近には低 気圧北側の降水域が広がっている。目先八丈 島では土砂災害に注意。また、この低気圧の 東南東を前線を伴った低気圧が北東進して いる。低気圧付近では対流雲が発達し、発雷 を検知。トラフに取り込まれて、乾燥域(暗 域)が貫入し、閉塞過程に入っている。 ②アムール川中流域を中心とした寒冷渦の 周りを流れる 500hPa 5400m 付近の強風軸に 沿って中国東北区をトラフが東進、水蒸気画像の暗域に対応。 ③500hPa5700m 付近の流れに対応して、長江中流域から華中では対流活動が活発化している。 2.主要じょう乱の予想根拠と解説上の留意点 ①1 項①前者の低気圧はトラフが先行し、8 日朝までに不明瞭となる。前線を伴った低気圧は、トラフ とともに北東進する。1 項②のトラフは同項の寒冷渦の東南東進とともに、深まりながら北海道に接近 する。このトラフの接近で、8 日朝には日本海北部に低気圧が発生し、北海道の北を急速に発達しなが ら通過、9 日にはその南側の停滞前線(元は実況でオホーツク海からのびる寒冷前線)と次第に一体化し ながら千島近海に達する。また、1 項③の雲域に関連して、下層では大陸の高気圧の張り出しに伴う前 線北側での寒気南下や華南からの暖気北上により温度集中が増すとともに、500hPa5700m 付近の流れに 沿った強風軸がやや明瞭化し、8 日朝には前線(850hPa9~12℃付近を目安)が顕在化、東シナ海へのび て 9 日朝には前線上に低気圧が発生し、低気圧は 9 日夜には西日本南岸に進む見込み。 ②1 項①の低気圧周辺を波源としたうねりにより、東日本から近畿の太平洋側では 3m を超える高波を 観測している。これらの沿岸や小笠原諸島では、8 日はうねりによる高波に注意。 ③発達する低気圧に近い北海道では、8 日夜から 9 日前半にかけて、暴風雪や暴風に警戒。高波に注意。 ④東シナ海から西日本南岸に進む低気圧周辺では、大陸からの高気圧の張り出しも加わり、気圧の傾 きが大きくなる。強風や高波に注意。沖縄・奄美では東シナ海からの高波に注意。低気圧の暖域側には、 850hPaθe320K 以上の暖湿気が流入するため、大気の状態が不安定となる。暖域側や低気圧・前線近傍 では落雷、突風、短時間強雨に注意。 3.数値予報資料解釈上の留意点 ①総観場は最新 GSM を基本とするが、1 項①の低気圧予想は、実況 から MSM を参考とした。降水や風は MSM も参考。②波浪:うねりの影響などモデル修正を適宜検討。 4.防災関連事項[量的予報と根拠] ①大雨ポテンシャル(06 時からの 24 時間):高い所(100mm 以上)は ないが、2 項の短時間強雨に注意。②波浪(明日まで):北海道・九州北部・沖縄・伊豆諸島・小笠原諸 島 4、東北・関東・東海・近畿・四国・九州南部・奄美 3m。③高潮:大潮の時期。北・西日本で注意報 基準に達するおそれ。 5.全般気象情報発表の有無 発表の予定はありません。 1 量的な予報については、今後の状況により変化する場合がありますので、注意報・警報や全般気象情報等に記述する数値を利用願います。
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