短期予報解説資料1 2015年 5月23日15時40分発表 気象庁 予報部 1.実況上の着目点 ①北日本では寒気トラフが通過し 上空各層の風が強まり、アメダス でも最大 15m/s 以上の西よりの強 風が持続。 ②梅雨前線に影響する上空の流れ は 500hPa5760m 付近と 5820m 付近 が接近または合流していると解析。 ボッ海付近に動きの遅い渦があり、 これに伴うトラフが黄河下流。 ③衛星画像によると東シナ海から 九州付近に到達した短波トラフも あるもようで、東シナ海を北東に 進んでいる低気圧に伴う降水を伴 う中層雲域が北に拡大。これとは やや離れて九州北部にかかってきた降水エコーは、福岡高層観測の 650hPa 以上の湿潤層に対応。地上 に達していない部分が多いが南の降水域と一体化しつつある。 ④梅雨前線南側の石垣島・名瀬の高層観測によると昨夜よりも下層暖湿気の流入が強まっている。発 達した対流雲のある海上では 50mm/h 以上の非常に激しい雨が持続。 2.主要じょう乱の予想根拠と解説上の留意点 ①1 項①のトラフ通過後の短波トラフ、また、23 日夜に間宮海峡に達する低気圧による気圧の谷を伴 って 24 日未明もトラフ通過(やや深い予想に変化)が見込まれる。対流雲発生に留意。24 日前半まで 気圧の傾きが大きい。強風、高波に注意。 ②梅雨前線上の低気圧は、ゆっくり東進するトラフ東側の強風軸の強まりに対応して発達傾向をもち 24 日夜にかけて九州の南から伊豆諸島近海へ東北東に進む。低気圧の発達に伴い下層暖湿気流入が強 まるため、奄美・沖縄では、24 日にかけて落雷、竜巻などの激しい突風、非常に激しい雨に、24 日に は伊豆諸島でも落雷、突風、短時間強雨に注意。また、低気圧近傍では、強風、高波にも注意。 ③太平洋にある亜熱帯高気圧の周辺をまわる上空の流れが 500hPa5880 から 5820m にあり、低気圧が通 過した後も南西諸島で停滞する前線の活動は活発。 3.数値予報資料解釈上の留意点 ①総観場は最新の GSM を基本とする。降水については MSM も参考とする。低気圧の示度や進路につい ては GSM と MSM とでまだ差があるが、1 項②の接近した上空の流れに関連して、今後の実況経過により 両者ともありうるとし、中間として GSM より南よりに速めて考える。降水域の北への広がりについて は 1 項③の実況傾向を考慮する必要がある。②北日本では、風に合わせて波を上方修正。低気圧を波 源とするうねりが 25 日にかけて東海から関東に到達するが修正幅は小さい。 4.防災関連事項[量的予報と根拠] ①大雨ポテンシャル(18 時からの 24 時間): 奄美 120mm、沖縄、 100mm。2 項の短時間強雨に留意。②波(明日まで):伊豆諸島、沖縄 4m、北海道、奄美 3m 。 5.全般気象情報発表の有無 発表の予定はありません。 1 量的な予報については、今後の状況により変化する場合がありますので、注意報・警報や全般気象情報等に記述する数値を利用願います。
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