味覚障害を引き起こす薬剤について

味覚障害を引き起こす薬剤について
薬剤師研修センター研修生 井ノ上紘子、 山下千尋
味覚障害の原因として、風邪、口の乾き、老化(老化による味覚蕾の数の低下)、過度の喫煙による口の乾き、
ビタミン(ビタミンB-12)または亜鉛の欠乏、口、鼻、または頭部の外傷、歯肉炎、・シェーグレン症候群、薬剤による
副作用などがあります。このうち最も多い原因は薬剤性と食事性の亜鉛欠乏症です。ほかに原因不明の特発性味
覚障害,糖尿病,肝疾患,腎疾患,消化器疾患,胃切除手術後の貧血なども味覚障害の原因となります。
味覚障害を引き起こす薬剤の例を以下にまとめました。このほかにも多くの薬剤が味覚障害の原因となります。
薬剤性の味覚障害の場合、原因薬剤の中止、減量、変更等により症状が改善されますが、疾患によっては薬剤を
中止することが困難な場合もあります。そのような場合は、薬剤を服用しながら亜鉛補充療法が試みられることもあ
ります。
表)味覚障害を起こす可能性のある薬剤の例
分類
一般名
商品名(例)
ジクロフェナクナトリウム
ボルタレン
マレイン酸プログルメタシン ミリダシン
アルミノプロフェン
ミナルフェン
メロキシカム
モービックカプセル
トリアゾラム
ハルシオン
中枢神経用剤 カルマバゼピン
テグレトール
塩酸イミプラミン
トフラニール
塩酸マプロチリン
ルジオミール
レボドパ
イーシードパール
メシル酸ペルゴリド
ペルマックス
リルゾール
リルテック
感覚器官用剤 塩酸トラマゾリン
トーク
ロサルタンカリウム
ニューロタン
カプトプリル
カプトリル
マレイン酸エナラプリル
レニベース
循環器系薬
塩酸マニジピン
カルスロット
塩酸カルテオロール
ミケラン
ニプラジロール
ハイパジールコーワ
利尿薬
フロセミド
ラシックス
呼吸器系薬 プロピオン酸ベクロメタゾン ベコタイド、アルデシン
抗甲状腺薬 チアマゾール
メルカゾール
肝臓治療薬 チオプロニン
チオラ
血液用薬
塩酸チクロピジン
パナルジン
アロプリノール
ザイロリック
レフルノミド
アラバ
代謝性医薬品 ペニシラミン
メタルカプターゼ
ブシラミン
リマチル
シアナミド
シアナマイド
カペシタビン
ゼローダ
フルオロウラシル
5-FU
抗悪性腫瘍薬
テガフール
フツラフール、サンフラール
フルタミド
オダイン
塩酸アゼスラチン
アゼプチン
抗アレルギー薬 塩酸エピナスチン
アレジオン
ロラタジン
クラリチン
ミノサイクリン
ミノマイシン
抗菌薬
アジスロマイシン
ジスロマック
アシクロビル
ゾビラックス
クロファジミン
ランプレン
化学療法剤
ザナミビル水和物
リレンザ
リバビリン
レベトール
抗真菌薬
グリセオフルビン
グセルビン、ポンソルFP
参考文献:各薬剤添付文章
薬効
アリール酢酸系非ステロイド解熱鎮痛薬
プロピオン酸系非ステロイド解熱鎮痛薬
オキシカム系非ステロイド解熱鎮痛薬
睡眠薬
抗てんかん薬
抗うつ薬
抗パーキンソン病薬
ALS治療薬
血管収縮薬(鼻)
降圧薬
β遮断薬
利尿薬
吸入用ステロイド薬
抗甲状腺薬
肝臓治療薬
血小板凝集抑制薬
尿酸産生抑制薬
関節リウマチ薬
抗酒薬
乳癌
前立腺癌
抗ヒスタミン薬
抗ヒスタミン薬
抗ヒスタミン薬
テトラサイクリン系
マクロライド系
抗ヘルペスウィルス薬
ハンセン病治療薬
抗インフルエンザウィルス薬
抗肝炎ウィルス薬
*平成15年度の薬剤師実務研修生として、井ノ上紘子さん、 山下千尋さんの2名が現在、鹿児島大学病院、薬剤
師会会営薬局などで研修を受けていらっしゃいます。研修の一環として鹿児島県薬剤師会 薬事情報センターにて
上記資料を作成されました。
鹿児島県薬事情報センター 恵谷誠司