腎不全で問題となる活性代謝物の蓄積(プロドラッグは除く) 脂溶性薬物であっても代謝物は親化合物に比し極性が高くなります。つまり肝代謝=極性化反応なのです。水溶性になった代謝物に活性がある場 合、腎不全患者では蓄積し、薬効が増強します。中にはジソピラミドの代謝物MNDのように抗不整脈作用だけでなく強力な抗コリン作用を持つため、予 測し得ない有害事象を起こす可能性があります。親化合物と同じ薬理作用を持つ活性代謝物が蓄積する場合、たとえばプロカインアミドでは活性代謝 物NAPAの活性は親化合物と同等ですので、両者の血中濃度を測定し、これらの血中濃度の和を用いて投与設計をします。つまり活性代謝物の親化 合物に対する活性比と尿中排泄率を考慮して投与設計をする必要があります。 薬物名 アセトヘキサミド アルプラゾラム アロプリノール イグラチモド イソソルビド硝酸塩 グリベンクラミド グリメピリド クロキサゾラム クロフィブレート クロルプロパミド(アベマイド) ジソピラミド トラマドール ナテグリニド ブシラミン フルトプラゼパム プロカインアミド ブロマゼパム ミダゾラム モルヒネ リスペリドン レフルノミド ロフラゼプ酸エチル 活性代謝物 活性代謝物の作用 ヒドロキソヘキサミド 血糖降下作用の増強・遷延 α-hydroxyalprazolam 鎮静作用 オキシプリノール 肝障害、剥奪性皮膚炎、骨髄抑制 M1、M2 抗リウマチ作用 2-mononitrate、5-mononitrate 血管拡張作用 4-trans-OH体、3-cis-OH体 血糖降下作用の増強・遷延 ヒドロキシグリメピリド 血糖降下作用の増強・遷延 chloro N-desmethyl diazepam(CND 鎮静作用 クロロフェノキシイソブチル酸 脂質低下作用、直接骨格筋を障害 不明 血糖降下作用の増強・遷延 モノ-N-デアルキルジソピラミド 強力な抗コリン作用・低血糖 M1代謝物 鎮痛作用 M1代謝物 血糖降下作用の増強・遷延 分子内ジスルフィド体 抗リウマチ作用 N1位のデスアルキル体 鎮静作用 N-アセチルプロカインアミド 抗不整脈作用の増強 3-水酸化体 鎮静作用 α-ヒドロキシミダゾラム抱合体 傾眠傾向・鎮静作用の持続 モルヒネ-6-グルクロニド 傾眠傾向・鎮静作用の持続 9-OH体 向精神病作用の増強 A771726(M1) 抗リウマチ作用 M-1、M-2代謝物 鎮静作用 M4(3位のメトキシ基のO-脱メチル化体及びM6 ロメリジン塩酸塩 (ピペラジン環の4位N-脱アルキル化によるベン 片頭痛治療薬 ズヒドリルピペラジン体) 無断転載を禁じます(熊本大学薬学部附属育薬フロンティアセンター・平田純生 2014年12月作成)
© Copyright 2024 ExpyDoc