最新号サンプル(PDF

2015.
8 .1
ものづくり実践経営
~強い黒字企業をつくる処方箋~(18)
4 バリュー・エンジニアリングの
考え方・進め方③
/黒澤 淳靖
指針
3
企業の成長発展に必要な帰属意識の醸成(2)
7 帰属意識を高める具体策
顧客接点は無限大、
組織は一つ
/新田 毅
/森松 貞治
現代版「裸の王様」
〜思い通りに行かないマネジメント〜(4)
10 後継者候補の大臣
/細江 一樹
22
勝ち方を決めているか
/渡部 慎一
実例に学ぶCS向上の実践具体策(20)
12 CS向上の取り組みの総括
/竹林 剛
トレンド変化に対応する小売ビジネスモデル(2)
14 小売ビジネスモデルを実例から学ぶ
/森田 裕介
採用強者になるための三つの鍵(2)
16 第二の鍵「企業風土」
/大森 光二
人材マネジメントの基本(12)
18 人事機能強化戦略⑤
/森井 修
特別リポート 20 2015年「幹部・リーダー800人の意識調査」結果
企業成長の鍵を握る人材育成
◆本誌に落丁・乱丁がございましたら、お取り替え致します。
◆本文記事を許可なく複写複製、および配布することを禁じます。
第一線のコンサルタントが書く、
マネジャー・エグゼクティブクラス向けスキルアップ情報誌
2015年8月1日号(平成27年8月1日発行)
発行人 若松孝彦 編集人 福田季三志
発行所 株式会社タナベ経営 戦略総合研究所
〒532-0003 大阪市淀川区宮原3-3-41
TEL.
06-7177-4008
FAX.
06-7177-4028
http://www.tanabekeiei.co.jp/
印刷・製本 株式会社廣済堂
Consultant Series 人 事
企業の成長発展に必要な
帰属意識の醸成
第2回
帰属意識を高める具体策
前回(7月1日号)は帰属意識
の高め方として、帰属意識の定義
(株)タナベ経営 北陸支社
経営コンサルティング部
森松 貞治
■お問い合わせ先■
(株)タナベ経営 北陸支社
TEL:076-222-6546
FAX:076-232-1949
[email protected]
同じ部門から近い年齢の先輩社員
をエルダーとして選定する
心に行っている。
社内教育は、一朝一夕に完結
や考え方について述べてきた。今 (3)
「教えることは仕事である」 するものではない。日頃からの
回は実際に企業が行っている取り
との認識をエルダーに持たせる
OJT 技術のレベルアップを図る
組みを紹介しながら、帰属意識に (4)新人の失敗はエルダーの指
とともに、教える側と教わる側の
導不足と判断し、共同責任とする
双方に先輩・後輩の認識と一体感
など、一体感を持たせる
を醸成する仕組みが肝要である。
ついて考えていく。
エルダー(メンター)制度
タナベ経営では、新人に対して
(5)期間は部門ごとに異なるが、 この際、先輩社員のレベルに注意
新入社員が一般社員として自立す
が必要である。レベルの高い先輩
るまで見届けさせる
がエルダーに付けば、新入社員は
エルダー(メンター)制度を取り
運用に当たっては、エルダーに
先輩に対して畏敬と親愛の念を抱
入れている。上司とは別に、上司
任命された人が、
「新入社員のマ
き、「この会社に入社して良かっ
よりも年齢の近い若手社員を教育
スターレベルチェックシート(成
た」「この先輩と一緒に働けて良
担当者とし、OJT を行うという
長状況報告書)」
(9頁【表1】参照) かった」と帰属意識が一気に高ま
制度だ。新人の兄・姉役として相
をもとに、新入社員の OJT 教育
る。しかし、レベルの低い先輩が
談相手になりやすいため、スラン
を実施する。
エルダーになると、反対の現象が
プや伸び悩みの防止に一役買って
新入社員が覚えること、身に付
いる。同時に、エルダーらの先輩
けるべきことを決め、期日が来た
その他にも、新人に社内共通用
社員としての意識向上も狙う。
らエルダーと新人の双方が習熟
語を覚えてもらい、日常業務で使
度をチェックする。エルダーの
えるように指導する。この共通の
チェック・コメント内容は事業所
言語を使うという行為も、その組
長やリーダーもチェックし、必要
織に所属していることの証しであ
エルダー制度の具体的な内容
は、次の通り。
(1)新入社員1名に対し必ず1
起こる。
名のエルダーを指名し、公私にわ
に応じて両者に指導を実施する。 り、組織の一員と認識できる一つ
たるアドバイザーとする
タナベ経営では、新入・中途社員
(2)年齢や相性を考慮した上で、 の OJT はこのエルダー制度を中
の要素にもなる。
また、タナベ経営では、キャリ
2015. 8. 1
7
ア形成の一貫として、経験や社歴
開発、生産、教育)、テーマ別(事
ルで1年間、合計 12 回を 1 クー
に合わせた各種の研修・教育制度
業戦略、事業承継、収益構造改革
ルとして実施する。(【表2】参照)
を充実させている。メンバーはコ
など)の基本およびポイントを体
対象者は1クールにつき、10
ンサルタントを志望して入社した
系的に学ぶ。また、トップコンサ
名前後とし、3回に1回の頻度で
ため、仕事(職種)に対するこだ
ルタントの講話を通じ、意識と行
社長塾終了後に親睦会を行ってい
わりが強い。そこで、キャリアアッ
動の変革を促す。
る。入社してから2~3年目の従
プを図れる制度を導入し、会社に (6)コンサルタント研修会
業員は仕事にも慣れ、入社当初の
年2回、全コンサルタントが集
思いや志が薄れてくるころであ
まり、重点業種のノウハウ共有
る。そうした従業員に対して、経
キャリア形成を支援する各種研
や、新しいメソッドの開発と共有
営者が自身の言葉で、理念やビ
修・教育制度は、主に次のような
化、コンサルタントのスキルアッ
ジョンに対する思いを熱く語れ
内容である。それぞれの対象者が
プ(品質向上)を目的にした研修
ば、ほとんどの人は何かしら心に
キャリアに応じて受講していく仕
会を行っている。
響く。実際にA社の社長塾の修了
(7)海外視察研修
生の定着率は 100%であり、自社
対する誇りと帰属意識の向上につ
なげている。
組みとなっている。
(1)入社時基礎教育
先進事例視察、最新事情やトレ
タナベ経営の会社概要、経営方
と仕事に高い誇りを持っている。
ンドショップの見学、産業視察、 (2)B社の場合
地域活性化の成功事例見聞、また
B社では、理念に対する考え方
び、自社をより深く知るとともに、 海外の投資環境の把握などを目的
や行動するときの優先順位などを
針をはじめとした商品知識を学
基本動作トレーニングなどを通じ
に海外視察研修を行っている。
これらの研修・教育を通して、 配布している。それを使い、毎日
て仕事の心構えについて学ぶ。
(2)コンサルタント初級講座
詳細に説明したポケットブックを
タナベ経営の考え方や行動基準に
の朝礼や終礼、会議およびミー
早期の戦力人材化を目指し、経
関する価値観を共有する。これに
ティングの場で、参加者全員が
営分析や講演力など、タナベコン
よって新人は組織の一員として育
日々の仕事の内容を振り返り、検
サルティング必須の基本(姿勢・
成され、評価・処遇されていくの
証する。それだけのことかと思わ
動作・知識・技術・素養)を体系
である。
れるかもしれないが、これを 15
的に理解、体得する。
年以上継続実践していることに価
(3)コンサルタント中級講座
各社における事例
チームコンサルティング、経営
値がある。さまざまな会社で同じ
ような理念やクレドカードなどを
診断などの進め方の基本を覚え、 (1)A社の場合
配布しているが、形骸化している
コンサルティング能力や顧客創造
ことが多い。
タナベ経営以外の事例をいくつ
か紹介する。A社では入社2~3 (3)C社の場合
力のレベルアップを目指す。
(4)コンサルタント上級講座
経営診断やチームコンサルティ
年目の従業員を対象として、社長
最後に介護事業を営むC社の事
塾という勉強会を実施している。 例を紹介する。一般的に従業員の
ングの「本質」の理解と、コンサ
これは前述の対象者に、A社の歴
定着が悪く、帰属意識が低いとい
ルティング能力の強化を行う。
史から始まり、企業理念の考え方
われている業界ではあるが、同社
(5)コンサルティングスキルアッ
や今後のビジョンおよび事業展開
では従業員が喜ぶ内容の福利厚生
などに関して社長自らが講義・レ
や華やかな社員総会を実施し、高
クチャーするという勉強会であ
い定着率と帰属意識の醸成に成功
プ講座
チームコンサルティングにおけ
る各機能別(人事労務、財務、営業、 る。毎月1回、3時間のスケジュー
8
2015. 8. 1
している。