正社員を登用するときの教育システムを確立 - ジョブ・カード制度

正社員を登用するときの教育システムを確立
協業組合 仙台清掃公社
<企業概要>
■所在地:仙台市宮城野区
■業種:廃棄物処理業
■資本金:5,000万円
■従業員数:316人
■URL: http://www.ss5383.com/
1.制度の活用に取り組んだ目的
当社は、し尿収集の運搬業者5社の協業に
よって、昭和44年4月に設立しました。
《仙台商工会議所扱い》
<訓練概要>
■コース名:廃棄物収集運搬・処理コース、廃棄
物処理営業職コース、廃棄物処理事
務職コース
■職種:現業職(運転手)
、営業職、事務職
■訓練生数:24人
(終了後に21人を正社員採用)
■期間:平成24年12月~25年3月
平成24年6月~9月(2人)
平成23年12月~24年3月(6人)
平成23年7月~10月(6人)
平成22年6月~9月(7人)
■種別:有期実習型訓練(キャリア・アップ型)
ろ、仙台商工会議所が平成21年度に開催し
た「ジョブ・カード制度説明会」に参加し、
有期実習型訓練のことを知りました。当社の
仙台市のし尿、続いて営業ごみ収集の運搬
人事システムに有期実習型訓練をリンクさせ
業務の委託許可を得、その後、産業廃棄物の
ることにより、人材育成システムの確立をよ
収集運搬・処理業の許可を取得し、事業を拡
り強固なものにできることを確信し、ジョ
大しています。以来、環境の保全と公衆衛生
ブ・カード制度の有期実習型訓練を活用する
の向上に努めてきました。現在は、循環型社
ことを決めました。
会を目指してリサイクル事業の推進に努めて
います。
法規制が厳しい廃棄物処理業で、中途採用
が多い当社では、入社後に即、現場という風
土が根強くあり、人材育成に当たっては、新
規学卒者の教育には遠くおよばないところが
ありました。そのため、廃棄物処理法の教育
をはじめとした社員教育の必要性を感じ、平
成20年度に常務理事を中心とした教育プロ
ジェクトチームを設置し、人材育成に本格的
に取り組むこととしました。
仙台市宮城野区にある社屋
このような状況のもと、人事システムとの
トータルな教育・育成システムの確立を図り、 2.具体的な取組内容
環境の変化に柔軟に対応できる人材の確保と
現在、営業職と事務職の非正規社員をそれ
現有社員のスキルの向上を目指していたとこ
ぞれ1人ずつを対象とした5回目の有期実習
型訓練(キャリア・アップ型)を実施してい 3.阻害要因とそれを乗り越えるための工夫
ます。これまでに正社員に登用した非正規社
各事業所の役職者は OJT の重要性を理解は
員は、21人となっています。以下は、訓練
していても、日々の仕事に追われているため
生の人数です。
に、十分な OJT を行うことができていません
(1)平成22年度
でした。当初、有期実習型訓練を実施したと
現業職(運転手)
:7人
(2)平成23年度
現業職(運転手)
:11人、営業職:1人
(3)平成24年度
現業職(運転手)
:3人
きは、講師を務めた役職者などから「仕事が
また増える」と言われるなど、厄介なものだ
ったと思います。
しかし、訓練を重ねていくうちに、社員と
しての意識や質の高さが顕著に現れるよう
平成22年度に1回目の有期実習型訓練を
になりました。講師を務めた役職者や社員た
実施した際は、当社としては初めての経験で
ちも、有期実習型訓練に対して理解を示すよ
した。そのため、訓練カリキュラムや評価シ
うになり、また、日々目標を持った職場実習
ートなどの申請書類などは、仙台商工会議所
や訓練日誌などを活用した OJT には確かな手
に設置されている宮城県地域ジョブ・カード
応えを感じたようです。
センターの制度普及推進員の方のアドバイス
を受けながら作成しましたが、慣れないこと
もあって、実際に申請するまでには多くの時
間を要しました。
4.制度の活用による具体的な効果
ジョブ・カード制度の有期実習型訓練を活
用した企業としての感想は、正社員として質
の高い仕事ができるようになったことです。
具体的には、以下のとおりです。
(1)正社員を登用するときの教育システム
を確立できた。
(2)評価シートを作成したことによって職
務遂行基準を確立できた。
(3)正社員としてのスキルが向上した。
(4)正社員としての意識改革や役割を認識
できるようになった。
(5)有期実習型訓練を3カ月超実施したこ
OJT の実施風景
非正規社員の資質向上を図るためには、教
とによって、役職者や講師を務めた社員
のレベルアップや意識改革を図れた。
育必須項目である廃棄物処理法や顧客対応、
(6)廃棄物処理法などの関係法令に対する
運転マナー、安全衛生、車輌整備などの基礎
社員の理解が一定レベルとなった。
を反復訓練することによる確実な知識の習得
(7)有期実習型訓練の対象とした非正規社
を目指す必要がありました。このため、講師
員の職務の棚卸しを図れた。
(5人~6人)は、それぞれの専門分野で実
(8)愛社精神を培うことができた。
務経験が豊富な役職者のほか、運行管理者や
産廃施設技術管理者、自動車整備士、環境マ
ネジメントシステム審査員等々の資格を取得
している社員が担当しています。
(平成25年1月現在)
有期実習型訓練の概要
協業組合 仙台清掃公社
訓練コース名
廃棄物収集運搬・処理コース
職務名または教科名
O
J
T
職務または教科の内容
時間
運転者の基本動作
運転前点検、点呼、機器操作点検・操作など
40
収集運搬実習
収集、積込み、運搬、積み下ろし
270
積替保管実習
保管施設管理、機材管理
20
中間処理実習
搬入・選別などの指示、産業廃棄管理票作成
100
OJT 計
Off-JTの
実施主体
430 時間
オリエンテーション
入所式、訓練の目的、進め方など
4
中間評価・訓練のまとめ
中間評価、訓練のまとめ、修了式
6
5S(整理、整頓、清掃、清潔、しつけ)
安全衛生
安全作業(安全点検、KYT)労働災害の防止、
有
期
実
習
廃棄物処理法
型
座
訓
学
練
の O
内 f
容 f
運転者の基本動作
‐
J
T
健康管理、緊急処理
廃棄物処理法の理解
環境マネジメントシステム(みちのくEMS)
17
マニフェスト
社 内
交通関連法規に記載された運転者の義務、
日常点検業務、遵守事項、
安全運転のための健康管理など
顧客対応能力開発、運転マナー、
顧客のクレームの対応など
事故処理マニュアルに基づく事故・トラブル時の対応など
学科計
日常点検業務実習
実 車輌操作実習
技 収集運搬車輌実習
主要な
設備機器・教材
10
41 時間
運転前点検、機器操作・点検、車輌整備など
3.5
パッカー車の操作実技
3.5
社 内
走行や制御動作、車間距離、安全確認、構造に起因する死角、内
輪差など運転技能
2
実技 計
9 時間
Off-JT(教育訓練機関)小計
50 時間
有期実習型訓練 合計
480 時間
運送用自動車、荷役用具類、計量器付パッカー車
テキスト・教科書
4
社 外