微分積分学 1 第一回レポートのフィードバック(芦田) [1] (1) について

微分積分学 1 第一回レポートのフィードバック(芦田)
[1] (1) について.答えは合っているものの,やや複雑な式変形を経ている答案
が散見された.この問題程度であれば複雑とはいえ大したことはないが,今
後勉強を進めていくにあたり,少しでも簡単な解法を模索することは非常に
大切になってくるのではないかと思う.これは数学に限った話ではない.
(2) はよくできていた.
[2] 問題文は「次の数列に極限が存在することを示し,その極限値を求めよ」と
いうことである.極限の存在を示すことが「数列が上に有界かつ単調増加」
を示すことに対応しているわけだが,そのあたりの論理の繋がりが意識され
ていない答案が多かった.これを踏まえると単調増加しか示していない,下
に有界であることしか言ってない等の答案が不十分であることは理解できる
と思う.
√
√
1
[3] limn→∞ n a = limn→∞ a n = a0 という議論であったり,xn = n a として
√
limn→∞ log xn = 0 から limn→∞ n a = 1 としている答案が非常に多かったが,
これらの答案は指数関数の連続性を用いており,非自明であることに気を付
けられたい.そして指数関数の連続性はこの問題よりも高度であり,使うべ
きではない.
[4] きちんと証明が書かれた答案はなかった.sup と max および inf と min につ
いて,その違いは感覚的には理解できていそうな印象は受けたが,数式を用
いて厳密に定義をするとどうなるのかについても是非考えてみてほしい.理
論を大切にしなければいけない学問において感覚的な“ 分かったつもり ”を
積み重ねると,内容がもっと難しくなったときに厳密に議論することができ
なくなり,苦労することになる.
総括として,
「明らか」
「自明」という言葉を使うのは避けたほうがよいことを伝え
ておく.これは私の肌感覚ではあるが,大学一年生のうちは「自明」であること
と「非自明」であることの区別がついている学生は多くないと感じる.
「自明であ
る」と書かれていても,そこが解答で大切な部分であるがために点数をあげられ
ないということも少なくはない.これは非常に勿体ないことである.
おまけであるが,レポートの体裁もきちんと守るべきである.あと,ルーズリー
フではなく無地の紙かレポート用紙を使い,裏面は使用しないのが普通である.
フィードバックについて何か質問・意見等があれば以下まで連絡してください.
ただ採点者は私ではないので,採点基準等についての質問には答えかねます.
多元数理科学研究科 M2 芦田大夢 ([email protected])