- 1 - 平成26年度学校経営報告 学校名 東京都立農産高等学校 全日制

平成26年度学校経営報告
学校名 東京都立農産高等学校 全日制課程
校長名 並 川
直 人
1 今年度の取り組み目標と自己評価
(1)教育活動に対する取組と自己評価
(1) 学校経営
1)
環境に配慮したESD(持続可能な発展のための教育)の発想で、省エネルギー
に対する取組を行った。教員に生徒の健康管理に配慮させつつ、エアコンの使用を控
える一層の意識をもって本校舎、農場の節電や節水に取り組んだ。
2)
いじめや体罰のない、安全・安心な学校づくりのため、学校いじめ対策委員会で
の検討をはじめ、いじめ防止基本方針に基づき、組織的に対応を行った。スクールカ
ウンセラーによる生徒全員面接等の機会を利用し、未然防止に努めた。
2) 自律経営予算を効率的に執行し、計画的な予算執行を行えた。昨年度より支援セン
ター執行率を約5%高めることができた。立て替え払いの根絶を目標に取り組んだ。
引き続き平成27年度も立て替え払い「0」にする。
3)
服務事故防止月間及び個人情報事故防止月間、個人事故防止研修等を計画的に行
い、個人情報の管理を徹底できた。服務事故は「0」であった。
4) 学習指導要領に基づく教育課程を実施した。平成27年度は完成年度として、教育
課程実施上の成果と課題を総括する。言語能力向上拠点校として、生徒の言語活動の
活性化に取り組み、平成26年度都立高校生言葉の祭典決勝-弁論の部「日本語」に
2名が出場した。1名は2年連続出場を果たした。高校生書評合戦東京都大会に5名
の生徒が出場した。東京都産業教育振興会主催作文コンクールに8名が応募し、1名
は高校生の部で最優秀賞となり、1名は佳作入賞した。
5) 都立高等学校等学力スタンダード事業にともなう学力検査の実施および結果の分
析を行った。始業前に設定している 10 分間の朝学習の継続実施とともに教科主任会
や学力向上に関するPTでの検討などを通して、学習する姿勢を身に付けさせるとと
もに基礎学力が不足している生徒には、面談等を通じてノートの取り方等学習の基本
について改善する指導を学年や教科で組織的に行った。
(2) 授業経営
1) 学校運営連絡協議会の学校評価において実施した学校評価及び授業評価の結果を
分析し公表した。分析結果をふまえて平成27年度は全ての教員が授業力向上に関す
る課題テーマを設定し学校全体での授業改善に取り組む。
2) 普通教科では基礎基本的な「学力の定着」を重視する。
定刻に授業を開始することは、ほぼ達成できた。学習に対する苦手意識や肯定的な
取り組みに至らない生徒への指導について、教科主任会等で検討を行った。朝学習の
成果等も踏まえ、平成27年度の指導に具体的に生かす。
授業にリズムをつけ、ICT を活用するなど、授業に工夫が見られる教員が増えた。
各教科でノートやレポートの提出指導を行い、提出状況はおおむね良好であったが、
自宅学習の時間を確保するまでには至っていない。
下校指導等により、帰宅での時間の確保は行えているが、家庭学習の時間を確保
するまでの生徒の意識向上を図れていない。
定期考査を意識させるのぼりを立てたり、自学自習のための自習コーナーを設置し
た。すぐに効果は出ていないが、生徒の学習への意欲喚起を継続させる。
3) 専門教科では体験・体感的な学習と「系統的な学習」を重視する。
地域と連携した活動に生徒が参加することで、生徒の学習の定着を確認する場とな
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り、生徒の学習に対する自己有用感や自己肯定感を向上させることができた。
資格取得の受験者および合格者ともに増加した。平成27年度は、東京都技能スタン
ダードに位置付けられた農業技術検定を2学年全員に第2回検定(12 月実施)を受験さ
せる。専門科目での学習を通して園芸及び食品に関する基礎的な知識等の確実な習得を
図る。また、フラワー装飾技能士3級、造園技能検定2級、販売士3級などの合格者を
増やすよう取り組む。 そのために指導者・学科としてのノウハウの蓄積も図る。
一人一資格以上を取得することについては、農業技術検定、造園技能検定等合格率が
向上したものもあるが、まだ生徒全員が資格取得を行えていない。平成27年度は全生
徒に目指す資格取得を設定させ、生徒の専門性向上と成果としての質保証に取り組む。
実習規律(実習服、装身具、レポート)を徹底して指導した。実習時の安全管理の設
定や食品製造実習における食品衛生管理の徹底を図ることができた。
(2) 重点目標と方策
(1) 学校経営
1) 授業力の向上
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6)
7)
若手教員による授業観察や研究協議などを通して、他の教員の授
業を見ることを推進した。研究授業に参加する教員は一定数に達し
た。一部では実施したが、今後は協議会への参観者の参加を促し、
学校全体として指導力・授業力向上に結び付ける。平成27年度は
全ての教員が授業力向上に関するテーマを自ら設定し、取り組むと
ともに小グループによる研究協議を実施し授業力の向上を図る。
幼保・小学校連携 緑の学校として西亀有小学校に栽培・収穫体験をとおして連携
を行った。近隣の幼稚園・保育園児を農場に招き、栽培体験や収穫
体験を生徒とともに行い、情操教育に貢献した。
キャリア教育
地元企業や北海道酪農体験実習等のインターンシップを実施し
た。1学年からインターンシップを実施した。事前・事後指導を十
分に行うように努めたが、一層の改善と向上を目指す。
奉仕
農業科目において地域団体と連携して展開した。奉仕活動の連携
先との活動が活性化し、新たな地域連携活動に繋がった。
地域貢献
葛飾区(公園課、環境課、子育て支援部、福祉部など)、花のま
ちづくり協議会、かつしか花いっぱいのまちづくり推進協議会、亀
参祭り、水元公園しょうぶ祭を中心に、年間100回以上の地域貢
献活動を実施した。
荒川区と連携した江戸東京野菜「三河島菜」の復活に向けて栽培
や販売等による提供を行った。園芸デザイン科と食品科が協力して
奥の細道千住あらかわサミットに協力した。荒川区長から本校の貢
献に対して感謝状をいただいた。荒川区立尾久宮前小学校と連携し、
三河島菜の栽培指導や交流活動を行った。
日比谷公園ガーデニングショー、エコプロダクツ 2014、世界らん
展日本大賞 2015 などに生徒作品を出展した。また、良品を全国農
業高校収穫祭などで生徒が販売した。
学校間連携
年間を通して葛飾野高校、足立東高校との連携教育を行った。
葛飾区立中学校との連携については、研究段階に留まり、平成2
7年度からの実施には至らなかった。
情報発信
携帯メール発信が今年度は十分でなかったので、来年度は移動教
室や修学旅行、台風時の学校運営状況等を中心として携帯メール発
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信を年20回以上行う。
8) 募集対策
ホームページを常に更新し、一層のPRを行った。校長室ブログ
の開設により即時性をもった情報公開に努めた。年度当初の閲覧数
が 10 月から月平均で 6000 回以上増加した。全教員による中学校・
塾訪問等は、目標数に達しなかった。根本的な中学校訪問等の在り
方を含め、平成27年度は計画的に実施する。
9)組織運営
持続的・継続的な組織運営を目指して取り組んだ。分掌主任・学
年主任を軸にしたラインを重視した組織運営ができるようになっ
てきた。今後はより盤石な組織運営ができるよう、ミドルリーダー
を中心に組織を活性化させる。
10)学校農業クラブ活動 第 65 回関東地区学校農業クラブ連盟大会の事務局校として大
会運営を行い、生徒役員を中心に関東大会を成功させることができ
た。関東大会の意見発表会に3年生が出場し、優秀賞を受賞した。
第 65 回日本学校農業クラブ全国大会 平成 26 年度沖縄大会の農
業鑑定競技会に2・3年生4名が出場し、3名が優秀賞を受賞した。
本校農業クラブ会長が全国連盟副会長、関東ブロック連盟の会長
としてその重責を果たし、組織を活性化させた。
(2) 各分掌
① 教務部
1) 落ち着いた学習環境を多くの教科で創造することができた。
2) 「年間授業計画」を4月に発行した。
3) 学力スタンダードに基づく学力調査実施を円滑に終えた。
4) 新しい入学者選抜に対応し、確実な選抜業務を実施できた。
5) 生徒集会では毎回校歌を斉唱させ、入学式・卒業式では、その成果を発揮できた。
② 生活指導部
1) 体育祭、農産祭は活気があった。部活動全体の一層の活性化を図る。
2) 朝の校門指導を通して、挨拶を定着させるよう取り組んだ。
3) 頭髪指導を徹底し「茶髪0」を堅持できた。
4) 服装違反、携帯電話の使用マナーについて各学年と協力して指導を行ったが、生徒
自身の個人情報の適切な管理については、今後も継続的な指導が必要である。
5) 自転車通学の安全指導、イヤフォンを付けた状態での登校に関して指導を行い、
「自
転車通学事故「0」を目指した。件数は減ったが8件の事故があった。
③ 進路指導部
1) 三進連会議を通して学年団、保護者と連携し指導を徹底することができた。
2) 「進路の手引き」を4月に発行した。
3) 専門教科の教員が、企業訪問を実施し専門関係の進路開拓に数件結び付けた。
4) 個人情報の保護に関する法律に従い個人情報の管理は適正に行った。
5) 早期からの組織的指導が功を奏し、卒業時点で進路決定率 100%、第1志望実現率
96%を達成した。
④ 保健部
〔保健指導〕
1) 定期健康診断で発見された疾病等の改善に努力させ、自己管理のできる生徒を育て
る指導をした。
2) スクールカウンセラーや学年と連携して健康・教育相談活動を活発に行い、心身の
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健康づくりを支援した。1年生全員の面接実施と情報の共有を行った。
3) 生徒保健委員会活動が、文化祭や地域のイベントで防災に関する研究発表を行い、
評価を得た。
4) 平成27年度は生活指導部と分掌を統合し、保健指導に加え、教育相談機能を強化
させる。
〔整美指導〕
1) 校内に花や緑を飾り、緑を創造する学校として安らぎのある生活環境を創造した。
2) 整美委員会を指導し、教室・トイレの美化、ゴミの分別を徹底させることができた。
3) 教室等の清掃美化については、各学年で成果を上げることができた。
4) 清掃用具の管理と補充を行った。
⑤ 農場部
1) 食と緑を創造する学校として、地域を学びの舞台とし、地域活動を推進した。江戸
東京野菜「三河島菜」や「三河島枝豆」などの栽培を軌道に乗せた。特に、三河島菜
については荒川区と連携し、区の観光事業に対して大いに貢献することができた。
2) 生徒の学習の様子や授業内容等を実習棟や農場等に掲示し、学校及び農場の見える
化を推進した。樹木に樹木の名称等の表示を前進させた。
3) 農場外周の樹木の適正な剪定に努め、景観保持や病害虫の発生を抑える努力をした。
4) 農場が放課後の生徒の活動の場となるようにする。放課後に農場での自主的な活動
を保障できた。
⑥ 普通部
1) 教科会や教科主任会を活用して、教育課程編成を行ったが、教科を越えた連絡連携
を始めることができた。
2) 講師との分割授業では講師担当の生徒状況も把握し、調整やアドバイスを行った。
⑦ 第1学年
1) 面接、面談を早期に行い、進路希望や健康状態、家庭状況を把握した。
2) 毎朝8時25分には生徒を登校させ「朝学習」を実施した。
3) 本校の生活と進級ルールを明確に示し理解するよう指導した。
4) 遅刻指導を重点的に行い、規則正しい生活を送らせるよう指導した。
⑧ 第2学年
1) 面接、面談を早期に行い、新クラスの掌握に努めた。
2) 修学旅行の準備や事前相談など早めの対応を行った。
3) 進路資料提供や進路意識向上などホームルームを活用して計画的に指導した。
4) 遅刻指導を重点的に行い、規則正しい生活を送らせるよう指導した。
⑨ 第3学年
1) 春季休業中に行った面談を基に、進路に向けた生活を送らせるよう指導した。
2) 本校の最高学年として下級生の見本となるよう気概を育成した。特に体育祭や農産
祭では指導性を発揮させるよう取り組ませた。
3) 夏季休業期間中に進路指導部と連携して面接指導、履歴書作成指導を実施した。
4) 遅刻指導を重点的に行い、規則正しい生活を送らせるよう指導した。
⑩ 経営企画室
1) 毎朝の打合せを通して全員が学校全体の動きを把握するよう代表者を教員の打ち合
わせに参加させ、経営企画室の打ち合わせで共通理解を図った。また、教員との連携
に努めた。
2) 校内の巡視に努め、瑕疵や老朽箇所等の改修計画を策定するよう努めた。トイレの
特別清掃を実施し、消臭を図った。
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3) 正副の担当者で業務をカバーするようにした。
4) 学校経営計画の具現化のため、経営企画室発の提案や提言を昨年度以上に活発に行
った。今まで以上に予算編成指針に基づく予算ヒアリングと予算案の策定を行った。
⑪ 用務主事室
1) 落ち着いた学校の環境整備に務めた。
2) 校内の巡視に努め、施設等の不具合情報を企画室に伝達し迅速に対処した。
3) 放課後のゴミ出し指導や共通部分の清掃に努めた。
4) 適切な樹木剪定を行った。また、積雪時には学校内安全確保のため努力した。
⑫ 図書室
1) 蔵書管理のデータベースを活用し、資料の検索や貸出利用など図書館機能を向上さ
せた。また、言語能力向上活動に貢献した。
2) 「食と緑」や「専門図書」の増大・更新など蔵書の充実を図った。
3) 生徒の「図書委員会活動」を活性化させた。
4) 教科との連携により読書活動の機会を増やした。
5) 授業内における書評の発表や長期休業期間中に課題図書を課すなどして、定期的に
全生徒が読書に親しむ機会を設けた。
(3) 今年度の数値目標
・頭髪指導を徹底し「茶髪0」を堅持する。定期的な指導により、達成した。
・自転車通学の安全指導を行い、
「自転車の事故を0」にする。重大な事故は無かったが、
8件の事故があった。
・卒業時点で就職希望者の内定率100%を達成した。卒業生137名の進路決定率は1
00%、新たに掲げた第一志望実現率は95%であった。
・卒業時点で上級学校への進学希望者の合格率100%を目指す。3 月 13 日現在4年制大
学13名、短期大学6名、専門学校等56名、合計75名であり目標を達成した。
・精勤賞、皆勤賞を合わせて各学年60名以上にする。
1 学年 皆勤21名、精勤22名の43名で目標を達成できなかった。
2 学年 皆勤32名、精勤27名の59名で目標を達成できなかった。
3 学年 皆勤40名、精勤23名の63名で目標を達成した。
3年間皆勤31名、3年間精勤は14名であった。
2 次年度以降の課題と対応策
(1) 基礎学力の向上
① これまでの朝学習に取り組ませた成果を検証し、生徒が継続的に取り組めるように創意
工夫を図りながら、学習習慣と生活リズムを定着させる。
② 授業力向上のために全ての教員が自ら設定した課題に取り組むとともに、小グループに
よる授業グループごとに2回以上の授業参観と研究協議を行う。研究協議には管理職も
参加する。外部から研修講師を招き、授業参観や授業研究に関する研修を実施する。
③ 一人一資格以上の取得に向け、生徒に具体的な目標を設定させた上で取り組ませる。東
京都技能スタンダードに基づく、農業技術検定を2年生全員に受験させる。
④ 言語能力を向上させる取り組みを学校全体で活発化するため、全体テーマに基づき、各
教科で指導テーマを掲げで実践的に取り組む。
(2) 生活指導の充実
① 部活動を一層活性化し学校生活の充実を図る。
② 時間を厳守させ、組織的な指導の実施により遅刻の減少に取り組む。遅刻 30 回以上の
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生徒を 50%減少させる。
③ 教室内の環境整備を徹底する。普通教室の整理整頓をする。
④ 登下校及び校内での挨拶を励行する。
⑤ 頭髪や制服の指導を徹底し、TPOに応じた良識ある態度を育成させる。
(3) 進路決定率の向上
① 1 学年からの組織的・系統的な進路指導を行い、生徒の進路意識とキャリア発達を図りな
がら第一志望実現率100%を目指す。
② キャリア教育の充実とともにインターンシップへの参加率を向上させる。
③ 面接指導、補習授業を実施し、進路決定に必要な知識・態度を身に付けさせる。
④ 進路の手引きを効果的に活用し、進路意識を高めさせる。
⑤ 就職先の確保を含め企業訪問を実施する。
⑥ 進路指導部に資格取得の担当者を置き、3年間の取得目標や取得状況の把握を行い、
生徒のキャリア発達を支援する。教員のキャリア支援の資質・能力の向上を図るための
校内研修等を実施する。
(4) 農業高校としての特徴を具現化する。
① 専門教科の授業内容を活かした地域連携を推進する。
② 江戸東京野菜や伝統食文化を授業の中に取り入れ、地域文化の伝承に努める。
③ 農場、実習設備の適切に管理し、生徒に多様な学習の場を提供する。
④ 農場生産物・生産品の良品(農産ブランド)の栽培や加工を通して、実践的な経営学習
に結び付ける。
(5) 志願者の確保
① 学校説明会、授業公開、個別相談会、体験入学、校外での進路相談等あらゆる機会を使
って学校の説明を分かりやすくする。
② 学習塾への訪問を行い、特色の周知を図るとともに本校に対する評価や意見等を聴取す
る。
③ 全職員が早期から計画的な中学校訪問を実施する。
④ ホームページを適宜更新することにより、情報発信を図る。また、学校案内をリニュー
アルし、学校の教育内容を分かりやすく説明する。
⑤ 葛飾区内の中学生や教員を対象にした学校間連携や出前授業等を通して地元からの応募
者を増加させる。
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