一般財団法人 日本データ通信協会 平成27年度事業計画 (平成27年4月1日から平成28年3月31日まで) 当協会は、これまで高度化、多様化する情報通信ネットワーク社 会において安心・安全なデータ通信実現のための各種事業に取り組 んできた。具体的には、「情報通信セキュリティ対策」と「情報通 信分野における人材育成」を2本柱として実施してきており、平成 27年度もこの方針に変更はない。 情報セキュリティ事業を中心とする「継続事業」においては、総 務省や関係企業等と密接な連携をとりながら社会からの強い要請 に応えていくとともに、「公益目的支出計画」を確実に実施してい く。併せて、協会の社会貢献内容について積極的に広報していく。 他方、国家試験実施事業、プライバシーマーク審査事業等の「収 益事業」においては、公平・公正な事業運営により社会からの信頼 を確保するとともに、今後の協会発展のためのスキル、ノウハウを 蓄積していく。これら「継続」と「収益」事業の全体バランスをと りながら事業運営を行っていく。 事業環境は急激に変化しており、仕事の見直しを行うほか、中長 期的に安定的に経営をしていくための新規事業に着手していくと ともに、新たな事業検討も行っていく。 1 情報通信セキュリティ対策 ⑴ 迷惑メール 平成27年度は、これまでと同様「迷惑メール相談センター」 を運営するとともに、 「特定電子メール等適正化業務」について、 迷惑メールに関する情報収集及び情報提供を行っていく。 具体的には、①電話相談窓口における情報収集及び情報提供、 ②特電法違反メール情報の収集及び情報提供、③自らをメール 受信者とした情報収集及び情報提供、④迷惑メール対策コンテ 1 ンツを提供する事業者への迷惑メール情報の提供、⑤その他特 定電子メールに関する動向等の総務省への適宜情報提供である。 また、特定電子メールの送信の適正化に関する調査研究(迷 惑メール対策のための技術動向調査、国内外における迷惑メー ルの実態及びその対策に関する調査、迷惑メールに関する制度 的な対策の調査等)を実施するとともに、ホームページ・青少 年向け携帯サイト(キッズサイト)等による迷惑メール及びチ ェーンメールの対応に関する周知活動等についても、これまで と同様に実施し、 「迷惑メール対策推進協議会」へも継続参加し て、迷惑メールの防止に向けて、官民連携に取り組む。迷惑メ ール対策を行う海外組織(団体)との連携による法違反情報の 交換も行っていく。 さらに、本年度は「特定電子メールの送信の適正化等に関す る法律」に定める「登録送信適正化機関」の登録更新年度に当 たることから、登録を更新し、継続して業務に対応することと する。 ⑵ テレコム・アイザック活動 近年、サイバー攻撃は高度に巧妙化・組織化されており、攻 撃に対する防御手法に関しても多種多様な方法を複合的に行う 必要性が認識されており、情報通信業界に対しての取組みの強 化を期待する声が高まっている。 このため、情報通信事業者を中心に日々進化し続けるサイバ ー攻撃に対する対応力を強化するとともに、各セキュリティ団 体や政府機関との連携も深めることで、総合的な情報セキュリ ティ対策レベルの向上に資する活動を行う必要がある。 上記を踏まえ、平成27年度は、前年に引き続き、総務省主 導の官民連携によるマルウェア対策支援プロジェクト「ACT IVE」の更なる推進と同時多発的なDoS攻撃、脆弱性保有 ネットワークデバイス対策等、複雑化するサイバー攻撃への取 組みの強化を図るとともに、「サイバー攻撃解析協議会」「情報 セキュリティアドバイザリーボード」等官民連携の推進に資す る活動にも積極的に貢献していく。 2 ⑶ タイムビジネス 電子記録がある時点で存在したこと及びその後改ざんされて いないことを証明するタイムスタンプは、ICT社会の重要な セキュリティ基盤のひとつである。 平成26年度には廃業に関する利用者保護ルールの策定や 「タイムビジネス信頼・安心認定制度」の発足10年に係る問 題の対処法の議論を進め、また、認定基準等制度の見直しを準 備してきた。 一方で、タイムビジネス関係企業、団体等から構成されるタ イムビジネス協議会(TBF)において、タイムスタンプの一 層の認知度向上、その利用分野の拡大、発行数の増加のために、 知的財産や医療分野でのセミナー開催、普及啓発活動の展開を 行ってきた。 平成27年度は、タイムスタンプの一層の利用を意図する国 税関係書類の電子保存の規制緩和という大きな動きも予定され ているところであり、この関連の普及セミナーを開催したり、 国税関係規制緩和の解説書を作成する等により、業界が一丸と なりタイムスタンプの利用の更なる拡大を図っていく。 また、行政機関や関係団体等との情報交換や相互の協力関係 を築くことによっても、利用の拡大を図っていく。 収支状況の改善のための業務見直しを行っていく。 ⑷ 電気通信分野における個人情報保護 当協会が運営する「電気通信個人情報保護推進センター」に 消費者から寄せられる苦情・相談件数は減少傾向にある。 一方で、不正アクセスによる大量の個人情報の漏えいが頻発 しており、電気通信分野においては、対象事業者はもとより全 事業者において、個人情報保護に関する継続した取組みが必要 とされる。 平成27年度は、①消費者からの対象事業者における個人情 報の取扱いに関する苦情・相談の迅速かつ適切な処理、②対象 事業者に対する個人情報保護に関する情報提供の充実、③対象 事業者との連携強化等、これまで同様「認定個人情報保護団体」 3 としての取組みを推進する。 また、CBPRシステム(Cross Border Privacy Rules:AP EC越境プライバシールールシステム)について、電気通信分 野における日本国内のAA(アカウンタビリティ・エージェン ト=認証機関)となるため、その準備を進める。 さらに、広く電気通信事業者を対象とした個人情報保護セミ ナーの実施等、個人情報保護に関する啓発活動を推進する。 これに加えて、個人情報保護法改正等の動きを注視していく とともに、プライバシーマーク審査事業との連携図り、効率的 な事業運営に努める。 ⑸ プライバシーマーク審査 情報通信分野におけるプライバシーマーク指定審査機関とし て9年が経過したが、お客様の信頼を得て、平成26年度は審 査件数が前年度比5%以上増加した。 平成27年度は、更に審査件数を増やすとともに、 「事業者向 けセミナー」等を開催することにより、審査企業とのコミュニ ケーションを一層増進し、引き続き、プライバシーマーク制度 の運用に重要な役割を果たしていく。 また、国際的な個人情報保護に係る標準化動向に注目しつつ、 国内においてはマイナンバー制度の導入、パーソナルデータの 利活用に関する制度見直しが予定されているので、これらの動 きを注視し、この分野を専門とする大学教授、弁護士等からな る「情報法制研究会」を創設し、シンポジウムを開催して広く 社会に向けて情報発信を行うとともに、最新の情報を収集する ことによりプライバシーマーク審査に反映していく。 2 情報通信分野における人材の育成 ⑴ 電気通信主任技術者試験及び工事担任者試験 当協会は、電気通信事業法に基づく電気通信主任技術者試験 及び工事担任者(ネットワーク接続技術者)試験の指定試験機 関として、試験問題及び解答にミスがないこと、並びに試験実 施においてトラブルがないよう業務を確実に実施してきた。 4 両資格試験の平成26年度の受験者数は、平成25年度と比 べ減少した。電気通信主任技術者資格は若干の減少にとどまっ たものの、工事担任者資格は減少幅が大きくなっている。 平成27年度の受験者数は、工事担任者資格は平成26年度 比微減、電気通信主任技術者資格は同等を計画する。 これまでにも増して厳しい状況を踏まえ、業務の見直しやコ ストダウンを図ることとし、信越支部及び九州支部を統廃合す る予定である。 一方、工事担任者試験において、第1回試験から大分市に試 験会場を増設する等受験生の利便性向上及び公平性の確立に努 める。 ⑵ 電気通信主任技術者講習 平成27年4月から電気通信主任技術者制度の法令が改正 され、電気通信主任技術者は選任から1年以内に登録講習機関 による講習及び講習修了後3年以内に再講習を受けることが 義務づけられた。 当協会は、登録講習機関第1号として平成27年1月に登録 され、3月から講習事務を開始し、関連団体及び電気通信事業 者等への広報活動により講習制度の認知度向上、普及促進を図 っているところである。 平成27年度は、すでに選任されている電気通信主任技術者 約1,400人が4月に選任されたとみなされること及び電気 通信主任技術者資格者証を有する者も受講可能であるから、そ れ以上の受講者数になると思われる。 具体的には、4月から申込受付けを開始し、7月から12月 にかけて伝送交換技術、線路技術の全20回を東京、大阪、名 古屋、福岡の4か所で予定している。 受講料は1人当たり38,000円で、講師については、法 律に定められた資格を有する者として、協会職員、協会OBの ほか(一社)電子情報通信学会、NTT東日本等を計画してい る。新規事業の立上げを円滑に進めるべく最大限の努力をして いく。 5 ⑶ e-ラーニングによる「工事担任者養成課程」 (eLPIT) 我が国で初めての試みとしてスタートした研修と資格取得が 一体となったe-ラーニングによる「工事担任者養成課程eL PIT」は10年目を迎えて、昨年 8 月、eLPIT開講から 総受講生が10,000人を超えることができた。大口ユーザ ーの申込みも一段落し、受講申込数は減少傾向にあるが、今後 は企業の新規採用社内研修の一環とする等普及活動を積極的に 推進していく。 厚生労働省認定の「一般教育訓練給付制度」も6年目を迎え、 多くの受講生が利用している。平成27年度も引き続き、広く 周知を図っていく。 働きながら学び、国家資格を取得できる新しい制度として定 着し、クラウドシステムで現在安定稼働を行っているが、昨年 より受講生の学習環境の利便性向上を検討してきた。平成27 年度は、スマートフォン等でも学習できるシステムの開発、運 用を行い、受講申込数の増加に繋げたい。 ⑷ 情報通信エンジニア資格制度 平成17年度に工事担任者規則が改正され、知識・技術の向 上に対する努力義務が規定された。これに応えるものとして、 最新の知識・技術の保持を認証する民間の制度として、新たに 「情報通信エンジニア資格制度」を開始してから10年が経過 する。 資格取得者は年々着実に増加しているが、平成27年度にお いても、この制度の周知宣伝の実施、スキル要件等の見直しを 行うための「スキルアップガイドライン委員会」の開催、資格 取得者に対するICTセミナーや更新研修の内容を新技術、新 サービス等も反映させて実施していく。 なお、平成25年1月から更新研修受講者の負担軽減のため、 研修費用の値下げを実施している。 また、ニュースレターのWeb配信や専用ホームページによ る情報発信を行い、取得者の増加と定着化に努めていく。 5年連続して更新研修を修了した資格者に対して「情報通信 6 エンジニアゴールド」という称号を付与認定しているが継続す る。情報通信エンジニア資格者が多数在籍している企業や学校 に対する優良団体表彰についても、引き続き表彰を実施する。 (一社)情報通信設備協会が実施する「LAN認定制度」と の連携も継続していく。 3 広報活動 ⑴ デ協ICTセミナー 毎年6月の情報通信月間の企画に協賛し参加するとともに、 時機を得たテーマによるセミナー( 「日本データ通信協会ICT セミナー」 )を四半期ごとに開催する。 なお、大阪での開催も予定している。 ⑵ 機関誌 隔月に機関誌「日本データ通信」を発行し、最新のテーマに 関する情報提供及び協会の各種活動状況の広報を行う。 今後更に、内容の充実を図るとともに、読者層の拡大を図る。 ⑶ ホームページ 国家試験受験者をはじめ、当協会事業、サービスの利用者向 けに、タイムリーな情報提供を行うとともに、情報通信事業者 に向けても協会の各種活動の成果を迅速に掲載し、内容の充 実・強化を図る。 4 新規事業の検討 厳しい事業環境の中で当協会が継続して発展していくための 方策を考えるため、「デ協これから検討会」を平成26年9月に 発足させ、今後の協会の在り方について既存事業の見直し及び新 規事業等を中心に月1~2回議論してきた。 今後は、検討会の報告(3月末予定)を受け、平成27年度以 降の新規事業の立上げに着手していく。 7
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