平成26年3月31日 平成25年度東京都立五日市高等学校学校経営報告(定時制) 校長 糸井一郎 1 今年度の取組と自己評価 (1)教育活動への取組と自己評価 ①学習指導 ア 学習コーチング(外部講師の招聘)を活用した指導の推進 外部講師を招いての講演会は実施できなかったが、 繰り返し学習を続けることで 「で きない~できた」 、 「わからない~わかった」という成果を実感できたことで、生徒の 「私も、やればできるんだ!」という自己肯定感を育み、学習意欲を高めることに役 立てた。 イ 全教科が連携し、基礎的・基本的な知識の習得と定着のための教材の一層創意・工夫 基礎学力の低い生徒が非常に多く、また学力差が大きいため、繰り返し授業を中心 に学力の定着を進めている。また一般生徒には、教材や資料の工夫、応用問題への取 組をさせることにより、生徒の意欲を高め、飽きさせない授業を展開している。 さらに、全教員による「チャイム着席」による授業の開始を取り入れ、授業規律を 正し、授業に取組ませる姿勢と準備を整えた。 ウ 生徒のニーズに合わせた補習・個別指導の徹底 検定取得や進路に合わせた生徒のニーズに応えるために、放課後や考査期間後、長 期休業中に補習・個別指導を実施し、検定合格や4年生の進路実現につながった。 エ 図書館を活用した授業や読書指導の充実 理科の教科で、1学期に2年生と4年生で「調べ学習」をおこない、文化祭で発表 させるために図書館を活用した。また、授業を通して、読書を薦めた。 ②商業教育 ア 各種検定試験の合格率向上を目指した補習・講習 簿記やワープロ検定などの合格率向上に向けて、始業前と放課後に補習・講習を実 施したことで、参加者の合格率が高くなった。 イ 地元商店街との連携及び「ヨルイチ」の販売実習及び事業スタッフとして生徒参加 地元の祭り「ヨルイチ」にボランティア活動として参加者を積極的に募り、生徒7 名が販売実習及び事業スタッフとして参加した。 ウ 公開講座に商業教育の具体的成果を活用 商業科2名の教員による公開講座「パソコン入門」を11月に20時間実施した。 29名の応募があり、抽選された定員20名の参加者全員が修了した。 ③生活指導 ア 保護者との連携による欠席・遅刻・早退等の指導等、きめ細かな指導の実施 特に1年生の欠席・遅刻等が例年多く中途退学につながるため、入学式後の保護者 会で連携・協力を強くお願いをした。また生徒の欠席連絡が3日なければ保護者に連 絡するなど、遅刻・早退も継続する場合には保護者に確認の連絡を入れ、学校離れの防 止に努めている。 イ 効果的なセーフティ教室や防災訓練の実施による安全教育の充実 セーフティ教室を各学期の考査後に年3回(交通安全教室・薬物乱用防止・防犯) 1 実施して、生徒の安全意識を高めるとともに、注意喚起を行った。また防災訓練は、 年4回(防災講話と避難訓練3回)実施して、危機意識を高めるとともに、安全に対 する意識を高め、行動できるように指導を行った。 ウ 定期的な校内外の巡回指導を行い、問題行動の予防・防止に努める 生徒が登下校時に起こす地域への迷惑行為や問題行動の防止と再発防止、未然防止 のために、校内外の巡回指導を行った。前年度と比べ、苦情の件数が大幅に減った。 ④進路指導(キャリア教育) ア 早期職業意識形成プログラムとして、インターンシップ参加を全生徒対象に周知 インターンシップ参加を全生徒に呼びかけ、地域等の受入れ先の資料を作成・配布 し、窓口となることにより、地域行事や保育園などに延べ11名の生徒が参加した。 イ LHRで進路情報を適切に提供し早期からの職業意識の形成 ハローワークなどからの情報を進路部が収集して「進路通信」として、計画的・定 期的に全学年に情報を提供し職業意識を高めた。また特に4年生に対しては、個別 に早期から生徒の意識や意欲に応じて、きめ細やかで丁寧な対応を行った。 ウ 外部講師の講演などを活用した実践的な進路指導 外部講師を招き、講演会と職業別講話やデモ型ガイダンスを3回実施したことで、 生徒の意識の高揚につながった。また、12月から、東京都教育委員会の事業として、 たちかわサポートステーション(若者サポートステーション)と連携して、中途退学 者や未就業者への就業意識を高めるために、個人面談を計画的に行っている。 ⑤特別活動・部活動 ア 各顧問の創意・工夫と生徒の自主・自発的な参加による部活動の活性化 継続的に活動している部が4部と少なく、また活動生徒数も少ない。そのため、生 徒の活動を優先していくために体育館を開放して、既存の部活動以外でも活動をし たい生徒には活動できる場を提供し、自主・自発的な参加を促し指導している。 イ 生徒会を中心にした生徒の主体的参加による体育祭・文化祭等の学校行事の活性化 生活指導部が中心となり、生徒会や各委員会を指導し、学校行事の内容や形態の見 直しを検討し、生徒が主体的に活動・運営できるよう意見や考えを吸い上げること で、行事が活性化し、生徒に達成感と満足感が得られた。 ウ 全教員の共通認識のもと、人権を尊重した指導の徹底による体罰等根絶の継続 年2回の服務研修に加え、部活動や授業の中での生徒指導や対応についてアンケー ト調査と聞き取りを行うことで、体罰等の定義や認識を深め、人権を尊重した生徒指 導のあり方を再認識できた。 ⑥個に応じた健全育成(健康づくり) ア 中途退学防止のための教育相談活動及び研修の計画的な実施 生徒指導研修会を2回実施して、SCや養護教諭からの情報をもとに、生徒理解と 情報交換の場として活用し、中途退学の未然防止の検討を行っている。 イ スクールカウンセラー(SC)の周知を図り、相談件数を増やした効果的な活用 入学式後に生徒・保護者に紹介し、新入生はSCとの面談をオリエンテーション期 間に全員実施することで、身近な存在と捉え、活用できるように促した。また、問題 行動等を起こした生徒の保護者に対しては、SCの存在を改めて知らせ、活用の機会 を作った。 ウ 学校保健委員会を活用した心身の健康教育の実施 年2回実施する学校医やSCを交えた学校保健委員会からの情報を活用して、生徒 の健康教育を推進している。 2 エ 特別支援教育の視点も踏まえた個に応じたきめ細かい指導と実施 養護教諭が近隣の特別支援学校の支援相談員と連携・協力を行い、生徒個々への対 応について情報交換を行い、担任のきめ細やかな指導と対応につなげていった。また 生徒指導研修会において、 情報の共有と指導・対応法についての大きな参考となった。 オ 学校給食の喫食率の向上と食育の実施による健康意識の増進 年度当初の4月の喫食率は82%だったが、1月の喫職率は56%と大幅に減って しまった。また学年が上がるほど喫食率の減少が大きいため、喫食率を維持するため の方策や取組みを委員会で検討していくことが必要である。 食育講話では、家庭科教員・栄養士から、「選食力を養いバランスよく食べる」と いう内容で実施し、健康意識を高めた。 ⑦地域との連携 ア 和太鼓部を通じた地域や地元中学校との交流 年5回、地域行事の「ヨルイチ、夏祭り」等で演奏を行った。また、地元中学校の 生徒に演奏指導を1回実施して、交流を行った。 イ 奉仕の授業での地域特別養護老人ホームへの音訳・音読の実施 地域の特別養護老人ホームに、 奉仕の授業で作成した音訳・音読のCDを配布した。 ウ 天体観察会の継続実施による地域への貢献 天文台の地域への有効活用のため、年3回天体観察会を計画し、実施できた。 ⑧募集・広報活動 ア 授業公開を活用した教育活動広報の実施 授業公開週間をホームページで公開し、学校見学等の情報を公開することにより問 い合わせが増え、効果が出ている。 イ ホームページの随時更新の徹底及び学校案内の内容の改善 本校の教育活動や入学選抜など、情報を随時更新してPRに努めた。また学校案内 を一新し、内容の改善と早期の作成に取組んだ。 ウ 外部講師を招いた講演会を開催することによる生徒の啓発 外部講師による講演会を奉仕体験活動で1回実施し、生徒の意識や自己肯定感の向 上に役立てた。 ⑨人材育成(OJTの推進) ア OJT推進指定モデル校として、全日制とも連携した、四人一組の研究授業を拡充 した計画的・組織的なOJTの推進 年間を通して全日制と連携した研究授業に取組むとともに、課程内においても研究 授業を計画的に行い、また若手教員育成のために校務を学ぶための、主任教諭を活用 した計画的・組織的OJTを推進した。 イ 授業を相互に公開し、研究協議を通じての教員同士の資質向上 教員相互による授業研究において、若手教員の授業力向上及び教員相互の授業改 善・工夫の意識を高めるために、研究協議を行い資質向上を図った。 ウ 教職員研修センター等の各種研修への積極的に参加による一層の技量向上 教職員研修センター等の各種研修に、長期研修期間を活用して参加するように広く 促し、参加者個々の専門性を高め、授業力向上や見識を高めることに役立てた。 エ 10年経験者研修、教師道場、新規採用者研修を活用した教員力の向上 各種研修で学んだ知識や授業の工夫・改善等について、教員相互の研究授業で活用 し、学力向上推進研修会で話題に上げ情報提供と意見交換を行うことで、教員力の向 上に役立てた。 3 ⑩学校経営・組織体制等 ア 危機管理体制の見直しやきめ細かい巡回等による学校の安全の維持 不定期な校内及び校外巡回により、問題行動の予防防止と地域からの苦情や要望に 迅速に応え、安全な学校生活を維持した。また学校危機管理計画を作成し、土砂災害 への対応を含め、生徒の生命や安全を守ることにつながった。 イ 全教職員が共通理解のもとに経営企画室を中心とした事務処理の効率化 教員と経営企画室が連携・協力体制を築き、事務処理の一層の効率化、迅速化を図った。 ウ 生徒・保護者等への丁寧な説明による学校との信頼関係の構築 担任や教職員の丁寧な対応・説明により、生徒・保護者との共通理解が図られ、卒業や 進級につながったことで、信頼関係の構築ができた。しかし一部では、教員の度重なる連 絡や対応、説明に納得されずに、進路選択の機会が遅れたことが残念である。 エ 教職員自身の自覚と服務研修の計画的な実施による健全な職場環境の維持 前期・後期の服務研修の実施と服務事故の情報を周知するとともに、服務事故防止年間 計画を作成し、年間をとおして注意・喚起を図った。また、教員の携帯電話の一時紛失は、 一層、教職員の自覚と意識を高めることにつながった。 オ 三修制の校内実施に向けた検討の実施 「高卒認定」の合格実績だけでなく、他の方法を探るために検討委員会を設置し他 校から情報を収集し、検討した。その結果、 「技能審査」の単位認定を取入れることを 決め、制度づくりを行った。 (2)重点目標への取組と自己評価 ①学習指導 ア 授業公開週間年度内3回実施、研究協議会同3回実施 授業公開週間を各学期に1度、年3回実施した。また、校内で取組む授業研究や2 名の教師道場部員、10年経験者研修の研究協議会など年5回程度実施し、授業改善・ 工夫に役立てている。 イ 「生徒による授業評価」を年度内2回実施 授業評価を1・2学期の年2回実施して教員の授業改善と工夫に役立てている。ま た、学校運営連絡協議会においても報告し、提言等を真摯に受止め活用している。 ウ 学力テスト年度内3回実施 学力向上開拓推進事業における、 生徒の学力向上に向けた学力テストを3回実施し、 各教科(英・数・国・理・社)で分析・改善を行うことで、来年度の計画に反映させる。 ②商業教育の充実 ア 検定試験合格率を受験者の85%以上 情報処理検定試験合格率が受験者の68%、簿記検定試験合格率が受験者の69% であった。今後も商業科教員による生徒への受験指導と意欲を高め、補習・補講への 参加者を増やすことで、合格率の向上に努める。 イ 「ヨルイチ」での販売実習及び事業スタッフとして4名以上の参加 地元の祭り「ヨルイチ」に販売実習及び事業スタッフとして7名が参加した。 1・2年生が参加したので、次年度も継続させ、参加者を増加させる。 ③生活指導 ア 生徒退学率を15%以下 在籍生徒数81名に対し、年間で12名の退学者があったため、退学率が14,9% となった。特に1年生と2年生で各4名と高いため、生徒を学校に目を向けさせる指 4 導を工夫し、保護者との連携・協力を一層深めて、組織的に対応していきたい。 イ 部活動参加率50%以上 定期的に活動する部が1部、不定期活動が3部で活動する生徒も少なく、和太鼓部 や軽音楽部、テニス部、ワープロ部の約20%程度の参加率になっている。しかしバ スケットボールについては、興味・関心を持つ生徒も多く、入部はしないが運動をし たいといってくる生徒が増え、施設を開放している。このような生徒を継続的に活動 させていく取組みや工夫をすることで、活性化につなげていければと考える。 ウ 校舎内のゴミゼロ運動の実践 日常的な掃除はなく、大掃除として定期的に年10回程度実施している。全定の関 係もあり、お互い迷惑にならない、かけないように教室・施設を共用している。 ④進路指導の充実 ア 進路決定率80%以上 17名の卒業生のうち、 特別な事情のある生徒1名を除き、 全員の進路が決定した。 ただし、4名の生徒は在学中からのアルバイトを継続し、正社員を目指すとのことで ある。今後は、生徒の目標を見つける進路指導を充実させ、早期から対応・指導する。 イ インターンシップ参加8名以上 保育園に4名の生徒が参加し、 「ヨルイチ」に7名参加したので、昨年の10名から 1名増加した。今後も、地域への貢献を全生徒に広く呼びかけ、参加者を増やす。 ウ 外部講師による講演会を年度内2回実施 外部講師による講演会と職業別講話やデモ型ガイダンスを5回実施した。次年度も 同様に計画し、生徒の意識付けと目標を見つけさせ、進路決定につなげたい。 ⑤個に応じた健全育成 ア 学校保健委員会を年度内2回開催 年2回開催し、生徒の学校生活の実態から学校医やSCから意見やアドバイスをも らい、校内環境や指導に活かし、生徒の健康教育に活かしていく。 イ 心身の健康保健に関する講演会(生徒対象)を年度内1回実施 生徒向けに、教員(講師・栄養士)による食育(健康)講話( 「選食力を養いバラン スよく食べる」 )を1回実施して、健康の維持・増進について話した。 ⑥地域との連携 ア 天体観測会を年度内5回以上実施 外部講師(本校元教諭と非常勤講師)の調整が付つかず目標には達しなかったが、 年3回計画し、実施した。今後も連絡を密に取り、計画的な実施を行う。 イ 和太鼓部の地域での演奏を年度内8回以上実施 部員不足や天候等の影響もあり、地域での演奏は5回であった。今後も、できる限 り地域の要望に応えられるように、和太鼓部を活性化し、演奏を継続する。 ウ 和太鼓部生徒による五日市中学校生徒への指導を年度内1回以上実施 10月2日に和太鼓部生徒が、五日市中学校生徒に演奏指導(生徒35名・教員1 2名)を1回実施し、交流を図った。 ⑦募集・広報活動 ア 学校案内を6月までに完成させ中学校訪問の際に活用 6月までに作成して、市内中学校6校への学校訪問時に配布した。また合同学校説 明会及び、学校見学者等への配布もできた。 イ ホームページを月2回更新し教育活動をPR 年度当初よりホームページの更新を心がけ、行事、部活動、公開講座、天体観察会 5 等の開催や入試関係の情報を月2回、それ以上を目標にPRに取組んだ。 ⑧学校経営・組織体制等 ア 服務事故防止指導の徹底による服務事故の発生件数0件 携帯電話の一時紛失がおきたが、無事に発見され大事には至らなかった。今後も、 服務の厳正に向けた一層の指導・注意・喚起を行い、 「服務事故0」に向けて取組む。 イ 「三修制」の校内実施のための委員会による検討の実施 今までの「高卒認定」の合格実績に、新たに「技能審査」の単位認定を「三修制」 に取入れ、意欲や向上心のある生徒が、三年間で卒業できる手段を広げた。 2 次年度以降の課題と対応策 (1)学習指導の充実 教員の授業力を向上させるため、授業研究の充実、教育研究員の活用、初任者指導の充 実、生徒による授業評価の活用、外部評価アンケートの活用などを行うことで、授業改善・ 工夫に役立てる。また、チャイム着席による授業実施を励行し、生徒の気持ちや意識を授 業に集中させる。さらに生徒の基礎学力向上のために、定期的・効果的な補習・補講の実 施、生徒の進路実現に向けた長期休業中を活用した勉強会などを実施する。 (2)商業教育の充実 各種検定試験の合格率を高めるために、補習・補講を積極的に行い、生徒の意欲と向上 心を高め、成果を出す。 (3)生活指導の充実 中途退学者の減少と問題行動の減少に向けて、保護者との連携を重視し、より一層の丁 寧な対応を行う。また、規範意識の向上と地域貢献、思いやりと迷惑行為をしない「心の 育成」に向けた校内の取組みと指導を一層深める。 (4)進路指導の充実 進路決定に向けて、早期の情報提供と個別指導を行い、目標設定を行わせる。そのため に、 インターンシップによる就業体験を充実させ、 進路決定に向けた計画的な指導を行う。 また中途退学者を含め、たちかわサポートステーションとの連携・協力により、一層の進 路実現を目指す。 (5)特別活動・部活動の活性化 部活動の精選と教員の効果的な指導を実施する。また生徒の興味・関心のある活動をさ せるために施設を開放していくことで、継続的な活動につなげ活性化を目指す。これによ り、活き活きとした学校生活を送ることにつなげ、楽しさを味あわせる。 学校行事等は、生徒の意見や企画力を活かすことで主体性を一層引き出す指導を行う。 (6)新「三修制」の実施 技能審査による単位認定を取入れた、新「三修制」を実施して、生徒の学習意欲を高め、 三修制での卒業生を誕生させる。 (7)地域との連携 地域との連携を一層深めるため、和太鼓、天体観察会、教科奉仕の充実、公開講座、イ ンターンシップなどへの参加を促す。 (8)募集・広報活動の充実 「本校の求める生徒」を獲得するため、中学校訪問や学校説明会を実施する。 また、ホームページの一層の活用と充実を図る。 6
© Copyright 2024 ExpyDoc