第一席 未来のお茶は過去、今があるから 赤坂 真弥

第一席
未来のお茶は過去、今があるから
帯広大谷高等学校三年(北海道)
いた。中には何十年も前に作られたのにもかかわらず、真新しい物
より輝いているものもあった。使えば使うほど味がでるのだという。
何故なのだろうか。最初は理解ができなかった。だが、この後職人
の方の話を聞いて納得した。
「道具の元となる木は私の前の世代、父が木を乾かして、何十年も
おいてやっと使いものになります。父も同じ。その前の世代、祖父
が大切に乾かした木を使って道具を作りました。前の世代がいて今
これを聞いて私は驚いた。話によると環境のことも考えているた
め、材料となる木はたいへん貴重だそうだ。古い道具でも味がでて
赤坂 真
弥
私は、高校に入って初めてお茶の世界に足を踏み入れた。きっか
け は 単純 だ っ た。抹茶 が 好 き だ か ら で あ る。そ ん な 軽 い 気持 ち で
輝いていたのは、前の世代からの職人達の「優しさ」がたくさん詰
の道具となる材料があります」
入ったお茶の世界は思いの他奥が深かった。
使っている道具も職人の「優しさ」が詰まっているのだと。
なお点前、道具、掛軸、お花、すべてのものが魅力的であった。お
頃には軽い気持ちで始めたはずの茶道にすっかりはまっていた。色々
お点前をする機会も増え、他校の生徒との交流も多くなった。その
「茶道」を守り続けるのが私達の使命であるだろう。この誇りを胸に
くさんの人に知ってもらいたい。そしてこれらの日本の誇れる伝統
感謝の気持ちでいっぱいになった。こんなにも素敵な茶道を私はた
私はこんなに茶道というのは「優しさ」で溢れていると知り、心
が温かくなり、本当の茶道を知れた気がした。そしてそれと同時に
まってできていたからなんだと私はこの時思った。そして今、私が
お茶を学び始めた当初、作法やお点前を覚えるので一苦労、余裕
など全くない状態で気付けば一年が過ぎていた。二年生になり、少
茶を習っていた祖母に道具一式もらったぐらいだ。先輩が引退し、
私はこれからも茶道を学んでいくつもりだ。
し余裕ができ、お茶を学ぶ楽しさを感じるようになった頃、人前で
私は副部長となった。私の所属している部活は十勝で一番人数が多
く、指示が通るのだけでも一苦労。部活内でお茶を楽しむ余裕が再
びなくなった。しかしそれとは裏腹に、部活外で茶道に触れる機会
がいくつかあった。私がお茶の世界がこんなにも深かったのだと知っ
たのはその中のある一つのことである。
三年生になって、道具の展示会に行く機会があった。そこでは古
い物から新しい物まで何世代にも渡って作られた道具が展示されて