スライド 1

自尊感情,本来感,人生満足度が包括される総
合的な自己認知と自己肯定感との関係性を明ら
かにする。
調査対象者
調査時期
手続き
(1)自己認知の諸側面測定尺度
山本・松井・山成(1982)10因子,32項目
(社交,優しさ,生き方,まじめさ,スポーツ能力,
経済力,学校,知性,容貌,趣味や特技の10因子/
ただし原版から性に関する因子を除いている)
(2)自尊感情尺度
Rosenberg(1965)1因子,10項目
(山本・松井・山成(1982)邦訳)
(3)本来感尺度
伊藤・小玉(2005)1因子,7項目
(4)人生満足度
Dinner, Emmons(1985)1因子,5項目
(大石(2009)邦訳)
O大学の大学生260名
(女性126名,男性134名)
平均年齢20.00歳(SD=1.50)
2012年7月
大学の講義中に個別記入形式で
実施
自己肯定感
自尊感情
人生満足度
本来感
【自己認知が自己肯定感に及ぼす影響の検討】
自己肯定感が自尊感情,本来感および人生満足度から成ると仮定した。その3尺度から成る自己肯定感の合計
得点を求め,それを従属変数とし,自己認知を独立変数とする重回帰分析を強制投入法で行った。その結果,
男女間において有意な異なる結果が得られ(Table 1, 2),またそれぞれに1%水準で有意な回帰式が得られた(男
性:R2=.60, F(10,123)=20.79,女性:R2=.58,F(10,115)=18.39)。
【自己認知が自己肯定感に及ぼす影響の因果関係の検討】
上記の結果をもとに,男性,女性それぞれに関してAmos14.0を用いてパスモデルの作成を試みたところ,適
合度の高いモデルが得られた(Figure 1, 2)。
重回帰分析
Table1 各独立変数の標準化係数(男性)
β
t
.16
2.34 *
社交
.02
.29
優しさ
.46
6.32 **
生き方
.07
1.13
まじめさ
.07
.99
スポーツ
.06
1.00
経済力
.04
.66
学校
.14
2.03 *
知性
-.03
-.45
容貌
.17
2.49 *
趣味特技
** 1%水準 * 5%水準
Table2 各独立変数の標準化係数(女性)
β
t
.25
3.46 **
社交
.15
2.48 *
優しさ
.36
4.75 **
生き方
-.05
-.81
まじめさ
-.06
-1.02
スポーツ
.12
1.86
経済力
.19
2.81 **
学校
.12
1.56
知性
-.23
-3.46 **
容貌
.27
4.00 **
趣味特技
** 1%水準 * 5%水準
パスモデルの検討
.33**
.13*
.20**
.31**
社交
知性
趣味特技
趣味特技
.27**
2
社交
.22**
.16*
.48**
.20*
.28**
.23**
生き方
優しさ
容貌
3
.28** .39**
.16**
.16*
.19*
学校
.18**
-.18**
2
.39**
.29**
生き方
.42**
.22**
自己肯定感
自己肯定感
1
1
値は標準回帰係数β ,**p <.01,*p <.05
値は標準回帰係数β ,**p <.01,*p <.05
χ2 (1)=.629, GFI=.998, AGFI=.972, CFI=1.000, RMR=.012
χ2 (5)=3.150, GFI=.993, AGFI=.960, CFI=1.000, RMR=.018
Figure 1 男性における自己認知が自己肯定感に及ぼすパス解析
Figure 2 女性における自己認知が自己肯定感に及ぼすパス解析
考
察
自己認知の下位領域が自己肯定感に与える影響には,性差が大きく見られた。自己肯定感において“生き方”およ
び“社交”の重要性が浮き彫りになったが,女子の“容貌”に関しては,山本他(1982)が指摘するように,青年期
の女子の自己認知が,自己の外面的で否定的な機能を重視することを考慮することが必要であることが明らかに
なった。