2011-2020 下諏訪町環境基本計画 第 2 次改訂版 概要版 長野県 下諏訪町 環境基本計画について 環境基本計画改訂の背景 下諏訪町では、平成 14 年に「下諏訪町環境基本計画」を策定しました。 計画策定後、10 年が経過しましたが、諏訪湖の富栄養化や外来種の増加による生態系への影響など、依然として解決すべ き課題が残されています。地球温暖化による大雨や猛暑日の増加、福島第一原子力発電所事故に起因する放射能汚染など の新たな環境問題も顕在化しています。 また、循環型社会形成推進基本法をはじめとする各種リサイクル法などの環境問題に関わる様々な法律が制定され、さらに 京都議定書では温室効果ガス排出量の削減目標が課せられています。 町では、これらの社会的経済状況の変化及びこれに伴う関係法律・制度に対応するとともに、既存の取り組みの検証をふま えた環境施策を総合的に講じていくため、従来の環境基本計画の見直しを行い、下諏訪町環境基本計画を改訂しました。 計画の期間 計画の期間は、平成 23 年度から平成 32 年度までの 10 年間で、5 年後の平成 27 年度に見直しを行います。また、国の 施策や社会情勢の変化、新たな環境問題の発生等、基本計画の見直しの必要性が生じた際にも適宜計画の見直しを行って いきます。 計画の目標 計画の基本目標は図に示す5つで、基本目標ごとに個別の目標を設けています。 計画では、これらの目標を達成するため、各種の施策を講じていきます。また、そのうちのいくつかは重点施策として優先的に取 り組んでいきます。 施策は、住民、事業者、町(行政)の三者が協力して取り組んでいきます。 住民は、ごみの減量や省エネルギーなど、日常生活でできる行動を実践する役割を担っていきます。事業者は、公害の防止 や環境に配慮した製品の製造などを担っていきます。町は、効果的な施策の立案、展開に取り組む役割を担うとともに、率先し て環境保全活動を実践していきます。 冬の八島ヶ原湿原 基 本 目 標 個 別 目 標 八島高原(草原・八島ヶ原高層湿原)、観音沢渓谷などの保全 豊かな自然と人が共 諏訪湖の生態系の保全 生するまち 森林の保全 生態系への継続的配慮 下 廃棄物の減量と適正処理 諏 美しい水辺と豊かな 緑のまち 訪 廃棄物の不法投棄・散乱の防止 諏訪湖及び河川・水路などの汚濁防止 身近な緑の確保 親水化の推進 町 災害の防止 水質汚濁の防止 環 大気汚染・騒音・振動の防止 安全で人にやさしい 地下水・土壌汚染防止 まち 有害物質による汚染の防止 省エネルギー・地球温暖化防止 境 人にやさしいまちづくり 地域の保健・健康指導の充実 基 本 計 歴史的資料の整備と活用 古き歴史・文化と、 都市景観の保護 新しい創造の息吹が 環境保全型産業の育成 調和するまち 都市基盤整備における環境配慮 環境にやさしい農業の推進 画 皆が連携して、優れ た環境を次世代に 伝えるまち 情報・活動拠点整備 住民と事業者、行政と観光客の参画と連携 環境教育の充実 行政自らの取り組み 図-計画の体系 八島高原(草原・八島ヶ原高層湿原)、観音沢渓谷などの保全 八島高原には年間 70 万人を超える観光客が訪れていますが、靴底に付いた種子によって持ち込まれた外来種が分布を拡 大することにより、在来種の生育に影響を及ぼすなどの弊害が生じています。また、ニッコウキスゲなどの高原植物がシカによって食 害されています。 このため、自然観察会の開催やパトロールの実施により八島高原の保全についての理解を求めていくとともに、保全のための散 策道の整備を行っていきます。また、以下の重点施策を進めていきます。 重点施策内容 八島高原のヒメジョオンの除去 乾燥化など湿原環境の変化に 対する対策 主体 目標 年度 H27 (継続) 住民 事業者 行政 ○ ○ ○ H27 ○ (継続) 施策目標 ヒメジョオン除去への参加推進 【除去重量 年間 30kg】 調査結果を踏まえた湿原の適切な保存と管理 を推進する 諏訪湖の生態系の保全 近年、諏訪湖周辺で特定外来生物であるアレチウリが繁茂し、ブラックバスやブルーギル等が繁殖を拡大しています。さらにカ ワアイサやカワウなどが急増しており、在来種の生息・生育に影響を及ぼしています。 このため、これらの駆除等を行っていくほか、多様な生態系を持つ水辺環境の保全と復元を行っていきます。 重点施策内容 諏訪湖のブラックバス、ブルーギル の駆除 年度 H27 (継続) 諏訪湖湖岸のアレチウリの除去 諏訪湖のカワウ、カワアイサの追 い払い 主体 目標 H27 (継続) H27 (継続) 施策目標 住民 事業者 行政 ○ ○ ○ ブラックバス、ブルーギル駆除への参加推進 ○ ○ ○ アレチウリ除去への参加推進 ○ ○ ○ カワウ、カワアイサの追い払いへの参加推進 森林の保全 林業の衰退により、森林は十分な手入れがされず、荒廃が目立つようになりました。きちんと手入れをされていない森林では、 木は十分に根を張れないため、土砂災害を防止できなくなります。 このため、間伐や植栽による森林整備を行っていきます。 重点施策内容 土砂災害防止と水源涵養機能 の強化 主体 目標 年度 H27 (継続) 住民 事業者 行政 ○ ○ ○ 施策目標 民有林の間伐による森林整備 【間伐による整備面積 年間 60ha】 生態系への継続的配慮 アレチウリやブラックバスなど外来種の侵入が在来種の生息・生育に影響を及ぼしており、既存の生態系が危機に瀕していま す。 このため、町の実情に即した生物多様性地域戦略の必要性を検討するほか、住民参加の生物調査の実施などを通じて地 域の生態系に対する住民の理解を得ていきます。 重点施策内容 生物多様性の課題の整理と実 効性のある対策の実施 主体 目標 年度 住民 事業者 H27 施策目標 行政 ○ 生物多様性地域戦略の必要性の検討 廃棄物の減量と適正処理 平成 17 年度より、生ごみの減量化・資源化を目的として、生ごみをリサイクルセンターで堆肥化する、家庭生ごみ減容リサイ クル事業をスタートしています。 今後も、啓発活動などを通じてごみの発生抑制を進めていくとともに、家庭生ごみ減容リサイクル事業を推進していきます。 重点施策内容 生ごみ減容リサイクル事業の推 進 主体 目標 年度 H27 (継続) 住民 事業者 ○ 施策目標 行政 ○ 生ごみ減容リサイクル事業への参加促進 【事業参加世帯数 2,000 世帯】 廃棄物の不法投棄・散乱の防止 ごみが山林等へ不法に投棄され、環境破壊を招いています。 このため、県や町の不法投棄監視連絡員等によりパトロールを行っていくほか、不法投棄の常習地点に啓発用の看板を設置 していきます。 諏訪湖及び河川・水路などの汚濁防止 近年、諏訪湖ではヒシの大量発生により、悪臭や航路障害などの問題が生じています。 このため、ヒシの除去を行ってくとともに、湖岸の清掃や、水路の改修等により、河川の浄化機能の向上と汚濁防止を図ってい きます。 重点施策内容 諏訪湖のヒシの除去 主体 目標 年度 H27 (継続) 住民 事業者 行政 ○ ○ ○ 施策目標 住民、事業者と行政との協働による手作業での 刈り取りの実施 【除去重量 年間 4,000kg】 身近な緑の確保 身近な緑は良好な風致と景観をもたらすだけでなく、大気の浄化や気温の調節などにも役立ちますが、市街地では、散歩し ながら休憩できる場所や木陰が少なく、郊外や中山間地では、高齢化に伴う農業従事者の不足により、耕作されていない農地 や荒れた空地が目立つといった問題を抱えています。 このため、遊休農地を住民に町民菜園として貸し出し、有効利用を図っていきます。また、平成 22 年に策定した「緑の基本 計画」に基づき、身近な緑を確保していきます。 重点施策内容 遊休農地の解消 主体 目標 年度 H27 (継続) 住民 事業者 行政 ○ ○ ○ 施策目標 家庭菜園の活用 【家庭菜園の区画数 300 区画】 親水化の推進 かつては農業用水路に多くの生物が生息し、地域の住民が触れ合うことのできる水と人との繋がりが存在していましたが、その 環境は失われつつあります。 諏訪湖の人工なぎさや湖岸法面の整備を行ってきましたが、今後も、人と水とが触れ合える豊かな自然の水辺空間を創出し ていきます。 災害の防止 町では甚大な被害を及ぼすおそれのある大規模な災害に対処するため、「下諏訪町地域防災計画」を定めています。 災害発生時には早期の対応が求められるため、防災計画の周知徹底を図っていくとともに、災害に強いまちづくりを行っていき ます。 重点施策内容 下諏訪町地域防災計画の周知 徹底 主体 目標 年度 H27 (継続) 住民 事業者 行政 ○ ○ ○ 施策目標 災害発生時における初動対応の確認 水質汚濁の防止 諏訪湖の水質は改善の傾向にありますが、水質汚濁の指標となる化学的酸素要求量(COD)が依然として環境基準を 超過しており、水質のさらなる改善が必要です。 このため、山林、農地や市街地からの汚濁負荷対策を進めるとともに、以下の施策を重点的に進めていきます。 重点施策内容 諏訪湖の水質浄化 夏季に底層に出現する貧酸素 水塊の解消 主体 目標 年度 H27 (継続) H25 住民 事業者 行政 ○ ○ ○ ○ 施策目標 ヒシの堆肥化と堆肥化した肥料の利用促進 諏訪湖貧酸素対策検討会議の方針による実 行計画の策定 大気汚染・騒音・振動の防止 町では、町屋敷において大気汚染の測定を行っています。また、国道 142 号、国道 20 号と県道岡谷下諏訪線で騒音・振 動の測定を行っています。 今後も、これらの監視・測定を行っていくとともに、街路樹の整備など沿道環境対策を実施していきます。 地下水・土壌汚染防止 地下水の汚染はゆっくりと私たちや次世代の健康に影響を及ぼすため、井戸水の水質検査をはじめ、土壌や地下水の汚染 に目を配っていきます。 有害物質による汚染の防止 ダイオキシン類や環境ホルモンなどの化学物質による人の健康や環境への影響が懸念されているため、今後も、清掃センター など関係施設の監視を行っていきます。 また、東日本大震災に続く福島第一原子力発電所の事故で大量の放射性物質が外部に漏れ出したため、町では学校・保 育園及び公共施設など定期測定をしていますが、今後、関係機関との連携を図りながら、放射性物質の常時監視体制を構築 していくとともに、情報を共有し、万一の時に素早い対応が可能な体制を確立していきます。 重点施策内容 放射性汚染の現状把握 主体 実施 時期 住民 事業者 H24 施策目標 行政 ○ 放射性物質の常時監視体制の構築 省エネルギー・地球温暖化防止 町では平成 21 年に「下諏訪町地球温暖化防止計画」を策定し、行政としての事務及び事業の遂行に伴う温室効果ガス 排出量の削減目標を、平成 25 年度までに、平成 19 年度比で 6%以上削減することとしています。 今後も地球温暖化対策を推進するとともに、以下の施策を重点的に進めていきます。 重点施策内容 主体 目標 年度 住民 事業者 H27 自然エネルギーの利用促進 森林による二酸化炭素の吸収 省エネルギー製品の利用促進 ○ (継続) H27 (継続) H27 (継続) 行政 ○ ○ ○ ○ ○ ○ H27 (継続) ○ 施策目標 太陽光発電システム設置の補助 【設置件数 40 件】 森林整備と連携し、バイオマスエネルギーとしての 間伐材の利活用検討(ペレットなどに加工) 民有林の間伐による森林整備 【間伐による整備面積 年間 60ha】 省エネルギー製品設置の補助 【設置件数 230 件】 人にやさしいまちづくり 交通事故のない安全で快適な生活を維持するため、今後も、防護柵、カーブミラー等の設置や道路の区画線の引き直しなど を計画的に行っていきます。また、交通手段を持たない高齢者や児童などの生活の足として、循環バスを運行していますが、より 効率的・効果的な公共交通機関の構築を検討していきます。 地域の保健・健康指導の充実 全ての住民が健康でいきいきと暮らせるよう、対面指導による地域の健康指導等の充実を図っていきます。 歴史的資料の整備と活用 町には、歴史的、文化的遺産が多数存在しています。これらを体験する場や機会の提供により、下諏訪の歴史、文化に対す る住民の愛着を深め、次世代に継承していきます。 都市景観の保護 町では、良好な景観を守り、育んでいくため、景観計画に沿った良好な景観づくりを推進していきます。 重点施策内容 良好な景観の保全と創出 主体 目標 年度 住民 事業者 行政 H27 ○ ○ ○ 施策目標 景観計画の推進 環境保全型産業育成 近年の地球温暖化、資源・廃棄物の問題などの環境問題を背景に、環境と経済の両立が求められています。 このため、環境マネジメントシステムの導入援助などにより、企業の自主的な環境経営を促進します。 都市基盤整備における環境配慮 町では、医療、福祉、教育、防災などの様々な角度から、都市基盤の整備を行っています。今後も、リサイクル資材の利用な どで、基盤整備における環境に対する負荷の低減を図っていきます。 環境にやさしい農業の推進 農薬散布と施肥の適正化に向けた指導と啓発等により、環境負荷の軽減に配慮した農業を推進していきます。 情報・活動拠点の整備 環境に関する情報の収集・蓄積を行うとともに、わかりやすい形での提供を行っていきます。また、情報の拠点を整備していきま す。 住民と事業者、行政と観光客の参画と連携 良好な環境づくりには市民・事業者・行政が協働し、関係機関と連携し、効率的に進めていくことが必要不可欠であり、町を 訪れる観光客に対しても主体者としての意識を共有してもらえるよう働きかけていきます。 環境教育の充実 環境問題を解決していくためには、一人ひとりが環境の素晴らしさ、大切さなどを認識して、そして行動していくことが必要です。 このため、学校における環境教育の推進を図るとともに、生涯学習としての環境教育を推進していきます。 行政自らの取り組み 行政は、住民や事業者の模範となるよう、公共事業や物品の購入、公共施設でのエネルギー利用など、環境に配慮した行 動を実践していきます。
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