第14章 生活衛生環境の確保 - 香川県

第 14 章
生活衛生環境の確保
第1節
食の安全性確保
食品の製造加工技術や流通技術の進歩、さらには輸入食品の増加などにより、多種多様な食品が出現
し、食生活はますます豊かになっている。一方、伝達性海綿状脳症(TSE)、輸入冷凍食品への農薬残留
や産地の偽装表示など、食品に対する消費者の信頼を揺るがすような事態が後を絶たない状況にある。
このため、県民の食の安全・安心への関心が高まっている。
1.食品等の安全確保
食の安全・安心の確保は、県民の生活にとって重要課題であるため、「香川県食の安全・安心基本
指針」を策定し、「食品衛生監視指導計画」、「農林水産物の安全・安心確保計画」及び「消費者の食
の安全安心推進計画」を定め、生産から消費までの総合的な施策を推進している。
背
景
BSE(牛海綿状脳症)
鳥インフルエンザ
輸入食品の残留農薬
未指定食品添加物
食中毒(O157 等)
無登録農薬の使用
偽装表示
痩身用健康食品
ダイオキシン類
策
定
○「香川県食の安全・安心基本指針」
公表
・ 食品衛生監視指導計画
・ 農林水産物の
農林水産物の安全・
安全・安心確保計画
(香川県 HP)
HP)
・ 消費者の
消費者の食の安全・
安全・安心推進計画
意見
提言
食の安全推進
安全推進懇談会
推進懇談会
消費者、生産者、製造・加
工者、流通業界、学識者
の 5 分野 15 名で構成
食品安全連絡会議
幹事会
食品表示部会
食品表示指導推進委員会
消費者、生産者、製造・加工者、
流通業界、学識者の 5 分野
12 名で構成
(根拠:食品安全基本法 第7条)
2.食品による衛生上の被害を防ぐために
(1) 食品の監視指導等
飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止するため、「食品衛生法に基づく公衆衛生上必要な基
準に関する条例」に基づき食品営業許可事務を行うとともに、食品衛生監視員による監視指導を行
っている。
また、食品衛生監視指導計画に基づき「夏期食品等一斉取締り」、
「年末食品等一斉取締り」など
を設定し計画的に実施するとともに、監視指導の強化を目的として東讃保健所や中讃保健所に設置
している「食品衛生監視機動班」や、食品加工技術の進歩、製造工程の複雑化に対応することなど
- 171 -
を目的として生活衛生課に設置している「食品衛生専門監視指導班」を有効に活用してその充実に
努めている。
さらに、監視時に食品等を収去し、中讃保健所や環境保健研究センターで食品添加物や残留農薬
などの検査を実施し、当該食品の安全性を確認するとともに、食品添加物の使用実態を調査し、適
正使用や表示方法等について営業者に情報の提供を行い、指導を徹底している。
(
)
10
6
0
16
1.09
0.82
0
0.92
1
3
0
4
3
0
0
3
0
0
0
0
0
0
0
0
サ ル モネ ラ
属菌
抗菌 性 物質
0
0
0
0
基準
残 留農 薬
7
3
0
10
一般細 菌 数
異物
12
6
0
18
使 用基 準
添加 物
大 腸菌 群
不良理由(延数)
総計
不良 理由
921
728
84
1733
分
不良 率 %
保
健
所
環境保健研究センター
食肉衛生検査所
香 川 県 ( 計 )
区
不良 検体 数
試験機関
収 去検体 数
試験 した
食品(乳以外)等の収去検査の実施状況(平成 22 年度)
1
0
0
1
資料:県生活衛生課調べ(高松市を除く)(暫定的基準値の定められているものの収去検体数を含まない。)
(2) 食品関係営業者の資質の向上
食品等の安全性の確保をさらに推進するためには、食品関係営業者の資質の向上を図るとと
もに、自主管理体制の確立を促進することが不可欠であるため、(社)香川県食品衛生協会に委
託して、「食品衛生責任者養成講習会及び食品衛生責任者実務講習会」の開催、食品衛生指導員
の巡回指導による「食品関係営業者の自主管理体制指導」などの事業を行っている。
(3) 食品衛生知識の普及啓発
消費者に正しい食品衛生知識の情報提供やその活用のため、「目で見る食中毒発生状況」やリ
ーフレットなどの啓発資料を作成し講習会などで活用している。特に、
「食品衛生月間」
(8 月)
においては、一日食品衛生監視員の委嘱のほかパネル展示や、広報誌や広報番組などを通じて、
積極的にその普及啓発に努めている。
(4) 食中毒対策
平成 22 年には食中毒が 17 件発生したが、
ノロウイルスによる食中毒が最も多い5件を占めた。
ノロウイルスの発生防止対策として、旅館、仕出し、弁当店などの飲食店や学校、社会福祉施設
などの集団給食施設を中心に重点監視を行うとともに、チラシの配布やノロウイルス情報の提供
による注意喚起を行っている。また、近年、発生件数の多いカンピロバクター食中毒防止対策と
して、飲食店や食肉販売店に対する監視指導を実施、サルモネラ属菌に対しては、卵選別包装施
設(GPセンター)や液卵製造施設の卵や液卵の検査を行うほか、消費者に適切な指導助言を行
うなど、原因菌別の食中毒防止対策を推進している。
また、夏期を中心に、食中毒防止のため、食中毒の多発が予想される気象条件となった場合に
は「食中毒警報」を発令し、食品関係営業者や消費者に注意を促している。
- 172 -
過去 5 年間(平成 18~22 年)の
食中毒発生件数及び食中毒警報発令回数
病因物質別食中毒発生状況
件数
(件)
1
4
4
1
13
23
1
0
0
1
4
16
68
病因物質
病 原微生物
腸炎ビブリオ
サルモネラ属菌
ブドウ球菌
病原大腸菌
カンピロバクター
ノロウイルス
その他
2 種以上
化学物質
動物性自然毒
植物性自然毒
不
明
合
計
の推移
患者数 死者数
(人)
(人)
0
0
880
0
98
0
1
0
125
0
1033
0
9
0
0
0
0
0
2
0
9
0
181
0
2342
0
年
H18
H19
H20
H21
H22
食中毒件数
食中毒患者数
警報発令回数
10
313
3
8
441
4
13
159
4
20
273
4
17
1156
7
資料:県生活衛生課調べ
資料:県生活衛生課調べ
3.輸入食品衛生対策
国民の食生活の多様化、食品の国際流通の進展等に伴い、食品の輸入件数及び輸入量は大幅に増
加し、わが国の食糧自給率を食糧供給熱量(カロリーベース)で見るとその 60%を海外に依存して
いる。県内においても多種多量の輸入食品が流通しており、輸入食品の安全確保が不可欠となって
いる。
国においては、輸入時における監視指導体制の充実強化と輸出国における安全確保対策等を講じ
ているが、県も国と緊密な連携をとり輸入食品衛生対策を実施している。
(1) 輸入食品監視事業
県内の食品輸入業者をリストアップし、取り扱う食品の種類、数量、流通状況を調査すると
ともに、輸入食品の流通拠点である卸売市場、冷凍食品製造業及びそうざい製造業等の輸入食
品を製造原料等として利用する施設、小売販売店等に立入り、施設の管理状況、食品の保管状
況及び食品の表示事項等について監視指導を行っている。
業種別監視実績(平成 22 年度)
監視 実 績
対 象 施 設 数
食品衛生専門監視指導班
保
健
合
所
計
資料:県生活衛生課調べ
輸入業者
冷凍食品
製 造 業
29
163
367
15
1198
1772
1
50
76
3
26
156
14
164
299
13
1204
1694
15
214
375
16
1230
1850
(高松市を除く)
- 173 -
そうざい
製 造 業
卸売市場
食品卸売業
小売店等
合
計
輸入食品
世界の産地
・自主検査
貨物の到着
の推進
・輸入の都度
・「食品等輸入届出
食品等輸入届出」
輸入届出」
・審査(
審査(検査等)
検査等)
検疫所 全国31箇所
・残留農薬、食品添加
物微生物の検査等
卸売市場
・流通時の温度 管理
(保存温度、衛生的
な取扱い等)の徹底
・適正表示の監視
・微生物汚染の防止の
徹底
食品販売業
(量販店等)
・食品等の事業者によ
る原材料受け入れ
時検査の実施等に
よる原材料の安全
性確保の徹底など
飲食店、食品製造業
者等食品等事業者
消 費 者
監視内容の報告
意見の表明
県
(2) 輸入食品検査事業
農産物中の残留農薬、冷凍食品や清涼飲料水等の成分規格、瓶詰・缶詰食品、菓子、佃煮、
製造原料等の食品添加物や病原微生物など、平成 22 年度においては、463 検体について検査を
実施した。
- 174 -
年度別輸入食品の検査の概要(平成 18 年度~平成 22 年度)
区分
検体数
検査数
18
19
20
549
568
513
6,432
9,797
11,124
理化学
検 査
5,666
9,124
10,582
21
482
16,458
15,920
22
463
15,599
15,082
年度
微生物学
検
査
687
598
536
その他
違反件数
79
75
6
0
0
1
500
38
0
486
31
0
資料:県生活衛生課調べ(高松市を除く)
(3) 輸入食品情報普及事業
「食の安心・安全」のホームページに輸入食品検査情報を掲載するとともに、厚生労働省など
のホームページにリンクにより広報啓発を行っている。
4.乳肉衛生対策の推進
食生活の変化に伴って食肉の需要が高まり、より安全で衛生的な食肉を市場に流通させる必要があ
る。TSE対策として、食肉処理されるすべての牛、めん羊及び山羊について、TSE検査を実施し
ている。さらに、より一層の食肉の安全確保を推進するため、と畜検査員の技術の向上と精密検査体
制の強化を図るとともに、と畜場の監視指導やと畜場関係者の衛生指導等を行っている。
と畜検査頭数の動向
区分
年度
牛
子牛
馬
豚
めん羊・山羊
合
計
18
8,296
41
-
157,783
-
166,120
19
9,352
40
-
164,588
-
173,980
20
8,806
30
-
159,174
-
168,010
21
8,796
12
-
163,049
-
171,857
22
9,081
12
-
161,223
-
170,316
資料:県生活衛生課調べ
(高松市を除く)
なお、食鳥肉の需要が食肉全体の 35%に達しており、食鳥検査事業を実施している(財)香川県食
鳥衛生検査センターへの助成や、食鳥処理場の監視指導等を行っている。
また、市場に流通している乳肉や魚介類、それらの加工食品の収去検査や営業施設等の監視指導等
を行っている。
魚介類行商については、平成 15 年度に「香川県魚介類行商に関する条例」を全部改正し、魚介類
行商者に対して新しく登録制を導入したほか、遵守事項を整備した。平成 15 年 10 月 1 日の施行から
は新制度による衛生面の向上を図るとともに、魚介類行商の監視指導を行っている。
ふぐ処理施設及び処理者については、平成 16 年 3 月に「香川県ふぐの処理等に関する条例」を全部
改正して公布し、10 月 1 日から施行している。この改正により、処理者の資格を免許制とし、毎年 1
回ふぐ処理師試験を実施し、食品として販売の用に供するふぐの安全をより確実なものとするととも
に、ふぐ処理業を登録制にすることで事態把握と情報提供が確実なものとなっている。また、リーフ
レットの配布、広報番組等を通じて自己調理の注意喚起を行うとともに、ナシフグについても、流通
状況や処理済みのナシフグの安全確認とその取扱いについて、監視指導を行っている。
- 175 -
【TSE検査】
香川県では、平成 13 年 10 月から、と畜場に搬入される全ての牛に対し、また、めん羊及
び山羊についても平成 17 年 10 月から香川県食肉衛生検査所(坂出市)と高松市食肉衛生検査
所において、TSE検査を実施している。
①
食肉衛生検査所での検査
食肉衛生検査所での検査はスクリーニング検査で、全ての牛、めん羊及び山羊の中から
TSEの可能性がある牛、めん羊及び山羊を選別するための一次検査で、エライザ法とい
われる感度の高い検査方法を用いて実施している。
②
エライザ法の特徴
エライザ法は感度が高いため、陰性のものまで陽性の反応を示す場合がある。しかし、
反対に陽性のものを間違って陰性と判断することはなく、スクリーニング検査(選別のため
の検査)には最適な方法である。このような特徴から国が実施する確認検査も必要になる。
TSE検査の流れ
(
は週ごとに県のホームペ
いずれも陰性
陰
いずれかが陽性
陽性の場合
香川県内におけるTSEスクリーニング検査頭数
期
間
平成 16 年度
平成 17 年度
香
川
県
8,020
8,557(内めん羊 2)
高
松
11,165
10,225
平成 18 年度
8,337
10,410
平成 19 年度
9,392
11,282
平成 20 年度
8,835
11,874
平成 21 年度
8,808
11,916
平成 22 年度
9,093
11,374
資料:県生活衛生課調べ
- 176 -
TSE
市
性
③ 確定 診 断
ージで公表している。
:
※スクリーニング検査の結果
B 組織学 的 検 査
性
(
ウ エスタ ンブ ロット法)
陰
A 免 疫生 化学 的 検査
TSE
確 認検査
② 国 の検査機 関 で行 う
エライザ 法 によ る検査
)
① 県が行 う スクリー ニング 検査
陰性の場合
:
③
第2節
生活衛生対策の推進
平成 22 年度末の県内生活衛生関係営業の施設数は、約 3 万施設(食品関係営業が約 8 割)で県内経
済にも大きな位置を占めているが、中小零細業者が多いことから、経営が不安定になりやすく、その
結果衛生水準が低下することを防ぐため、環境衛生監視員等によるこれらの関係衛生施設の監視指導
の実施により、利用者の健康を守る必要がある。
また、近年の所得の向上、高齢化、国際化、女性の社会進出等の社会経済状況の変化や、消費者の
ニーズの変化に対応するため、経営の近代化、創意工夫と個性を生かす政策への転換、後継者の確保、
専門技術者の養成などが課題となっている。このため、経営の合理化、近代化を図るための様々な助
言指導を行っている(財)香川県生活衛生営業指導センターや生活衛生同業組合を支援している。
1.生活衛生関係営業等の衛生水準の維持向上
(1) 生活衛生関係営業の監視指導等
日常生活に極めて密着したサービスを提供する生活衛生関係の営業については、その施設の良
否が衛生上極めて重要であることから、理容・美容業、クリーニング業、公衆浴場業等の新規営
業については、関係法令に基づき、施設の開設確認検査、営業許可審査を実施するほか、既存の
施設には衛生措置基準の遵守、施設の改善向上等について監視指導を行い、衛生水準の維持向上
を図り、県民の健康被害の未然防止に努めている。また、資格を必要とするクリーニング師試験
を実施している。
施設等の監視状況(平成 22 年度)
項 目
施設数
件
監視件数 件
監視率
%
理容所
1,244
39
3.1
美容所
2,305
121
5.2
クリーニング所
1,871
135
7.2
興行場
48
14
29.2
旅館業
688
364
52.9
公衆浴場業
247
140
56.7
資料:県生活衛生課調べ
(2) 特定建築物の監視指導等
多数の者が使用又は利用する特定建築物(床面積 3,000 ㎡以上の興行場、百貨店、店舗、事務所、
8,000 ㎡以上の学校等)については、これらの建物内にいる人々の健康の確保を図るため、生活
衛生上良好な状態が維持されるよう監視指導を実施するとともに、これらの施設を管理する建
築物環境衛生管理技術者の登録を進めている。
建築物の監視状況(平成 22 年度)
項 目
特定建築物
施設数
336 件
監視件数
65 件
監視率
19.3%
新規届出
11 件
資料:県生活衛生課調べ
2.生活衛生営業関係団体の指導育成
生活衛生関係営業は県民の日常生活に密着した 10 業種(理容、美容、クリーニング、興行場、公
衆浴場、旅館、飲食店、食肉販売、喫茶店、氷雪販売業)であるが、各営業者の健全な経営と良好
な衛生水準の向上を図り、県民の福祉を向上させる観点から営業の合理化、近代化のため(財)香川
県生活衛生営業指導センターを通じて指導育成に努めている。
- 177 -
3.生活環境の改善・美化の推進
(1) 衛生害虫防除指導事業
ねずみ・衛生害虫等の駆除について市町が受けた苦情、相談に対し、保健所から技術的指導、
助言を与え、感染症を予防し不快害虫の防止に努めている。
(2) プール・海水浴場水質指導事業
遊泳用プール(学校を除く。)の衛生基準を遵守するよう保健所を通じて指導啓発している。
また、遊泳者の健康を守るため、海水浴場の水質調査を実施、公表している。
4.公衆浴場の維持対策の推進
一般公衆浴場は浴室のない家庭の日常生活に必要不可欠な施設であり、入浴料金は物価統制令に
より統制されているが、入浴客の減少等により転廃業が続いている。
このため、転廃業を防止し、地域住民の保健衛生の維持増進を図るとともに、地域コミュニティ
の場として活用できるようにするために、営業者が風呂釜、浴室、教養娯楽室等を新設・更新する
場合の補助や、(株)日本政策金融公庫から借入れた資金の利子補給を行っている。
一般公衆浴場の施設数
項 目
施設数
平 13
47
平 14
43
平 15
46
平 16
42
平 17
41
平 18
41
平 19
40
平 20
35
平 21
32
平 22
28
資料:県生活衛生課調べ
5.入浴施設のレジオネラ症防止対策
近年、国内各地の入浴施設において、レジオネラ菌による集団感染事故が発生していることから、
入浴施設の安全性に対する社会的関心が高まっている。
このため、平成 15 年 3 月には公衆浴場や旅館に係る条例に、レジオネラ症防止対策のための構
造設備の基準や衛生管理の基準を盛り込む一部改正を行い、施行後は各営業者に対し条例を遵守す
るよう立入指導を行っている。
6.狂犬病予防事業
昭和 25 年の狂犬病予防法施行以来、犬の登録、狂犬病予防注射の実施、野犬対策等によって、我
が国では昭和 32 年以後、狂犬病の発生は見られなくなった。
しかし、我が国を取り巻く諸外国では、今なお狂犬病の発生が後を絶たず、貿易の増大とともに狂
犬病発生地から本病が侵入する恐れがあるので、今後とも更に各市町と協力し、犬の登録や予防注射
の実施、野犬減少施策の強化を続ける必要がある。
このような状況のもと、各市町が実施する犬の登録、狂犬病予防注射に協力し、ラジオ・チラシ等
による啓発に努めている。また、野犬等による苦情は、捕獲依頼、放し飼い、農作物被害など年間約
2,500 件寄せられている。このため、各保健所では野犬による危害の発生を防止するため、市町と連
携し、県民の協力を得ながら野犬の減少対策に努めている。
7.動物の愛護及び管理に関する事業
飼養動物の遺棄や動物虐待などの事象が発生している中で、一層の動物愛護と適正な飼養について
関心と理解を深めることが必要である。このような状況下において、「動物の保護及び管理に関する
法律の一部を改正する法律」が施行され、新たに動物取扱業が届出制から登録制(19 年 5 月 31 日完
全移行)となり、施設の監視指導を行っている。
- 178 -
県内の動物取扱業届出状況
動物取扱業 登 録 総 数
登 録 数
360
業
販売
235
保管
92
種
別 内
貸出し
6
(平成 23 年 3 月 31 日現在)
訳
訓練
13
展示
14
資料:県生活衛生課調べ(高松市を除く)
法律施行に伴い、平成 18 年 6 月 1 日「香川県動物の愛護及び管理に関する条例」が施行され、平
成 20 年には「香川県動物愛護管理推進計画」を策定し、各種施策を実施しており、この条例や計
画の趣旨を広く県民に知らせるために、「犬のしつけ教室」、「動物愛護フェスティバル」の開催や
ポスター、パンフレットの作成配布など動物愛護の普及・啓発を行っている。
また、
「香川県動物愛護推進員」を委嘱し、地域の動物の愛護及び動物の適正飼養の普及啓発のた
めの活動を行っている。
TOPIC5
動物由来感染症を
動物由来感染症を知ってますか
ってますか?
ますか?
「動物由来感染症」とは動物から人に感染す
る病気の総称です。人と動物に共通する感染症
として「人畜共通感染症」とか「ズーノーシス」
という言葉もありますが、人の健康問題という
視点に立って、
「動物由来感染症」という言葉が
使われています。「動物由来感染症」には、人も
動物も重症になるもの、動物は無症状で人が重
症になるもの、その逆で人は軽症でも動物は重
症になる病気など、病原体によってさまざまな
ものがあります。
現在、人間社会の変化と人間の行動の多様化により、これまで未知であった感染症が明らかに
なったり、忘れられていた感染症がその勢いを取り戻しています。
動物由来感染症は、確認されているものだけでも 150 種類以上あります。例えば、ペット動物と
の関係の深いものでは狂犬病、オウム病、野兎病など、野生動物と関係の深いのはペスト、ウエス
トナイル熱など、家畜の関わりがあるのはO157、アニサキス症、伝達性海綿状脳症(TSE)な
どがあります。
動物と動物由来感染症に対する正しい知識を持ち、ペット動物とは節度のあるふれあいで接し、
日常からペットと飼い主の健康管理に注意することが必要です。また、野生動物の飼育は避けまし
ょう。
- 179 -
第 3 節 温泉行政
1
温泉の現状
温泉は、人々の保健休養に貢献し、また、観光の観点からも重要な役割を果たしているが、近年、健
康志向の高まりの中で、温泉への関心が非常に高くなっており、保養目的のみならずリハビリ、レクリエ
ーション、高齢者福祉施設等での活用が高まるなど、利用形態が多岐にわたるとともに、その数も増加
し、平成 23年3月末現在においては、県内の源泉数は193源泉、そのうち96源泉が136の浴場施設
において利用されている。
このような中、平成 16 年度に他県の温泉利用施設において、表示なく温泉に入浴剤等を使用する
事例が明らかになるなど、温泉の表示に関する問題が表面化したことにより、平成 17 年 5 月 24 日から、
温泉利用許可施設において、既に掲示している温泉の源泉名、泉質、禁忌症や利用上の注意事項等
に加え、加水、加温、循環装置の使用、入浴剤添加、消毒処理など温泉成分に影響を与える行為を
行っている場合は、その旨とその理由の掲示が義務付けられた。
また、平成 19 年 4 月 25 日に改正された温泉法では、衛生上の観点や温泉利用者の温泉への信頼
の確保の観点から、温泉利用事業者に対して温泉成分の定期的な分析(10 年ごと)と、その結果に基
づく掲示内容の更新が義務づけられた。
さらに、平成 19 年 6 月に東京都渋谷区の温泉施設で起きた爆発事故を機に、同年 11 月 30 日に法
律が改正され、これまでの目的である「温泉の保護」「利用の適正」に加え、「温泉の掘削や採取に伴い
発生する可燃性天然ガスによる災害の防止」が新たに目的に追加された。それに伴い、温泉の掘削及
び採取に係る災害の防止に関する技術上の基準などが定められ、温泉採取業の許可制度が新設され
た。
こうしたことから、県においては、温泉の保護、その利用の適正化及び可燃性天然ガスによる災害の
防止を図るため、次の各種取り組みを行っている。
2
温泉の保護・利用の適正化・可燃性天然ガス安全対策に関する取り組み
(1) 香川県環境審議会温泉部会の開催
温泉掘削及び動力装置の許可処分については、香川県環境審議会温泉部会へ諮問し、専門的
知識者等の意見をもとに、処分の決定を行い、温泉保護の観点から許可の適正化を図る。
(2) 温泉掲示の適正化
保健所の温泉監視員が温泉利用施設への立入調査等を行い、泉質や禁忌症ほか入浴に必要な
情報の掲示について監視を行い、適正な掲示の指導を行う。
(3) 定期的な温泉成分分析の実施
温泉利用施設に対し、10年毎の温泉成分の分析及びそれに基づく掲示の更新について周知・履
行の徹底を図り、温泉利用者への適正な情報の提供に努める。
(4) 可燃性天然ガスによる災害防止対策
温泉を掘削及び採取する事業者に対し、技術基準に基づく可燃性天然ガスによる災害防止対策
の徹底やメタン濃度の測定等を実施させることにより、利用者等の安全の確保を図る。
(5) 適正利用の普及啓発
県内温泉施設の温泉名や泉質等を記載した「香川の温泉湯めぐりマップ」を作成し、温泉の適正
な利用等の推進について普及啓発を行う。
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