2015年度経営計画の策定にあたって

2015年度
経 営 計画
2015年度経営計画の策定にあたって
今年度は新中期経営構想「Next Stage-新たな可能性へ-」の策定から3年目の年となります。
これまで提示してきた「主な施策」の達成に向けて仕上げの年であり、次の新たな施策について準備
を始める年でもあります。 昨年度は、過去最高の売上高となった2013年度に次ぐ高い水準の売上高となりました。JR東日
本の耐震補強の推進、こ線道路橋点検の増加、渋谷駅改良等プロジェクト関連業務、構造物等調査業
務やJR東日本アプリをはじめとしたICT関連業務の進展など多くの成果を挙げました。
また、北陸新幹線金沢開業や上野東京ラインが開業し、これまで多くの皆さまが携わった鉄道関係
の仕事の重要性、地域社会へのインパクトの大きさを社員一人ひとりが実感できたのではないでしょ
うか。
一方で、最近大きな設計ミスが発見されました。設計成果物に間違いがあれば関係者に多大なご迷惑
をお掛けすることはもちろんのこと、当社の信用も信頼も吹き飛び、責任も求められます。設計や測量は、
これに基づき構造物が造られ鉄道が運行されるため、まさに安全と直結しており間違いは許されません。
現場第一線の安全は最も重要ですが、成果物のミス根絶は、同様に重要です。各自が自らの成果物の
チェック・照査を確実に行うとともに、ミス根絶に向けて会社を挙げて取り組みましょう。
今年度は、依然として高水準の業務量となる見込みであり、事業計画ベースでは過去最高となる
178億円の売上高を目標としています。
こ線道路橋点検業務、中央快速線グリーン車導入等輸送改善プロジェクトが本格化するほか、羽田
空港アクセス線計画や品川車両基地跡地開発など未来に向けたプロジェクトへの対応が具体的に動き
始めています。さらに、GPS列警の導入といったJR東日本の安全面を支える分野にも裾野を広げて
おり、益々、“鉄道技術の総合コンサルタント” としての責任は大きくなり、より一層高い品質が求め
られます。 オープンイノベーションで最新の技術を広く求め、鉄道の業務を効率性とコスト面から見直すこと
でJR東日本の発展に寄与することも当社の大きな役割です。防災業務やメンテナンス業務、車両設
備など業務革新を積極的に展開しなければならない分野も多くあります。エネルギーや緑化事業の分
野においても技術革新に挑戦し、技術で伸びる会社を目指していかなければなりません。
今年度も多忙な1年になりますが、JR東日本を技術で支える集団として、一人ひとりが高い目標を
掲げ、その達成に向かってチャレンジしていきましょう。
「小さいけれど、元気のある、おもしろい、強い会社」から
「燃える会社」を目指し、新たな可能性へ挑戦し続けていきましょう!
<参考>中期経営構想と経営計画の関係
2013
2014
2015
2016
2017
2018
中期経営構想
2つの使命と6つの基本的な方向性、重点実施項目
3年間の施策目標(主な施策)
3年間の施策目標(主な施策)
次期3ヵ年施策
の検討開始
経営計画
2013年度の
施策目標
2014年度の
施策目標
2015年度の
施策目標
1
中期経営構想の主な施策と2015年度の取組み
変わらぬ使命
Ⅰ 究極の安全に向けて 〜災害に強い鉄道づくりに貢献していくために〜
(1)大規模地震への対応
◇期限を見据えた首都圏耐震補強等の確実な推進
耐震補強設計・施工法における積極的な技術提案・コストダウン提案
耐震補強プロジェクトの確実な実施
高架下利用箇所施工合意取得のための協議の着実な実施
盛土耐震補強
◇大規模地震発生に備えた支援体制の構築
大規模地震発生を想定した平時からの取組み(技術支援体制の整備、訓練の実施)
(2)自然災害・構造物の経年劣化等への対応
◇自然災害への積極的な対応
自然災害(雨、風、雪等)の低減に資する対策・技術開発の推進
ヘリ航空写真、衛星画像による被災状況の早期把握と復旧に向けた取組み
ヘリによる空撮(田沢湖線)
◇土木構造物の経年劣化により発生する諸問題への対応
こ線道路橋等の調査点検業務の着実な実施
土木構造物のアセットマネジメントへの取組み(メンテナンスシナリオの作成等)
新幹線大規模改修計画策定の取組み
最新計測機器を活用した検査・診断の推進
(3)安全を守る仕組み・体制の充実
◇三現主義に基づく安全の徹底
安全性向上に向けた具体的な取組み計画の定着
協力会社との連携を強化した安全推進の取組み
こ線道路橋点検
◇安全性・施工性の追求
安全性・施工性を考慮した設計成果品の品質向上
◇安全を担う人材育成のための教育・指導の充実
人材育成(安全)プランを活用した、自ら考え・行動できる人づくり
工事管理者等スペシャリストの育成
安全研修
◇JR東日本の安全に資する取組み
ホームドア第二期整備の確実な実施と更なるコストダウンの検討、工期短縮の提案
ICT技術を活用した安全システム構築に向けた開発と導入
(GPS列車接近警報装置、多線区用列車接近警報装置、津波避難ナビ等)
「実車体験線」の整備に向けた取組み
秋田・山形新幹線の安全性向上等に資する調査等の実施
ホームドア
2015年度経営計画の構成
【凡例】
Ⅰ 究極の安全に向けて
←6つの方向性
(1)大規模地震への対応
←重点実施項目(概ね5年程度)
NextStageで
策定
◇期限を見据えた首都圏耐震補強等の確実な推進
←主な施策(概ね2〜3年程度)
←2015年度に実施する具体的項目(2015年度経営計画)
耐震補強設計・施工法における〜
赤い下線は、中期経営構想重点実施項目・主な施策のうち、今回追加・変更したもの
2
中期経営構想の主な施策と2015年度の取組み
Ⅱ サービス品質の改革 〜顧客の満足度を最大化し信頼を持続的に確保するために〜
(1)鉄道ネットワーク拡充への積極的な貢献
◇プロジェクト上流段階からの参画による効果的な計画の提案
計画調整会議等による調査件名の円滑な推進
◇コストダウン・工期短縮によるプロジェクト推進への貢献
調査計画、設計等業務における積極的な技術提案とコストダウン提案
羽田空港アクセス線の調査計画、設計の着実な実施
中央快速線グリーン車導入等輸送改善施策の調査計画、設計の着実な実施
中央快速線グリーン車導入(イメージ)
(2)輸送品質のさらなる向上
◇輸送品質向上に資する各種サービス施策・システムの提案
乗務員タブレットを活用した運転支援機能等の提案・開発
「JR東日本アプリ」
、
「どこトレ」による列車位置情報の提供線区拡大
(3)品質のさらなる向上と顧客満足度向上
◇お客さまの声を収集し、業務改善に結びつける取組みの推進
お客さま満足度アンケートおよびFCSを活用した業務改善の実施
現場確認の徹底と顧客とのコミュニケーション強化
羽田空港アクセス線計画
◇成果品のミス根絶に向けた品質向上の取組み強化
各部照査および照査室照査の徹底による全社一丸となった成果品ミス根絶の取組み
発注者との打合せ記録の相互確認による指示事項への的確な対応
協力会社への指示・打合せの徹底と外注成果品のチェック強化
技術検討会のさらなる活性化や設計計算例の活用による品質向上の取組み
JR東日本アプリ
Ⅲ 地域との連携強化 〜震災からの復興と地域活性化に技術力で貢献していくために〜
(1)被災地域復旧・復興のための貢献
◇震災復興プロジェクトの確実な推進
常磐線(相馬〜浜吉田、竜田〜原ノ町)
、山田線(宮古〜釜石)の鉄道復旧
に向けた調査計画、設計の推進
◇BRTのサービスレベルの向上の取組み
BRTネットの機能改修等ICT活用による新たなサービスの検討・提案
常磐線山下駅付近(イメージ)
(2)地域観光振興への貢献
◇国営公園運営管理業務への参画による地域観光振興への協力
新規参画となる昭和記念公園を含めた5公園の運営管理業務の着実な実施
(3)3つのまちづくり(大規模ターミナル駅、沿線ブランド、地方中核
都市活性化)の推進
◇渋谷・横浜・品川等の大規模開発プロジェクト推進への貢献
渋谷駅改良設計等の着実な実施と積極的な技術提案、コストダウン提案
品川駅改良設計の着実な実施と品川車両基地跡地開発計画の推進に向けた技術提案
首都圏を主体としたターミナル駅改良プロジェクトの推進
連続立体交差化事業(新潟駅、十条駅、南武線)の調査計画、設計の推進
渋谷駅改良設計
◇オリンピック・パラリンピックの開催を見据えたプロジェクトの推進
オリンピック関連駅改良プロジェクトの着実な推進と提案
観光流動活性化に向けた英語版「JR東日本アプリ」の提供
3次元駅構内ナビ等高精度測位社会プロジェクトへの参画
3
品川駅改良
中期経営構想の主な施策と2015年度の取組み
無限の可能性の追求
Ⅳ 技術革新 〜優れた技術を応用し、世の中の動きを先取りしていくために〜
(1)エネルギー・環境分野における技術革新への取組み
◇エネルギー・環境戦略推進への貢献
北東北「再生可能エネルギー基地化」構想(風力、地熱、バイオマス)推進への
取組み
新しいエネルギーに関する技術開発の推進(太陽光、風力、小水力、蓄電池)
緑化事業の本格展開と受注拡大に向けた取組み
エコステへの導入に向けた新しい環境技術(壁面緑化、有機薄膜ソーラー等)の展開
有機薄膜太陽電池(福島駅エコステ)
(2)ICT活用分野の拡大
◇JRCクラウドをベースとしたICT活用提案と営業強化
駅・車両デジタルサイネージへの情報提供サービスの提案
JR東日本以外への業務用タブレット端末サービス構築と展開
社外からの収益拡大を目的としたクラウドビジネスの展開(駅構内地図の販売等)
(3)新幹線高速化への技術的貢献
◇新幹線高速化に向けた安全面・環境面での課題解決
高速走行に伴う構造物挙動に関する課題の克服
(4)知的財産戦略の推進
壁面緑化(JRCグリーンWALLと同等品)
◇JR東日本の建設技術における知財戦略の着実な実施
特許料収入確保を目的とした特許工法の改良等の推進
技術開発戦略会議等を通じた特許技術のJR東日本以外への展開
◇オープンイノベーションによる技術開発のさらなる推進と水平展開の強化
大学研究室や企業との連携による技術開発のさらなる推進
◇技術開発テーマの発掘および成果導入
将来のプロジェクトへの適用を念頭に置いた技術開発の取組み
耐震補強に関する技術開発の推進(切取耐震、耐震性の高い支承構造等)
ホームドア関連の技術開発の実施と成果導入
新幹線桁振動測定
(5)技術革新の積極的な取組み
◇技術革新を取り込んだ総合技術コンサルティングの展開
JR東日本との連携による鉄道CIM(3次元モデル活用)への取組み
イノベーション相談センターの活性化による現場第一線の技術開発の積極的な支援
新幹線構造物の点検時間短縮に向けたモニタリングシステムの開発
無人ヘリによる測量技術の開発と防災・異常時対応等への取組み
◇メンテナンス業務の技術革新への取組み
加速度センサーによる構造物モニタリングシステムの開発の推進
気象センサーモニタリングシステムの実用化に向けた取組み
CBM(状態基準保全)導入に向けた取組み(軌道、車両)
4
無人ヘリ
中期経営構想の主な施策と2015年度の取組み
Ⅴ 新たな事業領域への挑戦 〜あらゆる時代に応じた収益力の確保と人財を活かすために〜
(1)海外鉄道プロジェクトへの支援
◇海外展開の支援と対応する人材育成支援業務の継続実施
海外鉄道プロジェクトの技術支援とグローバル人材育成に向けた各種取組みの実施
JICとの役割分担を踏まえた新たな業務領域への展開
(2)社内外技術の融合による業務領域拡大と新規事業の展開
◇JR東日本以外からの売上拡大に向けた営業推進
展示会等への参画を通じた商品・サービスの積極的な情報発信、情報収集
民鉄、地下鉄、自治体からの受注拡大を目指した積極的な営業活動の展開
社員一人ひとりによる営業・広報活動の取組み(パンフレット、タブレット、名刺等の活用)
◇社外との連携による技術商品の開発と販売推進
アラッシュ技術等を活用した新たな列車洗浄システムの開発
技術商品販売強化に向けた営業活動の推進
(バスアラッシュ、メットフォンⅢスリム、エコクーラー、高温スチーム洗浄機等)
◇新規分野へのチャレンジ
建設業(機械器具設置工事業)等新たな業務分野への進出
新たな交通需要予測業務分野への参画の検討
ミャンマー国鉄橋梁健全度調査
展示会への出展
バスアラッシュ
気化式クーラー(エコクーラー)
5
中期経営構想の主な施策と2015年度の取組み
Ⅵ 人を伸ばし、人を活かす企業風土づくり 〜日本のトップクラスのコンサルタントとなるために〜
(1)世代交代に対応した人材の戦略的育成と技術継承
◇プロの育成を目指したロードマップ・カリキュラム作成と確実な運用
OJT制度の着実な実施と「技術レベル表」の検討
複数の専門分野を持つ技術者育成を目指した教育・人事運用の実施
情報発信等、積極的な採用活動による多様な人材の確保
◇技術力向上のための直轄設計等の強化策実施
直轄設計を通じた実務能力の向上および課題対応能力の醸成
◇技術士、学位等資格取得者数の増大
学協会等での発表を通じたコンサルティング能力向上
技術士資格取得者数の増大(目標10名以上/年)に向けた取組みの強化
施工技術研修
(2)時代に即した経営体質への変革
◇時代に対応した人事・雇用制度の検討
柔軟な働き方を可能にする仕組みの検討
マイナンバー制度実施に向けた社内体制の整備
◇アメーバ経営の定着による経営意識の醸成
小ユニット別収支管理の定着と理解促進
部門間・ユニット間の社内取引ルールの検討
◇ICT技術を活用した業務の効率化
タブレット端末の有効活用(社内会議のペーパレス化、営業活動への活用等)
Web会議システムを活用した効率的な業務展開(保安打合せ、会議等)
◇業務領域拡大に対応した制度・システムの見直し
効率的で使いやすい社内業務システムへの改修
外注・仕入等管理システムの構築
業務の多様化に対応した社内ルールの見直し
新卒採用ページ(当社ホームページ)
◇リスクマネジメント体制の構築
多様化するリスクに対応できる体制の構築
(3)より働きやすい職場づくり
◇さまざまな立場の社員がより働きやすくなるような職場づくり
フレックスタイム制の定着と支店等への拡大
社内行事等を通じた会社全体の活性化
家族を交えたレクリエーション
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