氏 名 井仁田 良二 授与した学位 †専 土 専攻分野の名称 エ 学 学位授与

氏
名
北 田 良二
授 与 した 学 位
博
士
専攻 分 野 の名 称
工
学
学位 授与番号
2
6
5号
博 甲第 4
学位 授 与 の 日付
平成 23年
学位 授 与 の要 件
自然科学研究科
3月 25日
産業創成工学専攻
(
学位規則第 5条第 1項該 当)
学位 論 文 の題 目 特殊加工法による半導体パ ッケージ製造技術 の高性能化 に関する研究
論文審査委員
教授
宇野義幸
教授
塚本 寅也
教授
藤井正浩
准教授
岡田
晃
学位論文内容の要 旨
ディジタル家電や携帯電話等の電気機器は今後 も世界的に普及 していくことは確実であり,半導体デバイスに対 して,
更なる高機能化,小型化,低コス ト化が求められている.そ して,半導体製造プロセスの後工程において も,半導体デバ
イスの発展に対応する更なる技術革新が必要とされている.
本研究は,半導体製造プロセスの後工程に関するものであ り,次世代の半導体製造技術 として,特殊加工法による半導
体パッケージ製造技術の高性能化について 3つの研究テーマに取 り組んでいる.
第 1の研究テーマである半導体パ ッケージの高品位 レーザダイシング法では,
複合材料である半導体パ ッケージの高品
Qスイ ッチシングルモー ドファイバー レーザを使用 した高品位 レーザ切断技術を提案 して
位 レーザダイシング法として,
いる.その結果,加工試料の基板側か らレ-ザ光照射 を行い,レーザ光と同軸のアシス トガスとして初期膨張部を持つラ
パルスロー トノズルを使用 して窒素ガスを噴射することで,切断満幅 0
.
1
mm以下,切断面テーパ 5
叫m以下の高品位な
切断加工が可能 となった.また,同軸アシス トガスに窒素を適用し,切断部の後方か ら冷却ガスを噴射することで,熱影
.
1
mm以下,切断面表面粗 さ 9umRa以下の高品位切断性状を得ることができた.これ らの研究成果は実用可能性
響層幅 0
の高い要素技術であり,今後の実用化が十分に期待できる.
第 2の研究テーマである大面積電子 ビーム照射による焼結硬質材の表面特性向上では,
大面積電子 ビーム照射法 を超硬
合金およびセラミックス (
アルミナ,ジルコニア)へ適用する基礎的研究を実施 した.その結果,大面積電子 ビーム照射
により,超硬合金およびセ ラミックスの表面平滑化および表面改質が可能であることが明らか となった.また,セ ラミッ
クスのブラス ト加工面に大面稽電子ビームを照射することで表面の微細凹凸が溶融 した滑 らかな凹凸形状 とな り,成形樹
脂の離型性を向上することができた.本研究によ り,大面積電子ビーム照射は,焼結硬質材の表面特性を向上できること
が明 らかとなった.
第 3の研究テーマである放電加工面と成形樹脂との離型性に関する研究では,
放電加工面 と熱硬化性エポキシ樹脂 との
離型性を定量的に評価 して実験的に考察 した.その結果,汎用的な型彫 り放電加工面の離型性 に及ぼす因子は,放電加工
表面の粗さプロファイルにおける凹凸形状の平均斜度であった.すなわち,平均斜度が大きくなることで剥離界面のせん
断応力が支配的 とな り,離型力が低下することが明 らかとなった.また,灯油系加工液を用いた放電加工仕上げ面の離型
性は,汎用的な型彫 り放電加工面の離型性と同様の傾向を示 した.さらにシリコン粉末混入加工液を用いた放電加工面仕
上げ面では,エポキシ樹脂 と接着性の強いシリコン成分が含まれるために離型力が高 くなることがわかった.これ らの研
究成果によ り,放電加工面における離型要因を解明することができ,樹脂成形金型の離型性を向上させる要素技術 として
実用展開が期待できる.
以上のような研究成果は,半導体製造 プロセスの後工程に関する次世代の半導体製造要素技術 として応用展開できるも
のと期待される.
論文審査結果の要旨
本研究は,半導体製造プロセスの後工程に関するものであ り,次世代の半導体製造技術 として,特殊
加工法による半導体パ ッケージ製造技術の高性能化について 3つの研究テーマに取 り組んでいる.第 1
の研究テーマである半導体パ ッケージの高品位 レーザダイシング法では,複合材料である半導体パ ッケ
ージの高品位 レーザダイシング法 として,Qスイッチシングルモー ドファイバーレーザを使用 した高品
位 レーザ切断技術の確立を提案 している.その結果,加工試料の基板側か らレーザ光照射を行い,レー
ザ光 と同軸のアシス トガスに窒素を適用 し,切断部の後方か ら冷却ガスを噴射することで,熱影響層幅
0.
1
mm 以下,切断面表面粗 さ Ra-9L
Lm 以下の高品位切断性状を得 ることができた.第 2の研究テーマ
である大面積電子 ビーム照射による焼結硬質材の表面特性向上では,大面積電子 ビーム照射法を超硬合
金およびセラミックス (
アルミナ,ジルコニア)へ適用する基礎的研究を実施 した.その結果,大面積
電子 ビーム照射によ り,超硬合金およびセラミックスの表面平滑化および表面改質が可能であることが
明 らかとなった.また,セ ラミックスのブラス ト加工面に大面積電子 ビームを照射することで表面の微
細凹凸が溶融 した滑 らかな凹凸形状 とな り,成形樹脂の離型性を向上することができた.第 3の研究テ
ーマである放電加工面と成形樹脂 との離型性に関する研究では,放電加工面と熱硬化性エポキシ樹脂 と
の離型性を定量的に評価 して実験的に考察 した.その結果,汎用的な型彫 り放電加工面の離型要因は,
放電加工表面の粗さプロファイルにおける凹凸形状の平均斜度であ り,平均斜度が大きくなることで剥
離界面のせん断応力が支配的とな り離型力が低下することが明 らか となった.また,灯油系加工液を用
いた放電加工仕上げ面の離型性は,汎用的な型彫 り放電加工面の離型性と同様の傾向を示 した.以上の
ような研究成果は,半導体製造プロセスの後工程に関する次世代の半導体製造要素技術 として応用展開
できるものと期待される.
本研究によって得 られた成果は,今後の半導体製造産業における革新的な技術開発として有効な資料
を提供するものであり,工学的 ・工業的価値が高い.よって本研究は博士 (
工学)の学位に値するもの
と認められる.