2.液体ヘリウムと超流動

超流動デモ実験
低温物質科学研究センター
松原 明
超流動4Heが見せる不思議な世界
・超流動4He
・スーパーリーク
・噴水効果
・フィルムフロー
2003年11月21日
於:理学部6号館
液体4He
・無色透明の液体
・1気圧のもとでは,4.2Kで液化
軽い質量 + 弱い粒子間相互作用
絶対零度まで固体にならない
5
絶対零度近傍で秩序相に転移
4
4
3
常
流
動
2
1
超流動4He
He
固体
25気圧
P[MPa]
量子統計力学
→T=0[K]でエントロピーゼロ
0
0
超
流
動
液体
1
2
臨界点
3
T[K]
2.17 K
4
5
気体
6
超流動4He
1)T < 2.17 K で粘性がなくなる
→スーパーリーク
2)大きな熱伝導率
→沸騰のない気化
本日のデモンストレーション
3)噴水効果
4)フィルムフロー
2)2流体モデル(温度で割合が変わる)
常流動成分:粘性を持つ成分
超流動成分:粘性を持たない成分
→様々な音波(温度の波など)
超流動成分の割合
常流動成分の割合
0
0.5
1
1.5
2 TC
2.5
T [K]
実験装置の概要
→
ポンプ
N 2 77K
4
He
4.2K
銅板
(温度を一定にする)
デュワー
・マホービン:2重のガラス管
・隙間は真空
N2
の「あわ」を減らす
(表面からだけ蒸発)
1)超流動になると急に 4He の沸騰が止まる
沸騰:熱伝導が悪い→局所的に気化
PT 
気泡が出る
P
h
P  gh

超流動:熱伝導非常に大きい
温度一定
表面からのみ気化
2)スーパーリーク
超流動成分の割合
常流動成分の割合
0
0.5
1
非常に細かい粉(アルミナ)
少しでも粘性のある液体は流れない
超流動成分:粘性ゼロ
液体がしたたり落ちる
低温ほど速く落ちる
1.5
2 TC
2.5
T [K]
3)噴水効果
温度差つける
・超流動成分と常流動成分の割合変化
・圧力差がつく
ヒーターで
温度を上げる
超流動成分のみ通過
T  T
T
勢いよく噴水のように吹き出す
非常に細かい粉(アルミナ)
少しでも粘性のある液体は流れない
4)フィルムフロー
サイフォンの原理
原子100個分
ぐらいの厚さの
薄い膜
超流動の薄い膜を通じて He がビーカ-の外に流れ出てしまう。
超流動膜によるサイフォンの原理
フィルムフローに比べるととても遅い
(薄すぎるため,通常は粘性のために流れない)