30E15-pm12 オキサリプラチン誘発性末梢神経障害の発生因子と発生予測式の臨床薬剤学的応 用性の検証 ◯田中 敏 1,2 ,三村 亨 1 ,黒澤 真帆 1 ,村井 ユリ子 3 ,三枝 大輔 1 ,鈴木 直人 1 , 1 1 東北大院薬,2 みやぎ県南中核病院薬, 蒲生 真紀夫 4 ,佐藤 益男 2 ,富岡 佳久( 3 東北大病院薬,4 大崎市民病院) 【目的】オキサリプラチン(L-OHP)は第3 世代の白金製剤であり大腸がん治療のキ ードラッグとして頻用されている抗がん剤である。しかしながら有害事象として 末梢神経障害(PN)が発生することが報告されており、L-OHP 投与における用量規 制因子の一つとなっている。そこでPN発生が患者のQOL や治療の継続性にも影響 を与えることから、われわれは前回の第131年会にて、そのPNの発生予測因子の探 索を行い、PN発生に関する発生予測式を作成した事を報告した。本年会では、先 に報告した高頻度発生に関連する因子と予測式の臨床薬剤学的応用性について検 証したので報告する。【方法】第131年会で報告したPN高頻度発生予測因子とPN高 頻度発生に関する予測式を用い、2010年7月から2011年10月までに、みやぎ県南中 核病院においてL-OHP の stop and go 戦略患者も含めて、新規にL-OHP を含むレ ジメンを使用開始した大腸がん患者35 名を対象とし、対象患者のデータを利用お よび予測式に投入し解析検証した。なお、2010年6月以前から治療継続している患 者、内服抗がん剤との併用療法患者および治療コース数が4コース未満の患者に 関しては研究対象から除外した。【結果・考察】除外基準(該当者10名)より解 析対象者は25名であった。まず、高頻度PN発生に関する予測因子および予測式よ り、血清Cl値が重要な因子であることが明らかとなっていることから、対象患者 を血清Cl値の低値群(15名)と高値群(11名)に分類した。この結果、カプランマイ ヤー法を用いて分析したところ、低値群と高値群の間に有意な差があることが明 らかとなった(P=0.021)。予測式に血清Cl値濃度を代入した結果も同様であった。 今後は血清Cl値以外の予測因子での検討とPN発生後の重篤度についても検討を行 い、その臨床薬剤学的応用性について検証する予定である。
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