PDF形式(515KB) - 日本農業機械化協会

2007
3 月号
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18 年 度 農 作 業 事 故 防 止 中 央 推 進 会 議 を 開 催
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本会は3月2日、馬事畜産会館で平成 18 年度の農
また、農林水産省・技術対策室長の川本憲一氏が、
作業事故防止中央推進会議を開催した。講演として
農作業安全確保のための通知で各都道府県での予算
「鹿児島県における農業機械士活動について」
(鹿児
の確保、取り組み強化や安全鑑定適合機の導入を促
島県農業機械士連絡協議会会長・永吉眞一氏)
、「身
したところであり、農作業安全を進める上で農業機
近で発生した農作業事故から学ぶもの」
(京都府農業
械士や保安指導員の役割が重要として、会議へ期待
機械士協議会相談役(前会長)
・小崎淳一氏)、
「農業
を寄せた。
機械の事故実態に関する農業者調査結果について」
(生研センター評価試験部作業機第2試験室長・冨
全国農業機械士協議会会長の小田林徳次氏は、機
田宗樹氏)、
「高齢者の身体特性と製品生活環境のユ
械士会としてもより一層取り組みを強化し、生研セ
ニバーサル化」
(独立行政法人産業技術総合研究所人
ンターの調査への協力など事故防止に役立つよう全
間福祉医工学研究部門身体適応支援工学グループ
面的に協力していきたいとして、機械士会のメンバ
長・横井孝志氏)、「高齢者の農作業事故の実態と対
ーが持っている農作業安全についての知識を活かし、
策」(本会調査部長・石川文武)が行われ、その後、
地域の農作業安全を進めたいと語った。
総合検討会が開かれた。
ここでは、講演の中から
最初に挨拶した本会の赤保谷会長は、
「年間 400 人
●「鹿児島県における農業機械士活動について」
前後の農作業死亡事故があり、それが減る気配がな
鹿児島県農業機械士連絡協議会会長
く、ゆゆしき問題である。農業機械士のように、常
永吉
眞一氏
に農作業現場にあって日常的に農業者に直接指導で
●「身近で発生した農作業事故から学ぶもの」
きる人が、地域の安全啓発に携わるような体制が必
京都府農業機械士協議会相談役(前会長)
要な時期に来ている。そういうことで、本日の会議
小崎
淳一氏
の目的を、1.地域の農作業現場で農業者に直接農
●「農業機械の事故実態に関する農業者調査結果について」
作業安全指導を行う農業機械士の活動強化、2.増
生研センター評価試験部作業機第2試験室長
えつつある高齢者の農作業事故をどのように防ぐか
冨田
―の2つとした。この会議が農作業事故防止に役立
の講演要旨を掲載する。
つことを願う」と述べた。
-1-
宗樹氏
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-18 年度農作業事故防止中央推進会議(1)鹿児島県における農業機械士活動について
鹿児島県農業機械士連絡協議会会長
永吉
眞一氏
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農業は、温暖な気候を活かした畑作の割合が高く、
野菜、花き、茶などが生産されています。また、畜
産は黒牛、黒豚が有名です。しかし、土壌は火山灰
土のシラスで生産性が低く、大消費地から遠いとい
う不利な条件もあります。農家数は9万戸を若干下
回り、耕地面積は 12 万 ha、うち畑は約7万 ha で全
国で2番目に多く、耕地率も 68%と高いのが特徴で
す。平成 16 年度の農業産出額は 4142 億円で全国4
位ですが、所得は 30%程度で全国 41 位です。平成
17 年度は農業産出額が北海道に続く2位になりまし
鹿児島県では、7月 26、27 日に指宿市で全国大会
た。
を開催します。そこで本県の農業、農作業事故の実
態、農業機械士の活動について紹介します。
農作業死亡事故は年間 15 件程度
鹿児島のキーワードは、西郷さん、新幹線、焼酎、
鹿児島県における農作業事故は、年間 15 件もの発
スパ、スローライフ、スローフード、桜島の7つの
生があり、減少する傾向がみられません。農業機械士
Sです。
会としても、関係団体と連携をとりながら死亡ゼロを目
標に取り組んでいきたいと考えています。
温暖で畑作が中心の鹿児島県農業
全国では農繁期の春と秋に事故のピークがみられま
鹿児島県は大きく分けると、薩摩半島、大隅半島、
すが、鹿児島県の農業は温暖な気候を活かした畑作中
奄美諸島の3つから成り、亜熱帯から温帯にあり、
心のため、春と秋の農繁期以外にも年間を通じて事故
夏には台風の直撃や旱魃に見舞われることもあり、
が発生しているのが特徴です。
異常気象下での農作業も事故と密接な関係があると
死亡事故のうち、乗用型トラクターによるものが4割、
みられます。
歩行型トラクターが3割、次いで動力運搬車となっていま
す。その原因は、慣れや油断からのうっかりから起こる
運転操作ミスが6割、安全作業の不徹底が2割と、両者
で大半を占めています。農業機械士会ではこうしたヒュ
ーマンエラーを減らし、死亡事故をなくすため、安全研修
会の開催、研修会参加の呼びかけ、安全啓発運動など
様々な取り組みを、県、市町村、地域レベルで行ってい
ます。
また、その態様はトラクターや耕うん機での路肩から
の転落・転倒が半分を占めており、挟まれ、巻き込まれ
-2-
などがそれに続いています。
主な取り組みは、農業機械化・農作業安全対策推
農業機械以外も含め死亡事故はすべて、安全作業の
進研修、春・秋の農作業安全運動の取り組み、農業
不徹底といえます。農業機械死亡事故では鹿児島県の
機械士全国大会への参加、県トラクター耕競技大会
場合、男性の死亡事故の比率が高くなっています。また、
並びに安全研修会、支部長会、農作業環境改善調査
その平均年齢は 65.9 歳であり、犠牲者は高齢者である
委託事業の取り組み、全国農業機械士会役員会など
といえます。65 歳以上の事故を起こす確率も約7割と高
への参加、支部組織状況調査、自脱型コンバイン及
いことがわかります。
び運搬車に関するアンケート調査、農業機械士会加
18 年の鹿児島県の農作業死亡事故の平均年齢は
入の推進、トラクター共済加入の推進、通常総会並
73.3 歳でした。80 歳代の死亡が3割あり、今後さらに高
びに情報交換会、年3回の役員会などです。
齢者事故の増加が懸念されます。また、農業機械によ
その活動の成果として、農作業安全の研修が全支
る死亡事故の平均年齢は 72.1 歳でした。高齢者の死亡
部、農作業受委託事業7支部、農作業事故防止啓発
事故を減少し、安全で安心して農作業ができる環境を構
パレード、ロードミラー清掃、農業機械の安全点検
築することは、我々機械士をはじめ、関係者・団体の大
研修の実施、農道の一時停止線の線引き、農薬取り
きな課題であると考えています。
扱いの研修、救命講習会の開催、先進地研修などを
やっています。
機械士会が農作業事故防止パレードなど活動
今後の展開ですが、農業機械の効率利用を推進す
鹿児島県の農業機械士は、約 7000 名おり、その中
ることで地域農業の発展に尽くします。
で基本的に市町村単位に組織された機械士会が 15 あ
地域ぐるみでの農作業運動を推進し、農作業事故
り、250 名の会員がいます。中でも出水市高尾野町に
の低減に努めます。
は女性農業機械士会が、男性とは別に独自の活気あ
環境との調和に配慮しながら、安心・安全な農産
る活動をしています。
物の生産に努め、消費者から一層信頼される農業を
鹿児島県農業機械士連絡協議会は、昭和 53 年1月
確立します。
に設立し、農業大学校に事務局を置いて活動してい
農業の担い手の育成・確保に努め、農業機械士の
ます。
意義と役割を継承し、組織強化に努めます。
是非、7月の全国大会に、鹿児島にいらしていた
だきたい。
-3-
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-18 年度農作業事故防止中央推進会議(2)身近に発生した農作業事故から学ぶもの
京都府農業機械士協議会
小崎
淳一氏
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農業とは無縁の、生まれてから一度も鍬など持った
こともない、そういう人がその集落の農事組合長を
していました。
その集落は、35 歳の若い担い手がおり、集落の4
ha の田畑を全部受託作業して、1人で集落の農業を
守っていました。ところが、その担い手が急遽事情
で、受託ができなくなりました。そこで困ったのが
農事組合長である、私のいとこでした。
美山町では、市町村合併問題が 17 年にあり、それ
で住民投票になりました。わずか十数票差で合併す
私のいとこが亡くなり、悲しい現状ですが、この
ることになったのですが、そのしこりが残りました。
事故を皆さんに話して、農作業事故の恐さを見てい
18 年1月1日に合併したのですが、美山町は意見が
ただきたいと。
割れたしこりでガタガタでした。
険しい山ばかりの美山町
私の住む美山町は人口が 5250 人、耕地面積は水田
が 320ha、山林が人工林2万 ha、天然林1万 2000ha
で、町の総周囲が 93km です。農家数は 600 戸で、作
業を受託している農家が 60 戸、作業を委託している
人は 440 戸で、ほとんどが高齢者の自家耕作が 100
戸です。山林が 96%で、4%の中に宅地があり、農
地があるという所で、険しい山ばかりです。田んぼ
も傾斜面に作られており、段差があります。農道も
坂になっています。
道路から水田に転落し死亡
美山町の集落数は 50 で、この中に農事組合長が1
18 年4月 30 日の夕方、事故が起こりました。トラクタ
人ずついます。50 人の農事組合長が集落営農をして
ーに乗っていて事故に遭い、死亡したと新聞に載って、
います。その農事組合長は非農家の人が多く、6割
普通はこれで忘れてしまえるのですが、私は、その時に
に当たる 30 人が非農家、残りの 20 人は何とか農家
デジカメを持って現場に走りました。机の前で設計図を
の方がやっています。
描くのが仕事の私のいとこが、何でトラクターに乗ってい
事故があった集落の農事組合長が事故の当事者で
たのか、訳がわかりませんでした。
した。その人は何をやっていたかというと、建築設
道路から水田に落ちたのですが、現場の転落したトラ
計事務所の社長です。田んぼは持っていましたが、
クターを見ると倒れ方が変で、横転したトラクターの車輪
-4-
側が水田の方に、座席が道路側にあります。安全フレー
3つの不安全要因が重なって
ムはついていませんでした。
この事故から私は、トラクターなど機械、作業す
道路と水田とは高低差が 1.6mあり、道路から落ちて、
田の脇のU字溝に前のバンパーが当たり、そこでトラク
る圃場の環境、作業者の3つに、その不安全要因が
あるのではないかと思います。
ターの後輪が跳ねて持ち上がり、U字溝の上で逆立ちを
機械については、安全フレームがありませんでし
し、その時に作業者がショックで田んぼに投げ出され、
た。ブレーキの連結ができていませんでした。アク
そこへ逆立ちしたトラクターが半回転して作業者の上に
セル手動レバーが戻っていませんでした。田植え時
落ちたということでした。
期が迫ったというので早く作業をしなくてはいけな
何で、そうした逆立ちするような落ち方をしたのか、農
いと、中古のトラクターを購入しています。トラク
道のタイヤ跡を調べてみました。
ターそのものが古いものでした。これが機械の不安
田んぼから出て、道路で2回ほどジグザグをしていま
全要因にあげられます。
す。道路幅は3mですが、その中で左右に大きく行き来
環境については、なぜトラクターで農事組合長が
して落ちています。
自ら水田へ行かなくてはならなかったのか。担い手
田んぼで作業をして、農道への出口にトラクターを斜
がいなくなり、受託作業をしてくれる人がいなかっ
めに止めて、最初にロータリーを上げています。そして、
た。それで農事組合長が責任を感じて古いトラクタ
PTOレバーを外しています。主変速を作業工程の低速
ーを買ってでも自分でやってやろうと、そういう緊
から高速へ入れています。そうして彼は、クラッチを離し
迫した美山町の農業ではないかということがありま
てスタートした。それでどうなったかというと、トラクターは
す。そして急斜面の多い圃場。1つ1つの田に落差
15km ほどのスピードが出ます。そこで道の端に進んだ
があり、それは一番少ない田で 1.5m、大きいところ
ので崖に落ちる、とハンドルを切り直し、今度は逆の端
では5m以上あります。圃場の面積は狭く、10a規
へ行った、そしてジグザグをして飛び込んでいます。
格で圃場整備がされています。
ブレーキの連結もされていません。もう1つは、アクセ
ル手動レバーが戻されていません。エンジンの回転を上
げたままです。彼は車の運転免許は持っています。アク
セルペダルを踏んで動かしてもエンジンの回転は変わら
ず、高速回転で飛び込んでしまった。
美山町での最近の農作業事故
最近、美山町では、トラクターと大型トラックの
接触事故がありました。これは、舗道を走っていた
作業者本人については、意識、体調、疲労が考え
トラックに農道から出てきたトラクターが一端停止
られます。彼は責任感が強く、もうすぐ田植えの時
せずに、そのまま舗道に入り、接触事故を起こした
期が来るということで早く作業しなくてはという焦
ものです。
りもあったと思います。服装では、麦わら帽子でし
トラクターの農道からの転落もありました。ハン
た。やはりヘルメットはかぶってほしいです。体調
ドルをひとつ間違えれば必ず転倒するのが美山町の
は、心身ともに疲れていたと思います。初めてトラ
農道、田です。上り坂、下り坂で平坦地がありませ
クターに乗って3日目であり、振動の多いトラクタ
ん。
ーで3日続けて慣れない仕事をしており、大分疲れ
刈払機による死亡もあり、これは、山の下刈り作
が出ていたのではないかと思います。
業でのことです。傾斜のきつい山で下から上に作業
そして、農業に対して軽い捉え方をしていたので
をして、ベルトをしていなかったら、刈払機から手
はないか。初めてのトラクター作業を指導も受けず
が滑るとどうなるかというと、エンジンが下、刃が
に行って、我流と未熟さで死に至ったのではないか。
上にあるので、肩を切るかどこかを切ります。出血
そういう不安全要因が重なり重なり合って事故が起
多量で亡くなっています。
こったのではないかと思います。
-5-
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-18 年度農作業事故防止中央推進会議(3)農業機械の事故実態に関する農業者調査結果について
生研センター評価試験部作業機第2試験室長
冨田
宗樹氏
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ものとしてのシートベルトに大きな抑止効果が期待
できます。従って、私ども生研センターとしては、
乗用型トラクターの型式検査、あるいは安全鑑定と
いう中で、乗用型トラクターにはROPSを装着し
てくださいという形で、装着を推進してきました。
719台
31%
この調査の背景としては、農作業の死亡事故の現
状があります。年間 400 件程度の農作業死亡事故が
1029台
45%
555台
24%
あり、そのうちの7割が農業機械による事故です。
安全フレーム
安全キャブ
未装着
ROPSの装着状況
さらにそれがこの 10 年程度、横ばいの状態であると
いうことがあります。また、農業機械による事故の
その経緯ですが、ROPSの型式検査は昭和 50 年
中で、一番多いのが乗用型トラクターの事故で、年
に始まり、装着するトラクターは昭和 54 年に、トラ
間 130 件程度の死亡事故が発生しています。
クターはROPSを装着できる構造のものでなくて
その乗用型トラクターの事故の内訳をみると、7
は安全鑑定に適合しないということになり、最初は
割ぐらいが機械の転落・転倒によるものとなってい
1.5Lを超えるようなトラクターだけの規程だった
ます。その乗用型トラクターの転落・転倒事故に対
のですが、56 年からは 15 馬力以上に適用になりまし
する効果の大きな対策としては、安全キャブ・フレ
た。平成に入ってからは、乗用型トラクターにはR
ーム、ROPS(ロップス)と呼びますが、その装
OPSを装着していないと安全鑑定適合としないと
着の推進があります。これについては早くから北海
いうことになりました。すべての乗用型トラクター
道の方で先進的な取り組みをされており、装着率が
にROPSを装着しなくてはいけないという形にな
向上し、現在では 70%を超えると考えられます。そ
ったのは平成9年です。シートベルトについては、
ういう状況になるに従って、トラクターの普及台数
すべてのトラクターに装着するROPSにシートベ
当たりの死亡事故の件数が確実に減少しています。
ルトをつけなくてはいけないということになったの
しかしながら、日本全体を考えてみると、ROP
は、平成 13 年です。
Sの装着率はおおむね 50%弱と推定され、その普及
こうした取り組みをしてきましたが、死亡事故の
についてはこれからというのが現状です。
数は減少傾向がみられないという現状があります。
このように、乗用型トラクターの転落・転倒によ
そこで、我々の任務である機械の開発や検査・鑑
る死亡事故の防止にはROPSと、それに付随する
-6-
定を通じた安全対策というところで何ができるかを
ている安全装備の代表として、ROPSとシートベ
考えなくてはいけない。そうした際には、現在の機
ルトの有無。農業者の方が安全装備についてどのよ
械にどういう問題があるのかをつかまなくてはいけ
うに思っているかで、安全キャブ・フレームの事故
ない。もうひとつは、いままでとってきた安全対策、
抑止効果についての評価、シートベルトを使ってい
ROPSやいろいろな安全装置などが果たして効果
るかどうかを調査しています。最後に、事故事例で
があったのかを把握し、次の対策を考えていかなく
は、回答者本人および家族や知り合いなども含め回
てはなりません。
答してもらいました。本人だけだと事故事例が集ま
そのために、現在の農業者の方の実態、その分析
らないのと、死亡事故については報告が上がらない
を、もっと詳しく、範囲を広く行うことでデータを
ということがあるので、できるだけ調査の範囲を広
把握しようと考えました。そのために行ったのが今
げたいということで、回答者本人以外の方にも広げ
回の調査です。
ています。
事故の種類としては、トラクターは転落・転倒事
安全装備の有効性などが調査の目的
故が多いので、転落・転倒事故とそれ以外の事故と
調査を行うに当たっての問題意識は、まず、RO
分けて調査しました。さらに転落・転倒事故につい
PSに代表されるような安全装備が、実際に現場で
ては事故の程度だけではなく、RPOSの有無も調
農業者が使っている機械のどれぐらいに普及してい
査しています。
るのか。次に、装備した安全装置が、我々が想定し
全国 2618 戸の方に調査票を配布し、1442 戸の方か
たような使われ方をしているのかどうか、効果があ
ら回答をいただきました。内訳ですが、乗用型トラ
ったのかどうか。3点目に、現在農業現場でどうい
クターに関しては 1428 戸、歩行型トラクターについ
う機械、年式や装備で、どういう人が使ったときに
ては 787 戸でした。平均は 50 歳程度、専業の方が7
どんな事故を起こしたかについて、具体的なデータ
割です。
がほしいということでした。
つまり、調査の目的は、(1)機械の安全装備の実態
乗用型トラクターの調査では 69%がROPS着ける
を把握する、(2)農業機械による事故の実態をできる
乗用型トラクターについて、回答者の所有してい
だけ広い範囲で把握する、(3)事故において、安全装
るトラクターは 2303 台あり、このうちの 45%が安全
備が有効であったかどうかをできるだけ定量的につ
フレームを装備し、24%が安全キャブを装備し、合
かんでいく、ということです。
計 69%がROPSを装備していました。これは全国
推定値の 50%弱という値よりは大分高くなっていま
今回実施した農業者アンケートは、対象の地域は
す。調査に協力いただいた方が中核的な農業者の方
農業機械士会がある全国の 26 道府県で、調査に協力
だからと思われます。
いただいた農業者は、乗用型トラクター、または歩
トラクターの使用年数とROPS装着の割合は、
行型トラクターを日常的に使用している人です。回
使用年数が 20 年を超えると、装着率が 30%程度で、
答者の選び方は、各道府県の機械士会にお願いし、
新しくなるにつれて装着率も上昇し、5年以下のも
調査票の配布、回収に協力いただきました。
のだと 90%以上ROPSが着いています。ただ、最
調査の内容は、乗用型トラクターについては、ト
近のものであっても、装着していないものがなおあ
ラクターの仕様として、型式名、使用年数、装備し
るという言い方もできます。
-7-
このうち、20 年以前のものについては、装着でき
んでおらず、使用状況はさらに悪いとの結果でした。
る構造になっているとは思いますが、装着はコスト
使用しない理由は、「面倒である」が半数近くで、「不
やその他を考えると難しい問題があると思います。
要である」との回答も 16%ありました。
このことから、シートベルトの必要性を理解してもらう
トラクターの所有形態と装着の状況をみると、ト
ことが必要ということが1つ。もう1つは装着が面倒でなく
ラクターを1台所有する方は、ROPSの装着が
なるような工夫が必要だと考えられます。
68%。2台以上持っている方は 528 戸で、すべてが
ROPS装着である方が 219、装着していない機械も
転落・転倒でのROPSの効果は明らか
持っている方が 267 で、全台数 1444 台のうち、RO
事故事例についてですが、報告された事故は 289
PS装着は 996 台となっています。
件で、転落・転倒が3分の2以上、208 件を占めてい
今まではROPSを知らない、全く着けていない
ました。このうち、死亡事故についてみると、57 件
という方について、どう着けていただくかが重要だ
あり、39 件が転落・転倒事故でした。
ったのですが、今後は、ROPSが着いたトラクタ
3%
ーも持っているけれども、そうでないのも持ってい
4%
ROPSの有無と
10%
るという方に対して、すべての機械にROPSを装
転落・転倒事故に
着していただくことが重要になってきていると考え
14%
70%
られます。
おける受傷程度
ROPSの評価は、「効果がある」が 85%でした。
ROPSあり(73 件)
この割合を、ROPSを装着しているトラクターを
1台以上持っている方と、持っていない方とで比較
25%
すると、持っていない方の評価が若干低くなってい
ます。
49%
活用されていないシートベルト
7%
シートベルトは、転落・転倒事故が起きた時に、ROP
5%
15%
Sによって守られるエリアの中に運転者を保っておくとい
無傷
通院不要ケガ
通院必要ケガ
入院
死亡
ROPSなし(107 件)
う役割があります。ですから、ROPSの一部とも考えら
れます。
転落・転倒事故について、ROPSの有無と事故
2% 5%
の程度をみると、208 件のうち、180 件でROPSの
11%
2%
55%
25%
常時
路上
作業中
時々
皆無
不明
有無が判明しています。ROPSなしでは、4件に
1件は死亡事故につながっています。これに対して
ROPSがある場合は、死亡事故は3%、実数で2
件という結果でした。事故全体でみると、無傷の割
合が多く、全体に軽傷の傾向となっています。死亡
シートベルトの装着状況
事故では、ROPSの有無で1対8と明らかな差が
シートベルトの装備状況は、ROPSとシートベルトを
あり、ROPSの効果が、現場の調査の数字の上で
装着しているのは約半数でした。ROPSはあるがシート
も明らかになりました。
ベルトはないという機械がかなりあるという結果でした。
転落・転倒事故以外の事故では、無傷の割合が少
使用状況は、シートベルトが着いているという方を対
なく、ケガの割合が多いのが特徴です。事故の状況
象として調べたところ、「まったくしない」との回答が 55%
は、
「作業機に挟まれたり巻き込まれた」事故が多く、
を占めています。一方、「少なくとも路上ではする」「いつ
その場合には死亡事故も発生しています。
もする」は合わせて 16%でした。シートベルトは装備も進
今回の調査から、今後の課題として、ROPSを
-8-
着けられる構造であるのに着けていないものに対し
デッドマンクラッチなどの普及は5%
て、どう対応していくかということがあります。も
挟まれには、平成9年の改正で、デッドマンクラ
うひとつは、シートベルトの装着をどのように進め
ッチや緊急停止装置の装備が義務づけられましたが、
ていくかということがあります。最後に、重傷傾向
そうした装備を着けた歩行型トラクターは5%しか
がある作業機による事故をどうやって防いでいくか
普及しておらず、そうした装置が果たして使われて
ということがあります。
いるのか、効果があったのかは、まだ評価できるよ
うな状況にないといえます。
挟まれ事故が多い歩行型トラクター
こうしたことから、高い安全装置を持つ機械をも
歩行型トラクターでは、挟まれによる事故が過半
っと普及させていかなくてはなりません。また、挟
数であるという特徴があります。挟まれの死亡事故
まれ事故の発生自体を抑える根本的な対策をしてい
で、どういうところで発生しているかをみると、ハ
く必要があると考えています。
ウス、納屋、屋内など、周りに何かがあるところで
起こっています。
歩行型トラクターの安全装置については、過去2
回大きな基準の改定が行われており、特に平成9年
には後退時の挟まれ事故に対する対策、後退時のロ
ータリへの巻き込まれ事故に対する対策、後退時の
ハンドル持ち上がり事故に対する対策がとられまし
た。
歩行型トラクターについての回答は 787 戸の方か
らあり、総台数は 1057 台でした。
安全鑑定の適合状況をみると、平成8年以前の基
準に適合しているものが 64%で、平成9年以降の基
準に適合しているものは5%に過ぎないという結果
でした。車軸耕うん型などで安全鑑定を受けていな
い機械も4分の1以上ありました。
事故調査の結果は、4割が挟まれで、ケガの程度
は、死亡事故が1%、2件でした。これと年齢との
関係をみると、重大事故は 50 歳以上で多く、事故は
すべての年齢層で起きているのですが、50 歳以上で
はそれが結果として重大事故になっているといえま
す。高齢者が事故を起こさないようにという対策も
重要なのですが、すべての年齢層が事故を起こしに
くいような対策も必要なのではないかと考えられま
す。
-9-
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宮ちゃんの会員さん訪問記
会員さん訪問記19
/
松山株式会社
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縁あって財団法人松山記念館の文化講演会に招かれて、丸子町から上田市に住所表示が変更になったばかり
の松山株式会社に行きました。
松山信久社長(右)と
7 月に北海道帯広で開催された世界農業博覧会(日
の最新情勢を追加してお話しさせていただくことに
本農業機械工業会の地方大会があわせて開催されて
しました。
いました)に出席した帰り道、空港へのバスの中で
たまたま松山信久社長さんとご一緒して、タイの農
10 月 14 日お昼過ぎに長野新幹線で上田まで行き、
業についてお話しする機会がありました。タイの農
しなの鉄道に乗り換えて、大屋まで行きました。そ
業が急速に機械化を求めてきていることや日本企業
こから歩いて数分で松山記念館に着きました。ここ
の合弁会社がタイでトラクターの販売を伸ばしてい
には 13 年前に肥料機械課で総括課長補佐をしていた
ること、タイだけでなく周辺諸国も近い将来に機械
時に当時の羽場肥料機械課長と一緒にお邪魔をした
化が進んで行くであろうことを熱く話させていただ
ことがありました。その時には平成 17 年の暮れに亡
いた記憶があります。
くなられた松山徹会長(当時は社長)さんにお目に
かかり、記念館と工場を見学させていただいており
9 月のはじめ、病院で健康診断を受けているときに
ます。今回改めて記念館の学芸員の田中さんのご案
事務所に電話がかかり、急いで携帯電話から連絡す
内で詳しく勉強させていただきました。松山株式会
ると、10 月の中旬の土曜日に会社で講演してくれな
社の歴史と我が国の農業の機械化の黎明期の記録が
いかとのことでした。タイの農業や周辺国のことを
残されています。
と言うことなので、土曜日と言うこともあって喜ん
でお引き受けいたしました。タイの情報につきまし
ては、日農工の機関誌に書いたのを元に機械化広報
でも書き直していましたので、これにクーデター等
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松山記念館は創業者である松山原造翁が大量に保
どに関する貴重な資料が保存されています。第2展
管していた発明考案から製造、営業に付随する論文、
示室には原造翁の長男である篤翁によって発明され
会計帳簿、日記等の資料から、製造用具、生活用品
たわが国初のハンドトラクター用のスキをはじめ畜
などを貴重な民族資料として整理、保管しようと、2
力犁、馬具、在来農具などの実物が展示されていま
代目の松山篤会長が私財を提供して設立された財団
す。珍しいところでは昭和 20 年代に導入されたクリ
法人です。
ントンエンジン搭載のメリーティラーという小型の
ハンドトラクターがありました。今日の機械耕耘の
昭和 53 年から準備を始め、昭和 60 年 12 月に「松
始祖を見た気がしました。
山記念館」の看板を掲げて開館され、平成 4 年 1 月
に財団法人に、更に 4 月に博物館法に基づく博物館
無床犁
として登録されています。敷地面積 782m2、建築面積
(抱持立犁)
462m2 の施設で、第1展示室には松山原造、篤会長の
愛用品から双用犁の発明・普及・研究開発関連資料
などが、第 2 展示室には畜力犁、馬具、製造用具を
はじめとして、事業の変遷を示す資料がそれぞれ集
約されています。
畜力犁
特許関係書類
昔の製造工具類
第2展示室
第1展示室では、原造翁の発明で明治 34 年に特許
第 4975 号に登録され、特許犁の始祖となった単ざん
双用犁(タンザンソウヨウリ)(松山スキ)の図面や特
メリーティラー
許の延長許可(今はこのような制度はありません)な
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後日、国立科学博物館の産業技術史資料情報セン
ターからの照会に応じて松山記念館の話をしたとこ
ろ、早速現地に飛んで行き、時代を追った資料の多
さに驚き、是非永くしっかりと保存して欲しいし、
このような貴重な資料を農業機械業界として紹介す
るようなイベントを開催してはどうかと提案されて
しまいました。
トラクター用の犁
松山社長と会社の玄関で写真を撮らせていただき
ましたが、今回は工場見学をさせていただく時間が
なかったので、会社のことは次の機会に・・・
最近第 15 回文化講演会(記録)なる小冊子ができ
あがってきて、話した言葉が活字になって戸惑いを
感じています。この次は松山株式会社がタイで活躍
しているという話が聞けたらいいなと思っています。
篤翁考案の犁
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Dr.文 武 の 農 作 業 安 全
安全フレーム発祥の地、スウェーデンから
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今回は出先からの報告です。用務は ISO/TC159(人
とはありませんが、農機研に入って、安全フレーム
間工学)/SC3(人体計測と生体力学)/WG4(手作業と許
の構造解析を担当しているときに、文献あさりをし
容限度)の専門家会議です。この作業部会には、国内
たものです。
委員会 SC3 主査である横井孝志さん(さる 3 月 2 日の
会合で話題提供して戴きました)、同じく国内作業部
スウェーデンは、とりあえず、有効な強度のある
会主査である石川が出席しています。平均して 1 年
フレームの開発を促進するために、強度試験方法の
に 1 回、ヨーロッパの労働衛生関係の研究所などの
みを提案しました。ヨーロッパ各国やニュージーラ
持ち回りで開催され、規格作成の審議を続けてきま
ンドも破壊試験を経て設計法を確立したようですが、
した。今回は平成 9 年に作業項目として取り上げら
わが国にも安全フレームを普及させようという機運
れた規格原案がやっと規格になるための投票が終わ
が高まったときに、設計手順が未確立では、試行錯
り、規格利用者のヒントになる参考資料の作成準備
誤の連続となり、ロスが大きいという声がメーカー
の打ち合わせが主たる議題となっています。
さんの開発者から起こりました。そこで、農業機械
化研究所で、設計指針を提案することとなり課題化
ISO 関係はここまでにして、スウェーデンといえば、
し、「衝撃負荷を受ける不静定構造物の弾塑性解析」
ROPS 発祥の地なのです。戦後まもなく、スウェーデ
を行って、昭和 50 年から型式検査に移行したわけで
ンでトラクターの転倒事故が相次ぎ、多くの犠牲者
す。現在は、錘をぶつける衝撃試験の代わりに静的
を出したことから、対策を取ることとになり、転倒
負荷試験に代わっていますが、フレームが塑性変形
しないトラクターの開発(予防安全)に進むか、転倒
することで必要なエネルギーを吸収するかどうかの
してもオペレータを軽傷以下で守る(事後安全)かの
判定をしていることには代わりがありません。
議論を経て、事後安全としての方策を採用し、連続
転がりをしない構造や、転倒時にトラクタが受ける
現在日本では、トラクターの転倒・転落事故が 80
衝撃力などを測定分析して、例の 2 トンの錘をぶつ
件以上発生していますが、一刻も早く装着率が高く
ける試験方法の原型を 1950 年代の前半に提案したの
なり、犠牲者の減少を期待するところです。
です。農業機械関係の研究者の間では、ウプサラの
試験場はなじみのある場所です。小生は訪問したこ
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業 界 短 信
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農業機械の 18 年の出荷は 5160 億円
日農工が発表した平成 18 年1∼12 月の日農工統
計(部会統計)生産・出荷実績によると、生産額は
4949 億 9000 万円、前年比 99.1%、出荷額は 5160 億
2100 万円、同 99.8%と生産、出荷ともに前年を下回
った。出荷実績は、国内向けが、新農政の影響によ
る買い控え等があり需要が低迷したものの、輸出が
2けた増と好調を持続したことから、全体ではほぼ
前年並みをキープした。
ト ラ ク タ 出 荷 の 内 訳 は 、 20 P S 未 満 が 前 年 比
79.3%、20∼30PSが買い控えなどにより 88.2%と
減少、30∼50PSが 109.0%、50PS以上が 148.8%
と伸び、田植機は、98.4%、コンバインは、個人用
の中・小型に停滞感があり、92.2%だった。
タイショーが4列の苗箱並べ機新発売
自走式苗箱並べ機 ベルノ の2列並べ機BJX
−2、3列並べ機同−3に続き今春から発売する、
1時間当たり 900∼1400 箱(連続作業)の苗箱が並
べられる高性能機「BJX−4」で、スイッチひと
つで効率的に苗箱を並べることができる。並べ作業
のスピードを低速∼高速の間で無段階調整でき、作
業に応じた速度が選択できる。折りたたみ方式で移
動・収納が楽に行え、また、中央から簡単に左右に
分割でき、分割したモーター装着の1台は、2列並
べ機として活用することができるなど、条件に応じ
た作業が行える。4列仕様にするには、左右のフッ
クに連結するだけで、簡単に復元できる。
ササキコーポレーションが前進畦塗機を発表
新開発の前進畦塗機「マックスカドヌール」は、
畦のコーナーを前進状態のまま素早く処理する「マ
ックスシステム」を搭載、大区画水田における畦塗
り作業のさらなる効率化を実現する。最大の特徴は、
前進状態のまま畦のコーナー処理を一連の動作でで
きること。トラクターが前進状態のままハンドルを
切っても、同機は畦の終端まで直進して畦塗り作業
を行い、畦塗機だけその場で方向転換してすぐに次
の畦を塗ることができる。このため、1枚の田を仕
上げるのにバック作業をする必要がなく、作業効率
が向上する。
筑水キャニコムがコンクリート専用運搬車「砂男」開発
コンクリート専用の「コンクリート砂男」SC75
は、
「クローラタイプの生コン専用車としては世界初
登場」(同社)。生コンなど流動物の排出を効率良く
行うために最大ダンプ角度を 90 度とした。また、バ
ケットはポリエチレン製なので滑りがよく、メンテ
ナンスも容易にできる。耐候性・衝撃に強く、強ア
ルカリ性の生コンによる腐食の心配がない。走行は
HST方式の採用により無段変速。1本走行レバー
の操作だけで前後進・左右旋回が思いのままにでき
る。
ヤンマー農機が小型クローラトラクター発売
18 馬力のCT118、22 馬力のCT122で、F
DS・丸ハンドルをはじめ、充実した機能を装備し
ている。主な特徴は、
1. 大排気量でハイパワー、環境に優しい 新
型TNVエンジン 。大排気量ロングストロ
ークエンジンにより、高負荷作業でも粘り
を発揮。余裕のある作業を行える。
2. すぐれた駆動力を発揮する 三角フルクロ
ーラ 。ダブルイコライザの採用で、畦越え
や圃場の出入りも安心して行える。
3. 乗用車感覚で軽快に運転・作業ができる 丸
ハンドルFDS
―など。
クボタがコンバイン誕生 40 周年記念号
ニューエアロシリーズのキャビン記念号(3∼6
条刈り)とスーパーデラックス記念号(3∼4条刈
り)、デラックス記念号(3条刈り)で、キャビン記
念号では、後方確認がしやすく後進時の不安を解消
する「バックモニター」
、モミ排出時の操作が簡単に
行える「無線アンローダリモコン」
、運転席に座った
ままで、左分草かんの開閉ができる「電動分草かん
オープン」などを特別装備。スーパーデラックス記
念号は、
「無線アンローダリモコン」などのほか、モ
ミ排出時の作業性が向上する「延長アンローダ」を
装備。デラックス記念号は、旋回中のクラッチ操作
が不要な「刈取オートクラッチ」などを装備してい
る。
本田技研工業が耕うん機「パンチ・エックス」発売
「パンチ・エックス」(F402J)は、耕うん作業
速度の変速(前進2段)や後進への切り替えが簡単
に行えるチェンジレバーを採用。握ると動き、放す
と作業が停止するクラッチレバーにより扱い易さと
操作時の負荷軽減を追求した。さらに、新開発のL
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型耕うん爪により、硬い土や粘り気のある土でもし
っかりと食い込みのよい確実な耕うん作業が可能と
なっている。低重心に配置した軽量・コンパクトな
4ストロークOHVエンジンとあいまって、取り回
し易く、安定した走行・作業性能を実現した。
新発売されるのは、ベース野菜のキャベツ・玉ね
ぎ・人参・コーンに加え、ぷりぷりのえびとわかめ
の入った「野菜とえび」
、椎茸・しめじとネギの入っ
た「野菜ときのこ」の2品目でいずれも出来上がり
重量は 218g。お湯を注ぐだけで食べられる「マジッ
クライス」シリーズに新たに 発芽玄米にドレッシ
ング をかけて食べる、これまでにないサラダ感覚
の新しい食べ方を提案した製品で、今話題のギャバ
や食物繊維など健康をサポートする栄養成分が豊富
に含まれている。新感覚の主食として朝食や昼食に、
また、肉料理や魚料理の付けあわせとしても美味し
く食べることができる。
細断型ロールベーラが
畜産大賞の研究開発部門最優秀賞を受賞
「細断型ロールベーラの開発と高品質コーンサイ
レージの調製技術」
(生研センター細断型ロールベー
ラ研究開発グループ・道宗直昭代表)が、中央畜産
会が実施した平成 18 年度の畜産大賞の研究開発部門
で最優秀賞に選ばれ、表彰を受けた。表彰式には代
表の道宗氏と山名伸樹氏が出席。表彰状、トロフィ
ーが授与された。また、表彰式に先立って業績発表
があり、道宗氏が細断型ロールベーラについて、栄
養価に富むコーンサイレージを省力的に利用でき、
飼料自給率向上につながるなどと語った。
三菱農機が東西で有力販売店会議を開催
今年1月に発足した東日本三菱農機販売株式会社
と西日本三菱農機販売株式会社の設立披露を兼ねて、
横浜と岡山で開催した。会議では清水社長が「三菱
農機改革元年」と位置付け、同社の経営状況につい
て「社長就任時の想定を、はるかに超える厳しい実
態にある」と指摘したうえで、三菱重工業株式会社
による増資(60 億円)引き受けによる支援を得て、
(1)販売体制の再編と効率化(2)内製力の強化(3)商
品戦略の再構築(4)伸長分野への重点注力の4点を
改革の柱とする経営健全化策を打ち出し、19 年度か
ら3カ年計画で断行すると決意を述べた。
第 17 回ヤンマー学生懸賞論文・作文で表彰式
今回の論文の部大賞は明治大学農学部2年の小林
晴子さんと畠山裕世さん(作品名=「農嫁」はNO
か?∼農家の嫁不足への提案∼)、作文の部金賞は宮
崎県立農業大学校畜産学科1年の佐々木みかさん
(同=牛と過ごす真夏の農大生活)
。表彰式では、論
文の部入賞者 15 人・3グループ、作文の部入賞者 16
人が表彰された。作品について審査員からは、これ
まで以上にテーマの広がりがみられ、多様でおもし
ろく、時代性があるなどと高い評価があった。
有光工業が動噴2機種を発売
新発売したのは自走式動噴「ポニースプレー」3
型式、ポータブルセット動噴「コロンボーイ」1型
式。新型「ポニースプレー」は、デザインを一新、
さらにレベルアップし、使い易さを追求した。AT
C‐642MPR2は、セルスターター方式で、巻き取
り・送り出しがラジコンにより自動で行える。また、
新機構のロングガイドアームを採用し、傾斜地でも
操作しやすく、ホース操作も敏感に反応する。ポー
タブルセット動噴「コロンボーイ」は、庭や畑の防
除・除草に最適で、車軸の交換で前輪が2段階に幅
の調整が可能、アルミ台車仕様により手軽に押して
利用できる、などの特徴がある。
スター農機が新型ドリームハローを発売
好評の「NS/NR・タイプ」をさらに改良した
モデルチェンジ機、
「ドリームハロー NS/NR・
タイプ」で、新たに麦わら・稲わらなどを土中深く
埋め込むための大型スプリングレーキを採用したほ
か、スイングラバーや波型延長レーキなど数々の新
機構を装備している。
主な特徴は、
1. 圃場の微妙な凹凸でトラクタが左右に傾いて
も、スイングラバーのしなやかさが傾きを吸収
する。
2. トラクタに乗ったまま開閉できる延長レーキ
は波型になっており、側方への土の吐き出しを
抑える。
3. 均平性能向上のためレーキを独立させ、均平板
とレーキのすき間から密度の小さい花泥を出
すことにより、一層美しく仕上がる。
―など。
オーレックが新畦草刈機を発売
自走二面畦草刈機の2機種で、ウイングモアーW
M616 は、年配者や女性でも、狭い畦の上をより楽に
草刈り作業ができるよう前後のバランス、取り回し
操作性を重視して開発。スーパーウイングモアーW
M1107TLは、短い法面より長い法面まで対応でき、
高度な畦二面同時刈り取り性能を発揮する。前後車
輪同時駆動のため横滑りせず直進走破性に優れ、湿
地での沈みが少なく、畦越え、溝越えも楽にできる。
サタケが発芽玄米サラダの「マジックライス」
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