2015 年 5 月号 「佐世保市立総合病院 vol.96 地域連携室だより」 がん相談支援センター がん相談員 空閑 郁子 当院のがん相談支援センターにおける平成 26 年 ます。また、院内外の医療関係者よりがんに関する 度の活動報告を致します。がん相談総数は 1278 件 治療やセカンドオピニオンなどの医療機関の情報 でした。平成 25 年度より件数は減っていました。 希望の相談が多くなっています。 3.患者さんの状況・特性について 相談件数年次推移 (件) 1600 1400 1200 1000 800 600 400 200 0 1530 1278 1233 851 189 388 555 ①診療状況:当院の診察券を有している患者さんが 87%、診察券を有してない患者さんが 8%でした。 診察券を有している患者さんの内訳は、 外来が 74%、 711 入院が 13%でした。 ②症状の有無、がんの状況:全体の 45%に症状が あり、また、再発・転移のある方は全体の 25%と、 平成 25 年度と同様の結果でした。 ③年齢:上位から 60 1.対応について 代、70 代、50 代、 対応は、対面が 52%、電話 48%でした。対面の 対応方法 外来 5% 病棟 2% 来室 45% 電話 48% 方法は、来室が最も多 す。50~80 代が全体 多く、件数は少ないで の 75%で、その子ど ですがスタッフが病棟 も及び配偶者が相談 棟や外来に出向いて相 に来られる現状であ 相談を受けるケースも ると考えられます。 もあります。 ④現在の治療状況: 2.相談者について 診断前から治療中が 患者本人が 31.0%、 相談者 友人・ その他 知人 6.6% 1.0% 医療関 係者 22.9% その他 の親族 5.0% 配偶者 15.7% 80 代と続いていま 不明 0.4% 本人 31.0% 子ども 17.3% 全体の 60%で、治療 家族が 38.0%、医療 後が 13%、経過観察 関係者が 22.9%でし 中が 12%でした。ま た。家族の内訳は、 た、診断前の相談の 90~ 99 2% 年齢 10~ 19 1% 30~ 39 1% 20~ 29 1% 不明 11% 60~ 69 28% 40~ 49 8% 80~ 89 12% その他 1% 概ね治 療三ヶ 月以降 経過観 察中 13% 治療後 17% 70~ 79 23% 50~ 59 13% 治療状況 不明 9% 診断前 8% 治療前 20% 治療中 32% 子ども、配偶者がほ 割合は、平成 25 年度 ぼすべてを占めてい は 5%(81 名)でしたが、平成 26 年度は 8%(99 名)に増加しています。治療開始以前でも診断前の 「がんかもしれない」と告知された時点での相談件 保障制度」 、 「セカンドオピニオン」、 「医療費・生活 数が増えています。 費」の順でした。 上記相談内容が多かった要因として、1 つ目には、 ⑤がんの種類:上位より肺がん、大腸がん、乳がん、 血液・リンパ、胃がんの結果でした。国立がん研究 相談者は、治療と同時に受診や入院までの流れや手 センターがん情報対策センターが平成 27 年 3 月 26 続き、入院期間など、検査治療を受ける際の具体的 日に発表した長崎県の 2011 年度の罹患統計では上 イメージができる情報を得たいニーズと、治療決定 位より大腸がん、胃がん、肺がん、前立腺がん、乳 や治療の場所の迷いが考えられます。2 つ目には、 がん(女性の 1 位は乳がん)の順でした。罹患率の がん治療にも高額な治療費と生活が切っても切れ 高いがん種の反映と、罹患率上位のがん種のなかで ない問題であることが考えられます。3 つ目には、 前立腺がんは 5 年生存率がトップ(長崎県がん対策 不安・精神的な苦痛の結果からも、がん患者さん、 情報システムより)で他のがん種よりも相談が少な ご家族は、様々な意思決定や生活にともなう不安を くなった可能性があり、相談件数には予後状況の背 抱えて暮らしていることが考えられます。 景も推察されます。また、長崎県は血液疾患が多く、 当院は、がん診療連携拠点病院であることからも 当院は血液疾患や 6 番目の頭頚部の診療については 今後は治療相談に加え、在宅医療や緩和ケアに関す 長崎県北地区のがん治療を担う病院で、患者さんが る相談にも増えてくるが予測されるため、対応をし 佐世保市外から治療の場所として来院されている ていきたと考えています。 ことも、件数の誘因として考えられます。 (人) 最後に、がん相談員が相談を受ける際、「からだ (診療)」「こころ」「くらし」の側面から相談者の がんの種類 250 ニーズをアセスメントしながらがん患者さん、ご家 200 族と向き合っています。「がんかもしれない」と言 150 100 われた患者さん、ご家族はじめ、相談者のみなさま 50 の悩み、困りごとを一緒に考え、解決に向かう方向 0 肺 が ん 大 腸 が ん 乳 が ん 血 液 ・ リ ン パ 胃 が ん 頭 頚 部 肝 ・ 胆 が ん 子 宮 ・ 卵 巣 が ん 前 立 腺 ・ 精 巣 が ん 膵 臓 が ん 膀 胱 ・ 腎 が ん 脳 ・ 神 経 ・ 目 食 道 が ん 甲 状 腺 ・ 副 腎 が ん そ の 他 性を見出すお手伝いができるよう、今後もこころに 不 明 寄り添いながら支援を行っていきたいと思ってい ます。また、がん相談支援センターは院内だけでは なく、地域の相談窓口です。院外の皆様へのアナウ ⑥相談内容:相談件数は、「受診方法・入院」、「治 ンスもすすめ、がん相談支援センターの役割を広げ 療」 、 「不安・精神的苦痛」 、 「医療機関紹介」 、 「社会 ていきたいと考えています。 相談内容 (件数) 350 300 250 200 150 100 50 0 受 診 方 法 ・ 入 院 治 療 不 安 ・ 精 神 的 苦 痛 医 療 機 関 紹 介 社 会 保 障 制 度 セ カ ン ド オ ピ ニ オ ン 医 療 費 ・ 生 活 費 症 状 ・ 副 作 用 ・ 後 遺 症 在 宅 医 療 入 院 病 院 探 し 医 療 者 と の 関 係 日 常 生 活 臨 床 試 験 ・ 先 進 医 療 緩 和 ケ ア 検 査 家 族 と の 関 係 介 護 医 療 用 か つ ら 看 護 社 会 生 活 検 診 告 知 が ん パ ス イ ン フ ォ ー ム ド コ ン セ ン ト 施 設 入 所 サ ー ビ ス が ん の 治 療 実 績 ・ 統 計 補 完 代 替 療 法 が ん 予 防 養 育 友 人 ・ 知 人 ・ 職 場 の 人 間 … そ の 他 ~千住博内科における担癌患者の在宅診療~ 千住博内科 院長 千住晋 (1)千住博内科の紹介 先生 (2)佐世保市立総合病院への要望 当院は、佐世保駅そばで開業している有床診療 転院に関しては、ご多忙と思いますが、時間の 所・強化型在宅支援診療所です。昭和 31 年、父 許す限り出席いたしますので、退院前カンファレ の開業当時から、診療報酬上の名前は変わってお ンスをお願いしたいと考えます。医学的なことで りますが、在宅診療は継続いたしております。 は、院内で他職種カンファレンスされていらっし 癌患者さんについては言えば、安定されている ゃると思いますが、開業医に開放頂けるものがあ 患者さんは、がん連携パスにて抗がん剤治療まで ればと思います。長崎大学病院では、そのために いたしております。がん連携パス以外では、全身 夕方 18 時以降に開催されているカンファレンス 管理を主にいたしております。 も多いようです。 介護付き有料老人ホームやグループホームの 一般的なことでは、病院で色々な講習会を開催 患者さんは、担癌状態でも施設受け入れ可能なら、 されていらっしゃいますが、内容によって介護支 外来在宅診療ともに管理いたします。施設の受け 援専門員など他職種に広報頂ければ幸いです。 入れ状態にもよりますが、施設看取りも数例あり ます。 外来は、他の医療機関とあまり変わりないと考 えます。 在宅診療では、人工呼吸器以外にはほぼ対応し ております。看取りに関しては、患者さん、ご家 族の了承があれば、在宅にていたします。 担癌患者さんの入院は、急変や看取りでは対応 いたしますが、正直なところ、長期入院は充分対 応できておりません。 緩和医療については、外来では院外薬局の協力 (3)あじさいネット宣伝 もあり、麻薬も含め、他種の鎮痛剤使用しており 皆さんは、あじさいネットを使っていらっしゃ ます。入院では、麻薬を種々持てず、佐世保市立 ると思いますが、色々な使い方ができるようにな 総合病院からご紹介頂いた患者さんは、麻酔科に っております。 て麻薬処方を頂いている状況です。他の医療機関 からご紹介頂いた患者さんでは、緩和医療がなか なか出来ておりません。 第一は、緊急時に患者さんの ID 番号が解れば 臨時で閲覧できるようになりました。 第二は、iPad にて閲覧できるようになってお ります。在宅診療で使う時は便利です。 各々が記入すると、他のメンバーにメールが届 き共有できます。皆さんで使用されると便利な機 第三は、訪問看護ステーションや薬局でも患者 能と思います。詳細は、県医師会にお尋ね下さい。 メモが使えるようになっております。 平成 27 年 3 月の救急外来 患者数 742 人 救急車搬入 ドクターヘリ による搬入 255 人 紹介患者数 入院患者数 227 人 321 人 (救急車使用 172 5人 人) 平成 27 年 3 月の紹介患者数 紹介患者数 市内 市外 2,126 人 1,537 人 589 人 紹介率 87.8% 逆紹介率 一般病床 利用率 79.5% 90.2% 地域連携室の モットーは 1.笑顔 2.親切 3.丁寧 「かのこゆり」体裁変更のおしらせ 今年度より病院広報誌「花みずき」と、地域連携室だより「かのこゆり」のあり方を整 理し、現在の体裁の「かのこゆり」は今号で終了することになりました。来月より地域連 携室だより「かのこゆり」は FAX にて、医師不在情報や講習会などの速報を月刊および臨 時号にてお伝えする事となります。ご好評頂いておりました、がん治療などのコラムは「花 みずき」に掲載する予定です。これまでご愛読ありがとうございました。 〒857-8511 佐世保市立総合病院の理念 私たちは患者様を中心として、安全で安心できる 心暖まる医療を提供します。 1.チーム医療の実践 2.インフォームド・コンセントに基づいた医療 3.先進的な高度医療 長崎県佐世保市平瀬町 9-3 佐世保市立総合病院 地域連携室 室長 : 中村 昭博 担当 : 畑中 福田 酒井 野田 田渕 楠本 外尾 空閑 藤木 斉藤 北村 豊島 TEL(0956)24-1515(内線 6921) FAX(0956)24-0474(連携室直通)
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