農作物病害虫発生予報 3月 平成26年 3月3日 ~目 Ⅰ 山口県病害虫防除所 山口県農林総合技術センター 次~ 予報の概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 予報 【主要病害虫】 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2 Ⅱ 【その他の病害虫】 Ⅲ Ⅰ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8 参考(予報の見方、気象予報)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9 予報の概要 現 農作物名 病 害 虫 名 予想発生量 況 平年比 前年比 カンキツ かいよう病 やや少 やや少 多 タマネギ 白色疫病 平年並 平年並 前年並 べと病 平年並 平年並 前年並 灰色かび病 やや少 やや少 少 うどんこ病 やや少 やや少 少 少 少 少 ハダニ類 平年並 平年並 前年並 アザミウマ類 やや多 イチゴ アブラムシ類 作 物 普通作 - 多 担当者 福原(病害)中川(虫害) 果 樹 唐津(病害)殿河内(虫害) 野 菜 吉原(病害)溝部(虫害) - 1 - お問い合わせ先 TEL (083)927-4006 FAX (083)927-0214 E-mail:[email protected] カンキツ 1 かいよう病 (1) 予報内容 予想発生量 現 況 防除時期 平年比 前年比 やや少 (2) やや少 多 発芽前(3月) 予報の根拠 ア 2月中旬の越冬病斑調査では、発生ほ場率10.0%(平年19.9%)、発病葉率 0.3%(平年1.8%)で平年に比べやや少なかった(-)。 イ 気象予報では、3月の気温は平年並みまたは低く、降水量は平年並み(±)。 (3) 防除対策 <耕種的防除> ア 病斑のある葉や枝の剪除を徹底する。 イ 防風樹や防風ネットを整備し、強風による枝や葉の付傷を防ぐ。 <防除のポイント> かいよう病にかかりやすい品種(アマナツ、イヨカン等)や越冬病斑が認め られる園では、発芽前に無機銅剤(ICボルドー66D、コサイドボルドー、Z ボルドー等)を必ず散布する。 タマネギ 1 白色疫病 (1) 予報内容 予想発生量 平年並 現 況 平年比 前年比 防除時期 平年並 前年並 発病初期 (2) 予報の根拠 ア 2月下旬の巡回調査では、発生ほ場率0%(平年1.7%)、発病株率0%(平年 0.4%)で平年並みであった(±)。 イ 気象予報では、3月の気温は平年並みまたは低く、降水量は平年並み(±)。 防除対策 (3) <耕種的防除等> 水媒伝染するため、ほ場の排水を良好にする。 <防除のポイント> ア イ 発生初期にジマンダイセン剤など予防効果主体の薬剤を散布する。 発生が多い場合は、治療効果の高い薬剤(リドミルゴールドMZ剤、プロポ ーズ剤、フォリオブラボ剤、ホライズン剤等)により直ちに防除する。ただし、 これらの薬剤は耐性菌が出現しやすいことから、同一薬剤の連用は控える。 - 2 - 2 べと病 (1) 予報内容 予想発生量 防除時期 平年並 前年並 発生前 平年並 現 況 平年比 前年比 (2) 予報の根拠 ア 2月下旬の巡回調査では、1a調査では越年り病株の発生ほ場率0%(平年0.9 %)、発病株数0株(平年0.0株)で平年並みであった(±)。 イ 2月25日現在、越年り病株の初発生は認めておらず、平年(平年初発:2月14 日)に比べて遅い(-)。 ウ 気象予報では、3月の気温は平年並みまたは低く、降水量は平年並み(-)。 防除対策 (3) <耕種的防除等> 越年り病株は重要な伝染源となるので、見つけしだい抜き取る。 <防除のポイント> ア 越年り病株が10a当たり3株以上確認されるほ場では発生が多くなるので、 予防散布を徹底するとともに、二次感染株の発生にも注意し、ほ場の発生状況 をこまめに確認しておく。 イ 越年り病株が増加する前の3月上中旬頃から、ジマンダイセン剤などの予防 効果主体の薬剤を定期的に散布する。 ウ 二次感染株が確認された場合は、治療効果の高い薬剤(リドミルゴールドM Z剤、フォリオゴールド剤、プロポーズ剤、ホライズン剤等)により直ちに防 除を行う。 ただし、これらの薬剤は耐性菌が出現しやすいことから、同一薬 剤の連用は控える。 イチゴ 1 (1) 灰色かび病 予報内容 予想発生量 防除時期 やや少 発生初期 やや少 現 況 平年比 前年比 (2) 少 予報の根拠 ア 2月下旬の巡回調査では、発生ほ場率0%(平年15.0%)、発病果率0%(平年 0.1%)で平年に比べやや少なかった(-)。 イ 気象予報では、3月の気温は平年並みまたは低く、降水量は平年並み、日照 時間は平年並みまたは少ない(±)。 - 3 - (3) 防除対策 <耕種的防除等> ア 被害果や被害茎葉は伝染源となるので、施設外に持ち出し処分する。 イ 天気が良く、気温が高い日にはハウスを開放し、施設内の湿度を下げる。 <防除のポイント> ア アゾキシストロビン剤(アミスター剤)、ジカルボキシイミド系薬剤(スミレ ックス剤、ロブラール剤)は県内の一部で、ポリオキシン剤は全域で耐性菌が 出現しているため、使用後は必ず防除効果を確認し、防除効果が劣る場合は使 用を控える。 イ 耐性菌の出現を避けるため、同一薬剤の連用並びに同一系統の薬剤間での輪 用は避ける。 2 うどんこ病 (1) 予報内容 予想発生量 現 況 防除時期 平年比 前年比 やや少 (2) やや少 少 発病前または発病初期 予報の根拠 ア 2月下旬の巡回調査では、発生ほ場5.0%(平年24.5%)、発病葉率3.0%(平年 3.4%)、発病果率0.3%(平年0.3%)で平年に比べやや少なかった(-)。 イ 気象予報では、3月の気温は平年並みまたは低く、降水量は平年並み、日照 時間は平年並みまたは少ない(±~-)。 (3) 防除対策 <耕種的防除等> 被害果や被害茎葉は伝染源となるので、施設外に持ち出し処分する。 <防除のポイント> ア イ 発病前の予防散布及び発病初期の散布を徹底する。 古葉を除去し、通風をよくすると共に、葉裏への薬液の付着を高める。 ウ また、薬液が葉裏や新芽に十分にかかるよう丁寧に散布する。 薬剤散布後は防除効果を確認し、その後も発生が認められる場合は、約7日 おきに1回~2回薬剤を散布する。なお、トリフルミゾール剤などのEBI剤 は、一部で感受性の低下した菌が確認されているため、防除効果が劣る場合は 使用を控える。 エ 薬剤耐性菌の発達を避けるため、同一系統薬剤の連用は避ける。 - 4 - 50 H25年 H24年 40 発 生 ほ 場 率 % 平年 30 20 10 0 9月下旬 10月下旬 11月下旬 2月下旬 3月下旬 イチゴうどんこ病の発生推移 3 アブラムシ類 (1) 予報内容 予想発生量 少 (2) 現 況 平年比 前年比 少 防除時期 少 発生初期 予報の根拠 2月下旬の巡回調査では、発生ほ場率5.0%(平年17.3%)、寄生株率0.2% (平年2.1%)で平年に比べ少なかった(±)。 (3) 防除対策 <耕種的防除等> 下葉の葉かきをこまめに行う。 <防除のポイント> ア ほ場をよく観察して早期発見に努める。 イ 薬剤散布を行う場合は、ミツバチに影響の少ない薬剤を使用する。ミツバチ は薬剤の影響が無くなってから施設内に戻す。 (山口県農作物病害虫・雑草防除指導基準-Ⅴ病害虫・雑草の生理生態と防除対 策-11 生物農薬-(6)ミツバチの訪花活動に対する農薬の影響-494頁 http://www.nrs.pref.yamaguchi.lg.jp/hp_open/a1720160/00000008/09-5mitu bachi.pdf を参照) - 5 - 10 H25年 8 ( ) 寄 生 株 率 H24年 平年 6 4 % 2 0 9月下旬 10月下旬 11月下旬 1月下旬 2月下旬 3月下旬 4月下旬 イチゴ アブラムシ類の発生推移 4 ハダニ類 (1) 予報内容 予想発生量 現 況 防除時期 平年比 前年比 平年並 (2) 平年並 前年並 発生初期 予報の根拠 2月下旬の巡回調査では、発生ほ場率25.0%(平年40.5%)、寄生株率4.8% (平年15.1%)で平年並みであった(±)。 防除対策 (3) <防除判断> ア ハダニ類は体長が0.5㎜程度と小さいため、ルーペを使用して葉裏を確認す る。ナミハダニは体色が薄緑色で、体色が赤いカンザワハダニに比べ確認しに くいため、より注意が必要である。 イ 摘除した下葉10枚程度を白い紙袋に入れ、ほ場に1日置くと翌日にはハダニ は新鮮な葉を求めて移動し、紙袋の上部に集まるため容易に観察できる。 <(参考資料)イチゴのハダニ類簡易調査法を参照> ウ ハダニ類は部分的に発生することがあるので、ほ場全体をよく観察し、発生 を認めたら直ちに防除を行う。 <防除のポイント> ア コテツ剤、オサダン剤、サンマイト剤及びニッソラン剤は県内全域で感受性 が低下している。また、その他のダニ剤(マイトコーネ剤、コロマイト剤、カ ネマイト剤、ダニサラバ剤)は、一部で感受性が低下しているため、使用後は 必ず防除効果を確認し、防除効果が劣る場合は使用を控える。 イ 下葉の裏に多く寄生しているので、不要な下葉を除去した後、薬剤を丁寧に 散布する。 ウ 気門封鎖剤等の物理的防除剤は卵には効果がないため、7~10日後にもう一 回散布する。 エ 薬剤抵抗性を発達させないため、同一系統薬剤の連用は避ける。 - 6 - オ 天敵昆虫(チリカブリダニ、ミヤコカブリダニ)は次のことに注意して使用 する。 (ア)発生初期に放飼する(ミヤコカブリダニはハダニの発生前の放飼可能)。 (イ)天敵昆虫に影響の少ない農薬を使用する。 (ウ)ハダニが発生している場所の近くを中心に放飼する。 カ 薬剤散布を行う場合は、ミツバチに影響の少ない薬剤を使用する。ミツバチ は、薬剤の影響が無くなってから施設内に戻す。 (山口県農作物病害虫・雑草防除指導基準-Ⅴ病害虫・雑草の生理生態と防除対 策-11 生物農薬-(6)ミツバチの訪花活動に対する農薬の影響-494頁 http://www.nrs.pref.yamaguchi.lg.jp/hp_open/a1720160/00000008/09-5mitu bachi.pdf を参照) 30 H25年 H24年 平年 25 ( ) 寄 20 生 株 15 率 % 10 5 0 9月下旬 10月下旬 11月下旬 1月下旬 2月下旬 3月下旬 4月下旬 イチゴ ハダニ類の発生推移 5 アザミウマ類 平成26年3月3日付け平成25年度農作物病害虫発生予察技術資料第9号参照 (1) 予報内容 予想発生量 現 況 防除時期 平年比 前年比 やや多 (2) - 多 発生初期 予報の根拠 2月下旬の巡回調査では、発生ほ場率25.0%(前年0%)、寄生株率4.8%(前年 0%)であった(+)。 (3) 防除対策 <防除判断> アザミウマ類は、気温が高くなると施設内に侵入し、施設内でも急速に増殖 するため、イチゴの花や幼果をよく観察して早期発見に努める。 <防除のポイント> ア アザミウマ類は、多くの薬剤に抵抗性が発達しているので、薬剤による防除 - 7 - 後は効果を確認し、効果が低い場合は他剤に変更し、再度防除する。 イ ウ 薬剤抵抗性を発達させないため、同一系統薬剤の連用は避ける。 カブリダニ(ミヤコカブリダニ、チリカブリダニ等)を放飼したほ場では、 影響の少ない薬剤で防除する。 エ 薬剤散布を行う場合は、ミツバチに影響の少ない薬剤を使用する。ミツバチ は、薬剤の影響が無くなってから施設内に戻す。 (山口県農作物病害虫・雑草防除指導基準-Ⅴ病害虫・雑草の生理生態と防除対 策-11 生物農薬-(6)ミツバチの訪花活動に対する農薬の影響-494頁 http://www.nrs.pref.yamaguchi.lg.jp/hp_open/a1720160/00000008/09-5mitu bachi.pdf を参照) 10 H25年 H24年 8 ( ) 寄 6 生 花 率 4 % 2 0 9月下旬 10月下旬 11月下旬 1月下旬 2月下旬 3月下旬 4月下旬 イチゴ アザミウマ類の発生推移 【その他の病害虫】 現 作 物 名 病害虫名 予 想 発 生 量 イチゴ 況 発生ほ場率 平年比 前年比 本年 平年 (%) (%) 菌核病 平年並 平年並 前年並 コナジラ ミ類 平年並 平年並 前年並 25.0 - 8 - 0 1.0 28.0 備 考 発病茎葉、発病果は除去す る。 Ⅲ 1 参考 予報の見方 (1) 病害虫発生量の基準(原則として過去10年間の発生量と比較) ア 平年比 多 過去10年間で最も多かった年と同程度以上の発生 少 〃 で最も少なかった年と同程度以下の発生 やや多 〃 で2~3番目に多かった年と同程度の発生 やや少 〃 で2~3番目に少なかった年と同程度の発生 平年並 〃 で標準的にみられた発生(上記4項目を除くもの) 注:過去の発生量との比較を表わすもので、被害や防除の必要性とは異なる) イ 前年比 多 少 前年並 (2) 平年比の5段階評価で区分し、前年の評価より多い発生 〃 前年の評価より少ない発生 〃 前年の評価と同等の発生(上記2項目を除くもの) 予報根拠における発生要因の評価基準 + 発生を助長する要因 ± 発生の助長及び抑制に影響の少ない要因 - 発生を抑制する要因 2 気象予報 (1) 概要 1か月気象予報(2月28日 福岡管区気象台発表) 予 報 低 い(%) 平年並(%) 高 い(%) 少ない 多 い 気 温 40 40 20 30 40 30 降 水 量 40 20 40 日照時間 週ごとの気温傾向 予 報 低 い(%) 1 週 目 40 2 週 目 40 3~4週目 30 平年並(%) 高 い(%) 40 20 40 20 40 30 - 9 - (参考資料)イチゴのハダニ類簡易調査法 <調査手順> 1 ハダニの発生しやすい場所(暖房機周辺や出入り口付近)から下葉を 10枚程度集め、白い紙袋に入れる。 2 葉を入れた白い紙袋を施設内に一日おき、葉を乾燥させる。 3 翌日、紙袋の上部を歩行するハダニ類(成虫、幼虫)を観察する。 ナミハダニの集団 <見分けるポイント> ナミハダニ(0.5㎜) (黄緑色) カンザワハダニ (0.5㎜) (赤色) ミヤコカブリダニ(天敵) チリカブリダニ(天敵) (オレンジ色、洋なし型) (赤色、足が長い) (ナミハダニを補食中) - 10 - ワタアブラムシ(2㎜程度) (緑色、黄色等個体差あり)
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