1 - 第9回三番瀬漁場再生検討委員会議事録 1 日時 平成19年 - 千葉県

第9回三番瀬漁場再生検討委員会議事録
1
日時
平成19年3月15日(木)午後2時~午後4時30分
2
場所
船橋市漁業協同組合
3
出席者
〈委員長〉
工藤
盛徳(東海大学海洋学部
名誉教授)
〈副委員長〉多田
和夫(千葉県漁業協同組合連合会
〈委員〉
正浩(東京海洋大学海洋科学部
能登谷
張
成
教授)
年((独)水産総合研究センター
大野
一敏(船橋市漁業協同組合
石井
洋祐(市川市行徳漁業協同組合
荒井
東京湾漁業振興室長)
中央水産研究所
代表理事組合長)
實(南行徳漁業協同組合
代表理事組合長)
代表理事組合長)
歌代
素克(市川市南行徳地区自治会連合会
小埜尾
精一(NPO 法人三番瀬環境市民センター
(欠席:中田
喜三郎(東海大学海洋学部
〈オブザーバー〉
市川市
〈県〉
赤塚水産局長、
室長)
会長)
監事)
教授))
菰岡水産課長、平山漁業資源課長、柿野水産総合研究センター次長
その他
〈一般参加者等〉
一般参加者
4
参加者合計
44名
5
議題
4名、漁業関係者
7名
(1) 平成18年度三番瀬漁場再生事業の結果について
・ 漁場特性マップの作成報告(平成18年度分)
・ 漁場再生調査結果(アオサ、アサリ、藻場造成試験)
(2) 平成19年度三番瀬漁場再生事業の計画について
・ 漁場特性マップの委託内容
・ アオサ対策、藻場造成試験等の取り組み
・ アサリ漁業及びノリ養殖対策
(3) その他
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6
議
事
(事務局(水産課
佐藤副課長)
お待たせしました。ただいまから第9回三番瀬漁場再生検討委員会を開会いたします。
本日の委員の方々の出席状況でございますが,昨日中田委員から急遽欠席される旨の
連絡をいただいております。工藤委員長におかれましては,こちらの方に向かっていらっ
しゃるというご様子のようですが,まだ到着されておりません。
本日は今,8名の委員の方々にご出席いただいている所でございます。
では,始めに赤塚水産局長からごあいさつを申し上げます。
(赤塚水産局長)
皆様こんにちは。水産局長の赤塚でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
大分春めいてまいりましたけれども,年度末を迎えて,委員の各皆様におかれましては,
大変お忙しい中,ご出席をただきまして,誠に有難うございます。
本委員会も第1回目を平成16年12月に開催して,スタートを切って,本日で第9回
と,9回目を迎えた訳でございます。
その間,関係する漁業協同組合や漁業者の皆さん方,これらの方々の要望や意向も
踏まえながら,試行錯誤をした部分もありますし,検討を重ねて参りますとともに,委員
の皆様方におかれましては,漁場の再生に向けてのご指導,ご支援をいただいてきた所で
ございます。
皆様に改めまして,御礼を申し上げたいと思います。
本日は,平成18年度に実施した三番瀬漁場再生事業の結果について,ご報告をさせて
いただくとともに,19年度に実施を予定しています事業計画につきまして,ご検討をい
ただく事になっております。
本日も限られた時間ではございますが,資料もお手元のように,かなり多目になって
おりますので,事務局の方としてもできる限り簡潔に要領よく説明をするよう努めますの
で,よろしくご検討いただきますよう,お願いを申し上げまして,ご挨拶といたします。
よろしくお願いいたします。
(事務局(水産課佐藤副課長)
それでは議事に入ります。
工藤委員長がまだお見えになっておりませんので,委員会規約によりまして,多田
副委員長に議長をお願いいたします。
(多田副委員長)
どうも皆さんこんにちは。
ただいま工藤委員長こちらに向かわれているという事で,ご説明ありましたので,
こ
ちらに工藤委員長が到着されるまでの間,私,非常に不慣れで拙いものでございますが,
議長を務めさせていただきたいと思います。
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皆様のご協力の程,よろしくお願いします。
それでは,一応進めさせていただきます。限られた時間の中での検討でございますので,
会議の円滑な進行につきまして,皆様のご協力お願い申し上げます。
また,予め会場の皆様にお願い申し上げます。各議題につきまして,ご意見,ご質問,
その都度おありかと思いますが,最後にまとめまして,いつものとおりでございますが,
時間を設けてお受けする事にいたしますので,よろしくご協力の程,お願い申し上げ
ま
す。
それでは始めに,前回の委員会における検討結果の確認,更には本日の議題設定の趣旨
につきまして,県からご説明をお願い申し上げます。
(山崎水産課振興室長)
水産課の山崎です。私の方から前回の委員会の検討結果から,ご説明させていただきま
す。
お手元に配布してございます資料の一番後ろのページをご覧いただきたいと思います。
40ページです。
第8回委員会,これが平成18年12月19日という事になっております。議題といた
しましては,3つ検討をいただいております。
結果の概要をご説明させていただきます。
まず,第一としましては18年度取り組み状況について報告させていただくとともに,
ご意見をいただきました。概要ですが,「三番瀬漁場特性マップ」につきましては,学識
委員と相談をしながら作成を進めていく事が,確認されております。
また,三番瀬漁場再生調査につきましては,次回委員会,つまり今回の委員会ですけれ
ども,本年度の調査結果を報告させていただきます。
次に19年度取り組み方向についてですが,19年度の取り組み方向につきましては,
基本的に了解されまして,次回委員会,この委員会ですけども,具体的な事業内容につい
て説明をさせていただく事になりました。
その他としましては,密漁の事が議題に上がりまして,これにつきましても,組合,県,
地元市,海上保安部,警察などでよく相談しながら,対策を講じていく事が確認された所
です。
以上が,前回の検討結果でございまして,今回の会議はその検討結果を受けまして,
平成18年度の再生事業の結果,それと来年度の計画についてご説明をさせていただくと
ともに,ご意見をいただきたいと思います。
以上です。
(多田副委員長)
どうもありがとうございました。それでは次第に従いまして議事に入ります。
議題の1番,「平成18年度三番瀬漁場再生事業の結果について」を議題といたします。
まず「漁場特性マップ」の作成報告について,県からご説明をお願いします。
- 3 -
(山崎水産課振興室長)
それでは,平成18年度実績につきまして,「三番瀬漁場特性マップ」の作成報告に
入る前に,平成18年度,どのような事業を行ってきたのかという事を,改めてご紹介さ
せていただきます。
お手元の資料の1ページをご覧いただきたいと存じます。
右の方に18年度実績と,真ん中の方に19年度の計画と書いてございますけども,
今回は18年度の実績について説明させていただきます。
主に,取り組む課題につきましては,長期的な取り組みと短期的な取り組みという形に
分けてございます。
まず18年度は,長期的な取り組みとしまして,「流れづくり」に取り組んできた訳
なのですけれども,この辺につきましては「漁場特性マップ」を作成するという形で,
18,19年度の2カ年度事業と,それぞれの事業につきましては,この概要説明が終わ
りましたら,個別にご紹介させていただきますが「マップづくり」を作成している所です。
それから「アオサ対策」につきましては,これは緊急的課題と位置づけられまして,発
生状況のモニタリングやアオサ回収システムの実用化,こういった事を行ってまいりまし
た。併せて有効利用策の検討等を行ってまいりました。
それから二つ目としまして,「藻場造成」,これにつきましては,アマモ場造成の試行
だとか,藻場の効果,これについて18年度行ってきております。
続きまして,「漁業技術による対応」としまして,アサリ漁業ですが,これは通常の
資源量等調査を行うと共に,冬季のアサリ減耗対策のために,波浪抑制手法の具体的検討
を行っております。
これは,この検討結果を用いて19年度に展開していこう,という形になっています。
それから,併せましてアサリ稚貝採取機の開発を行いました。
「ノリ養殖業」につきましては,「高水温耐性ノリ品種改良」という形で,5カ年とい
う形で取り組んでいる所でございます。これについても,後程ご説明させていただきます。
それでは,こういった報告があるという事で,これは目次だと考えていただきたいと思
います。
私の方の第1回目としましては,「流れづくり」の所についてご説明させていただきま
す。ご手元の資料の2ページをご覧ください。
「流れづくり」などの漁業環境改善手法の検討アプローチにつきまして,何回かご覧に
なっていると思いますけれど,改めまして復習させていただきたいと思います。
その「流れづくり」,「漁場マップづくり」といいますのは,この点線で囲ってありま
すように,2カ年で事業計画を作ってございます。「漁場特性マップ」を作りまして,
そして,その中から漁場環境の改善方向の検討をいたしまして,具体的なものを抽出して
いこうという形になります。従いまして,今年度の成果品といたしましては,「マップ
づくり」の途中経過が報告される事になります。
来年度において,具体的な「マップづくり」を完成させるとともに,具体的な改善方法
の検討を行っていくという形になりますので,この辺をご理解いただきたいと思います。
それでは続きまして,3ページをご覧いただきたいと思います。
これから,パソコンを使いまして,漁場はどう変わってきたかと。今まで打ち込んだ所
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に入っていく訳ですけれども,その前に,大体,この1年間でどんな事がわかってきたか
と,どこまでいったのかという事を,私の方から概略を説明させていただきます。
まず,4ページをご覧いただきたいと思います。
まず,この中に調査項目として海底地形から底質,アサリ資源量,漁獲量,ノリ養殖,
アオサ,海藻等という形でありますけれども,この中で水深につきましては,昭和55年,
62年,平成3年,12年,15年と,この5カ年間のデータをパソコン上に取り込んで
ございます。同じように,底質や中央粒径につきましては,昭和50年から平成17年に
かけてございます。
それからアサリの資源量につきましては,昭和63年から平成17年にかけて,それぞ
れの連続のものを,膨大な数のデータになりますけども,それを全てパソコン上に取り込
んでございます。
もう一回3ページに戻っていただきたいと思います。
ではそういったものを取り組んだ,途中経過という中で,具体的に検討を少し加えてみ
ますと,どういう事がわかってきたかといいますと,それを記載したものが3ページでご
ざいまして,まず,漁場環境特性といたしましては,(1)で水深がございます。これは航
路等を除きまして,浸食傾向にあるという事がわかってきております。
また底質につきましては,猫実川河口域を除き,三番瀬全体で砂が粗くなって,泥分は
減少する傾向にあるという事です。
流れにつきましては,全般的に毎秒10センチと流れは弱い状況です。
それから,市川漁港と日の出を結んだ線以西の海域では,流速が低くなる傾向があると,
つまり流れが遅くなる傾向で,15日間の残差流という事がありますけれども,これは言
ってみれば,水が滞留しているかどうかという事なのですけども,海水交換が低下してい
る事が示唆されています。
これは当初,想定した事で,やはり科学的と言いますか,データ的にも裏づけられたと
いう事です。
同じように,塩分につきましても,低下傾向が見られ,海水交換の低下が示唆されまし
た。
続きまして,波浪でございますけれども,波の高さは中央部で高くなる傾向があります。
それと,反対に市川漁港と日の出を結んだ線以西の海域では低くなる傾向にあります。
これを表すものといたしまして,②の砂等の底質は,中央部で移動しやすく,市川漁港
の以西の海域では移動しにくいという事が,示唆されています。
次に,アサリ漁業ですけれども,漁獲量は3,4年の周期で増減を繰り返しておりまし
て,最近では1,000トン以下に低迷しております。
それから,成貝,その分布でございますが,一部を除き,生息密度は減少していますが,
特に岸側寄りと中央部で減少が著しい,というような傾向がかいま見えてきました。
それから,稚貝の分布ですが,全体的に生息密度は減少しておりますが,水深の大きい
中央部に多く分布しており,春季産卵群の稚貝が多く確認されています。
この辺の春季産卵群について中央部に多いという事がわかっております。
それから,次に冬季の減耗ですが,各サイズとも冬季減耗は著しいが,船橋側の生存率
はやや高いという事で,船橋側に生き残っている貝が多いという事ですから,この辺にア
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サリの資源量を増やすヒントがあるのかなあ,というふうに考えております。
へい死の状況ですけども,貧酸素水の影響は,市川航路の西側,これが顕著です。
それから江戸川からの出水につきましては,当然ですけど流入地点に近い岸側での影響
が顕著に現れてきています。
続きまして,ノリ養殖業ですが,これはやはり生産者の思いと同じですね,養殖適地が
減少し,生産枚数も減少が著しい。
それから品質的にも低下していると,問題となる製品の割合が増加しているという事が
明らかになっています。
これは大ざっぱな途中経過ですけども,具体的に,これからはパソコン上のデータを動
かさせていただきます。こちらは,アルフア水工コンサルタンツの方から説明いたします。
(㈱アルファ水工コンサルタンツ
技術第1部
大谷部長)
アルフア水工の大谷でございます。具体的な中身について,パワーポイントを使いまし
て説明させていただきます。
先程お話ありましたように,特性マップに関しては,前回のこの委員会で学識経験者の
方のご指導をいただくという事で,作業を進めてまいりました。
それで,一応項目としては今ご説明がありましたような漁場の関係に関する事と,アサ
リ,ノリに関する事を整理しております。
それから主に物理環境に関しましては中田先生の方に,それからアサリに関して張先生,
ノリに関しては工藤先生のご指導をいただきまして,作業を進めてまいりしました。
項目としては,先程お話あったような項目でございます。
それで,基本的に,ここにありますような海底地形,底質,といったデータを地図上に
取り込みまして,それを重ね合わせしたりする事によって,漁場の環境の変化,或いは漁
場との関連性を明確にしようという目的でやっております。
データにつきましては,先程お話ありましたけども,物によって調査の密度が低いもの
についてはメッシュデータにできませんので,例えば底質に関するものは,約103回
ありますけれども,そのうち密度の濃いものについて,20回分ぐらいメッシュデータに
しております。
それから,アサリに関しましては134回で,代表的なものについて,メッシュデータ
を作っております。
それから,ノリの養殖に関しましても23回,アオサについても32回という形でデー
タございます。
これらを取り込んだという事です。取り込んだ結果について,主なものについて,これ
からご説明させていただきます。
始めに,これが海底地形の変化でございます。これは昭和55年の一番古い所の地形で,
次が平成15年2月のものです。
ですから,こういう格好で変化したという事でございます。
これはその変化量をとったものでございます。全体的に見ますと,青い部分が浸食で,
いわゆる深くなった所で,それから赤い方が堆積,浅くなった所です。これを見ますと,
全般的に三番瀬全体では浸食傾向で,昭和50年から平成15年,約22年間で見ますと,
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浸食傾向にあるという事です。
平均的な浸食量としましては,大体30センチ程度でございます。それから赤い部分に
つきましては,航路,それから澪筋,それから掘削されたような箇所で堆積傾向となって
おります。
それ以外には市川漁港とか海浜公園の前は,人為的な造成で堆積という事でございます。
次に,底質の特性でございます。右側は,底質の中央粒径を示したものです。赤が細か
いもので,グリーン,青になるに従って粗くなるという事です。
ちょっと説明が遅れましたけど,右上にはお手元の資料のページを明記しておりますの
で,離れて見にくい方はそちらの資料を参考にしてください。
これを見ますと,先程お話がありましたように,猫実川の河口の付近とか,このあたり
では粒径が細かい傾向にございます。中央部が粗い傾向です。
それで,62年と平成15年を比較しますと,色が全体的に濃くなっているという事が,
おわかりになられるように,全体的に粒径が粗くなっているという事です。
これに関係するものとしまして,泥分も減少傾向です。ですから泥分が減ってきている
という事です。あと,その他の指標につきましても,強熱減量,酸化還元電位というもの
がございますけど,やはり,これと分布と同じような傾向でございます。
ただ,強熱減量,酸化還元電位につきましては,長期的な傾向が余りはっきり出ていな
いという事です。
次に潮流のシミュレーションです。
前回一部ご報告しましたけれども,始めに計算モデルの検証という事で,東京湾全体の
計算を行っております。これについては1年間の計算結果をやりまして,実測値と比較し
まして,再現性,決定係数は0.7以上という事で確認しております。
予測計算の方は三番瀬の部分を90メートルメッシュという細かいメッシュで計算をし
ております。
今年度につきましては,秋の代表的な条件で15日間の計算をやっております。
それについて昭和55年の地形と平成15年の地形を使いまして結果を出しております。
これが予測計算の15日間の計算結果を示したものでございます。
今これ,アニメーションで動かして,ご覧にいれます。
特徴的なのはここから入ってきて,奥の方に移動,向かうと。上げ潮,下げ潮で当然流
れはかわりますけども,こんな状況で15日間の計算を行っております。
この計算結果を使いまして,今度は,三番瀬の奥の90メーターメッシュというものを
取り出したものをお見せいたします。これは平成15年の計算結果でございます。
これは同じように,下が潮位で,潮位の変動を示しております。当然,上げ潮の時は上
がっていって,下げ潮下がる,という流れになっております。
特徴的なのは,こういう航路で早い流れが入ってきているというような状況が見てとれ
るかと思います。
それから,この先端部分でも比較的早い流れが生じております。ただ,奥の方は,青い
のは風速が遅い所で,緑,赤になるに従って早くなるという事でございます。
15日間では潮汐の変動によって,流れが変化しているという事でございます。
この計算結果を整理したのが,この図でございます。これは大潮の上げ潮時の最強時で
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す。ですから一番流れが早い時の状況を取り出して示しております。右側にありますよう
に,赤くなるに従って流速が早くなって,ブルーが遅い流れです。
ここに書いてありますように,全体的に三番瀬の中のこういう部分では比較的ブルーで
すから,流速が遅いという事で,一番早い時でも10センチ以下位の流れしか生じていな
いという事です。
先程お話ししましたように,澪筋部分については赤くなっており,30センチ位より早
い流れが生じております。また,この先端部についても,そういった早い流れが見られま
す。
これが昭和55年の状況で,これが平成15年です。地形が変わった事によってどう変
わるかという事を見たものです。
比較していただいても,全般的な流れのパターンというのは大きな変化は生じていない
という事です。
流速の変化を比較的小さくして,全般的な傾向としましては,ここの市川漁港からここ
らにかけては比較的流速が小さい。若干ここら辺では増加傾向にある,というような傾向
が出ております。
次に,塩分濃度の変化で,これは昭和55年と平成15年,これは15日間の,単純に
平均した塩分です。パターン的に大きく変わっていないのですけれども,差をとってみま
すと,これが差です。青い色の所は塩分が下がった所,赤い所は塩分が高くなった所です。
先程言いましたように,パターンは変化してないのですけども,細かく差を見ますと,
猫実川河口のこのあたりでは塩分の低下が顕著であるという事で,全般的に,先程お話が
ありましたように,海水交換が前より悪くなっているのかなというような傾向が出ており
ます。
ただ変化としましては,これ見ていただいても0.5以下ぐらいの変化ですという事に
なっております。
次に,波浪のシミュレーションですけれども,これにつきましては波高が0.8メート
ル,周期が4.4秒という事で,大体,月最大の波を平均したような値を使って計算を行
っております。
これが昭和55年の波高の分布です。この矢印は波の入っていく方向を示していまして,
他と同じように青い所は波高が低くて,緑,赤となるに従って,波高が高くなる事を示し
ています。
全般的に見ますと,ここに比較的こう浅瀬がありますので,そこで波が砕けてそこから
奥に入っていくのが,全般的に波高が低くなっているという事でございます。この波向き
がこちらの方向から来ていますので,ここの部分というのは波に対して遮蔽された領域に
なりますので,波高が小さいというような状況になっております。
次に,平成15年です。ざっと見てわかるように,全体的に昭和55年よりは平成15
年の方が,全般的に波が高くなっている,という事です。
この原因としましては,先程地形変化でお話しましたように,全般的に水深が深くなっ
ているという事で,ここで波が砕ける場合は弱くなって,その結果奥に入ってくる波高が
高くなっているというような結果になっております。
平成15年と昭和55年の差をとったものが,この図でございます。白はほとんど変化
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がない所,青は波高が小さくなった所,それから緑,赤は波高が高くなった所です。
全般的に,ここの部分につきましては,水深が深くなった事によって,波が進入しやす
くなった結果,波高が高くなっているという領域です。この遮蔽された流域については,
変化がないか,やや波高が小さくなっております。
ここはちょっと地形的に浅くなったものですから,波高は低減しておりますけれども,
全体的には増大傾向が顕著だというような事になっております。
ただ,変化量自体は20センチ程度以下と,割合小さいというような結果になっており
ます。
次に,アサリ漁業に関するものをお見せいたします。
始めに,漁獲量ですけれども,全体的に言いますと,大体3年から4年の周期で増減を
繰り返しているという事です。ただ,昔は2,000から3,000トンぐらいあったので
すけど,最近では1,000トン以下という事で,増減を繰り返していますが,最近では
かなり減ってきているという事でございます。
アサリの実際の分布状況について,一番古い方の平成元年と平成17年を比較したもの
です。
この丸の大きさがアサリの個数を示しております。大きくなれば,当然いっぱいいて小
さくなると少なくなるという事です。
平成元年と17年比べますと,全般的に見ておわかりのように,全サイズの個数で見た
場合には,アサリの個数は減っていると。特にこのあたりの減少が著しいという事が明ら
かになっております。
今度は,稚貝を見たものです。同じように,平成元年,平成17年の結果です。
平成元年ですと,かなり稚貝の個数も多くて,特に日の出の先端付近と,ここら辺のあ
たりのものが多いというような状況になっております。
ところが,平成17年になるとこれだけ激減しまして,稚貝はかなり減っているという
事が明らかになっております。
次に,アサリへい死の状況ですけれども,主な時のものをここに示してございます。
これは貧酸素水が入った時の,昭和63年8月の状況です。これを見ますと,特に
こ
ちら側の所でへい死がかなり多く生じていまして,貧酸素水が入ってきた場合には,こち
らの方が,影響が大きく出るというような事が言えるかと思います。
今度は,江戸川の出水が起きた平成10年9月の状況です。この時には,4,100トンが
へい死した,という事です。
この時を見ますと,先程とちょっとパターンが違いまして,主に浅い所,ですから出水
の所に近いような所でへい死が起きているという事で,出水と貧酸素水の場合では影響の
出方が違ってきているのかなという事がわかるかと思います。
次にノリの養殖に関する変化状況です。これにつきましては,個別の図面がありますの
で,これで説明させていただきます。
これが生産枚数を見たものでございます。
左が昭和56年,右が平成17年です。
一目でわかるように,昭和56年では,かなり全体的に,三番瀬の全域で行われていま
して,最近ではほとんど生産場が減っているという事で,かなり適地が減ってきているの
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かなという事がおわかりいただけるかと思います。
個別の生産枚数で見ますと,特に大きな変化ないので,結局は適地が減った事によって
生産量自体が減っている,というような事が言えるかと思います。
今度,品質に関するものでございます。これは同じように,昭和56年,平成17年を
比較しております。昭和56年で見ますと,Bランク以上という品質の良いものが,大半
を占めているという事です。ところが最近になってきますと,品質の良いというものが,
非常に減ってきて,大体割合が25%以下位で,昔は大体50%位以上を確保していたの
が,25%位に減っているというような状況になっております。
同じように,問題がある製品はどうあったかという事です。これも同じく昭和56年,
平成17年の比較ですけれども,昔はほとんど問題となるような製品はなかったという事
ですが,最近では問題となる割合が50%位を超えるというようなものもありまして,大
体10%以上という事で,品質も低下しているというような状況でございます。
最後に,こういった地図上でする事をデータ化したものについて,いろんなデータを重
ね合わせができますので,幾つか事例をご説明します。
これは,底質の泥分とアサリの稚貝の分布を重ね合わせたものでございます。
泥分につきましては,こういう色が濃い所は泥分が多くて,ブルーになる程泥分が少な
くなる,という事です。
ですから,こういった所は泥分が比較的多い所で,泥分の比較的ない所で,平成元年は
稚貝が分布しております。
ところが平成10年で見ますと,泥分自体はそれ程大きな変化は示してないのですけれ
ども,稚貝自体はかなり減っているという事で,底質以外の要因も影響しているという事
で,この辺りは今後解析を進めて,色々なものと比較していく,という事を考えてみたい
と思います。
最後になりますけれども,これはアオサの発生状況はどう影響するかというものを調べ
たものです。
これは平成17年10月の状況です。この時には,かなりアオサは大量に発生しており
まして,その時の状況を示したものです。これはアオサの量と,あとアサリの全サイズの
個体数,それからあとノリの生産枚数を重ね合わせたものです。
ちょっと船橋側のデータが無いのではっきりはしない部分もあるのですけども,これで
見ておわかりのように,アオサが多い。マルが大きい所はアオサが多くいた所ですけれど
も,アオサが多くいるような場所では,アサリもノリもいないと,とれないというような
状況になっております。
ですからアオサの発生というのはアサリや或いはノリにかなり多くの影響を与えている
のかなあという事がおわかりいただけるかと思います。
それからもう一つは,このグリーンがノリで,これがアサリなのですけれども,アサリ
とノリに関しても,何となく棲み分けをしているような状況になっているという事で,こ
こら辺につきましては,今後データを加えまして,解析を更に進めていきたいというふう
に考えております。
以上で,「漁場特性マップ」の説明を終わらせていただきます。
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(工藤委員長)
どうもありがとうございました。
ただいまの「漁場特性マップ」に関しまして,質疑の時間を設けたいと思います。
マップの作成につきましては,本年度と来年度の2カ年事業という事になると思います。
ただいま業者の方からご報告ございました事というのは,今年度の進捗報告という事でご
ざいまして,中間的なものでございます。
何かご質問とか,ご意見ございましたら,お願いいたします。どなたか…。
では,私の方から最初の滑り出しみたいな所で。
資料でいうと18ページになります。アサリと底質を重ねていただいたので,ご説明の
中でも少しあったと思いますが,底質の変遷としては,だんだん粗くなってきている。泥
が減ってきている。この前にひとつ別の地形の問題があって,地形は全般的には,地形は
だんだん深くなってきて,底質は少し粗くなってくる。
単年度でのアサリの生息状況を見ると,砂地の所において,泥のような所にいないので
すね。所が経年的に長い時間でこう比べてみると,そのように泥が減ってきて,アサリが
いない,本当は泥が減ってきている,という部分があるにもかかわらずアサリがいなくな
ると。
だから,それは何かほかの部分があるのかなあとおっしゃっていますけど,あるのかな
あ,だけでは大変困る訳で,今後,どういう検討をすべきなのか,その辺の所のヒントが
ありましたら,お伺いしたいと思います。
(㈱アルファ水工コンサルタンツ
技術第1部
大谷部長)
今回ちょっと底質だけでやっていますけども,水質とかですね,そういった水質のデー
タを加えまして,分析を今後進めていきたいというふうに考えております。
(工藤委員長)
マップを作ってありますから,まあ水質のマップもあるし,その他のマップもある訳で
すね,だから色々と重ねてみていけば,何かわかるかという事だと思いますが,本当にわ
かるのですかね。
そこら辺が一番怖いのだけど,実はですね。それと何か肝心なものが抜けてはしないか
という事ですね。
(大野委員)
1989年から2002年までの間の流域の人口の増減とか,そういうのもかなり,湾
全体を見た時,魚の分布なんかについてもかなり変わっていますので,三番瀬だけの傾向
じゃないよと。いろんなファクターを集めないと,よくわからないのかなあと,そういう
気がしています。
(工藤委員長)
それからもう一つは,たまたま平成元年,平成14年と比較をなさったのですけれども,
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平成14年ではない最近というのもある訳ですよね。平成12年とか。そうするとやっぱ
り随分様子が違うのではないのでしょうか。
だから,そういう切り取り方というのが相当効いてくるのですね。切り取り方に,いわ
ゆる含みがないといいですね。そういう気がします。
切り取り方によって意見が誘導されてしまうような事がありますので,切り取る時には,
なるべくその辺をご注意なさって,やっぱり14年,元年の方はいいとしても,後ろの
14年の方,14年だけを切り取るのではなくて,12年,13年,14年というふうに
切り取って,そしておやりになった方が,見る人も納得できるものができると思います。
よろしくお願いいたします。
他に何かございますでしょうか。
(能登谷委員)
今のアサリの泥分との関係は,この図からすれば,余りデータと関係ないのです。むし
ろ,波浪とそれから水深だろうというふうに感じます。
それから最後の方で,ノリ,アサリ,アオサの分布図で,アオサのいる所ではアサリは
いない,それからノリのいる所には,アサリはいないと言ったのですけど,それはそうで
はないですね。これは,夫々が棲分けているという所が多いというふうに思います。
だから,うけとり方が違うのではないかというふうに思います。
それから,もう一つはノリの柵をどう置いているかにもよるものですから,その部分を
考えないと,正確な判定にはならないというふうに思います。
なので,ちょっと使い方として作為的な所が出てくるとまずいんじゃないのかと,その
辺は非常に丁寧ですね,先程の経年変化もそうですけれども,丁寧に見ていかないと,
大変ではないかと思います。
それから,特にアオサなんかを見ますと,アオサ自身の発生状況とかが年によって物凄
く違うのです。出たり出なかったりしますし,出る時と出ない時で全然違いますし,それ
も影響されます。従って非常に難しいのですけども,丁寧に見る必要があるのではないか
と思います。
(工藤委員長)
先程の能登谷先生のお話ですけど。
ノリは,明らかに場所は決まっておりまして,区画漁業権で,ですね,それに対して,
アサリというのは共同漁業権の中で探して歩いていると。
さらにアオサは,今度は漁業権にも何も関係なく,ただポイントを決めておいて,計量
してみるのですね。だからそういうふうなもとが全然違うから,ただ単純に重ねちゃいけ
ないという事ですね。
同じような見方をしてね,例えばアオサのポイントを決めたら,もうそういう事決まっ
ている訳です。その同じ調査時点でアサリをとっているとかね。
そういう事はしてないですね。
- 12 -
(小埜尾委員)
そうなのですかね。
どうしても,これ皆,データが10月なので,さっきから気になっていたのは,ノリ柵
が立っているのではないですか,どうなのですか,実際,アサリのポイントもアオサのポ
イントも,夏から夏前だったら,別にノリ柵関係なく,バアッとメッシュかけたらとれる
のでしょうけど,ノリ柵が張っている,ノリの網の下でアサリの調査はしてないですよね。
だから19ページにあるみたいに,こういう緑,黄色,緑,黄色みたいになる訳です。
始めから傾向としてね。船橋側は,データが無いから緑がない,というのと大して変わら
ないでしょうね。
そういう意味では,その10月ばっかりやっていたのだと,こうなるよという…。
(多田副委員長)
そういう意味じゃないです。調査は資源量調査のデータですから。鳥羽さんの方から…。
(小埜尾委員)
どっちかなと。
(水産総合研究センター東京湾漁業研究所
鳥羽のり貝類研究室長)
アサリの調査点は,ノリ柵に関係なく設定しております。勿論,ノリ柵の中そのもので
は,ちょっと出来ないですけれども。
(小埜尾委員)
ずらして,ちょっとずらしている。
(水産総合研究センター東京湾漁業研究所
鳥羽のり貝類研究室長)
むしろアサリの漁師さんの意見を聞いて,漁場になるような所を中心に,という事で,
ノリ柵は一応関係ないです。
(小埜尾委員)
逆に言うと,これはこういうふうになっているよと,考えた方が良い訳ですね。
(多田副委員長)
10月と言われましたけど,一応,これ漁業者の方で調査をやってもらっていますから,
年6回ですか。たまたま稚貝の発生との関係もあって,このデータは10月だけという事
になっているのかと思いますが,本当はもっとずうっとあります。
それをもう,やっぱり良く見るという事は大変な事だと思いますけど,やんなきゃいけ
ないんじゃないかなと,思います。
(工藤委員長)
10月だけで比べちゃいけないですね。
- 13 -
(多田副委員長)
ちょっと私の質問ですが,ノリの17ページですが,ノリの問題のある製品の割合が変
化という所,問題のある製品というのは,どういう等級の取り方をされたのか,それをち
ょっと教えていただけませんか。
問題等級というのは,結構ボコ,ボコ,ボコっていうのが出てきていて,一体何が問題
なのかなという事をお聞きしたかった。
何を問題として,データ取ったのかなあ,という事です。
(水産総合研究センター東京湾漁業研究所
鳥羽のり貝類研究室長)
申し訳ございません。私も全部細かい所まで覚えてないのですが,ただノリについては,
等級区分をする時に,製造要因と養殖要因という,二つの区分がございまして,つまり海
の中で,多分何かの障害があって,それが元で最終的に乾しノリにした時に等級が下がる
という場合と,海の中ではちゃんと養殖できているのだけれども,とってきた後で,陸上
ですく時に,まあ機械の調子か何かで悪くなってしまうという,そういう場合があって,
その前者の方ですね。
海の中で調子が悪いという,こういう状況を出してきたもので,これはですから一つの
原因ではないのです。例えばその白ぐされ等の病気が出てそれが残っていたりとか,或い
は赤潮みたいなものが出て色落ちしたとか,そういったような等級を,多田さんもご承知
かもしれませんけれども,C等級とかございますね,そういうのを集めたものです。
(多田副委員長)
わかりました。どうもすみません。
(工藤委員長)
ほかにどなたか。
(歌代委員)
実はこのデータを見て,私は感じるのですが,日の出から猫実川河口を見まして,潮流,
塩分,底質,それから生産性の問題,ノリとかアサリの問題等々を考え,マップだけを見
ると,全くこの一角,三角形の所は漁場として価値がない,というふうに思っても良いの
でしょうかね。
(水産課
山崎振興室長)
これはあくまでも途中経過でして,その辺の所は,全体にデータを加えまして,専門家
の委員又は漁業者の委員の皆さんの意見をお聞かせ願ってですね,漁場的な価値の評価は,
これからの検討だと考えております。
(工藤委員長)
という事なのだそうです。
- 14 -
(歌代委員)
漁業者の方どうでしょうかね。これ。
(大野委員)
私が言うのは,正しいとかそういうのではなくて,必ずこう岸側から漁場まで,あるい
は河口域から漁場まで,必ず距離があって,必ずその河口域のすぐ傍でノリがとれるとか,
昔はちゃんと,そこでアサリもとれたのです。最近はやはり何というのだろう,余裕がな
いと漁場が形成されない。
ある程度の距離があって。
そうすると,そういう空間があるという事は,それなりに意味のある事とも考えられる。
その辺は十分検討していただきたいなと思います。
(多田副委員長)
私はちょうど1982年,3年のころ,行徳の海岸に来まして,行徳で獲れたアサリを
木更津まで運ぶ仕事をしていました。この時に結構,この今言いますとアオサが増えてい
ます猫実川河口域ですね,この辺りらはアサリが,昭和56,7,8年は真っ黒い,大き
いアサリだったですが,あがっていた,という話はありました。
それが現在ない,という事だけは事実だと思いますので,それで評価は,中間報告とい
う事でもありますから,平成19年度に,またその段階では漁業者の意見も,聞き取りの,
ヒアリングの結果も入ってくると思いますから,そこで最終的に評価と対策を協議したら,
と思うのですけれども,どうでしょうか。
(工藤委員長)
まあ,大野さんのおっしゃったね,組合長のおっしゃった事は大変意味深長な所があり
ますけれども,漁場形成をするために,インパクトがある,様々なインパクトが与えられ
ている訳ですけれども,その際の緩衝地帯というものが存在する事によって,漁場が保全
されている可能性があるという考え方です。
だけれども果たしてその,緩衝というものが本当に緩衝の形で効いているのか,逆に,
そこで内部生産のようなものが生じて,助長してくる事もあり得るのですね。
そういうような問題というのは,これから慎重に整理するという事で,調査をきちっと
やっていただいて,それで評価をしていただかないといけないと思います。
という事で,ちょっと宿題に…。
(多田副委員長)
はい,わかりました。
(工藤委員長)
次のご意見はございますか。
そろそろ,皆さんから出尽くされたのでしょうか。よろしゅうございますか。それじゃ,
ただいま委員の皆さんから色々なご意見ございました。
- 15 -
このお話ですが,実は今日の議題の2の所ですね。これとの若干その関わりがあろうか
と思います。来年度の取り組みの中に反映できる所については,ぜひ事務局サイドによっ
て対応していただきたいと思います。
特に今,歌代さんの方から出たご質問,それから,大野さんからの回答の中にあった形
での緩衝域のあるかないか。どういう働きをしているか。これなんぞは,是非是非,次年
度のうち解決していただきたい問題だと思います。
続きましては,漁場再生調査結果ですが,今日お話ししたいと思うのですけれど,ご
報告をお願いいたします。
(漁業資源課
渡辺漁場環境整備室長)
お手元の資料,資料3,20ページでございます。私からは資料3のうちのアオサの
関連,それからアサリ稚貝採取につきまして,ご報告をいたします。
まずアオサでございます。20ページです。これはアオサの発生状況のモニタリングで
す。
アオサにつきましては,平成15年度から調査を実施し,これまでの調査では三番瀬で
は3種類のアオサが確認されたところです。また,発生したアオサの種類,季節により違
っておりまして,その発生量は先程の能登谷先生の方からお話がありましたように,変動
が激しくなっています。
平成18年度のモニタリング状況でございますが,これは,これまでの当検討委員会で
ご報告した内容でございます。三番瀬のアオサは6月から徐々に増えてまいりまして,
10月下旬に三番瀬全体で2,400トンの発生のピークに達しております。
その後,減少して,11月には1,000トンとなっています。今年の最大発生量は,
大量発生いたしました前年度の約3割程度でございます。
続きまして,資料の21,22ページをお開きください。
アオサの回収システムの実用化試験でございます。
三番瀬のアオサを効率的に回収するために,これまで,当検討委員会にご相談しながら
自走式潜水トラクターを使用したアオサ回収システムの試験につきまして,17年度から
行いました。
今年度,平成18年度は平成17年度の試験で回収の結果がよかった二つの方式,一つ
は籠を改修した方式,22ページに絵がございます。それと,二つ目はエアーリフト,こ
の二つの方式を組み合わせた回収装置によりまして,実用化に向けて試験を行いました。
試験に当たりましては漁業協同組合さん,県漁連,また地元市の方々のご協力をいただき
ました。
まず,8月に予備試験を行いまして,約2分間で1トンのアオサを回収し,この方式が
有効であるという事がわかりました。
そして11月には,それに若干,改良を施した回収装置によりまして,公開で回収試験
を行いました。その状況等につきましては,全体の当検討委員会でご説明させていただい
た所ですので,細部につきましては,省略させていただきます。
結果といたしましては,10分で約1トンのアオサが回収され,また,アオサの陸揚げ
にはプラスチック製のノリ籠を用いました。
- 16 -
これらの試験の結果から,自走式の潜水トラクターを用いたアオサの回収の実用化の
目処がたったと,かように考えている所です。
公開試験の後でございますが,今後,漁業者の皆さんが漁場でアオサ回収をしやすくす
るためのトラクターの機能や,操作性の向上,そういった事に取り組んでいる所でござい
ます。
それから21ページの下の方をご覧下さい。
3のアオサの処理と利用の検討でございますけれども,これまで利用等につきまして,
県ではアオサを細かくして,非常に微細にして,アサリの餌として利用する試験ですとか,
あとアオサの有効成分でございますルテイン,その維持試験等に取り組んできたところで
ございます。
本年度,平成18年度の回収後の実用化試験,回収機による実用化試験で回収いたしま
したアオサは,焼却処理又はガス化の試験の試料等として提供しました。
また成分分析する等,利用等についても検討,また情報収集をしてまいりました。
現状では,回収したアオサは,主に焼却処分をせざるを得ない,そのように考えていま
す。
また,成分分析の結果は,資料の下の方に掲げてございます。
これは,海中から回収したアオサをそのままの状態で脱水したもの,それを分析した
結果でございます。
次に,飛んでいただきまして,資料の27ページをご覧頂きたいと思います。
アサリの稚貝採取機の開発でございます。この事業は,千葉県漁業協同組合連合会さん
が事業主体となりまして,アサリの生産対策として,深場のアサリ稚貝を傷めずに,効率
よく採取するための機器を開発するために,県の補助事業で実施しているものです。
これまで,地元の漁業者の方々の意見を伺いながら,自走式潜水トラクターを使用して,
メーカーの地元の近くで試験を行ってきましたが,本年の2月10日に三番瀬,市川市
塩浜地先海域で開発試験を実施しています。試験には,県漁連さん,それからアサリの漁
業者の方々にも加わってもらっています。
今回の試験では,資料の下の左側の図に示しています採取機を使用しています。
この方式は,爪がございますが,爪の先から水を噴射して,海底のアサリを掘り起こし,
そして後ろの方の籠で集めて,そしてエアーリフトで海面にある回収ネットで集めると,
そういうものでございますが,この方式が良い結果を得ております。
そして,この方式はシステムとして,概ね完成しているのではないかというふうに考え
ております。今後は,漁業者の皆さんの意見を取り入れて,改良していきたいというふう
に思います。
なお,当日採取いたしましたアサリは,県水産総合研究センター東京湾漁業研究所で,
殻の破損,水管切れ,生残率等の確認を行いましたけれど,既存の大捲きの漁具に比べて,
殻の破損等も少なく,生残率も高いと,このような結果となっております。
以上で私からの報告を終わらせていただきます。
(工藤委員長)
ありがとうございました。
- 17 -
続けてお願いします。
(水産総合研究センター東京湾漁業研究所
鳥羽のり貝類研究室長)
水産総合研究センターの鳥羽でございます。
アサリにつきまして,23ページをお開きください。
これは水産総合研究センターでやっております浮遊幼生と着底稚貝調査の調査でござい
まして,実を申しますと,前回の委員会でお話した時からまだ3カ月しかたっておりませ
んので,データがそれ程たまっておりません。
ですから,書いてある文章もそれ程変わらないのですが,この23ページの中の一番下
に,図2と3というのがございまして,例えば図2ですと,その一番右側の12月20日
と1月23日という目盛りがございますけれども,そこの部分が新しく調査の結果として
乗っかったという所ですが,残念ながらここでは浮遊幼生はとれておらなかったという事
です。
これは,当然と言えば当然でありまして,冬場に入ってくるとアサリは産卵しない訳で
すから,浮遊幼生が出なかったという事です。
さらにその図3,右側を見ていただきますと,ここには12月20日から2月19日ま
での3回のデータがありますけれども,これは浮遊幼生が秋に来たものが12月20日の
段階の調査で,こうポンと一つ山になって,稚貝が増えたという事でございます。
いつもの年からしますと,12月というのはもう遅いのですね,もう11月に出るのが
普通なのですけれども,これが1月,2月と来て,当然死ぬ訳ですので,今,数が少なく
なって2月まで来ている,というのが現在の状況です。
参考までに,大きな図面ですけれども,この右側のページに見開で,全部で10枚の
地図が書いてありまして,そこに黒い丸が,図によってはほとんど丸が無いのがあります
けれども,打ってございます。
これは,見出し一番下の所に図4,「各調査月における着底稚貝(殻長0.4ミリメー
トル以下)」と書いてあります。0.4ミリメートルというのはアサリの浮遊幼生という
のは0.2ミリぐらいで砂の上に落ちます。ですから,これが,通常の暖かい時といいま
すか,冬場の以外の時ですと,アサリが砂の上に落ちてからまだ2週間がたっていないぐ
らいの,それぐらいのサイズです。つまり,着いたばっかりのアサリと思っていただけれ
ば良いと思います。これが,1月に一回の調査を行っておりますので,どういうふうに変
わったのかというのが,10か月分,絵にしてある,というものでございます。
これは,先程の稚貝の調査の棒グラフと一緒でございまして,例えば,この10枚の絵
のうち,左側の上から3枚目に7月13日という絵がございます。これが,夏の稚貝が着
底した頃でございまして,比較的大きな黒丸が中にあると,こういう状況で,この時には,
市川航路の東側の所に良い場所があった,という事ですね。
ただし,これは今までの調査でわかっておりますけれども,この夏から春にかけて着底
する稚貝というのは,その後生き残りが非常に悪くて,すぐにいなくなってしまうという
事がわかっています。
これは三番瀬だけではなくて,木更津でもそうなのですが,ですから,これが8月の
調査ではほとんどいなくなってしまう。これが別に青潮があったりとか,そういう環境の
- 18 -
変化ではなくて,その辺の理由がよくわからないですけれども,とにかく,この段階では
いなくなってしまうと。
それに対して,対照的なのですが,12月20日ですね,真ん中の列の一番下です。
これが秋の産卵群,秋子です。これの着いた所でして,やはり黒丸が二つ,三つあると。
こ れ は 0 .4 ミ リ で 非 常 に 小 さ い や つ で す の で , 数 が 少 な く な る と , 冬 場 の 間 な ん か は
調査してもひっかからなくなってしまって,それが一番右側の1月,2月の段階で,もう
今見えなくなってしまっていると。
ただし今までの調査例からしますと,この秋の稚貝というのが,生き残るのです。
これは三番瀬でも木更津でもそうですが,それが生き残って,今後春から夏にかけて大
きくなって,順調に行きますと,8月の末ぐらいに,一番小さいサイズとして獲れるとい
うのが,秋子のサイクルです。
ですから,またひとつ戻っていただきますと,図3のアサリ着底稚貝の密度というので,
この図の中で7月13日に大きな山があって,12月20日にその2番目に大きな山があ
りますけども,その7月13というのは,これは言ってしまえば消えてしまった山なので
す。それで12月20日というこの山が生き残っていくだろう,というふうに水産総合
研究センターでは思っております。
これは,例年の事ですので,そういう生き残りのパターンというのは同じなのですが,
例年から比べてみると,この冬場の稚貝の量というのは,飛び抜けて多いという訳ではご
ざいません。残念ながら。来年の春以降に,アサリが沢山獲れるという事は,今の段階で
予想できないというふうに考えております。
以上が,アサリの着底稚貝と浮遊幼生の調査結果です。
さらにもう一枚めくっていただきまして25ページ,これも同じですが,余りデータの
数は追加になっておりませんで,真ん中に図5というのがございますけれども,この一番
右側に12月と平成19年の2月というのがございますが,ここの所が新しくデータとし
て増えた所でございます。
データから見れば,別にこの流れを示しているだけで,大きく変わったという事はござ
いません。
数年前から,アサリの量,漁業者の方は全員ご存知だと思いますけれども,平成15年
の時に非常に大きな山があります。これは近代に無い位にアサリが沢山獲れたという事で
ございまして,これと比較すると大体,少なくなっていると。恐らく,15年に発生した
ものの獲り残しが平成16年に獲れたのであろうというふうに思います。
それと,子どもが今度は平成17年位に出てきたのかなあ,という事を思っている訳で
すが,そういったものが出てきて,更にまたもう1年,平成18年になってみると,そう
いうものの名残がだんだんともう少なくなってきてしまって,全体として,今度,平成
14年と同じ位のレベルになってきているというのが,平成18年の状況です。
ですから,最近アサリが獲れていたというのは,申し上げますと,平成15年の発生分,
この1回ですね,これがその後の調査で,平成14年10月1日の産卵群だというのがわ
かっているのですけれども,この1回の産卵群だけで,数年間,アサリの資源が維持され
ましたが,それが消えていってしまったら,また同じような状況になってきてしまったの
かもしれないという事で,基本的にはアサリの資源全体を長期的に見て,下降傾向にある,
- 19 -
という事には変わっていないのであろうなあ,というふうに感じております。
あとは図7の新しくデータが追加されている所でして,アサリの肥満度でございます。
これは12月から3月までのデータがございますが,その時に黒丸で書いたのが12月,
1月に分けているのですけども,これだけが新しく追加されているという事でございます。
肥満度というのは,アサリの身入り状態を表すものでして,これは時期によって,
当然,太ったり痩せたりしている訳ですが,冬場,アサリの条件が悪いと,肥満度が10
以下になるとかなり痩せている状態でして,場合によっては8位になると餓死してしまう
事があります。
平均的に見ますと,冬場,ここでは白丸ですね,これは1年間で見るのですが,これは
10月から12月ですが,ここで特に低くて10位で,これはギリギリ痩せている状態で
すが,この黒丸と比べてみますと,黒丸の方がやや高い。平成18年度の方が少し高い,
高かったと,身入りが良かった,という事になります。
17年度ですが,黒三角で,図で並べてありますけれども,平成17年度はこれよりも
かなり高かったと,実入りが良かったという事なのですね。
ですからこれに比べると,去年に比べて幾らか低かったけれども,それでも例年よりは
幾らか良いよという事です。
冬場のアサリのへい死というような事が,こちらの方では波浪減耗の話なんかがありま
したが,肥満度だけでは説明できない訳ですが,痩せているか太っているかという事が,
かなり大きな要因になりまして,それを考えますと,今年は,極端に悪い年ではないとい
う事が言えるかなあ,というふうに思います。それが25ページにございます。
私の最後の説明は,26ページでございます。
これは実は前回私がパワーポイントで詳しくご説明した,波浪減耗の来年度計画に至る
までの経過の内容でございまして,こういう波避けのパネルを設置して,アサリの保護,
波を小さくしてアサリを保護しようと,そういう事を考えております。
そこに至る,今までの試験経過等を載せてございます。皆様方に詳しく申し上げるまで
もないのですが,ノリ支柱柵に似た施設によりノリ網をまきつけて,色々と実験をやって
いただきましたけれども,この結果を受けて,来年度はこういうような内容で更にアサリ
の保護を図る,という事を考えております。
以上でございます。
(工藤委員長)
どうもありがとうございました。
(水産総合研究センター東京湾研究所
滝口漁場環境研究室長)
藻場の造成試験につきましてご説明いたします。
5番の藻場の造成試験でございますが,この中では,「漁業者と連携したアマモ場づく
りの試行」と,「アマモ場生物生息調査」ですね。それから「陸上施設でのアマモ育成試
験」の3つの課題に取り組んでおります。
少し順序は違いますが,2番目,29ページの「アマモ場生物生息量」からご説明いた
します。
- 20 -
これは,前回説明いたしましたものとほとんど同じもので,アマモ場におきまして図3
で示しております1と3の調査点でアマモ場の生物を調べまして,アマモ場では,結果で
示しておりますように,生物量,また生物の種類についても,多くの生物が認められまし
た。
次に,30ページの「陸上施設でのアマモの生育試験」ですが,ここでは天然のアマモ
場を保護し,移植用アマモの株と種子を確保するために,陸上水槽を使用し,アマモの栽
培試験を行う所ですが,結果といたしまして,5月頃に花枝の形成が見られ,およそ
500個の種子を得ました。
また,水槽内の水温が最も高くなる9月頃には株数が減少いたしましたが,その後増加
いたしております。
以上は,前回報告した内容と同じでございます。
次に,28ページに戻りまして,「漁業者と連携したアマモ場づくりの試行」について
説明いたします。
これは,今回は前回と異なりまして,1月31日に調査をいたしました。
植えましたのは,この点とこの点ですが,これは植えた時の様子ですね,こういうふう
に粘土を付けて,船の上から植えたのですが,植えた時は,こういったような,アマモが
余りないような所へ植えたのです。
現状ですね,1月31日,海の中へ入りまして,見ますと,こういうふうにアマモが非
常に茂っておりました。
これは漁業者も,試験場の方でも観察いたしておりまして,数にいたしまして150本
植えましたものが,市川側で1月31日に1,035本,それから船橋側で1,680本と,
非常にこういうふうに茂っている事が確認されました。
以上です。
(工藤委員長)
ご苦労さまです。
続きまして,ただいまの漁場再生調査につきまして,ご質問はございますでしょうか。
或いはご意見でも結構ですが。
(能登谷委員)
アオサの回収システムの所で,10分間で1トンというような事ですが,多いのか少な
いのか,よくわからないのですけども,費用的なものはどうなのでしょう。
それからあと,アオサを焼却している,という事ですけど,そちらの方の費用は,どの
位になるのか。
というのは,これちょっと単純に,ごく単純に,このグラフから割って見ると,今年の
発生量で見ると,5日間ぐらい漁場を走り回れば全部とれるのかなあ,という事です。
それで,多い年だと20日間も丸々やらなければいけないと。もう少しかかるかもしれ
ませんが,その点の費用対効果の問題がありますので,その辺はどうなのかなあというふ
うな事です。まずその1点ですね。
それから,あとアサリの所ですが,肥満度の事をちょっとご説明いただきましたけれど
- 21 -
も,15年の時の肥満度って言うのですかね,それと現在の肥満度とどういうふうに違う
のかなと。
と言うのは15年にかなり大量発生していますけども,その前でしょうかね,よくわか
らないのですけども。という事は,肥満度の発生量の違いが,パラレルなのかどうかとい
う事なのですが,その2点についてお願いします。
(平山漁業資源課長)
まず,アオサの回収ですけれども,何度も申し上げておりますけれども,現段階で,最
盛期の状態になったアオサを取ろうという考えは,まずございません。
前回もご説明いたしましたけれども,出来る事なら,発生初期の段階で漁場の中で一番
必要な部分について掃除をしよう,という考えであります。
従いまして,回収量は大分少なくなるだろうというのが一つあります。
それから,アオサの焼却の経費ですけれども,アオサというのは事業系一般廃棄物とい
う事に分類されるらしくて,当該市町村で処理をするというのが原則なのだそうです。
従いまして,これを市川市とか船橋市の焼却場に持ち込んで処理をするという形になり
ますけれども,その場合では,1キロ当たり18円ですかね。それ位の経費がかかります。
それからトラクターを運用するための経費ですが,人件費とかガソリン代とかという,
その辺の部分は別にしますと,直接経費としてかかるのはコンプレッサーのリース代で,
これは1日6,000円程度だそうでございます。
以上です。
(工藤委員長)
もう一点ですね。はいどうぞ。
(水産総合研究センター東京湾漁業研究所
鳥羽のり貝類研究室長)
肥満度のお話ですが,肥満度そのものはアサリが太っているか痩せているかという事で
すので,それがもしも産卵期であるのだったら,アサリがどれくらい卵を持っているのか
という事に近い話になります。
15年度は,じゃあ太っていたのかという話になる訳ですが,アサリが沢山卵を出すと
いう事は,肥満度が高いという事は必要ですが,肥満度が高ければ沢山出すのかという
逆の話になると,それは必ずしもそうではないというような結果を得ております。
この辺になると,もう推測の話になってくるのですが,実際に現場で調査をやっていて,
それを見て,という事になるのですけれども,この平成14年の秋ですね,ここの産卵の
時の特徴というのは,8月位から10月位まで,海が非常に静かだったのです。その間,
アサリが餌を食べて,どんどんどんどん太って,それで静かだという事は,これはアサリ
が産卵するのは時化(しけ)の時でありまして,波や風が産卵刺激になって産卵すると言
われているのですが,それが,たまたま台風が9月の終わりに通過して,東京湾全域で非
常に大規模な産卵が起きました。
これは,アサリがお腹の中に溜まりに溜まっていた卵を一辺に放出したという現象なの
ですね。
- 22 -
そのお陰で,東京湾中がアサリの浮遊幼生だらけになりまして,三番瀬だけではなくて,
東京都側でも,千葉ですとか,あるいはもちろん木更津でも,かなり大量の稚貝発生があ
りました。
ただ,それはそういうふうな非常に条件が重なったという事の結果でありまして,私ど
もは,逆に,平成15年はこれだけアサリが沢山いた訳ですので,親の数からしてみれば
平成14年よりも,遥かに多い訳ですね。ですから,平成15年はもっとたくさん産卵が
あるんじゃないかと思って,秋に構えて調査をしておったのですが,この年には,8月,
9月から10月にかけて細かい時化(しけ)が一杯あって,その時に恐らくアサリがちょ
ろちょろと細かい産卵をしてしまったのではないかと思うのですが,大規模な浮遊幼生の
来遊というのはありませんでした。
ですから,そこの所が言われている一番のアサリが増えるか増えないかの所に非常に効
いているんじゃないかと,今思っているのですけど,肥満度というのと産卵量,それから
翌年の稚貝の量というのは必ずしも合わないという場合があるという,そういう時化(し
け)ですとか産卵刺激の関係がございます。という所でございます。
(工藤委員長)
ありがとうございました。よろしいでしょうか。
今,大変,大事な事をおっしゃっていただいたのですけれども,一つは,このアオサの
回収に関しての経済的な効果というのでしょうか。損失かもしれませんけど。
これを予め知っておかなければならないだろうと思うのですね。
ご返事なさった事は,良くわかりましたけど,1トンとると1万8千円,焼却にかかる
のですね。という事で,100トンあるとえらい事になる。まあそんなような事がありま
す。
ただ,今年は,先程漁業資源課の方から発表というか,説明していただいたのですが,
一応アオサの発生状況のモニタリング調査をしていただいているのですよね。
それで,あんまり多くなかったという,あんまり多くなかったと,ただほっとしている
だけじゃ困るのですけど,問題は,多かったり少なかったり,年によって違う訳ですね。
我々としては,いつも少なくあって欲しいのですから,いつも少なくあって欲しいとい
う事は,多くなる要因を何かひとつこう,外せば良い訳ですね。
要因は沢山あるでしょうけども,その中の一つなり,二つなりの効果的なものを合わせ
るのですね。
そうすれば多くならない年が続くんじゃないのですか。
という事は何かというと,このモニタリング調査というのは非常に大切なものであって,
モニタリング調査して多いとか少ないとか,何トンだとか言っている時に,ほかのデータ
は一体どうなっているかという事なのですね。
例えば潮汐との関係であるとか,水温であるとか,風であるとか,そういう色々なもの,
それをデータが全部整理されていて,面倒臭いですけども,積み上げられていて,しかも
きちっと整理されている。で何年かたって,それをズラッと並べて,これが効いているん
じゃないの,というのが一つ一つ浮かんでくるはずですね。
一辺に消す事はできませんので,消去法で一つずつ,これ外していくしかないですね。
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気は長いですけども,そうやらないと,アオサ対策はできないんじゃないでしょうかね,
と思うのです。
という事で,お尋ねしたいのですが,このモニタリング,まあ良くわかりました。この
トン数が何トンになっているのか,変動もわかりましたけれども,これに合わせて行われ
た海の状況,お天気の様子,潮の加減,そういったデータは,どのように整理されている
のでしょうか。
(水産総合研究センター東京湾漁業研究所
鳥羽のり貝類研究室長)
ちょっと今,手元に細かい資料ございませんので,申し訳ございません。記憶に頼る所
がありますが。
前回,アオサの調査結果という事で,3年分纏めてお話ししたと思うのですけれども,
その時に一番特徴的だったのは,16,17,18との3年間で,アオサの発生状況が
三年三樣で,かなり違うという事なのです。
16年度はアオサの発生量がかなり少なかったと。
17年度は反対に爆発的に増えた。
18年度はその中間程度みたいな,こういうような話なのですけれども,色々その時に
水温ですとか,また光,その他塩分,水質条件を含めて調査しておって,必ずしもそれで
全てを語れる訳ではないのですが,色々その場の現場観察も合わせて重ねてみますと,
16年度の一番最初の時には,アオサがある程度,秋に向って増えてきたのだけども,ち
ょうどタイミング良くと言いますすか,台風が来たと。或いは台風ではないですけれども,
非常に強い風が吹いたというのが,何回かあったのですね。
それでアオサが飛ばされてしまって,打ち上げられたりとか,澪に落ちたりしたのだと
思うのですけど,最終的に漁場の近くにある現存量というのはそれ程でもなかった。
まあ結構な量あったのですけど,17年度に比べればさ程の量ではなかったと。
それに対して17年度は,そういう条件が殆ど無くて,海は静かであるし,当然,栄養
塩やその他については,三番瀬は,アオサの繁殖に好適であるという事がございましたの
で,アオサにとって都合が悪い事がなければ,どんどん増える訳で,それが,17年度が
典型であったという事で,七千数百トンのピークの数字が出たという事でございました。
それに対して,去年は,これはちょっと難しいと言いますか,中々判断しにくい所があ
ったのですが,色々な消去法で要因を考えてみますと,一番アオサが増えてくる,ミナミ
アオサが増えてくる9月位でしたか,ちょっと申し訳ございません。忘れてしまって。
その時に天気の悪い時がしばらく続いたのですね。それでうちの方の調べている日射量
ですとか,その光の量を比べると,やはり17年,16年よりは,幾らか低い状態が続い
ていたという事で,三番瀬そのものは,ご承知のように非常に濁りが多いものですから,
それから入っていく光がやっぱり弱くなると,さらに光不足みたいな事かアオサにとって
やっぱり起きるんじゃないかなあ,というふうに想定した訳です。
これは,アオサが増えたり減ったりする,きちっとした原因を把握するために,詳細な
調査をやった事ではございませんので,モニタリングをしながら見たというだけですが,
その中で把握する環境要因を整理してみますと,どうもそのような事がとりあえず3年間
から見えてきた,という事は申し上げられると思います。
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以上でございます。
(工藤委員長)
ありがとうございました。
今のように,細かく色々な事を見ていらっしゃるので,是非とも,そのデータをきちっ
と整理をしておかれる。
そして余り,3年やったら3年違っていたからとか,それだけで,それじゃ原因は何だ
なんてあんまり慌てて結論をお出しにならなくてもよろしいのじゃないかと思うのですね。
ですから,やはり溜めておいて,じっくり構えて消去法をつかうのだと,その位,少し
長期的な考えをお持ちになった方が,この場合は相手が自然でございますからね。
そこは,いきなり問題解決につながるような知識が得られる,というふうに考える訳じ
ゃない。ためておいて,深くためておいて,それでそれを大事にしておいて,あとで使お
うと,こういうふうにお考えいただくのが一番よろしいかと思うのです。
余り功を焦らなくてもよろしいのじゃないかと思いますので,ひとつよろしくお願いし
ます。
能登谷先生,どうでしょうね。
(能登谷委員)
僕も毎回色々言うので,ちょっと控えていたのですけども,こういう調査でわかるのか
なあという事が一つあるのですね。
先程,何ですか,トラクターシステムでこう取り上げるのだろうという事で,そちらの
方に移ったのかな,という事だったので,出たアオサについて取り上げられる費用対効果
を問うたのですけども,そうすると,いやその前後を取り上げられる理由はあれではない
と,目的ではないのだと,それで,発生した所だけ取りたい,という事になるのであれば,
発生部分がどこなのかとか,発生の機構がどうなのかという所に力を入れなければいけな
いですね。
そうすると,こういう調査では出てこないのじゃないかとかいうのが,私の発想で,一
番初めの何年か前に言いましたけども,きちんとしたモニタリング調査を何年も続けなけ
れば出てこないだろう,という所にまた戻ってしまうのですね。
それで,そういう意味では,基礎的な,まあお金のかかる仕事になりますけれども,き
ちっとした調査をやるべきだろう,というふうに私は思っていますけども。
私の意見はそんな所です。
(工藤委員長)
いただいている意見は,私も全くそのとおりだと思うのですね。
当面の事をやったからうまくいくっていう訳じゃなくて,やはりこういう自然相手です
からね。
じっくり構えて,本質な所からきちんと整理して,片づけていくしかないですね。
そう思います。
住民の皆さんなんかも何やっていんのとおっしゃるかもしれませんけれども,こういう
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仕事は手間かかるのですよ,という事を説明して差し上げるしかないと思うのですね。
ここはちょっと…。
(張委員)
20ページ目の図3のアオサの分布量の8月と10月を比較すると,ここ多分,反時計
回りの潮流があると思いますが,それは8月のアオサの沢山いる所のものは,その西に流
されながら,成長,分裂して10月にはこういうふうになっていると考えていいですか。
(能登谷委員)
いや,こういうのは,風の問題だろうと思いますね。
殆ど。まあ潮流と風と両方あるのでしょうけども。
それで,今この調査からすると,この間口50センチのタモ網で2メートル引いたとい
うのは,浮遊しているものだけなのですね。
だからどっからどう動いてどうなのというのは,その時,その時に物凄く動いてしまう
ので,何とも言えない。
本当に発生量を見るのであれば,発生している場所を取らないとまずいです。
だから,こういう調査ではわからないのではないの,という事を言ったのです。
(工藤委員長)
これだけではね,わからないと。もう一方でやっぱり何というのですか,基盤となって
いる所を探して,3センチのやつが沢山あるぞ,というような情報を見つけないといけな
いのですよね。
(大野委員)
全くそのとおりだと思います。
ただ,漁師の場合,毎年毎年生産につなげるという事で,一応その対症療法であるけれ
ども,多少はとらなきゃならないと。そういう事だと思います。
当然,抜本的には,そういう事をやっていただかないと,根治というか,それにはなら
ないのかなと思います。
(能登谷委員)
もうちょっと言うと,アオサだけでないと思うのですよ。
多分,現地の方は,大変でしょうけど,オゴノリなんかも沢山増えていると思いますね。
最近は。ああいうものも絡んでいるというのです。実は。
それからオゴノリが出てくるというのと,それから,先程のその何というのですか,藻
場調査の話もありますし,ああいうものは,こう,いろんな動き方をしますので,そのた
びに基礎的なデータをずっと積み上げなければわからないと。
なので,アオサをやっていますよ,とこう言いますけども,漁場全体の調査みたいな,
生物調査みたいな事をずっと続けないとわからないのですね。
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(工藤委員長)
ですからやっぱり,その点では,対漁業対策ですかね。ここではトラクターの問題もあ
るのですけど,そういうのも一つあって,それはそれですという形ですね。
もう一つは,抜本的な問題をちゃんと基礎的にやっていきますよという姿勢が必要だと。
それは決してね,今年度成果上がりました,はい,なんて言う程のものでなくて良いの
じゃないか。積み上げていくのですからね。
そして最後に笑えば良いのじゃないですか。という事なのですね。
だからまあそういうちょっと息の長い仕事をやっぱりやっていく必要があるのじゃない
ですかね。余り目先にこだわらない。
(小埜尾委員)
確かに目先にこだわらないというのですけども,現実に17年度は物凄い,7,000
トンという量になったという現実なのですね。
それで,これ2006年8月24日に600と書いてありますが,これは海浜公園に打
ち上げられた量だと思うのです。膝よりも深かったのですね。
それで,それがだんだん広がっていったというよりは,風の関係で8月にはこの位置に
あっただけで,10月になると,この赤い所というのは実は行徳のクランクになっている,
澪筋の周りのカキの島,カキ礁とは言いませんけど,カキの島の所に大量にあったので,
それで増えていったのがわかっているのです。
それと,船橋の所の300というのも,これもカキが繁茂している所にひっかかるので
すから,ここも増えたのだろうと思うのですね。
だから僕は,こういう所を狙って取ったら良いのじゃないのかなあ,と思うのです,
サブマリントラクターは良いと思うのですけど。
ある程度,この中で,三番瀬の中で調査をしていると,凡そのアタリがあるのです。ど
の辺でどういうふうに出てくるのか。
アオサに関しては砂地に突然出てくる事は,基本的にないのでしょうから,何かしら核
になるもの,貝殻なのかカキなのか,それからオゴに関しては以外とどこでも生えてしま
う。ちょっとした窪みがあると生えてしまう。これも窪みに関しては,先程来やっている
マップみたいなものを,非常に詳細なものができれば,そこに行けばオゴも取れるという
ふうな事になってくるでしょうし,それから先程歌代さんが言われた,この三角のとこな
のですけど,僕らがあそこの調査をずっとやっていると,つまり多田さん言ったみたいに,
アサリの漁をやっていれば,砂地に殻がなくなるのですね,ある程度。
ですから漁場として,底質がよくなってくるのですけど,今,そういうのはやっていま
せんし,漁場じゃありませんから,どんどんそのクランクの西側,猫実川河口と呼ばれて
いる,あそこは放水路で河口域とは言わないと思うのですけど,あそこの部分は悪くなる
一方なんですね。
ここは漁場再生検討委員会なので,どう再生していくのかという,先程から言っている
ように,そのプラスになる方向のものをふやして,マイナス要因のものをとっていってし
まうという,非常に乱暴な言い方もしれないですけど,それから言うと,やっぱりその
漁業をやっていかない限り,ここの漁場そのものも割と農業的なやり方をしてきたアサリ
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捲きにしても,ノリにしても,農業的な部分を持っている手法の中で,耕さないという所
が出てくると,これはかなり厳しい。
勿論,漁業者の高齢化だとか,後継者の問題だとかありますけれども,その中で,こう
いう機械を持ち込んで,漁業としてやらない所でも,耕していかなきゃいけないというの
が,実は再生としてやっていく事の目先の事って,対症療法といえばそれまでなのですけ
ど,じゃないと。
行きます?カキ剥がしに大捲持って?行かないでしょ?
だからアタリがある所を,どういうふうにその再生のために対処していくのか,という
事なのだろうと僕は思って,そのサブマリントラクターも,環境的に考えるとどうなのか
というふうに,僕ら言われるのですけど,いや三番瀬でも絶対の漁場としての再生を考え
ると,そういう機械的なものを持ち込むのも致し方無いのじゃないのかなあというふうに
思って,提案はしているのですけどね。
というふうな,場当たりでも構わないと,極端な事を言うとね。
それでその結果が,そのある程度,漁業生産の何というのですかね,上がる状況に戻っ
ていくのだったら良いだろうと思うのです。
先程来見て,話が長くて済みませんけど,この事を見ても,ここの漁業を見ていると,
水深が深くなって,流速が早くなってくる傾向があるとなると,アサリ捲きをやっている
と,ある程度の浮泥が出てきて,それを流す要因が出てくると,粒径が粗くなる。
悪循環になるのかなあというふうに思う訳です。これはもう,何かしら再生のために
手を打たなきゃいけないという事になる訳ですよね。
これは,ここの漁業と,それとこの特性というのが,海の変化,或いは科学的な環境の
変化によって,その起こしてしまったこの十何年ですかね,で,見えてきたのが,この
マップなのかなあと。
そうすると僕らは人間として何やんなきゃいけないのかというと,それに,先程言って
いるようなパネル張って,アサリ残すのか,或いはサブマリントラクターで耕してみるの
かとか,いろんな少し地形を変えてみるとかと,いう事になるのかなあと。
それを言えば,とてもこういう事に関して,その点滴を打っている訳じゃなくて,もう
少し根治に近いようなものが見えてくるのじゃないかなあと,こう思って見ているのです
けども。
(工藤委員長)
只今の小埜尾さんのね,調査だけではないですよね。
再生調査という事で,今まで議論してきて,ちょっと報告していただいた。
それにちょっと拘っては来たのですけれど,調査だけやっていたって漁場は良くなりませ
んからね。
まあそういった意味では,次に再生の事業というものを展開しなきゃいけない。
その場合に,今のトラクターのようなものが,今,調査の中で開発してきたけれども,
再生事業の方へ持っていくか。
多分,事務局もそれを考えていると思うのですけど,そういうような形になろうと思い
ます。
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それから,今おっしゃっていた小埜尾さんの話というのは,大変サゼスチョンに富んで
おりまして,漁場のメンテナンスというのは,漁業によって行われると。昔からの鉄則な
のですよね。漁場のメンテナンスは漁業によって行われている。
ですから,漁業をやらなくなったら,漁場のメンテナンスできなくなっちゃう。
まさに猫実川河口というのは,河口じゃないかもしれないですけど,猫実川の前の三角
地帯というのは,漁業を放棄してしまった部分であって,漁業行為をしないですよね。
しないから,当然その漁場としての価値はますます失っていってしまう。メンテのない
ものになっているという事だけは明らかですね。
だから,そういう意味で,そんな所を含めて,この三番瀬の中には漁業権の無い所が
一杯ある訳ですから,そういう所一体どうするのだという事は,漁業者の立場からだけす
ると,漁業権のある漁場の所だけをこうメンテしたらいい訳ですけど,実はそうじゃない
ですよね。
三番瀬全体の問題として捉えてやらないと,せっかく免許していただいた漁業権の範囲
以内にしたって,どんどん荒廃していっちゃう訳ですからね。
外側から侵略されちゃう。そういう問題をやっぱり,これから先で議論しなきゃならな
いと思います。
そういった事で,実はちょうど話の切れ目がよろしいものですから,その次の話題とい
うのでしょうかね,議題の2に入っていきたいと思います。
これは,平成19年度三番瀬漁場再生事業の計画ですね。
今のような視点がちょうどこの計画の中にどのくらい入っているかという,そういう辺
りをよくつかみ取られてというのですかね,お聞きになりながら,ひとつ事務局の説明を
聞かせていただけたらと思います。
よろしくお願いいたします。
では水産課の方からですかね。
(水産課
山崎振興室長)
それでは平成19年度の計画について,ご説明させていただきます。
お手元の資料,まず1ページにお戻りいただきたいと思います。
先ほど目次と言った所ですけども,1ページには19年度の計画の概要を載せてござい
ます。
右側には予算額が載ってございます。
「流れづくり」といたしましは,マップを完成させたいという事です。
また完成させると同時に,漁場環境のお話だけではなく,具体的な改善方向ですね,
それについての検討を進めていきたいと,考えています。
それから併せて,短期的な取り組みとしまして,ひき続きましてアオサはモニタリング
と,それから新規といたしまして,トラクターの導入とアオサの回収が事業化してくる,
という事でございます。
藻場造成につきましては,アマモ場の造成がかなり明るくなってきましたけど,さらに
試行を続けさせていただきます。
アサリ漁業につきましては,波浪抑制によるアサリ減耗対策実証試験という形で,現場
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で実証試験を行っていきたいという事でございます。
ノリ養殖につきましては,ひき続きまして高水温耐性ノリ品種改良をやっていくという
形でございます。
これが目次ですけれども,それでは具体的に,それぞれの事業について,それぞれの担
当の方から説明させていただきますけれども,お手元の資料,31ページをお開きいただ
きたいと思います。
ここからが,19年度事業の事業計画の概要を取りまとめたものでございます。
最初,流れづくりですけども,予算額830万円という事で,事業の内容ですが,「現
状の三番瀬の漁場環境を整理・再現した「漁場特性マップ」を完成させて,漁業生産と漁
場環境との関係を整理する」という事が1点です。
それから,整理するだけじゃなくて,「その結果をもとに,漁業者から強く要望されて
いる潮の流れの改善等,漁場再生の具体化に向けた検討を行ってまいります。」これがう
ちの方の流れづくりの考え方でございます。
お手元の資料の37ページの方には,マップについて来年度どんな事やるのかという事
を取りまとめたものとして,仕様骨子(素案)という形という事で,具体的に載せており
ます。
その内容につきましては,担当の方から説明させていただきます。
(水産課振興室
立岡副主幹)
水産課でございます。
お手元の37ページ,資料の5です。
来年度の「三番瀬漁場特性マップ作成委託」の仕様骨子でございます。
この作成に当たりましては,本委員会の学識の先生と相談をさせていただきながら,今
年度,作業を進めておりますけど,まずこの仕様骨子につきましても,専門的な見地から
ご助言をいただきながら,取りまとめたものでございます。
具体的には,次のページの方がわかりやすいので,次の38ページをご覧いただいたき
と思います。この38ページを用いまして,説明させていただきます。
18年度と19年度の調査内容を対比させています。
まず,左上の漁場環境特性につきましてですが,それにつきましては,既に多くの項目
でデータの入力が完了しております。
来年度はここに記載のpHをはじめとする項目につきまして,補足する事としておりま
す。
次は左下の2番目,現況再現シミュレーションにつきましてですが,アの流況,イの波
浪と,今年度は予算の関係もございまして,秋季を対象として行っておりますが,来年度
は残りの季節を対象として行って,四季を通じた分析を行ってまいりたいと考えておりま
す。
特に,波浪に関しましては,ノリの支柱柵の影響,これを考慮した計算を試みたいと
考えております。
次に,右上の欄でございますが,漁場特性のノリに関しましては,船橋側のデータが実
質整理されてないという事でございまして,今年度は南行徳と市川市行徳のデータを先行
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して入力をしております。
来年度につきましては,現在整理を進めており船橋側のデータ,これを入力する,とい
う事でございます。
アサリにつきましては,基本的に,入力を終えておりまして,今年度のデータの補完,
これを予定してございます。
以上が,来年度取り組む「漁場特性マップ」作成の主な仕様内容でございます。
また成果品につきましては,できるだけわかり易い形にしたいというふうに考えており
ます。
最後に,今後の進め方につきまして,でございますが,資料につきましては,戻りまし
て,2ページ目の資料2でございます。
来年度はマップの完成,そしてマップのデータを基にした漁場環境の改善方向や,具体
的な改善の手法,これについて検討していきたいというふうに考えております。
また20年度におきましては,実験的な取り組みやシミュレーションによる改善効果の
予測を行うという事を予定しておりまして,来年度の予算要求に間に合うように,今年度
の秋頃からは19年度の取り組み,つまり再生手法の抽出の検討に入ってまいりたいと考
えております。
以上が,「漁場特性マップ」に関する来年度の取り組みでございます。
来年度におきましても,本年度と同様に学識の先生方に色々ご相談させていただきなが
ら,また漁業者の方々から色々な現場の情報,これらをいただきまして進めてまいりたい
と,こういうふうに考えております。
以上で説明を終わります。
(工藤委員長)
どうもありがとうございました。マップがいよいよ2年目に入ると。2年で完成ですか
ら,完成年という事でございます。
学識経験者も駆り出されておりますので,県の皆さん,或いは業者の皆さんと,一緒に
打ち合わせをしながら,色々とお話を伺ったりしながらやっていきたいと思います。
予算的な制約もありますので,出来るだけ良いものを取りまとめていきたいというふう
に考えています。
ただいまの県のご説明に対して,ご意見,ご質問がございましたらお願いいたします。
ちょっと駆け足の説明だったのですけど,よろしゅうございますか。
内容的には,本年度のマップに上乗せをする部分についてのご説明をいただいた訳でご
ざいます。特にシミュレーションに関しては,秋のものを既にやりましたので,残りの春
夏冬ですか,これをやりますよという事。
それからその他は普通でありますけども,特にノリの問題は,今までデータが南行徳,
行徳しかなかった訳です。
船橋さんの方の聞き取りをして,これを補完するという仕事,ちょっと大変だと思いま
すけど,まあ頑張っていただきたいと思います。
何かございますでしょうか。こういう事はぜひ見逃さずにやっておいてくださいよとい
うのがありましたら,お願いします。よろしゅうございますか。
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それではですね,本日は一応県が示された資料骨子というものでございます。
これに基づいて,作成するという事ですね,これを認めたという事になろうかと思いま
す。
各委員会から出されました意見は,このマップに対してだけは,最後の所は余りありま
せんでしたけれども,途中,それまでの所で,色々なご意見ございます。
そういったものを十分汲み取って,これから進めていく,対応していくという事をお願
いしたいと思います。
続きまして,まだ,今日は仕事,宿題が残っていまして,アオサ対策,それから藻場
造成試験の取り組みというのと,あとアサリ漁業及びノリ対策ですね,ノリ養殖対策。
これをちょっと県の方からご説明を願います。
(漁業資源課
小瀧副課長)
それでは,漁業資源課の部分で,今のアオサ対策,藻場造成試験,アサリ漁業及びノリ
養殖対策の4項目がございますが,先程水産課の方から資料1,1ページの説明がありま
したが,その表で緊急的課題の,アオサ対策と藻場造成,アサリ漁業,ノリ養殖業という
ふうにございます。
19年度計画は,この表の真ん中の所のアオサのモニタリングと,あとは新規でござい
ますが,自走式潜水トラクター導入とアオサの回収,これが新規で取り組む事としてござ
います。
藻場造成につきましては,引き続きまして,アマモ場造成の試行等を行います。
これが,アオサ対策と藻場造成でございます。
アサリ漁業,ノリ養殖業につきましては,アサリ資源量調査と,後は,冬季の波浪抑制
によるアサリ減耗対策実証試験で,これは消波パネルを使って,波浪を減衰させて,アサ
リを残そうという事でございます。これも漁業者の皆様と連携して実施させていただきま
す。
ノリ養殖業については,高水温耐性ノリ品種改良という事で,やってございます。
あと陸上採苗施設の充実,これは冷水機でございますが,それの整備という事でござい
まして,詳しい所は,33ページ以降に書いてございますので,後程ご覧ください。
以上です。
(工藤委員長)
ただいまのは,事業計画の中で,マップ以外の部分ですね。
後ろの部分,1ページの所に出ているのですが,ここに沢山ありまして,これを全部ま
とめて,今お話いただいた。
それぞれ,実はアオサ対策ならアオサ対策で334万1,000円という予算がついて
いる訳です。
それでまあこれが実はちゃんとしておかないと一番いけない所なのです。
先程,一番初めの段階でアオサの経過報告の所で出てきたような疑問と対応ですね。
これを今年度の事業の中でぜひ生かしていただきたいと思います。そこで若干おさらい
になると思うのですけど,もう一度委員の皆さんの方から,わずかでも結構ですから,ご
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意見を伺いたいと思います。
よろしゅうございましょうか。
アオサの334万という仕事の中に,ここに書いてあるのはモニタリングだとか,自走
トラクターをやっていると,これやりますと。
違うとこ読んだそうです。500万だそうです。
ちょっと値上げしました。値上げをいたしましたけど,その範囲内でおやりになるのが
計画でございますから,このアオサのモニタリングと漁業者の自走トラクターですね。
自走式潜水トラクターと,それから有効利用策の検討,この3つですね。
まあ,ひっくるめちゃうと有効利用策の検討の中に入っちゃうかもしれないのですけど,
一応,こう書いているとこの注文は果たしている,というふうに考えます。
何かございますか。はい,どうぞ。
(大野委員)
アオサについてですけれども,ちょっと言いづらいのですけども,今日のそのマップを
見る限りで,ですね,アオサが堆積する場所というのが大体この,猫実川河口域に近い所
ですよね。
私が感じて,これは隣の組合長に伺わなきゃなんないのだけども,桟橋が出てアオサが
こうひっかかっているような気もするし,ああいう障害物は影響してないのかなという感
じを受けているのですけども,もし,あれ今も使っているの?
使ってなきゃ,県でぱっと外してくれればいいのです。
(歌代委員)
1億かかる。
(大野委員)
外すのに。あれ外したら海改善できると思うな。
(石井委員)
あそこには,アオサはあんまりかかんないですよ。
(大野委員)
ああそう。
(石井委員)
ただ,猫実川というけども,あそこのあの,でこでこした,そこへこうワアッと溜まっ
ちゃうのだよね。
ああいう立っている物には,以外にこう溜まったりなんかしなくて。
(大野委員)
アサリはわかないかな。あれだって潮をとめて,こう波浪は止まらないかな。
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(石井委員)
波浪はね。だけど風吹くとどっかいっちゃうし,溜まるというよりも,あそこでとまっ
てずっといると,その周りの水がこうだんだんミルク色してきて,アサリが死んでしまう
と…。
(大野委員)
ちょっと感じたものですから。
(工藤委員)
今もお話あったのですけど,ちょっとこれ難しいかもしれませんね。この中ではね。
でもあれ大体どこがつくったものですか。組合側でやったのでしょうけど。
だから,物をつくる時は不思議な事に,つくるのは予算つけてこうやるのだけど,いら
なくなったらどけるというのは,予算がないのですよね。そういうのはまた別途考えなき
ゃならない。
(大野委員)
今,鉄売れるのだけど,盗みに来るやついないかな。
(工藤委員長)
何か名案がおっしゃってください。
(小埜尾委員)
もう何年かたつと落ちちゃうかもしれない。
ぼろぼろなのですよ。だから逆にお金がかかるのですよ。さわると逆に危ない位なので,
もう数年前で,あの上のハッチングになっている所はもう人が乗れない位ひどがったので,
逆にさわれないからお金がかかっちゃうというのが現実だと思いますね。
かなりぼろぼろになっちゃっていますね。
(工藤委員長)
あとはとろけてなくなるまで待つしかないですかね。
(小埜尾委員)
使いたいって言う人もいるのですよね,意見はあるのですよね,市川市あたりで。
JCIあたりが使ったら,とか言っているのですけれど。
(工藤委員長)
私から注文出すけど,ぜひこの500万の中で,後で発生状況モニタリングというのを
やりますので,その際は,ネットで引っ張って集めた分だけの事ではなくて,やっぱりこ
う少しは足で稼いで,どこに生えてきたぞとかね,或いはこんな具合の密度で生えている
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ぞとか,そういったモニタリングを…。
(多田副委員長)
トラクター導入で500万円です。
(工藤委員長)
トラクター導入で500万円ですか。17万2,000円しか出ない。
(工藤委員長)
もうしょうがないから,それは県の職員の方,給料もらってやっていただくと。
とにかく何とかそういった情報を,整理をしていただけないでしょうか。
そうすると,相当色々な事わかってくると思うのですね。
いずれは,とにかくアオサを発生させない方法は何だという事を突きとめて,この手を
打たなきゃならない時が来る訳ですから。
何も今日,明日やろうという話ではないですね。で,しっかりデータため込んで,いつ
かゆっくり考えて,一番いい方法を取ればいい。
(小埜尾委員)
アオサを好物にするものはいないのですかね。アオサが大好きというやつはいないので
すかね。
(工藤委員長)
やっぱりね,さっき鳥羽さんがおっしゃったように日射量が違っていたというか,そう
いうのがあると思うのです。
そういうのが,それぞれあって,その中の何か,例えば日射量なら日射量のあの気温が
高いとか低いとか,そういったものがひとつ効くか効かないかで,大発生になるか,並に
なるか,というのが違っちゃうのですね。
ですから,そういった所,例えば場所がはっきりわかっていれば,例えばですよ,今,
一生懸命護岸を造っておりますがね,あの護岸に捨石をしています,そういった所にアオ
サは必ずついて,ダアーッと出てくる訳ですから,その上に,例えば何かをプッと張るだ
けで,まず大発生を防げる,なんていう技術があるかもしれない。これ,「かも」ですよ。
だけど調べておかないと,そういう技術が開発できない,という事なのですね。
だから何とか調べておいてください,こういう事でございます。
アマモ場は,小埜尾さん調べていらして得意かと思いますが,何か注文ございますか。
(小埜尾委員)
注文ですか。
(工藤委員長)
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はい。
(小埜尾委員)
言ってもしょうがないのですが。
(工藤委員長)
82万8,000円はあるそうですが。
(小埜尾委員)
これきっとうちの予算規模と,さして変わらないなあ,もうちょっとかけられないかな
と思います。
一つ言えるのは,僕らも富津という所を題材で,毎月よく行っていますけれど,あそこ
の海岸というのはもちろん潮干狩りもやっているので,非常に特殊な形をしていると思い
ます。
護岸があって,すぐに浜で,潮があれば全く浜がありませんので,それですぐ,ほんの
数十メートルで藻場になるのですけど,もう岸よりその護岸の下,砂地の所にほとんどア
オサはないです。
そのかわり入っていって沖に行けば行く程アマモ場の防がれる形で,薄いアオサはあり
ます。恐らくその養分の競合みたいなのがあるのだと思いますけれども,その海岸線の所
にある程度の藻場ができてしまうと,その中の生物ももちろん食べるやつがいるのでしょ
うし,まあ天然とは言いませんけれども,アマモ場というものがアオサの抵抗になるとい
うのは富津でも見られるので,できる限り,大きな藻場を岸よりに造成して,という感じ
があります。
それと併せて,先程委員長言われたのですけれども,船橋の海浜公園のように,打ち上
げる所があれば,逆にとれるのですよね,あのアオサっていうのは。
ところが市川側のように,今100メートルぐらいしかやってないのですけど,傾斜地
がないと打ち上げられないので,落ち込むし,あるいは少しこう高い人工干潟があると,
そこに堆積してしまう訳なので,護岸検討委員会の話になりますが,捨石でも何でもいい,
砂の傾斜でもいいです。
そこに打ち上げてしまえば,サブマリンじゃなくて,これは陸上のトラクターなり重機
なりで集められちゃうのは事実なのですね。
だから,ちょっと南風が吹いてくれれば乗ってしまう。
ただ,市川の塩浜地区に関しては,アマモ場もないし,砂浜もないし,そういう打ち上
げられる所もないので,寄せます,直立護岸にぶつかります,戻ります,また育ちますと
いう,実際の悪循環が起きちゃうのですね。
ですから,そういった意味では,海岸線の形状として,船橋の海浜公園のようなものが
あれば,当然非常に取りやすくもなるし,もしもの時にも何も水中で云々と言わなくても
できてしまいますよという実態があると思うのですね。
それがある程度の効果が出てきて,なおかつその海岸線を守りたいと,きれいにしてお
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きたいというならば,ある程度アマモ場をつくるというような形でガードをしたい。
富津を見ているとそんなふうに見ているのですけどね。
(石井委員)
我々は,あんなアマモに対しては,あれですよね。
(小埜尾委員)
そうですね。ノリの方は。
(石井委員)
ああ,あれがね,それこそ今言われたように打ち上げられ,海浜公園の方に打ち上げら
れた。ああいうふうな状態が続いたらもう,ノリは全滅ですよ。
だからもう多少,魚の卵の産む位な場所ならいいけど,あれ昔みたいに,我々の今の住
んでいる組合の,あの辺がもう真っ青になるぐらいに生えていたらね,もうノリはもう全
滅。もうあれですくノリじゃなくなっちゃいますよ。中々うまく…。
(工藤委員長)
だからこれやっぱり,何というのですかね。場所というか,ある意味では配置の問題で
すよね。
(小埜尾委員)
そうですね,以前もお話ししたのですが,やっぱりゾーニングになると思います。
それから,もちろん富津の組合長さんとも,以前そのノリとの関係でお話はさせてもら
ったのですけど,コアマモはやっぱり困るというふうに言われていました。コアマモは混
ざると分けようがない。
ただ,一般に言っているアマモに関してはそんなに混ざる事はないのだ,というふうに
お話はされていました。
で,葉っぱが大きいですからね,アマモって。コアマモは三番瀬に関していうと,コア
マモのシーズンというのは,ちょっとノリのシーズンに合いませんので,恐らく混ざらな
いだろうというふうに思います。
富津に関しては,ずっとコアマモもあるので,むしろ漁業やるとなると富津の場合は混
ざる,でもそれでも,今の所,問題はないと。
(工藤委員長)
そうするとあれですね。今の所,ここの所で注文させていただくとすると,ゾーニング
に良く配慮して,作業を進めていただきたい,こういう事でしょうね。
(能登谷委員)
もう一点。
さっきのアオサもアマモも,どういう方向で,どういう方針で,この漁場を考えていく
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のかという事が必要なのだと思います。
アマモが生えるのと,先程,お話されたように,漁場が良くなるという点もあります。
それから,それが被害になるという事もあるのです。これは全国的に言われている事なの
ですね。
そういう意味で,アマモを生えさせる事によって,どういう意義があるのか,それから
アマモにどういうその効用があるのかいう事をきちっと調べる事が必要だろうと思います。
また,今回やられているアマモの試験に関しては,非常に基礎的な所なので,私は何も
言いませんけれども,前から言っているように,アマモの効用は何なのと。それで,三番
瀬にとってアマモの藻場はどう重要なのか,今後,どういう方向の方針があって,今こう
いう研究をするの,という事がほしいですね。
先程のアオサについても同じように,トラクターも良いのですけども,どういう方向の
ために,どういうトラクターの使用で,モニタリングもどういう方向でやって,何がわか
るのかという,そういう方針が余りに表面に出てこないものですから,政策にならないの
ですね。
やっぱりここはある程度の政策を決めておいて,その方向で,今何をやっているかとい
うのをきちっとすべきだと思います。そうすると,皆さんが納得して,今はこうだけども
10年先なり,5年先なりに,こんな事ができますよという事がわかると思います。
従って,それをある程度見せた方針というのですかね,政策方針を作っていかないとま
ずいのじゃないかなというふうに思います。
(工藤委員長)
やっぱり,こう見ている視点を少し遠くへ持っていって,それが出来るようにするのだ
よ,という事をちょっとコメントでつけておいて,それから事業にやっていくと,そうい
う事なのでしょうかね。そういう事だそうですが,事務局お願いします。
それでは,もう大分先進んできました。
あとアサリとノリが残っていますが,アサリについては随分いろんな議論をしちゃって
いるので,既に出尽くしちゃっているような気がするのですけど,どうでしょうか。何か
残っておりましたら。
よろしいですか。特に今後は色々な実験などが漁場に入りますから,それを認めてやっ
てくださいよと。
(大野委員)
やらなきゃわかんないでしょ。
(工藤委員長)
はい。あとそのトラクターの改良ですか,やってくださいよと,色々あるのでしょうけ
どね。まあ結構だと思います。
それでは最後がノリですね。
ノリは昔から,前から去年も問題になって今年も中々名案が浮かんでこないと。お金が
かかるのだけれども…。
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(石井委員)
もう今年で,年内生産皆無というのが4回目ですよ。これでね。これが何とか…。
(工藤委員長)
やっぱり一番大事な事は,やはり両組合長さんが前にもおっしゃったのですが,年内生
産皆無の状態というのが現に発生しているので,それは一体なぜ起こっているのかという
事ですね。
まあそれ,全部わかる訳じゃありませんけど,少なくともこの条件は合っているでしょ
う位の事はわかっているのでしょうからね。そういう形でも良いので,少しでも前へ,少
しでも解決に向かえるような,そういうものが,何かほしいですね,という事なのです。
確かに,高水温耐性ノリ品種改良も結構です。漁業者と連携した養殖化技術の向上も結
構です。けども,今,現に起こっている問題,これに対する答えが出せる方向付け,まあ
一回で答えは出ないですね,こんなものは。
とっても難しいと思うのですが,少なくともこういう事を調べたらわかるのじゃないの
というぐらいは出るのじゃないか。
そういうのが,項目として一つや二つ入ってくると良いと,私は思いますが,いかがで
しょう。
(石井委員)
やっぱりこれね,年内の生産皆無というのは,どうしてもこの高水温に悩まされちゃう
のですよね。それ一言で,だから,これ今ここで高水温の品種改良って言っていますけれ
ども,これ先生から見て,高い温度で出来たノリというのは,果たして食えるようなノリ
ができるのですか,どうか。
(工藤委員長)
まあそれは,そういうノリをつくれば良いのでしょうけどね。じゃ品種改良っていつで
きるのですかと,だれも答えられないでしょう。
10年かかるかもしれない。何十年かかるかもしれない,だからそうすると,今本当に
困っているのに,それに対して打つ手にはなってないのですよ。
(能登谷委員)
だから,今言われたような,まあ場当たり的かもしれないけども,こう品種改良という
のは非常に大変な事で,そうおいそれとできるものではないですね。
特にこの,プロトプラストをどうのこうのとかというのは,非常に宝くじを当てるよう
なもので,宝くじより当たらないのじゃないかと僕は思っているのですけどね。
それで,そういうので,まあ当たらないという確率もないので,良いのですけれども,
その場当たり的かもしれないですけれども,何か別な種類を持ってきてやってみるとか,
色々な事がありますよ。
それは,やってみたら良いと思います。それから,実は漁業者の方と一緒になって,研
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究をきちっとしたら,もう少し何か道が開けるのじゃないでしょうか。
それで,そういう努力が必要なのだと思います。だから研究者と漁業者と一緒になって,
こう頭を突き合わせて,何かないだろうかという考えを,そういう場を作るというのも非
常に重要な事でないかなと思います。現在,あんまりその真に,現場密着の研究者は少な
いと僕は思いますけどね。
それで,中々ノリは非常に難しくて進まないのですけど,それでもこういう時は良かっ
た,こういう時は良くなかったと,色々な経験の中から新しいものが出るのじゃないかと
いうふうに思うのですけど,まあ,毎年,皆さん努力されているのでしょうけれども,何
か進まない気がします。
(工藤委員長)
私の方でちょっと言わせていただくと,今年度はもう本当に高温で大変な思いをされて
いるのですが,実はここだけが高温だったのじゃありませんで,有明海も高温だったので
す。
しかし,ご覧になって,こう蓋を開けたらわかるのですね。今蓋を開けたらわかった事
は,佐賀県も福岡県も,空前の大豊作なのです。
最初から良かった訳じゃないです。もう確かに初めの頃は,これ出来ないのじゃないか
と,秋芽の最初はですね。今年は無理じゃないのと。もうとれないかもしれない。そうい
う不安の中から出発しています。
しかし,その間にですね,まず育苗期に十分な干出を与える事で,育苗を後ろへ引っ張
りました。
だから,普段よりも2週間も後に種網が出来ているのです。
そういうような形をとってきて,ずっと時期を遅らせて,秋芽生産を始めているのです
ね。
それから,冷凍一番が出たのは,例年ならお正月前に出ちゃうのですね,あそこは。
ところが,今年の場合は2月なのです。2月に入って冷凍一番が出ているのです。
もう,福岡県で,現場で見ていました。素晴らしいノリです。
もう普通,今までの年だったら2月に入ったら色落ちしちゃうのですね。
それが真っ黒な冷凍一番の柔らかい,しなやかな立派なやつが毎日上がってくるのです。
何千箱って。そういう養殖の仕方というのがあるという事をやっぱり勉強しなきゃいけま
せん。そして,千葉県にも何かやれる事があるのじゃないか。
もう少し,例えば採苗の日をもう10日後ろにずらしたらどうなる,という実験をきち
っとやるべきだと思うのですね。
そういう事をおやりになる事によって,乗り切れる方法がある,必ず道はある,そうい
うふうに信じて仕事はすべきだと思うのです。
ですから,これ結構ですよ。高水温耐性ノリ品種改良大いにおやりやっていただいて結
構なのです。やっていくのは良い。試験場は試験場でそういう事をやっていって良いけれ
ども,併せて,担当者の方は,今,既に起こっている問題をどう解決するか,今年こそ,
19年度こそノリとらすぞという,こういう意気込みが必要だろうと思いますね。
冷凍入庫の時期にしろ,それを,パイロットネットを出す時期にしろ,そういったもの
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を綿密にやっぱり考えて,先進県もありますから,そういうものをよく調べて,とれる方
法を考えるべきなのです。
そうすれば,福岡並みにとれなくても,熊本県レベルでもいいじゃないですか。
とれたら,今とれないですよね,まるっきりとれない,それじゃ困る。熊本県ぐらいで
も良いですよ。それでも八分作とれているのです。
ですから,そういう事をやっぱりやらなきゃだめだと思う。それこそ,これは県の事務
局の方々の指導者の方々の,実は一番大きな責任だろうと思うのですよね。またやりがい
でもあろうと思うのです。ぜひ,やっていただきたい。
そういう事をやらないで,この3項目だけやっていたのではまずいと思うのですね。
もちろん2番目はそういう事につながっていると思うのですが,2項目目ですね。漁業
者と連携した養殖管理技術の向上と,名前はちゃんとあるのですから,ここにちゃんと予
算も99万9,000円ありますから。
これを使って,今私が申し上げたような事をきちっとやっていただけるとありがたいな
と思います。
(水産総合研究センター
柿野次長)
私の方から,先程お話で,こう私共,これは品種改良の話ばかりしかやってないように
受け取られてもまずいので,ちょっと申し上げないといけないかなと思いますので。
こちらの北部地区には,うちの担当が一人,水産振興公社の担当が一人,二人で対応し
ておりまして,この頃,毎年毎年,育苗期は週3回ですか,それからその後もずっと引き
続いて,ブロック会議等々の中で,ノリの生産者の方々とは,それこそ随分話をしており
ますが,この養殖管理技術でクリア出来る話かどうかという所を,漁業者の方々,私共,
かなり苦労して,まだ検討中でございます。
それで,このマップが始まった経緯というのも,もともとこういうふうにノリがとれな
い大きな理由の一つが,流れが遅いのではないかという,生産者の方々からの意見が多か
ったと思います。
それで,先程話された有明の佐賀,福岡は日本のノリ漁場で最も流れの早い所でござい
まして,ちょっと比較されるのは,私共いささかつらい話だなあ,というふうに思ってお
ります。
この三番瀬のノリ漁場は,恐らく流れが最もない漁場でございますので,だからここは
ここなりに何らかのものを見つけていかないといけないだろうと思いまして,もう暫く,
時間がかかろうかと思いますが,私共も,漁業者の方々とよく連携しておりますので,
ひとつその所は,理解していただきたいと思います。
(工藤委員長)
次長さんがおっしゃったように,本当に難しい事です。全然漁場が違うのですから。
(荒井委員)
前回の時も話しましたけれども,沖側しか,ノリは良くないです。
あとの柵は,全然ノリ取れないで。それで何だか,そこの所はどういう訳でそうなのだ
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か,それ試験場でもよくそれ,わからないと。
(水産総合研究センター
柿野次長)
ちょっとですね,これ私共の方は,担当の方と私共の方で話していますのは,何かいろ
んな要因が重なっているようでして。
(荒井委員)
だからその要因がわからなくて…。
(水産総合研究センター
柿野次長)
それで,私共はノリのブロック会議の中で随分話をしておりまして,おおむね了解で,
大体そうではないかという所までの了解はあったようにも聞いておりますが,ですから,
ここでわからないと言われると,ブロック会議での話が何だったのかなと…。
(荒井委員)
わかんないなら,わかんないという事で,徹底的にやってもらわないといけない。
(水産総合研究センター
柿野次長)
あとは,ですからアオサの問題なり,それから,この流れが元々低いことに付随する
病気の発生とかもあるようでして,こういうふうな幾つかの要因が,どうも悪い方に引っ
張っているようです。
(荒井委員)
どこが原因だか,それ調べられないですか。
(工藤委員長)
まあ確かにね,先程のマップを見ても決して流れが早くはありません。
10センチ以下というふうなレベルですから。3センチ位しかないのでしょうね。
ですからそんな所なので,それにはそれなりの養殖の仕方をせざるを得ないですね。
だから,さっきやはり次長さんがおっしゃったように,有明は流れが早いとこだから一
緒にはならんと,確かに一緒になりません,その部分はね。
ただ,そういう事を全部考慮した上での集団管理というものをきちんと組み立てないとい
けない。こういう事だと思うのです。それができないと,永遠にノリはとれなくなってし
まう。ですから,やはりそこでノリをとるのだという考えを持っている以上は,そういう
みんなで協力して,特に試験機関にちゃんと入っていただいて,そしてお互いに研究して,
よく意見を交換しながら集団管理方式を,ここでの集団管理方式を,行徳なら行徳の,
南行なら南行の集団管理方式というものを確立する方向,これをやっぱり検討していただ
かなきゃいけない。
それにはかなりの実験も必要です。失敗するかもしれないけども,10日後ろへ遅らせ
てやってみるよ,というようなね,そういうような仕事がどうしても必要になってくるの
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ですね。
まあ,その辺はよくお考えになって,両者で相談なさった上で,「漁業者と連携した養
殖管理技術の向上」という項目を,空念仏じゃなくしていただきたいのです。
それだけですね,よろしくお願いいたします。
事務局の側の方も,その辺の所を一つ心得てお願いいたします。くれぐれもお願いした
いと思います。
大分,会議の時間が過ぎてきておりまして,今4時25分です。
この辺で,そろそろ終わりなのですけれども,会場のご意見をまだ聞いておりませんの
で,随分中の方の意見が沸騰して,今日は大変だったのですが,会場側からもひとつ建設
的なご意見ございましたら,お願いしたいと思います。
(発言者A)
「漁場特性マップ」なのですが,東京湾全体との関係で,非常に流れが変わったりしま
すので,そういう部分にも十分に留意していただきたいのと,例えばアサリの浮遊幼生が
多いとか少ないというのは,多分,国交省なんかでも調べてありますので,それとの関係
なんかも十分見ていただければなと思います。
それから,もう一つは単年度比較になっていますので,皆さんもずっと言っていました
が,傾向としてどうなのかという事と,それからその年の特別なイベントとかインパクト,
雨量とか風とか出水とかありますので,そういうとこを整理していただけると良いのじゃ
ないかなあ,と思います。
それからあとは漁場の価値の話が出たのですけど,実はアサリとノリの話ですと,三番
瀬というのは干潟で,魚の稚魚がついたり,そういう今すぐに見えないのですけど,そう
いう価値がある所もあるので,是非その辺は十分検討していただけたらなあと思います。
漁業者の方,良く見ていらっしゃるので,その辺のアサリ,ノリ以外の事のヒアリング
をぜひ蓄積しておいていただけると,助かります。
以上です。
(工藤委員長)
事務局の方,全部おわかりになりましたか。よろしいですかね,復習をしなくても。
ひとつは東京湾全体との関わり,これは当然,流れなんかも全体があって,それから
部分がある,という形になっていますから,当たり前だと言えば当たり前なのですけれど
も,今度は細かいマップに入ってきても,やはりいつもそういう事を念頭に置いてやって
くれ,という事ですよね。それはとても大切です。
それからもう一つ大きな問題としては,単年度比較も良いのだけれど,トレンドを大事
にしてほしいという事ですね。
私もつくづくそう思います,13年度,14年度をヒョイと切って出す訳ですね,「大
変だ,なくなっちゃったじゃないの」と。それで15年度出したら,「なあんだ,昔と一
緒じゃないか」なんていう事になるので,そういうトレンドをきちんと出していかなきゃ
いけないと思うのですね。ですから,そういうのをひとつお願いいたします。
それからもう一つが,実は漁業という目で見れば,アサリが獲れたり,ノリがとれたり
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とれなかったり,とれなかったりと,そういう目で見る事になるので,漁場の価値という
のはノリがとれなきゃ漁場じゃないなんていうような見方になっちゃうのですけども,実
は三番瀬の漁場の価値は,それだけで評価できるものじゃありませんよ,という事なので
すね。とても大切なお話だと思います。
そういう点では,特に漁場マップを作るという中では,その頭をちゃんと持ってないと
いけませんね。ノリとアサリだけやっていればいいやというのじゃなくて,じゃあどんな
稚魚がいつごろどうやって出てくるのだろうかとか,東京湾のほかの漁業で出てくるよう
な魚の子どもたちの,その供給側として,どういう役割しているのだろうかとか,そうい
う観点がなきゃいけないですね。
それ観点があるだけじゃなくて,そこから読み取れるようなマップというのがあれば,
素晴らしいのですけれど。
そういうような,できるだけの努力はしていただきたいという事でAさん,よろしいで
すか。
ほかに,会場の方いらっしゃいますでしょうか。大変今も建設的なAさんのご意見あり
ましたので,ぜひこれは取り入れていきたい。
じゃあ,この辺で質問終了させてよろしいですか。
(石井委員)
先程からの説明があった「漁場特性マップ」や,アサリの冬季の減耗対策試験などは,
今後の漁場再生を進めていく上での最も重要なもの,と私たちは理解をしております。
一日も早く漁場が再生するよう,我々,漁業者も頑張りますので,委員の皆さん,県にお
かれましても,ぜひ強力な漁場再生を進めてもらいたいと思いますので,よろしくお願い
いたします。
(工藤委員長)
もう終わりの時間でございます。
じゃあ次は,第10回の,今第9回ですから,第10回の検討委員会の開催時期でござ
いますが,これに関しまして,これに関しまして,これは佐藤さんの方で…。
(事務局(水産課
佐藤副課長))
それでは次回,10回の件につきまして,次回の開催時期でございますが,事業の進捗
状況を受けまして,改めて委員の皆様方とご相談させていただきたいと考えております。
(工藤委員長)
改めてというと,大体何時頃になりますか。
(事務局(水産課
佐藤副課長))
予算編成の前という事になりますので,8月から9月ぐらいではないかと。
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(工藤委員長)
8月から9月ごろ。
(事務局(水産課
佐藤副課長))
ではないかというふうに考えております。
(工藤委員長)
大分時間が空きますね。ちょっと中身忘れちゃうかもしれない,すみません,忘れない
ように皆さんお願いいたします。
8月から9月ごろという事だそうで,改めて皆さんのご都合をお聞きします。
よろしくお願いいたします。
以上で,本日予定しておりました議事はすべて終了いたします。
これで,第9回三番瀬漁場再生検討委員会を終了させていただきたいと思います。
どうもありがとうございました。
7
閉会
午後4時40分
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