LibeNew 函館プロジェクト! - 玉川大学・玉川学園

︱︱ 先生は民俗学を専門にしていると伺ったのですが、民俗学とはどのよ
うな学問ですか?
民俗学は、歴史学の仲間みたいなものなんだよ。でも少し違う。歴史学で扱
うのが文字なのに対して、民俗学は﹁
伝承﹂
を扱う。﹁
口碑伝承﹂
といって、民
間で語り継がれているものを扱うのね。地域に調査に行って現地の人にその
土地の伝承を教わる。するとそこには、過去のことはもちろん、たくさんの
生活の知恵、方法、将来の方向性のようなものが見えてくるんだよ。伝承を
もとに、歴史や生活のヒントを探るのが民俗学だよ。
︱︱では、﹁
俗﹂
の字が違う、民族学とはどう違うんですか?
民俗学も民族学も、聞き書き︵
聞き込み︶をしたり、観察調査をしたりとい
う研究スタイルには大きな違いはないんだけど、研究対象が微妙に違うの
ね。民族学︵ e
︶
は、未開社会を、民俗学は、未開社会のほかに都市な
t
hnol
og
y
ど現代の社会全体も研究対象に含むのね。未開社会は、昔から多くの学者
や研究者らによって研究されてきて、もうさほど珍しい未開の地というのは
少なくなった。だから、対象を未知の地域、知られていないところに限定し
ないようになった。そういう流れが民俗学にはあるんだよ。
︱︱ なるほど。
民俗学の研究で、どこか地域に行って
聞き込み調査をする場合に、別に親し
いわけでもない、知らない人からいろ
いろな話を伺うと思うのですが、そう
いう人たちとコミュニケーションをとる
のに気をつけていること、あるいは大
事なことは何ですか?
嘘をつかないこと。
民俗学って、伝承︱目には見えない、常に語
り継がれて残されてきているものを研究す
るから、その調査の手段は﹁聞くこと﹂
なの
ね。だから、聞き出さなければ始まらない。
信用されなかったら始まらないのね。一度
インタビューを受ける
ぱっと行って、何でも人が話してくれるな
八木橋伸浩先生
んていう状況はあり得ない。やっぱり人と
会話をしながらその情報を引き出すため
には、長い時間をかけてお付き合いしながら調査ってやっていくんだよね。
ぱっと行って、いきなり知らない人に﹁お宅のうちの宗教どんなんですか﹂
っ
て言われたって答えたくないでしょ?この人は、こういう目的でこんなこと
を聞いて、こういうことをやりたいんだなっていうのが分かれば、はじめて﹁
ああ、そうか、じゃあ話そうかな。﹂
って話してくれるじゃない?﹁
話してもこ
いつに変なところに書かれちゃ困る﹂
とかさ、やっぱり信用されない限りは
ちゃんとしゃべってくれないんだよね。だから、人間の本音の部分を聞くた
めには、絶対に長いお付き合いが必要なんだ。一度の調査で簡単に済んでし
まうものではないんだよ。
︱︱今は瀬戸内海の島に行かれていると伺ったのですが、そこではどんなこ
とをされているのですか?
ちゃんたちを中心に聞き書きをしてるわけね。だから、みんなでストックし
て貯めてきた情報を、最終的には誰かがまとめなきゃいけないんだけど、そ
ういう作業をしたいなあと思ってる。せっかくお話聞いてるんだから、どっ
かで形に残したいじゃない?
︱︱ なるほど。じゃあ、今までのゼミの先輩たちが調査してきたものを後輩
たちが引き継いで、それをゆくゆくは本にしたいってことですね。
そう。長く同じ島に行くことによって覚えてもらえて、﹁玉川の学生さんだ
ね﹂ってある程度認識されると話も聞きやすくなるでしょ?一回行ってもう
行かないってなると、関係がなくなっちゃうのよ。そうすると、なかなか本
音を語ってもらいにくくなる。何度も行くから、﹁去年もおまえ来たなあ﹂
なんて、みんな家に上がりこんで、孫が遊びに来たみたいな感じで、みんな
楽しくやってる。今では島の運動会もうちが企画運営するようになっちゃっ
てるしね。︵
笑︶
そうやって、今ではお互い良い交流ができてる。僕が、と言う
よりは、ゼミのみんながすごく良い付き合いを作ってるしね。
︱︱ なるほど。やっぱり民俗学を研究する上では、人との付き合いを築く
ために、相手に信頼してもらうってことがとても大切なんですね。
そうだね。まさに、信頼してもらうことが一番だと思うよ。だから、そうい
う意味では、例えば、社会学だとか他の学問ってとってもデジタルなイメー
ジがあるんだけど、民俗学はすごいアナログな学問なわけ。汗流して自分で
歩いてさ、﹁
こんちはー﹂
って訪ねていったら向こうの機嫌が悪くて話しても
らえないなんてこともある。そういう時は﹁
じゃあまた来まーす﹂
なんて言い
ながら、また別の日に出向くことになるわけでしょ。そんな大変な部分もあ
るけど、同じ話を何回聞いてもいいっていうメリットもあるのね。実は人間の
記憶なんてそんなに正しいわけじゃないから、﹁あの時はああ言ったけど、よ
く考えてみたらこうかなあ﹂
なんていうこともあるしね。だから、繰り返し
聞くことにも意味があるの。一回聞けたらそれで全部正しいことがわかる
わけじゃないんだ。同じ話でも、複数の人から何回も聞くことによって、精
度が上がっていくわけ。そういう作業の繰り返しをやっていくんだよね。
︱︱民俗学の研究で得たいろんなことは、どのようなことに活かされるので
すか。
昔から、古い伝統的なことを聞くっていうと、おじいさんやおばあさんが覚
えてることを聞くっていう感じになるでしょ。それを聞いてただ記録するだ
けでは、学問としては限界、面白くないもんね。
歴史学もそうなんだけど、基本は﹁
現在学﹂
なんだよね。要するに、これから
将来いろんなことが起こっていく中での対応方法を増やすっていうかさ。
やっぱり、過去のことを知るのは将来のためなんだよね。だから、過去がわ
かって﹁
ああこうだったんだね﹂
って懐かしんで終わってしまうんだったら学
問じゃない。﹁
民俗学だとか歴史学、思想史なんか勉強して、昔の人の考えが
わかってなんなの?﹂
ではなくて、過去のことがわかると、逆に将来のあるべ
き方向がわかってくると思うんだよね。
︱︱ では、そう考えると、すべての学問の根拠、根底にあるような気がする
んですが⋮⋮。
そうだね。すべての学問は⋮⋮。でもねぇ、役に立つかどうかっていうのは、
ちょっと偉そうな話なんだけど、それを考えてないわけはないんだよね。文
学だってそうじゃない?作者の意図がわかって何なんだいって言うけど、やっ
ぱりそこから時代を読んだり、いろんなことをしながら将来のことに役立て
ていくと思うんだよね。
だから、その意味では、そういうアプローチをする方向がいっぱいある、いろ
んなアプローチの仕方や方法を同時に学ぶことができる、ここリベラルアー
ツ学部はとても良い学部だと思うんだよね。
国語の教職課程を取っている学生が土佐日記を読んで、﹁ここの部分は民俗
学的にはどう解釈できるんですか?﹂
って聞きに来ることがあるよ。そんな
ふうに、僕らいろんな専門家の教授のところに質問しに、どんどん来てもら
いたい。むしろ学生たちにはそういう見方を是非してほしいんだよね。学生
たちにとってプラスになるんだったら、視野も広がるしいいじゃない?そう
やって学生にはどんどん視野を広げていってほしいんだよね。例えば、伊勢
物語に植物が出てきたら、石川先生︵
生物教育を専門とする先生︶
のところ
に行って、﹁
当時、この植物はどのように育ったんですか?﹂
なんて聞きに行っ
てもいいしね。こういうことは文学部や他の学部じゃできないからね。だか
ら、是非そうやって学生は上手に教員を利用したほうがいいよ。
︱︱では最後に、リベラルアーツ学部へ進学を考えている高校生にメッセー
ジをお願いします。
大学に入るってことは、専門的な力をつけるために大学に入るわけなんだけ
ど、その意味では、リベラルってなんか矛盾している感じがするよね。
でも、さっき僕が言ったことこそが、大事なこと。ちゃんと専門︱自分の足
場は一つ置いていながら、いろんことを学ぶ。木に例えると、縦に細長い一
本の木じゃない、 C
の
M﹁この∼木何の木∼♪﹂の木のように、枝が横に広がっ
て、下に大きな影を作って人がそこに寄り添ってくるような、そんな大木の
イメージなんだよね。リベラルってそんなイメージ。だから、自分の幹、芯は
ちゃんとあって、そこにいろんなものを広げていく。ただ幹だけを伸ばすん
じゃなくて、そこに、横に広くたくさんの枝葉をつけて、大きな傘みたいな
木になってほしいなぁっていうのが僕のイメージなんだよね。他ではできない
プラスαの要素がリベラルアーツ学部にはたくさん散らばっているから、是
非リベラルらしく枝葉を広げたような、そんな学び方をしてほしいと思う。
今は色んなことに広く対応できる、幅広くたくさん引き出しを持ってる人
が社会から望まれているからね。リベラルアーツ学部というところは、引き
出しをたくさん身につける場だと思って来てくれればいいな。
︱︱なるほど。大学入学前に意識することが大切なんですね。それでは、長
い時間に渡ってのインタビュー、ありがとうございました。
照屋ゼミ
個々にテーマを決め、CG作品制作、動画作品制作などをし、その発表会とディスカッションをします。自分の趣味の写真やアニメーション、
CGイラストなどを不特定多数が見るHPに載せるために、著作権問題などに気をつけながら作成し、ネット上でアップできる形にします。自身
のバイト先を紹介するCM映像を作ることや、ファッションブログやフリーペーパーの作成なども行います。
ゼミ生も一緒に調査をしていて、それぞれが調査したものをまとめて、そこ
の島の民俗誌を作ろうと思ってる。民俗誌という一冊の本にね。そこの島の
民俗的な世界を将来的には本にまとめたいんだ。民俗学が扱う分野って広
いんだけど、その全分野に渡るような形の本を作りたい。今は島の民俗誌を
作るためにみんなで少しずつ項目を分担しながら、おじいちゃんやおばあ
中田ゼミ
日本の古典文学の資料研究とその考察に対する意見発表、ディスカッションを毎時間実施します。文学と風土の関わりを考察するために、
フィールドワークなどの調査も行います。国語科をはじめとする教員を目指すゼミ生は、教材研究にも力を入れており、日々切磋琢磨してい
ます。また、タイや台湾から日本語・日本文化を勉強しにやってくる留学生のサポートもしています。
はとバス研修に
参加したK君の感想
佐藤ゼミ
JSHI
NE(小学校英語指導員)の資格取得を目指し、小学校で実習をしています。また、その教材研究や、英語普及活動のためのイベントの
企画・運営、そのほか、赤ちゃんラボを設け、登録者にご協力いただき、赤ちゃんの言語獲得や言語発達の研究をしています。
授業の時間帯が少し遅い(17時から)ですが、より専門的な知識が数多く学
べます。また教職クラスの学生はほぼ同じ授業を取るので、みんなとかなり
仲良くなれますよ。
八木橋 ロゴ
コレクション
はとバス研修に参加してみて、知らない単語が出て
きたり、何を言っているか聞き取れなかったり、実
際にネイティブの方とコミュニケーションをとる難
しさを改めて実感しました。だけど、簡単な単語や
基本的な話し方、ボディランゲージや表情などで十
分コミュニケーションをとることができるというこ
とも学ぶことができました。
また、今回の研修をきっかけに東京について調べて
みましたが、まだまだ自分の知らないことがたくさ
んあるということもわかりました。そして、人に何
かを伝えるときに、どう伝えれば相手は理解してく
れるのかを、今回の研修で学ぶことができたので、
とてもいい研修になったと思います。
自分が考えた授業では、子どもたちに考えて、「ことば」
をしっかり選び抜くということを伝えたかった。
しかし子どもたちは聞こえてくる「ことば」に敏感で、授
業をする自分が一番、「ことば」を考え、選び抜かなけ
ればならないことに気付かされた。
一教員として、子どもと接することができたこのプロジェ
クトに感謝。
メジャー別研修とは、自分の専攻(メジャー)を決めるために行う研修のこと
です。リベラルアーツ学部では、第4セメスターから各自のメジャーに沿った
学習を実施していきます。そこで、各メジャー内容に沿った研修を実施し、
その上で、自分のメジャーを決定し、学習を進めていくために行うのがメジ
ャー研修です。今回は、「英語はとバス研修」について紹介します。「はと
バス研修」とは、日本へ観光にきた外国の方と一緒にバスで東京の観光地を
めぐりながら、英語での実際のコミュニケーション能力を育む研修です。
今回が初めて教壇に立つという機会だったので、不安
と緊張、期待がありました。
でも実際に授業をしてみると、こどもたちの笑顔を見る
ことができ、楽しかったという声を聞けました。教師とい
う職業の素晴らしい一面を感じることができました。本
当に貴重な体験をさせていただきました。
何度も集まって授業内容を考えたり、先生にチェック
をいただいたり、何度もリハーサルをしたり、教材を
作ったり……、実習前後にはペアで打ち合わせをし
たりと、思えば準備は大変ではありましたが、それ以
上に達成感と、生徒たちの笑顔をもらえたという喜び
でいっぱいです。ゼミのメンバーの新たな一面をみる
こともできました。
メ ジ ャ ー別 研 修 !
英語の授業はまったく初めて、という児童・先生方でし
たから初日を終えてみるまで、いったいどんな授業に
なるのだろうと、想像がつかず、不安でした。しかし、生
徒たちは、英語を聞いて、一生懸命に理解しようとして
いて、その様子がとてもうれしかったです。不安なんて
いつの間にか忘れて、3日間の実習はあっという間でし
た。担任の先生方もとても積極的に授業に参加してくだ
さり、また、私達実習生をサポートしてくださり、本当に
恵まれた環境の中で実習をすることができ、とても充実
した合宿ができたと思っています。
北海道八幡小学校の明るい子供たちに支えられたプロ
ジェクトでした。授業自体は、ゼミの先生や先輩、仲間た
ちの協力があったからこそ、行えたと思っています。
子供たちと触れ合って、反省すべき点もたくさんあります
が、今回の貴重な経験は大きな財産です。
教職って大変?
教職科目
とっても素直な小学生との実習は本当に楽しく、良い経
験になりました!最後の授業は名残惜しく、「先生また
来てくれるでしょ?」と口々に言われたのがとてもうれし
かったです!
私たちの期待と共にあった不安。それを一気に吹き飛ば
してくれたのは、児童の元気な挨拶と笑顔でした。子ど
もと一緒に笑顔になれる、そんな先生になりたいです。
生徒理解と は空き時間
感 想
どんな授業?
スポーツ心理学
どんな授業?
民俗学入門
教育の原理
9,10 教育相談
函館プロジェクト!
都市と農村それぞれにおける祭礼や年中行事の由来やその変遷を通して、
衣食住をはじめ私たちの文化の歴史を探る授業です。授業中は「なるほど!!」
や「えっ、そうなの!?」が盛りだくさんですよ。
この夏8月26日∼30日の4泊5日間、北海道・函館にて佐藤ゼミ・中田ゼミ・照屋ゼミの活動が行われました。
その名は函館プロジェクト!小学校英語活動の佐藤ゼミ、「楽しい国語」の中田ゼミ、広報の照屋ゼミが函館の八幡小学校に行ってきま
した。小学校での実習のほかに、北海道教育大学の学生さんと意見交換をしたり、同大学萬谷隆一教授、玉川大学佐藤久美子教授ら
による講演会が行われたり、立食パーティー形式の交流会が開かれたりと、とても充実した4泊5日間を過ごしてきました。函館市立八幡
小学校、北海道教育大学、そして玉川大学の学生と教授が一丸となって成功させた一大イベントでした!
コンピュータ
と学習支援
世界がわかる 自分がかわる
7,8
キャリア 現代社会 セミナー と倫理
ECⅢ
5,6 日本の文化 と芸術
平日に休みが取れる
のも大学生ならでは♪
スポーツ
日本語学概論
心理学
1,2
3,4 民俗学入門
りべ に ゆ ∼
実際にゲーム感覚で体を動かしたりもしながら、スポーツに限らず、物事を
いろいろな角度から考える授業です。スポーツを、そして自分自身を見つめ
直すチャンスになるはずです。
佐藤ゼミ 英語実習チーム
中田ゼミ 国語実習チーム
割
間
時
の
木
の
傘
先輩
な
き
大
!
は
開
ル
ラ
公
を
ベ
師
大
リ
教
の
国語 Y君
中高の す2年生
指
目
月 火 水 木 金
VOL.16
L
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