柏崎刈羽原子力発電所視察 - 新潟県

新潟県原子力発電所の安全管理に関する技術委員会
(柏崎刈羽原子力発電所視察)
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出席者
<委
員>
梶本 光廣 原子力安全基盤機構原子力システム安全部次長
衣笠 善博 東京工業大学名誉教授
香山
晃 室蘭工業大学環境・エネルギーシステム材料研究機構長
小山 幸司 三菱重工業株式会社原子力事業本部原子力製造総括部原子力機器設計部
マネージングエキスパート
鈴木 賢治 新潟大学人文社会・教育科学系教授
鈴木 元衛 日本原子力研究開発機構安全研究センター燃料安全研究グループ常勤嘱託員
立﨑 英夫 放射線医学総合研究所緊急被ばく医療研究センター被ばく医療部障害診断室長
立石 雅昭 新潟大学名誉教授
中島
健 京都大学原子炉実験所原子力基礎工学研究部門教授
西川 孝夫 東京都立大学名誉教授
野中郁次郎
一橋大学名誉教授
山崎 晴雄 首都大学東京大学院都市環境科学研究科教授
山内 康英 多摩大学情報社会学研究所教授
吉川 榮和 京都大学名誉教授
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日時
平成 25 年2月 19 日(火) 8:30~12:30(マスコミ公開で実施)
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場所
柏崎刈羽原子力発電所
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資料
柏崎刈羽原子力発電所視察概要(東京電力株式会社)
視察設備等の位置(柏崎刈羽原子力発電所構内配置図)(東京電力株式会社)
福島第一原子力発電所事項の教訓に基づく柏崎刈羽原子力発電所の対策(東京電力株式会社)
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視察場所等
(1) 展望台(全景、5~7号機(大湊)側防潮堤(堤防))
(2) 貯水池
(3) がれき撤去車(ホイールローダ等)、電源車、消防車、代替海水熱交換器設備
空調式ガスタービン発電車、軽油地下タンク
(4) 1~4号機(荒浜)側 防潮堤(堤防)
(5) 1号機 防潮壁、防潮板、水密扉、原子炉建屋トップベント
(6) 免震重要棟(放射線防護装備品など)
(7) 保安倉庫(放射線防護装備品)
(8) 500kV 開閉所耐震強化工事、防潮壁
(9) 7号機 直流 125V バッテリー、電源盤
(10) 7号機 非常用高圧配電盤、非常用低圧配電盤、電源車用ケーブル収納箱
(11) 7号機 原子炉格納容器ドライウェルベント用出口隔離弁(手動可能化)
(12) 7号機 主蒸気逃がし安全弁
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質疑等
(鈴木座長)
それではご質問等ございましたらお願いいたします。
(中島委員)
今日はありがとうございました。最初の方に見せていただきました貯水池ですけれども、2万 m3 程と
いうことですが、ゴムシートが貼ってあって、2重構造で、穴が開いたら自分でふさがる構造とのこと
ですが、シート自体の耐久性はどうなのか。また、どれくらいの頻度で交換することを考えているので
すか。
(東京電力 柏崎刈羽原子力発電所総務部土木(第二)グループマネージャー武田)
土木の武田と申します。シートに使っております材料は、産業廃棄物処分場等にも使っていて、耐久
性等も十分有しているものでございます。また、先程、2層3層構造の話がありましたけれども、2枚
のゴムの間には自己修復する材料が挟まれています。毎年1回は、潜ってシートの状況を確認してまい
りますので、今のところ供用期間中に取り替える必要はないと考えておりますが、きちんと管理してい
こうと思っています。
(山崎委員)
今の貯水池のことで伺います。深さはどれくらいあるのですか。
(東京電力武田)
水深は、浅いところで 4.3m、深いところで 4.8mとなっています。
(山崎委員)
2万 m3 というのは今の水位なのですか。
(東京電力武田)
はい、今入っている容量が約2万 m3 ございます。この中で有効容量というのを考えておりまして、1.8
万 m3 はきちんと使えるよう、堆砂等があっても大丈夫な容量として考えております。
(鈴木座長)
その他、いかがでしょうか。吉川委員。
(西川委員)
今、防潮堤のコンクリートが打設されていますが、寒風等、寒い温度の中でどのようにコントロール
しながら実施されているのでしょうか。元々作られた時は全天候向けに囲って作られましたよね。
(東京電力武田)
同じく武田から回答いたします。この冬場、まずは天候をよく監視して、翌日・翌朝の天候がどうな
るかも考えたうえで、打設の作業の日を決めています。また、気温が下がりそうな場合には、
(現場を
ご視察いただいている)途中、グレーのシートで囲った様子があったと思うのですが、あのシートで囲
いまして中にヒータを入れて、養生されている場所の温度が5℃以下にならないような管理を行いなが
ら作業をしています。あまりにも天候が荒れていたり、翌日荒れそうな場合には、万全を期して延期す
るだとか、そういう判断を行いながらきちっと施工しております。
(鈴木座長)
立石委員。
(立石委員)
お聞きしたいのは、副防護本部とありますが、この現状と機能についてお伺いしたいと思います。
(東京電力柏崎刈羽原子力発電所防災安全部長 室星)
警備を担当している室星でございます。
核物質防護に係るものですのであまり詳しくお話できなくて申し分けございません。
発電所全体を分けまして、南側にある4プラント分を見ている防護本部がございます。それと、今日
ご覧にいただきました5~7号機を管理しているところが、副防護本部という名前をつけさせていただ
いております。
(鈴木座長)
その他いかがでしょうか。立﨑委員。
(立﨑委員)
今日はどうもありがとうございました。免震重要棟の緊急対策室、今は出入自由だと思うのですが、
外が汚染された場合のそこの入退域管理の考え方についてお聞きしたいのですが。
(東京電力柏崎刈羽原子力発電所技術総括部長 村野)
はい、村野からお答えいたします。
緊急時には今日みていただいた場所でいいますと、警報付個人線量計(APD)がおいてある棚、それ
から資機材が置いてあったエリアがあったと思います。そこに緊急的に出入り管理所を設けまして、そ
こを通して人の出入りの管理をするということで考えております。その資機材は別の倉庫に配しており
まして、セットアップの訓練等を実施しているという状況です。
(鈴木座長)
鈴木(元)委員。
(鈴木(元)委員)
福島でもありましたが、この柏崎刈羽原子力発電所には全体の使用済み燃料をまとめている大きなプ
ール、共用プールがございましたか。
(東京電力柏崎刈羽原子力発電所副所長 新井)
ありません。
(鈴木(元)委員)
ないのですね、分かりました。
あと、今の原子力規制委員会では第2中央制御室みたいなものを設けるとの構想をだしてございます
が、それについて東京電力さんはどう対応されますか。
(東京電力柏崎刈羽原子力発電所長 横村)
第2中央制御室を設けるというのは、原子力安全を確保する上で設計の最上流側のコンセプトの追加
という形になると思いますので、今はコンセプト段階ですのでこれを今から具現化していくという状況
でございます。
(鈴木座長)
その他、いかがでしょうか。
(小山委員)
今日はいろいろ見せていただきましてありがとうございました。
水密扉について伺いたいのですが、この度、津波対策でたくさん設置されたのですが、物としてはか
なり設置されたということでよいのかなと思うのですが、それの取り扱い、電気盤周りは通常閉で、入
る時に開けてまた閉めることになると思いますが、閉め忘れの防止だとか、そのような対策、どちらか
というと人為的ミスとか、そうものに対する対策というのはどのようにとられているのか少し伺いたい
のですが。
(東京電力横村所長)
水密扉につきましては、特に定期検査時には開放して作業をするということがございますので、そう
いう時には入ったらしっかり閉めてくださいという話をしています。ただし、中央監視室からそれが監
視できなければ安全機能を果たしているとは言えないので、各扉にある一定時間開きっぱなしになると、
中央制御室の方に警報を出すように、そういった仕組みを設けていまして、もし誰かが開け放しで忘れ
ていっても中央制御室で気がついて閉めに行くことができるようになっています。
(小山委員)
入口の横に電気がついていたのですが、それと似たような役目ということですか。
(東京電力横村所長)
はい。扉の状態をスイッチで検出して、そこにタイマーを組み合わせまして、中央制御室でも監視で
きるようにしています。
(鈴木座長)
吉川委員。
(吉川委員)
緊急時対策室で、福島でも問題となった燃料プールの使用済み燃料の状態をどのように監視されるの
でしょうか。
(東京電力新井副所長)
福島の教訓を活かしまして、使用済み燃料プールの水位、通常ですと満水にして(意図的に)溢れさ
せて監視をしている状態なのですが、水位が減っていくような場合であっても、その監視ができるよう
に熱電対を上から1mおきにおきまして、その状態をみて(水位を)判断をする。それで分からない場
合であっても、カメラ・ITV(監視用テレビモニタ装置)を設けまして、中央操作室から監視できる
ようにすることとしています。
(吉川委員)
それは中央操作室の場合で、緊急時対策室の方はどうなっているのですか。
(東京電力新井副所長)
中央操作室で確認をして、その(状況等を)連絡をもらうということになります。
(東京電力横村所長)
燃料プール以外でも原子炉の圧力など、緊急時対策室で、全部停電してしまった時にどうやって情報
をとるか。あるいはそういったものが全部機能を失う可能性がありますので、そうした議論もしており
ます。従いまして、先程みていただいた(免震重要棟において、通常時には、)ITVもあって、コン
ピュータも動いていて、伝送路も健全で、ディスプレイにかっこよくパラメータが出ている状態ですが、
それができなくなった事も考えまして、中央制御室でとったデータをメモリに入れまして、それを緊急
時対策室の方に、それもできければ紙に書いて、必要な情報を紙に書き取って送るとか、そういった極
めて原始的なもの、これもフルパッケージでいろいろ用意いたしまして対応しようと考えております。
(鈴木座長)
野中委員。
(野中委員)
今日は事故に対して非常に多重なシステムを作っていることがよく分かりました。
ただ、最初にお話を聞きましたが、フェーズドアプローチということになりますと、事故が起こった
時に、フェーズが変わる時に必ずしもシーケンシャルに行くとは限らない。一気に行く時もあります。
そういう意味で所長のトップ層以外に、ミドルあるいはフロントで、関係性がタイムリーに読める、そ
ういう人材の育成というか、あるいは配置とかそういうことを考えておられるのでしょうか。なかなか
マニュアルには書けないことだと思うのですが。
(東京電力横村所長)
そこはやはり、事故の教訓として大変重要な点だと認識しております。事が設計ベースで収まれば、
中央制御室の責任で安全に収束するといことになりますが、一番問題となりますのは中央制御室からス
イッチを入れても冷却できないとか、減圧できないとか、こういった事が生じた時でございます。この
時に緊急時対策室にいる我々指揮命令者とそれからその指示を受けて電源車や減圧装置を動かし、ある
いは消防車で注水に行く、そういったオペレーションの人たちが活躍するということになります。
その時に一番重要なのは、やはり情報を取り上げてその先を読んで、誰が指揮命令をするのかという
ことになります。既に設計状態を超えていますので、マニュアル外のことも起こっていますから、緊急
時対策室の命令として、マニュアルにあることないこといろいろ判断して指示を出すことになります。
ここのところが実は当社の弱かったところで、何となくたくさんの人がいて、いろいろなことをいって
いるというような状況がございましたので、それを今回整理いたしまして、今までは私一人が全て指揮
するという形になっていましたが、これを改めまして、その下にまず1~4号機を統括する責任者、5
~7号機を統括する責任者、更にその下にはその命令を受けて、そのユニットの責任者を配置します。
例えば、おまえは1号機の減圧をしっかりやれと言われたら、減圧できませんとかどうすればよいので
しょうかという話ではなくて、その目標に向かって現場で見聞きした情報の中から実行していくと、こ
ういった体制に作り直しております。
これは、今回原子力改革タスクフォースという、原子力の安全性をもっと高めようとやっているなか
で、アメリカなどの仕組みも取り入れて、新しく導入いたしましたシステムでありまして、今これを日
本版といいますか、原子力版としてしっかりできるようにトレーニングを何回もして、改良を重ねてい
るところでございます。
(鈴木座長)
香山委員。
(香山委員)
格納容器の外に、ベントが非常時に手動でできるような新しいタイプを見せていただいたのですが、
手動でできるというのは非常時の対策としては良いことですが、逆にああいう機能を設けたことによる
人為ミスの可能性は発生するのですよね。本来開けなくてもよい時に開けるとか。話を伺った限りでは、
開けるための工具というのは宿直室に置いてあって、宿直が持ち出せると、それだけでは少し危険な気
がするのですが、実際の管理だとか、非常時の取り扱いのルールは考えておられるのでしょうか。
(東京電力柏崎刈羽原子力発電所第二保全部原子炉グループマネージャー 金子)
(現場をご視察いただいている際に)ご説明させていただきましたけれども、基本的にラチェットは当
直員室の控え室にございまして、普通は関係者以外の立ち入らないところに置いてあります。また、あ
のラチェットを持って行って現場で直ぐに付けられるかといいますと、もう一つ工具が必要になってい
まして、その工具を外さないと簡易的には取り付けられない構造となってございます。細かい管理とい
うのは今後の課題になっていますが、今のところ、ただあのラチェットを持っていけば簡単に誰でも開
けられる構造にはなってございません。
(香山委員)
見たところは簡単にできるようになっていますが、しっかりと管理できるようになっているというこ
とですね。
(東京電力横村所長)
ラプチャーディスクが下流側にあって、(当該の弁だけを)開けても通常圧であれば格納容器から外
部に通じないようになっていますけれども、ラプチャーディスクをもっと圧力が低い状態で作動させた
らどうかという議論もありまして、もし単一の操作で直ぐに外部に通じてしまうという状況になるなら
ば、もっとしっかり考えていかないといけないと思っています。
今のところ、ラプチャーディスクなども考え合わせまして、普通の人が普通の工具を持っていったく
らいでは(当該の弁は)開かない。そういった状況でございます。
(鈴木座長)
その他いかがでしょうか。鈴木(元)委員。
(鈴木(元)委員)
2点ほどお伺いします。サイトの外部からの交流電源の系統を多様化しましょうという規制委員会の
考えがありますよね。これについては現在、あるいは今後、柏崎刈羽ではどうされますかというのが一
つ。
それからマンマシン・インターフェイスなのですが、多分7号機は非常に新しいので、最新の知見を
持って制御室が設計され作られていると思うのですが、福島ではそこまでいっていませんでしたという
ことでした。柏崎刈羽原子力発電所では1号機から7号機まで、同じような水準でマンマシン・インタ
ーフェイスシステムをこれからも構築していくということでしょうか。
(東京電力横村所長)
まず、外部電源の多様化についてでございますが、発電所の規模が大きいということもございまして、
50 万ボルトの送電線2ルート・4回線が群馬にわたって確保されています。それから、もう1つ東北電
力さんから、15 万 4 千ボルトの全く違う東北電力系統からの受電源を持ってございまして、これもい
つでも受電できるようになっています。そういったことから、多様化としてはこの発電所は比較的恵ま
れているというか、備えているという状況でございます。
それから、中央制御室の設計でございますが、ここでは1号機、2・3・4・5号機、それから6・
7号機、3つの種類がございますけれども、やはり一番重要なのは中央制御室が停電した時にどのよう
に水位などを見るのかというところが一番の問題点になると思っております。
1号機から6・7号機にむけて、マンマシン・インターフェースは改良してまいりましたけれども、
それはあくまでも中央制御室の電気がついているということが条件になってございましたので、予備バ
ッテリーの近接付近への配置だとか、どこにつなげば良いのかといった訓練ですとか、そういったもの
がきわめて重要になってきまして、今までのマン・マシンインターフェースとは全く違ったものでござ
いますので、ABWRで中央制御室が見えやすくなっているからということと別次元の話として、しっ
かりと用意と訓練をしているところでございます。
(鈴木(元)委員)
分かりました。
(鈴木座長)
ありがとうございました。その他いかがでしょうか。吉川委員。
(吉川委員)
今日のお話ですと、事故対策として、レベル4の範囲までは対策を講じていると紹介いただいたわけ
ですが、レベル5に行く前段階ですと、あらかじめ地域への連絡とか、規制庁への連絡とか、発電所の
中で収まる話にはならないわけで、東京電力さんが対策をとられていることは今日見て分かるのですが、
一方で、規制との間のインターフェイスがどうなっているのかはっきりと見えないのです。その辺は規
制庁の方の体制が変わりまして、オフサイトセンターとかの組織替えがされてきているのですが、その
辺の状況がはっきりと分からない。防災計画等の作成が地域の方に求められていると聞いているのです
が、事業者の方から情報を提供していかないと対応できないわけですが、レベル5に関連した電力側の
インターフェイスはどうなっているのですか。
(東京電力横村所長)
事前に防災計画を決めて、放射線量の値を発電所からどう出すかということも決まっていたわけです
が、やはり一番の混乱はオフサイトセンターが機能しなかった、オフサイトセンターが情報のハブのよ
うになっていて、そこが発電所から情報を受けて発信していく機能がなくなってしまいましたので、事
前に決めていたインターフェイスが機能しないということが一番の混乱の原因であったと思います。
従いまして、情報の出し手といたしましては、乾電池で動くホットラインだとか衛星電話、衛星FA
X、それからメールとかいろいろ使ってやりますけれども、その核となるオフサイトセンターがしっか
りと運営できるようにしていくことが非常に重要ではないかと思っています。
(吉川委員)
ここで聞く話でないので聞きにくいのですが、オフサイトセンターはしっかりしていないといけない
とは確かにそう思います。
福島の件を見ていますと、総理官邸に情報が集まるはずが、菅首相が東京電力の本部に乗り込んで対
応するという話を聞いています。肝心の国のオフサイトセンターはダウンしてしまって、東京電力の免
震重要棟から本部につないでいる電力保安システムだけが動いていたということで、あれは国としては
仕方がなかったと思えるわけです。
ですから、そういう形になっていくのか、それともオフサイトセンターをもう少ししっかりとしたも
のにすることが大事だと思います。もちろんそうならないように安全基準が高められるということであ
りますけれども、印象に残っているのはそのようなことであります。
原子力防災計画ということで、避難体制とかいろいろなところで計画の見直しがなされているところ
でありますが、ここ(規制庁の人のいない場)で聞くような話ではないと思いますが、県民の防災を担
う立場としてはそういう視点が大事だろうと思います。
(東京電力横村所長)
今後、原子力事故が発生した際に、東京電力もそうですが、電力会社の本社の緊急支援体制に規制局
の方々が直ぐに入られる体制になっていくという形になっていますので、ある意味、電力保安通信を使
ったオフサイトセンターのバックアップという形にもなり得ると思っております。
ただし、そうなった時のオペレーションをどうしていくのかということを、先生ご指摘のとおりしっ
かり決めておかないといけないと思っております。
(吉川委員)
韓国に最近行ったのですが、韓国でも米国でも、緊急時の対応のシステムが違いまして、柏崎刈羽、
福島の際もそうでしたけれども、テクニカルサポートセンターTSCとおっしゃっていましたけれども、
日本は免震重要棟のつもりのようですけれども、韓国ではTSCは中央制御室の直ぐ横にあって、さら
に規制の監督官が部屋を持っています。そこで規制の監督官が常駐して発電所の運転の状況を全て把握
していて、場合によっては直ぐに運転員に指示連絡するということです。要するに規制側の方が発電所
の中に入ってきています。だからTSCという言葉の意味が日本とは少し違います。
もう一つはエマージェンシーファシリティーセンターというのがだいぶ離れたところにあります。ロ
ジスティックな面で対応できるように、直ぐそばにいるTSCとは別にあるのです。
制御室の運転員の構成も、電源系統を見る人がタービン側と原子炉側とにいる。それ以外に電力系統
を見ている人がいる。それから、運転長と安全担当のセイフティーエンジニアがいて、構成が日本とは
少し違うのです。
電力事業者がそういうことを考えるのが良いのか、国の方との関わりで考えるのか少し整理しておか
ないといけない。規制庁は、活断層の話ばかり報道はされているけれども、肝心の発電所運転の規制は
一体今後どうやっていくのかなと疑問に思っております。
(鈴木座長)
時間もないので手短にお願いします。梶本委員。
(梶本委員)
質問ではないのですが、今回の視察の所感についてということでよろしいですか。
本日は東京電力の方々、関係者の方々、ありがとうございました。お礼申しあげます。
福島原子力発電所事故以降、柏崎刈羽原子力発電所を含めて、緊急安全対策やシビアアクシデント対
策が進められているとお聞きしました。今回は防潮堤の設置状況や、各原子炉建屋、水素対策設備、フ
ィルタベント設備、シビアアクシデント対策の設置状況や設置場所を調査いたしました。今後、恒常設
備については性能向上を継続的に検討していくということが重要だと思います。また、福島第一原子力
発電所事故の対応で重要な役割をした電源車やポンプ車などの可搬設備については設置場所や距離、配
置の状況について確認をいたしました。これらの可搬設備については、今後手順書の整備や教育訓練に
より実効性をより高めることが重要であると思います。今回の調査を踏まえて今後の新潟県の技術委員
会で対応していきたいと思います。ありがとうございました。
(香山委員)
視察の機会を持たせることは、多くの人に原子力の理解を深めていただくのに非常に有効だと思いま
す。是非こういうものを進めていただきたい。いろいろなレベルがあって、今回のように格納容器の中
にまで入いれていただけるのは極めて少ないことだと思いますが、その時の印象は、営業用の原子炉は
放射能管理は良く行き届いていて、管理区域の中もほとんどコンタミ(汚染)がない。非常にきれいな
ものですから、通常管理区域の出入りに際して行う手続きの厳密性に、あまり注意する必要がない環境
なのです。今回、我々多くの人が気楽に入って、気楽に出てきている。本来、特に出るときは極めて厳
しい取り扱いのルールを守って出入りするのです。それが伝わるように是非今後やっていただきたいと
思います。例えば手袋の取り方にしても、バウンダリーを超える時のやり方にしても非常にすっと行っ
ている。少々間違っても何もコンタミは起こらない環境なのですが、そう気楽にやっているのではない
のだということを伝える必要がある。結果として極めて優れた管理になっているのですが、管理が良い
というのはきちんとした裏付けがあって出来るので、ずさんにはやっていないことを皆さんに分かって
もらうような視察のやり方を今後お願いしたいと思います。
(東京電力横村所長)
ありがとうございました。
(鈴木座長)
よろしいでしょうか。今日は視察に対応していただきありがとうございました。
我々、東京電力の柏崎刈羽原子力発電所の現状を確認できたということが一点。また、シビアアクシ
デント及び津波対策について進んでいるという現状を見ることができました。詳しいご質問等あれば、
午後の技術委員会で質問できる場があるかと思いますので、もしございましたらその時にお願いいたし
ます。今日はどうもありがとうございました。
以上