2011.12.12 口頭試験レポート 日時:平成23年12月11日(日)○:45~○○:30 場所:渋谷フォーラム8 部門:上下水道部門 5階 △△△号室 (控え室 6階 オリオンホール) 選択科目:下水道 専門とする事項:下水道計画 ○時35分位に試験室の前のイスに座って待機する。○時40分くらいに△△△試験室から口頭試験 を終えた人が出てきた。軽く会釈をする。まわりの試験室からぞくぞく人が出てくる。定刻の○時45 分になり、 「あつ@都市計画さんですか。中にお入りください」と中から呼ばれた。 【試験官】 向かって、左側:役人風(40歳位 中肉中背で眼鏡、落ち着いた感じ)A官とする 向かって、右側:コンサル風(30代半位 小柄太めで眼鏡、若く見える)B官とする (A官の方が、司会進行をする) A官:受験番号とお名前をおねがいします。 私:受験番号1002A000◇番のあつ@都市計画です。よろしくお願いします。 (頭をさげる) A官:どうぞお座り下さい。 私:失礼します。 (と言ってイスに座る) A官:遠くからお越しですね。ご苦労様です。東京は昨日・今日と寒いですが、北海道はどうですか。 私:北海道は真冬日が続いております。東京は暖かいですね。 A官:そうですか(笑) 。緊張なさらずに楽にしてください。 (と言われると、逆に固くなるのだ) A官:それでは、早速ですが、10分程度で、経歴と体験論文の説明をしてください。 私: 体験論文は、例1・例2ともでよろしいですか。 A官:はい、両方お願いします。 私:私は、昭和61年3月 K工業大学工学部土木工学科を卒業し、同年4月北海道札幌市に本社のあ る●●●●●株式会社に入社いたしました。 昭和61年4月から平成4年7月の間、技師として、ダム・トンネル・道路工事の施行計画作成及び 品質管理並びに工程管理に携わりました。 平成4年11月に北海道◎◎市役所に採用され、平成8年3月までは、都市住宅部みどり対策課の技 師として、都市公園の都市計画決定や事業認可の申請及び基本構想や実施設計についての評価と工事発 注・実施を行い、平成8年4月からは、主任技師としてさらに都市公園の設計・工事全般にわたる部下 の指導も併せて行ってきました。 平成9年4月に、都市計画課へ異動となり、主任技師として都市計画マスタープラン策定のための地 区ワークショップ及び庁内策定会議の開催、並びに地域別構想素案の作成業務を行いました。 平成12年4月より、さらに都市計画マスタープラン策定に伴う市民会議を開催し、全体構想・地域 別構想の原案作成とその指導をおもに行いました。 平成14年4月より、◇◇◇◇◇省北海道▽▽▽局へ出向し、担当係長として北海道開発にかかわる 科学技術と産業振興の調査研究とその指導、新エネルギーにかかわる調査研究と実証試験の実施を行い ました。 平成16年4月に、再び◎◎市役所へ帰任し、建設水道部上下水道課主査として合流式下水道緊急改 善計画策定及び実施設計とその評価並びに工事の監督とその指導を行い、平成18年4月より、組織改 編により都市計画課下水道室に異動となり、担当主査として、事業認可の申請及び流域関連公共下水道 の実施設計についての評価並びに工事の監督とその指導を行いました。 平成20年4月に、土木課へ異動となり、担当主査として合流式下水道緊急改善計画及び流域関連公 共下水道の実施設計についての評価並びに工事の管理業務とその指導を行いました。 平成21年4月に、土木課副主幹を拝命し、流域関連公共下水道及び都市公園の実施設計についての 評価並びに工事・維持の監督業務とその指導を行い、現在に至っています。 続きまして、業務例1:◎◎市流域関連公共下水道の認可申請業務についてご説明いたします。実施 時期につきましては、平成18年度でございます。 本業務は、本市の流域関連公共下水道の認可期間が平成18年度末に満了することから、全体計画の 変更と認可計画の申請を行ったものであります。 H15年下水道法施行令改正により、合流式下水道の雤水吐きからの未処理放流水の水質が明確に定 められました。そこで、合流区域における単体ディスポーザーの使用を禁止する条例改正が必要になっ たのです。 また、分流式下水道区域では単体ディスポーザーを禁止にする明確な根拠を示すことができなかった ことから一部使用料を徴収して使用を認める下水道条例改正が必要になってきました。 私の立場でございますが、担当主査として◇◇◇との協議を行うとともに、業務を円滑に進めるため、 以下に申し上げるとおり課題の把握と解決策の提案を行ったものであります。 本業務の課題は、人口減尐期における流域関連公共下水道の認可変更申請の実施でございました。 課題に対しまして、一つ目の問題点は、将来人口フレームの設定が難しいことでした。 理由として、本市の総合計画では、政策人口増を見込んだフレームでございました。全体計画の人口 フレームを従前のとおりに設定(79,000 人)すると、将来過大な施設になる恐れがありました。 二つ目の問題点は、先ほど申したディスポーザーの取り扱いです。単体ディスポーザーについては、 いままで認可に位置付けた事例・前例がなく、適切な汚濁負荷量の算定ができない恐れがありました。 私が行った提案についてご説明いたします。 1番目の問題点に対しての提案1でございますが、上位計画である市まちづくり総合計画の考え方は 踏襲しつつも、将来人口フレームについては、国立社会保障・人口問題研究所の将来人口予測資料を基 にコーホート法で現実的な人口推計を行うよう提案いたしました。 2番目の問題点に対しての提案2でございますが、 「ディスポーザー導入時の影響判定の考え方」と実 績のある空知管内C町の数値を参考にするよう提案をしました。 以上の提案により、一つ目の技術的成果といたしまして、実態に合った人口フレームによる全体計画 及び認可計画の立案が可能となりました。 また、二つ目の技術的成果といたしまして、単体ディスポーザーを認可に明確に位置付けるための、デ ィスポーザー由来の汚濁負荷量の算出方法を確立したことでございます。 続きまして、業務例2:◎◎市の合流式下水道改善実施設計業務についてご説明いたします。実施時 期につきましては、平成18年度から19年度でございます。 本業務は、本市の合流式下水道改善を目的とした汚水管を新設する分流化工事を実施するための実施 設計のうち、旧合流区域全体である□町処理分区の基本設計及び実施路線の一部詳細設計を行ったもの であります。 私の立場でございますが、担当主査として、合流式下水道改善実施設計業務における評価とその指導 を主体的に行うとともに、業務を円滑に進めるため、図―1のとおり課題の把握と解決策の提案を行っ たものであります。 本業務の課題は、合流式下水道改善事業における限られた財源の中での効率的な分流化工事の実施が できる設計でございましたが諸問題の発生が懸念されました。 図―1をご覧下さい。 問題点1は、幹線道路の横断部で推進工法の割合が増えると全体事業費が増大する恐れがありました。 問題点2は、□町処理分区は、122haあり、補助対象下水排除量が日10トン以上であったため、 末端管が単独事業となってしまう恐れがありました。 問題点3は、エリアに地下埋設物が多く、特にNTT管路や合流管渠の横断部分については、連続的 土留め工が施工できないため、安全確保が困難となる懸念がありました。 次に、私が行った技術的提案についてご説明いたします。 問題点1に対する提案1でございますが、推進工法を出来るだけ使わなくていいように管網を計画す るよう提案いたしました。また、道路管理者との再協議により、推進工法から開削工法へ変更するよう 提案をいたしました。流末側管渠の掘削深さを浅くするために、経済比較をした上でマンホール内ポン プ所の設置を提案し、上流端部では本管を10%程度短くし支管・取付け管を延長することで掘削の深 さを浅くしました。 次に問題点2に対する提案2です。図―2をご覧下さい。補助対象下水道排除量を日10トンから3 トンに下げるため、□町処理分区を図―2のように□町処理分区を4つに分割するよう提案しました。 また、流域下水道への接続点も4つ増やすように提案しました。 問題点3に対する提案3でございますが、地下埋設位置の把握のため、管理者立会いでの試掘調査の 実施と記録とりまとめを提案しました。 図―3をご覧下さい。図―3のように既設管渠などの下を横断する場合に連続的土留め工が施工でき ないため、施工不能あるいは立坑を構築しての推進工法となってしまう懸念がありました。そこで、反 力が不要の鋼管さや管方式を採用するよう提案しました。 提案1により、◇道の横断部では、工事費を約5分の1にでき、マンホール内ポンプ所設置により掘 削深を浅くすることが可能になりました。これらにより、全体事業費を約15%縮減することが可能と なりました。 提案2により、当初80%補助対象路線で20%の単独事業を見込んでいましたが、処理分区の分割 により単独事業を6%にすることができました。 提案3により、地下埋設物損傷事故の防止、建込簡易土留めなどの土留め施工不能を解決し、地下埋 設物の保護と現場安全確保の両立を可能としました。 現時点においては、 ・・・(突然、ストップの指示)・・・ A官:途中ですが、10分を経過しましたので一旦ここでやめます。別の質問に移ります。 (やってしもーた!時間配分に失敗した。部屋の中の見えるところに時計はなかったが、いつもより ゆっくりしゃべったためかも!?時間オーバーは仕方がない。その後、頭が真っ白にならないよう必 死だった。かなり焦る。心臓バクバク) A官:都市計画の経験が長いですが、下水道の仕事で役に立ったことは何ですか。 私:下水道も都市計画ですので、都市計画法の手続きについては役に立ちスムーズにできました。 A官:今回技術士受験の動機は何ですか。 私:既に建設部門、総合技術監理部門の技術士を取得しておりますが、管工事や下水道についての資格 を所持していませんでしたので、今回受験をいたしました。 A官:あなたは特に技術士資格は必要ないのではないのですか。 私:公務員は特に資格がなくとも仕事はできますが、公共工事は入札契約時に物品調達と違い品質が保 証されていません。評価ができる高い技術力を発注者側も持たなければいけないと考えました。 A官:例1のほうですが、総合計画の考えを踏襲しつつ、フレームは現実的に行った方法を説明してく ださい。 私:まちづくり総合計画に書かれている普及率・水洗化率は生かしつつ、人口フレームについてはコー ホート法で現実的な数字とするよう提案しました。 A官:ディスポーザーは普及していますか。 私: 今現在、70基ほどの普及で1%に達しておりません。どちらかというと、規制型の条例整備であ りました。下水道部局としては特に普及啓発する立場ではありません。 A官:ディスポーザーを位置付けることで何か◇◇◇と協議しましたか。 私:2年間ほど、協議をしました。処理場を増設しないよう、第一に考えました。 A官:例2のほうですが、◇道の横断部はどのような手法で開削工法にしましたか 私:代替えルートの確保、交通量の調査等を行い、◇◇◇と協議しました。 (A官からB官に替わる) B官:例2ですが、マンホール内ポンプ所を設置するとコストが高くなると思いますが、どうですか。 私:マンホールポンプを設置した場合の維持管理費・更新費用・電気料金を考慮して比較し、経済的に 有利と判断しました。 B官:4つに処理分区を分割することのメリットは何ですか。 私: 4つに分割することにより、掘削深が浅くなる。また、国道横断が減る、補助対象路線が増えるこ となどです。 B官:分流化した方が高くなると思うが、他に方法はなかったのでしょうか。 私:平成17年度に吐け口のスクリーンを設置しています。本市は処理場がないため、未処理放流水の 処理ができない。また、水辺の利用があり、吐け口直下でカヌーやいかだ下りが盛んである。池を作 った場合と経済比較した結果、分流化の方が安かったので、緊急改善計画を策定しました。 B官:例2で最後に最新の技術を取り入れとあるが、具体的には何ですか。 私:1号人孔を0号人孔や塩ビマンホールにする、曲管採用で人孔を省略するなどです。 B官:平成25年度までに、分流化事業は完了しますか。 私:平成25年度には終わりません。後年次に渡ると今は考えています。 B官:今現在、分流化率は何%ですか。 私:今現在、約10%です。 (うーん、とうなずきながら、尐し疑問があるような顔) B官:ありがとうございました。 (B官からA官に交代する) A官:微生物を使った処理方法は大きく分けて2つありますが、それぞれ説明してください。 私:好気性微生物を利用する方法と嫌気性微生物を利用して汚泥を消化する方法が大きく2つあります。 嫌気性消化は・・・ A官:すいません。汚泥処理ではなくて、水処理の話なんですが。 私:えーと、 (なんだっけなー) 、標準活性汚泥法で行う処理と膜を使って有機物を除去する方法があり ます。膜分離は最終沈殿地がいらないので敷地を小さくできます。(なんか自信ないなー) A官:窒素とリンを同時に除去する仕組みを説明してください。 私:嫌気・無酸素・好気タンクの順番で通すことで、嫌気タンクでリンを放出し、無酸素タンクで脱窒 し、好気タンクでリンがなくなります。 (この処理方法って、何て言ったっけなー、思い出せない???) A官:地震対策で下水道として行う対策は何ですか。 私:第1にマンホールの浮上防止対策です。セメント固化や浮き上がり防止の装置を付け、基礎材は砕 石を使用するようにします。 A官:防災と減災があるが、それぞれ説明してください。 私:防災は、ハード整備による対策で、減災についてはそれに加えソフト対策を加味した対策です。 A官:減災で何か取り組まれていることはありますか。 私:市役所と地元町内会・自治会と共同の避難訓練を、机上ではなく屋外で定期的に実施しております。 A官:今後の下水道施設の活用方策について述べてください。 私:し尿や浄化槽汚泥、生ゴミなどの処理の一元化です。北海道の北広島市で行っている事例に一番興 味を持っています。今後も調査・研究していきたいと考えます。 (A官からB官に替わる) B官:未利用エネルギーで何か活用していることはありますか。 私:N浄化センターでは汚泥を肥料に、消化ガスをマイクロガスタービンに利用しております。本市に おいては、下水道熱の利用・ロードヒーティングを考えていますが、まだ実用化には至っていません。 (A官に替わる) A官:CPDとは何ですか。ご自分では何をしていますか。 私:CPDとは、継続研鑽のことであり、技術士会に登録することで第3者に証明することが出来ます。 私は、書籍や下水道協会誌に目を通したり、国土交通省や環境省、厚生労働省などのホームページを 閲覧したりしています。 A官:最後に既技術士の方ですが、一応3義務2責務を言ってください。 私:3義務は、信用失墜行為の禁止、守秘義務・秘密保持の義務、名称表示の場合の義務、2責務は資 質向上の責務と公益確保の責務です。 (A官とB官が顔を見合わせている) A官:以上で口頭試験を終わります。 私:ありがとうございました。 (と言って頭を下げ、荷物とコートを持ち、ドアの前で一礼をしてから退 室した) (外に出るとちょうど40分経過していた。次の受験者に軽く挨拶をして、エレベーターに乗り1 階まで降り、フォーラム8をあとにした) 【口頭試験のまとめ】 ・体験論文の質問が半分以上を占めた。 ・体験論文が本人のものかどうか、確かめるような感じであった。 ・専門とする事項が下水道計画のためか、処理場や水処理の質問が多かった。 ・管渠については聞かれなかった。基礎的な知識を試す質問が多かった。 ・大震災があったためか、防災や減災の質問があった。 ・いつもより試験官との距離が近く、机の上の書類が良く見えた。ネームプレートもしていたが、名 前まで覚える余裕はなかった。チェックシートみたいなものが机の上にあった。体験論文も見えた。 【口頭試験の感想】 やはり、経歴と体験論文のプレゼンテーションが大事だと思った。ほとんど、プレゼンで決まってし まうような感じがした。まさか、自分が時間オーバーになるとは考えもしなかった。まったく想定外。 やはり、模擬面接は受けておくべきだったと、またまた今になって大反省している。 以上
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