酒乱の宴 - タテ書き小説ネット

酒乱の宴
東雲 ヘルス
タテ書き小説ネット Byヒナプロジェクト
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︻小説タイトル︼
酒乱の宴
︻Nコード︼
N8043BS
︻作者名︼
東雲 ヘルス
︻あらすじ︼
酒は呑んでも呑まれるな。
そんな事は解ってる。でも、付き合いが・・・友達が・・・
結局毎回呑みすぎる。
妻を恋人をとことん傷つけ挙句には・・・
寂しがりやで酒乱
決して認めたくない自分がそこにいた。
﹁それでも酒を止められない諸君よ!
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わかる、解るぞその気持ちは、でももう駄目なんだ﹂
極めて自己中心的な男の生き様
コレは実話です
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春の日に
離婚届を見ていた。
ひたすら、離婚届けを見ていた。
じっとりとした目でその紙っぺらを見ていた。
あー、こんなはずじゃなかった。
予想だにしない出来事だ。
でもな、コレで良かったのかもな。うん。そうだよな。
でもな・・・
の繰り返し。
錦糸町に近い公園の脇の5階立てのアパートの2階の一室。
午後8時、隣りには妻
目の前のテーブルには妻の名前が記載された離婚届が一通
﹁早く書いてください﹂
とだけ言って後は無言の妻
コレを書いたら終わり。
全てが終わり。
色々な想いがグルグル周る
半ば自棄になって書き記した自分の名前の横に勢い良く判子をポン!
﹁コレでいーんでしょ?﹂
無言でそれを受け取ると、そそくさと帰り仕度をする妻
今まで暮らしてきたのに、既に他人の家と言わんばかりの態度。
この人とも情ともまるで無い態度に、ググッと怒りが湧いてきたが、
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すぐにその怒りもしぼむ形となった。
﹁じゃあ荷物は後日取りにくるから﹂
とだけ言い残し、妻は本当に出て行った。
ウソだろ!!
と、嘆いた。
春が始ろうとしていた季節のことだった。
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嵐の朝
週末の土日で妻の方が完全撤収するという一方的な話がまとまった。
﹁離婚です﹂
と宣告されてから僅か10日後の事だ。
よく﹁女は切り替えが早い﹂というが、本当だ。
てより、前から決まっていたのか?と疑うほどだ。
﹁離婚です﹂という話になる前はごくごく普通に、今まで通りにデ
ートもしたし、食事もしたしSEXもした。
だから、僕ほ頭は混乱したのだ。
でも、こういう話はよく聞く話で、女サイドに言わせると
﹁女側はサインを何度も出していたのに、男が気が付かないだけ﹂
と、まるで男を鈍感扱いした﹁女の野郎﹂の意見だ。
なんなんだ?そのサインって?
夫婦ならもっと、わかり易い生活を望みますわ。
でも、コレが現実。
以前なら鼻で笑っていたこの安達裕美のようなセリフがいざ自分の
身にふりかかると、驚愕して混乱してしまう。
それが男なのだ。
そんなこんなで、週末までを1人で悶々と過ごし、金曜日がやって
きた。
土曜日に妻が引っ越すと言う事で、この金曜日は僕は家にどうして
も居たくなかった。
現実がそこに迫ると恐怖が訪れる。
妻の引っ越す姿をどんな顔で見送ればよいか解らない。
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引越し作業を黙って見送る自分が想像できない。
そんな感情が高ぶって、金曜日の夜から、寂しくてしょうがない自
分がいた。
仕方なく、地元の友達に電話をして、2人ばかり捕まえた。
2人とも家庭があり、子供もいる良き旦那を務めている人間だが、
この際しょうがない。
この2人を誘って呑みに出かけた。
呑みの席では、一方的な僕への説教。
﹁うん!お前が悪い﹂
やるせない気持ちで、酒を何杯も傾けるが、いつもの様な陽気な酔
いは一向に訪れず、ただただ時間だけが無下に流れるのだった。
クソ!クソッ!
はぁぁ∼
無念な気持ちで家に帰って、その日はクタクタになって寝た。
明くる土曜日
外は春の嵐。雨も風も全開。
起きた瞬間﹁こんな日に引越しかい。ざまぁないぜ﹂
と悪態をついてみる。
引越しの時間は良くわからないが、やっぱり引っ越してゆく最中に
家には居たくないので、朝9時から外に出かけることにした。
嵐の中どこへも行く宛てがない。
速攻でコンビニに逃げ込み、メールを一通送った。
﹁今日は何時から?﹂
メールは即帰ってきた
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﹁10時から﹂
素っ気無い答え。
﹁了解。やっぱ、俺の結婚指輪置いて行ってください。あれ、売る
から﹂
離婚届けを書いたときに幾つか決め事を作った。
その時に、変な優しさが出て
﹁この指輪も持っていきな。売れば少しだけど生活の足しになるか
ら﹂
などと自分の指輪を渡し、そうほざいたのだ。
しかし、今となってはなんか勿体無い気がしてこんなメールをして
みたのだ。
いや、ただ単にコミュニケーションを取りたかっただけかもしれな
い。
すると、メールが帰ってきて
﹁解った。テーブルの上に置いておく﹂
ガランとなった部屋
テーブルの上においてある結婚指輪
なんて悲しい絵なんだ。
と思い少し感傷にひたりながら、自分もこの部屋を出て行こうと決
心し、駅の不動産屋に向かった。
結局不動産やで何件も物件を見て、内見もしたが、結局落ち込みす
ぎていて、どこも良い部屋み見えず、
﹁ここでは暮らしたくない﹂
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との思い込みで、なかなか首を縦に振らない僕を見て不動産屋がサ
ジをなげた。
午後3時近くになっていたが、念のため、ゆっくり歩いて帰宅する
ことにした。
背には建設中のスカイツリー
春の嵐はすっかり止み、晴天
ガックリと肩を落とした30男が、ぽつぽつと歩いてる。
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鬱積
妻が出て行き、ガランとなった自室に帰ると、朝の嵐とは打って変
わって、綺麗な夕日が窓から差し込むのだった。
空虚感に夕日。
どこか劇画じみてる自分が恥ずかしくなり、ベットに転がると、何
故にこうなったかをゆっくりと思い出してみた。
それは2年前
この家に引っ越してきて、一週間経った頃だった。
かの女性とは付き合って一年を経過した頃、僕のたっての希望で同
棲を始めた。
資金を付き合っている頃からコツコツと2人で貯め、家探しを始め
たのだが、ここでも色々と問題があった。
その一つとして
何せ、仕事が忙しい彼女は家探しにはあまり参加できないので、僕
が張り切って探してのだ。
で、条件に見合った物件を幾つかに絞って、いざ内見となった。
土曜日が内見の日という事なので、金曜の夜仕事が終わって、僕の
1人暮らしのアパートに彼女が泊りに来て、土曜日一緒に不動産屋
に伺うことに決まっていた。
すると当日の土曜日、彼女がなかなか起きない。
聞けば
﹁頭が痛い﹂
との事。でももう時間も迫っているので、なんとかならないかと説
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き伏せようとしてみるも、一向に状況は変わらない。
埒が明かないと判断した僕は、1人で不動産屋に行って決めてしま
う腹を決めた。
そして、決めていた3件を内見した結果
最後の1件を僕は酷く気に入り、契約をしようとしたところ不動産
屋から、
﹁一応お2人で住まわれるとのことなので、奥様の方にも見ていた
だいたほうが・・・﹂
というので、
それもそうか。彼女が気に入らないからキャンセルなんて事になっ
ても不動産屋も困るだろうし、そもそも、彼女が気に入らないとか
言い出したら、僕も困ってしまう。
よしと思い。電話をした
﹁今、駅近くの物件を見ていて、僕はここに決めてしまいたいから、
チョッと見に来てよ。歩いても5分くらいだからさ﹂
と、本当に当時1人暮らししていたボロアパートとは目と鼻の先く
らいのものだったので、そこにいる彼女を呼ぶことにした。
﹁・・・・うーーん。今日じゃなくても・・﹂
なぞとほざく。
そのイライラを感じ取った不動産屋が、
﹁じゃあ迎えに行きましょう。車で。そうすれば話は早いですよ﹂
と言ってくれたので、
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﹁お願いします。本当にすみません﹂
とい流れで、女を迎えに行き、何とか部屋の内見を済ませ、家賃も
少し値切る形で契約を済ませたのだった。
そして引越しを済ませ︵引越しと言っても友達に手伝ってもらい、
全て自分達でやった為、もの凄く苦労した、シングルのベットなど、
要らない家具は公園に不法投棄するなど悪い事もしてしまった︶家
具も買い揃え︵この場合の資金は2人の資金では足りなかった為、
僕の親に借金した︶やっと入居したが・・・
僅か一週間で事件を起してしまうのだった。
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秋の爆発
その日は引越しも無事終わり、片付けも一通り終わり、未だ開けて
いない荷物も少し残っているが、一応住める形となった部屋に二人
は満足だった。
週末を迎えた夜
僕の友達を2人交えて呑もうということになり、地元の居酒屋へ。
なんとなく楽しい時間が過ぎ、僕は
﹁もう一軒行こう。﹂
としつこく友達を誘う。
﹁仕方がないな﹂
と友達
そこから・・・・
居酒屋でウーロンハイを6∼7杯
あとは記憶がない。
近くのバーで飲んだことは覚えているが、記憶がない。
目が覚めたのは次の日の朝
甘い同棲生活を夢見て買った、ダブルベットの上に1人
足の裏からは流血。
部屋はグチャグチャ。
かすかな記憶で、本棚、衣装ケースを倒して
﹁ふざけんなこら!﹂
と怒鳴った記憶。
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ベットの上で二日酔いにもがきながら、考える。
しかし、未だ酔いが残っている為、冷静ではない
﹁ふん!それだけの女か﹂
などと、何の罪悪感もないのだ。
まさにコレが酒乱だとはそのときは自分がその酒乱と言う事を認め
なかった。
全て他人のせいにして、ただ呑みすぎただけだと思っていた。
引越しの歳のあの鬱積が全ての原因だと考えていた。
この、自分に極端に甘いところが、今後の人生を振り回す事になる
と知らずに・・・酒を呑み続けるのだ。この事件はその発端にすぎ
なかった。
徐々に醒める酒
同時にやってくる罪悪感
お昼くらいになって、とりあえず彼女に電話。
モチロンシカト
何コールしても出ない。
メール
﹁昨日はゴメンなさい。とりあえず話したい﹂
コレも返信なし
部屋を良く見て状況を確認することに
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本棚を倒して、怒鳴った事は確かだ。プラスチックの衣装ケースを
ひっくり返して、その蓋が割れ、その破片を踏んで足の裏から血が
出ていた。
﹁うーーん。あとは思い出せない﹂
とりあえず気分転換を試みる事にして、友達に
﹁買い物でも行こう﹂と電話。
﹁いいよ。30分後に迎えに行く﹂
着替えてシャワーを浴びて用意をしていると、メールが入った。
﹁どうしていいか解らないけど、話をしてみる﹂
と、彼女からだ。
即、電話をして、﹁ゴメン、本当にゴメン﹂を繰り返した。
そして、彼女は浅草の実家に帰っているということなので、近くの
公園まで迎えに行く事にした。
友達には﹁急用が出来た﹂と言ってキャンセル。
本当に僕は自分勝手だな、とつくづく感じた。が、本当は、この時
はまだあまり反省していなかった。
ただ彼女を自宅に取り戻したいという一心だった。
それからの事は考えもしなかった。今思えばこういう所がダメだっ
たんだな・・・
この後彼女に事実を聞かされ、仰天したのだ。
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謝罪公園
痛い足を引きずるように浅草の駅から歩く。
直で彼女の実家に行く訳には行かない。
怖いからだ。
特にこの父親は怖い。
3年前に彼女の母親が他界し、父親1人になってしまってから、毎
日働きもせず、パチンコをして暮らしているという。夜は酒に溺れ、
とてもまともではない。一回だけ会ったことがあるが、目つきが普
通の人ではない。
僕には﹁デブ﹂だのと言ってくるし、
﹁娘になにかあったら、お前を木刀で殺しに行く﹂
と何回も言っていた。
内心、僕は︵その時は帰り打ちにして、正当防衛でボコボコにして
くれるわ、ボケ!︶
と思っていたけど。
同棲をする時に、家族同士で食事会をした際も、こちらの親がにこ
やかなのを好いことに、ペラペラと前回と同じような事を言う始末
である。
加えて、こちらが親子で商売をしていると知ると、その仕事をも馬
鹿にする始末。
手に負えないジジイなわけだ。
そんなジジイには金輪際会いたくないと思っているのと、酒が原因
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で同棲一週間で娘が泣いて実家に戻ってきたなんて事がばれたら・・
・いあ、ばれてると思うが、確実にヤバイ。
なので、近くの公園に呼び出したのだ。
こうしてやっと彼女に会うことが叶ったのだが、彼女は尋常じゃな
く怯えている。
昨夜の出来事はそんなにひどかったんだなぁと呑気に思う僕とは正
反対だ。
先ず、平身低頭﹁本当に悪かった﹂﹁もう二度とあんな事はしない﹂
﹁雅恵を大切にする﹂
まさえ
そう彼女の名前は雅恵調子がいいときは﹁まーちゃん﹂と呼ぶ。
ここは真剣な場面なので﹁雅恵﹂と呼んだ。
ありきたりな言い訳謝罪だが、繰り返す事によって効果が段々出て
くるもんだ。
少しリラックスした彼女は、許してくれる気なのか、自分の過去を
話し出した。
コレが衝撃だった。
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吐恥
以前、付き合ったばかりの頃に彼女からある程度のことは聞いてい
た。
昔一緒に住んでいた人がいて、その人は雅恵が深夜バイトしていた
居酒屋の店長だった。
だが、同棲中に色々な事が起きた。
ある日、ベットでSEXをしていると何やら気配を感じた。
ふと見てみると、物陰に隠れて女がビデオカメラを回していた。
驚いた雅恵は、店長に言った。
﹁ねぇ!女の人!!﹂
店長は今までのみだらな行為を突然やめ、我に返りその女性に詰め
寄った。
雅恵は素早く着替えて、店長の指示で一旦外で待っているように言
われた。
一心不乱で着替えをすませ、恐怖と嫉妬が入り混じった雅恵は、紅
潮した顔つきでドアを開け家を出た。行くあても無いので近くのフ
ァミリーレストランで時間を潰していた。
1時間後、店長から電話が掛かってきて
﹁全て話はついた﹂
との事。
それから、2人は仲良く暮らした。しかし、別れはやってきた。
ただ、この店長がストーカーになり実家に帰った雅恵を執拗に追い
回したのだ。
警察と親に協力してもらい、なんとか普通の生活を取り戻したとこ
ろに僕が現れたと言うわけだ。
公園のベンチで俯き加減にここまでのあらすじを話した雅恵は、意
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を決したように僕に向き直って、
話を再開した。
それを聞いた僕は正直、仰天した。そう。仰天という文字が浮かん
だ。
﹁先にどうしても言わなきゃいけないことがあるの・・・﹂
と雅恵は言いにくそうにもじもじしながら下を見つめた。そしてこ
う言った。
﹁同棲相手の店長って、実は女だったの﹂
﹁え?・・え?・・えーーーーー!!﹂
何がなんだか解らなかった。いや、理解している。けど、飲み込め
ない。
﹁見かけは男だからだまされてたんだよね?﹂
期待を込めて聞いてみた。
﹁いや、初めから解ってた。でも、見かけは男なんだ。つまり・・・
オナベってやつ﹂
﹁へ?﹂
ただの洟垂れ小僧みたいな反応しか出来なくなっていた。時限が違
う・・・
本当の雅恵はどこに居るのか?解らない事だらけだったが、雅恵は
語ってくれた。
その店長はオナベ。
雅恵は、男性に懲りていて、もはや性別を問わない恋愛がしてみた
いと感じていた時期だった。
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その頃現れた店長とすぐに付き合い、同棲を始めた。
しかし、この店長には奥さんがいたはずだったが、法律的には婚姻
関係はなく、この奥さんもただの同棲相手であった。そして、あの
ビデオを撮っていた事件だが、この奥さんであった女性が店長と別
れたいがために、不倫の証拠と称して撮っていたものであった。
このビデオ事件をきっかけに店長は雅恵に﹁アイツとは終わってい
るんだよ。﹂と説得した。
雅恵は多少腑に落ちない所があったにせよ、同棲まで始めてしまっ
た手前、店長の言葉を受け入れるしかなかった。
そして店長の愛情は雅恵だけに注がれる。
そう、異常な愛情が。
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監禁部屋
ベットの上に手錠で繋がれた雅恵
両手首を一つの手錠で。足は大きく開かれ、それぞれベットの柱へ
手錠でつながれている。
衣服は身に着けていないが、部屋の温度はエアコンで25度の設定
になっているため、暑くもなく寒くもない。
しかし、まるでSMの世界だ。
雅恵は恐怖のあまり声も出せない。
食事は、パンと水がベットサイドのテーブルに置いてあるが手をつ
けていない。
それと、ベットの上には排泄物用の大きめの洗面器。それと、前の
晩に散々拒んでも許してもらえなかった大き目のバイブが雅恵のソ
レによって汚されたまま放置されている。
店長は豹変した。
雅恵がこの部屋に来てから、動画を撮りそれを証拠に出て行った女
が去った後、異常なまでの愛情が雅恵だけに注がれた。
バイト先では、店長も平静を装っているが、雅恵が少しでも男性の
アルバイトと笑顔で話していると、ずっとソレを観察している。そ
して、帰るとくどくどと問い詰められ、挙句
﹁やっぱり、お前は本物の男がいいのか!!え?﹂
と言う。
雅恵は力なく
﹁ちがうよ﹂
と答えると
﹁じゃあ、今日のあの楽しそうな顔はなんだ?え?あの恍惚の顔は
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さ!え? 発情してたんじゃないのかい?﹂
バイトが終わり家に帰ってくると始る店長の癇癪に毎日のように付
き合わされる。
店長は自分が性別的には女性だから、本物の男に雅恵を取られる心
配をしている。ただ、それがエスカレートしている。
恐怖だけの生活に嫌気がさした雅恵は一度だけこの家から出て行く
ことを試みた。
それは、この店長と離れられる唯一の日﹁店長会議﹂である。
この日店長は夕方から本社で会議に出席し、そのあとの飲み会があ
るため、一日帰らない。
雅恵は店長の極めたシフトにより、休みも全く店長と一緒だった為、
﹁店長会議﹂の日は雅恵も休みなのだ。
事前にコツコツと荷造りをし、店長が出かけて少ししてすぐに宅配
便の集荷を呼んだが、集荷が来るのが遅くなり、早めに帰宅した店
長と鉢合わせしてしまった。
泣きながら、謝ることしか出来ない雅恵
烈火のごとく怒る店長
数秒後、雅恵は10階のベランダから宙吊りにされた。大量の汗と
尿が体を濡らした。
雅恵はとても生きた心地がしなかった。
それでも、何とか冷静を取り戻し、店長を説得して部屋に入れても
らうと、監禁生活が3日続いた。
雅恵は、次のチャンスに命を賭ける決意をした。
それから、1ヵ月後の店長会議の時、雅恵は脱出した。
住所が解る物と貴重品だけを鞄に詰め、後のものは全部置いていく
事にした。
こうして脱出をして実家に逃げて返ってきた雅恵だったが、この後
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も店長の壮絶なストーカー行為が始ったのである。
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PDF小説ネット発足にあたって
http://ncode.syosetu.com/n8043bs/
酒乱の宴
2014年7月1日09時30分発行
ット発の縦書き小説を思う存分、堪能してください。
たんのう
公開できるようにしたのがこのPDF小説ネットです。インターネ
うとしています。そんな中、誰もが簡単にPDF形式の小説を作成、
など一部を除きインターネット関連=横書きという考えが定着しよ
行し、最近では横書きの書籍も誕生しており、既存書籍の電子出版
小説家になろうの子サイトとして誕生しました。ケータイ小説が流
ビ対応の縦書き小説をインターネット上で配布するという目的の基、
PDF小説ネット︵現、タテ書き小説ネット︶は2007年、ル
この小説の詳細については以下のURLをご覧ください。
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