月次県内経済

月次県内経済
概況
横這い圏内の動き
〈10月〉生産面では大手・中堅造船は既往受注により概ね高めの操業を維持、重電機械も堅
調、電子部品は持ち直しへ。需要面では、公共工事請負金額は増勢、新設住宅着工戸数は持
ち直し。個人消費では大型小売店販売額が弱含み、乗用車（登録車）販売台数は持ち直し。
観光面は主要施設の入場者数・宿泊者数とも持ち直しの動き。雇用面では有効求人倍率が1.1
倍台が続き、人手不足の状況続く。企業倒産件数は引き続き低水準。11月入り後も生産・投
資が底堅く、観光面は緩やかな持ち直し続く。
造船
大手・中堅、地場中小とも高めの操業を維持
大手・中堅造船では、新造需要は海運市況を
反映して低調。生産面では客船やガス運搬船、
省エネ船など高付加価値船を中心に受注残を確
保していることもあり、高めの操業を維持して
いる。
地場中小造船でも、既往の受注を背景に高め
の操業を続けているほか、更新需要もあって貨
物船や漁船、官庁船などの受注を確保している。
機械
重電機械は堅調、電子部品は持ち直しの動きも
重電機械では、原動機（タービン、ボイラー、
エネルギー関連等）は新興国の需要を背景とし
た海外プラント関連に加え、国内でも一定の受
注を確保。電動機（大型、中小型モーター）
、
列車空調装置は受注持ち直しの傾向。
電子部品では、海外との競争など厳しい環境
のなか、持ち直しの動きもみられる。
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小売商況
概ね横這い圏内も弱めの動き
小売商況をみると、10月は県内大型小売店販売額がやや前年を下回り、乗用車販売は登録車が
プラス、軽乗用車は前年割れ、サービス消費面の旅行取扱高はマイナス継続。なお、11月度の大
型小売店等の売上げはやや持ち直し。
10月の大型小売店販売額（百貨店・スーパー35店、九州経済産業局調べ）は86億円、前年同月
比0.8％減（同一店舗比較）とマイナス幅が縮小。品目別では、飲食料品が2.8％増と堅調であっ
たが、衣料品は主力の婦人服等が6.4％減となったほか、紳士服洋品6.2％減、身の回り品9.6％減
となり、衣料品全体では7.0％減、また雑貨・家庭用品等も2.8％減であった。気温高め推移や台
風接近など天候不順も加わり季節商材が振るわず。このうち百貨店は、入店客数が低迷し、衣料
品、食料品、雑貨などが振るわなかった。一方、スーパー・大型店等では食料品が野菜高なども
あって比較的堅調、衣料については動きが鈍かった。なお、11月度は百貨店・大型店等とも持ち
直しの動き。
乗用車販売では、10月の新規登録台数は1,580台、前年同月比7.4％増とプラスに転じた。うち
普通車は20.9％増の753台、小型車は2.5％減の827台。一方、軽乗用車は1,432台、2.1％減（11月：
6.8％減）となり、３カ月振りのマイナス。軽を
含む総販売台数では3,012台、2.7％増となり、
一進一退の状況。
サービス消費面では、10月の県内主要旅行業
者の旅行取扱高が15.0％減と６カ月連続のマイ
ナス。うち国内旅行が9.6％減、海外は39.9％減
と減少幅が拡大。
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水産
取扱量、金額ともに減少
10月の県内３魚市と県漁連の取扱い状況をみると、取扱量が2.3万トン、前年同月比16.7％減少
し、取扱金額も47億円、同18.5％減少した。
また、魚種別の水揚げ（日本遠洋旋網漁業協
同組合調べ）をみると、アジは数量が前年同月
比57.4％減少し、単価が49.7％上昇したが、金
額は36.2％減となった。一方、サバも数量が
25.8％減少、単価も38.7％下落し、金額は54.5％
減少した。
観光
主要施設の入場者数、宿泊客数ともに減少
10月の県内観光をみると、熊本地震の影響は和らいでいるものの長引いており、主要観光施設
の入場者数、主要宿泊施設の宿泊客数ともに減少した。
主要観光施設等（13施設）の入場者は624千人、前年同月比6.2％減と減少幅は再び１桁台となり、
回復傾向を示している。地区別にみると、県南地区の長崎市では長崎歴史文化博物館（32.2％増）
が増加したものの、グラバー園（21.5％減）と長崎原爆資料館（7.3％減）はともに減少した。また、
島原半島では島原城（8.6％減）、雲仙岳災害記念館（3.9％減）、雲仙仁田道（62.6％減）がいず
れも減少した。一方、県北地区は「秋の光の王国」、音楽祭、世界フラワーガーデンショーや仮
装イベントなどを開催したハウステンボスと九十九島パールシーリゾート（1.9％減）がともに減
少、平戸城（9.5％減）も減少した。離島地区では堂崎天主堂（6.1％増）と一支国博物館（6.5％増）
がともに増加したものの、万松院（17.1％減）は減少した。
県内主要宿泊施設（43社、日本銀行長崎支店
調べ）の宿泊客数は、前年同月比8.0％減少した。
地区別でみると県南地区が8.3％減、県北地区
も7.6％減となった。また、雲仙・小浜の各観光
協会の調べによると、雲仙地区の宿泊客数は28
千人、前年同月比9.7％減、小浜地区も12千人、
同12.5％減となった。
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公共工事
請負金額、２カ月連続の増加
10月の県内公共工事（西日本建設業保証取扱分）をみると、請負件数は415件、前年同月比8.6％
減と３カ月振りの減少。請負金額は186億円、同30.2％増と２カ月連続で前年を上回った。
主要発注者別の請負金額では、「国」（10億円、26.6％減）が前年を下回ったものの、「県」
（85
億円、33.6％増）と「市・町」（87億円、51.4％増）がいずれも高い伸びとなった。
また、地区別の請負金額をみると、前年を上回ったのは、長崎地区（72億円、2.2倍増）
、県北
地区（32億円、12.2％増）、田平地区（20億円、2.4
倍増）など６地区。一方、対馬地区（９億円、
49.5％減）
、下五島地区（５億円、28.2％減）な
ど４地区で前年を下回った。
なお、同月の１億円以上の主な大型工事は、
長崎県発注の長崎県防災行政無線高度再整備事
業（25億円）
、佐世保市発注の黒島小中学校校
舎改築（建築）工事（８億円）など。
住宅建設
持ち直しの動き
10月の新設住宅着工戸数は608戸、前年同月比36.0％増と３カ月連続で前年を上回った。
利用区分別にみると、分譲（40戸＜うちマンションは０戸＞、34.4％減）では減少したものの、
持家（313戸、29.3％増）、貸家（252戸、83.9％
増）では前年を上回った。
主な市郡別（県建築課調べ）では、佐世保市
（123戸、57.7％増）、諫早市（62戸、2.4倍増）、
西彼杵郡（59戸、63.9％増）などがプラスとなっ
たが、長崎市（173戸、2.3％減）、大村市（51戸、
26.1％減）などでは前年を割り込んだ。
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雇用
緩やかな改善傾向続く
10月の県内の有効求人倍率（季節調整済）は前月を0.01ポイント下回る1.15倍。また、全国の
有効求人倍率は前月を0.02ポイント上回る1.40倍となった。
新規求人数は10.4千人、前年同月比3.3％減となり、３カ月振りのマイナスとなった。形態別で
は、一般求人が2.4％減と３カ月振りの減少、パート求人も4.6％減と３カ月振りの減少。主な業
種別にみると、運輸業（18.4％増）、建設業（13.6％増）
、製造業（3.6％増）、サービス業（1.8％増）
では前年を上回ったが、飲食店、宿泊業（14.4％減）
、卸売・小売業（13.7％減）など多くの業種
で前年を下回った。一方、新規求職者数は6.3千人、前年同月比3.8％減と２カ月連続の減少。形
態別では、一般求職者が7.7％減、パート求職者が3.5％増となった。
また、有効求人数は27.8千人、前年同月比6.6％増と22カ月連続のプラス、有効求職者数は23.8
千人、前年同月比5.9％減と38カ月連続の減少。
就職件数については、2.4千件、前年同月比
11.3％減と２カ月連続の減少。また、雇用保険
受給者実人員は5.4千人、前年同月比6.0％減と
なり45カ月連続で減少した。
県内の雇用データをみると、緩やかな改善傾
向が続いている。
企業倒産
低水準続く
11月の県内の企業倒産件数（東京商工リサー
チ調べ）は前年同月と同じく２件。一方、負債
総額は同94.8％減の１億円となり、前年を大幅
に下回った。
倒産件数を業種別にみると、建設業と小売業
がそれぞれ１件。また、倒産原因は２件とも「販
売不振｣。
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