月次県内経済 概 況 横這い圏内の動き 〈5月〉生産面では大手・中堅造船は既往受注により概ね高めの操業を維持、重電機械も堅 調、電子部品は弱めの動きも。需要面では、公共工事請負金額は増加も、新設住宅着工戸数 は持ち直し足踏み。個人消費では大型小売店販売額が前年を下回り、乗用車(登録車)販売 台数はプラスに。観光面は熊本地震の影響などから主要施設の入場者数・宿泊者数とも前年 割れ。雇用面では有効求人倍率が1.1倍台が続き、人手不足の状況続く。企業倒産件数は引 き続き低水準。6月入り後、観光面では熊本地震による影響はあるものの持ち直しの動き。 造 船 大手・中堅、地場中小とも高めの操業を維持 大手・中堅造船では、新造需要は市況を反映 して低調。生産面では客船やガス運搬船、省エ ネ船など高付加価値船を中心に受注残を確保し ていることもあり、高めの操業を維持している。 地場中小造船でも、既往の受注を背景に高め の操業を続けているほか、更新需要もあって貨 物船や漁船、官庁船などの受注を確保している。 機 械 重電機械は堅調、電子部品は弱めの動きも 重電機械では、原動機(タービン、ボイラー、 エネルギー関連等)は新興国の需要を背景とし た海外プラント関連に加え、国内でも一定の受 注を確保。電動機(大型、中小型モーター) 、 列車空調装置は受注持ち直しの傾向。 電子部品では、海外との競争など厳しい環境 のなか、一部最終製品需要の動向から、やや弱 めの動きもみられる。 34 ながさき経済 2016.8 月次県内経済 小売商況 概ね横這い圏内も弱めの動き 小売商況をみると、5月の県内大型小売店販売額が前年を下回り、乗用車販売はプラスも軽自 動車が大幅減、サービス消費面の旅行取扱高も前年を下回った。なお、6月度の大型店売上げに ついても、弱めの動きがみられる。 5月の大型小売店販売額(百貨店・スーパー36店、九州経済産業局調べ)は89億円、前年同月 比2.2%減(同一店舗比較)と3カ月連続のマイナス。品目別では、飲食料品が0.4%増と堅調な がら、主力の婦人服等5.8%減、紳士服洋品4.4%減、身回り品3.8%減など衣料品全体で5.5%減と なり、雑貨・家庭用品等も5.3%減と振るわなかった。このうち百貨店は、食品が催事効果など もあって堅調も、衣料品や身回り品、雑貨、家庭用品などは低調、インバウンドも振るわず。一 方、スーパー・大型店等では食料品が比較的堅調ながら、衣料品等の動きが鈍く低調続く。なお、 6月度は、百貨店・大型店等で弱めの動きとなっている。 乗用車販売では、5月の新規登録台数は1,420台、前年同月比13.0%増と3カ月連続のプラス。う ち普通車は660台、同18.1%増、小型車も760台、 同8.9%増と2カ月連続のプラス。一方、軽乗用 車は1,207台、同20.5%減(6月、36.0%減)と 燃費不正問題も重なり大幅減が続く。また、軽 を含む総販売台数では2,627台、5.3%減となった。 サービス消費面では、5月の県内主要旅行業 者の旅行取扱高が19.9%の大幅減。うち国内旅 行が17.7%減、海外は27.1%減と、いずれも低調。 ながさき経済 2016.8 35 水 産 取扱量、金額ともに減少 5月の県内3魚市と県漁連の取扱い状況をみると、取扱量は2.1万トン、前年同月比15.5%減と なり、取扱金額も49億円、同15.0%減少した。 また、魚種別の水揚げ(日本遠洋旋網漁業協 同組合調べ)をみると、アジは数量が前年同月 比23.2%減少し、単価も41.2%下落したことか ら、金額は54.9%減となった。一方、サバは数 量が37.6%減少し、単価が26.4%上昇したもの の、金額は21.1%減少した。 観 光 主要施設の入場者数、宿泊客数とも大幅に減少 5月の県内観光をみると、4月中旬に発生した熊本地震の影響から、主要観光施設の入場者数、 主要宿泊施設の宿泊客数ともに大きく減少した。 主要観光施設等(13施設)の入場者は551千人、前年同月比31.2%減と大幅に減少した。地区 別にみると、県南地区の長崎市では、企画展「篠山紀信展」が開催された長崎歴史文化博物館 (15.0%増)で前年を上回ったものの、グラバー園(44.5%減)と長崎原爆資料館(40.5%減)で は減少幅が4割台となった。また、島原半島でも島原城(27.5%減)と雲仙仁田道(13.2%減) が減少、なかでも雲仙岳災害記念館(60.8%減)は6割減となった。一方、県北地区をみると、 春の光の王国やバラ祭、世界花火師競技会海外予選などのイベントを積極的に展開したハウステ ンボスも減少し、九十九島パールシーリゾート(29.6%減)と平戸城(18.1%減)も減少した。 さらに、離島地区でも堂崎天主堂(25.0%減)と一支国博物館(4.9%減)、および万松院(9.6%減) がそれぞれ減少した。 県内主要宿泊施設(43社、日本銀行長崎支店 調べ)の宿泊客数は前年同月比34.4%減と大き く減少した。地区別でみると県南地区36.1%減、 県北地区32.4%減となっている。また、雲仙・ 小浜の各観光協会の調べによると、雲仙地区の 宿泊客数は17千人、前年同月比52.5%減と半減 し、小浜地区も9千人、23.4%減少した。 36 ながさき経済 2016.8 月次県内経済 公共工事 件数、請負金額とも増加 5月の県内公共工事(西日本建設業保証取扱分)をみると、請負件数は148件、前年同月比9.6% 増と2カ月連続の増加。請負金額は142億円、同2.1倍増と2カ月連続で前年を上回った。 主要発注者別の請負金額では、 「国」(9億円、49.9%減)と「県」 (9億円、39.3%減)が前年 を下回ったものの、「独立行政法人等」(97億円、4.1倍増)と「市・町」 (24億円、2.1倍増)が大 幅増となった。 また、地区別の請負金額をみると、前年を上回ったのは、諫早地区(72億円、2.9倍増) 、長崎 地区(29億円、3.1倍増) 、県北地区(18億円、7.6%増) 、島原地区(9億円、3.8倍増)など6地 区。一方、対馬地区(3億円、60.6%減)、下五島地区(1億円、2.9%減)など4地区では前年 を下回った。 なお、同月の1億円以上の主な大型工事は、 (独)鉄道建設・運輸施設整備支援機構発注の 九州新幹線(西九州)木場トンネル他(6件、 90億円) 、西日本高速道路(株)発注の長崎自 動車道清水川橋他2橋(鋼上部工)工事(7億 円)など。 住宅建設 持ち直しの動き、足踏み 5月の新設住宅着工戸数は419戸、前年同月比14.0%減と2カ月振りに前年を下回った。 利用区分別にみると、持家(207戸、11.9%減) 、貸家(161戸、1.2%減) 、分譲(25戸<うちマ ンションは0戸>、71.6%減)いずれも前年を 下回った。 主な市郡別(県建築課調べ)では、佐世保市 (142戸、97.2%増)ではプラスとなったが、長 崎市(163戸、19.7%減) 、大村市(36戸、50.7% 減)、諫早市(17戸、58.5%減)などが前年割れ となった。 ながさき経済 2016.8 37 雇 用 緩やかな改善傾向続く 5月の県内の有効求人倍率(季節調整済)は前月を0.01ポイント下回る1.12倍。また、全国の 有効求人倍率は前月を0.02ポイント上回る1.36倍となった。 新規求人数は9.6千人、前年同月比6.3%増となり、18カ月連続のプラスとなった。形態別では、 一般求人が6.7%増と13カ月連続のプラス、パート求人も5.7%増と2カ月振りの増加。主な業種 別にみると、卸売・小売業(18.0%増)、製造業(16.1%増)、医療、福祉(13.8%増)、飲食店、 宿泊業(7.6%増)などが増加し、建設業(19.5%減)と運輸業(8.2%減)は前年を下回った。一 方、新規求職者数は6.6千人、前年同月比5.5%減と3カ月連続の減少。形態別では、一般求職者 が5.8%減、パート求職者が4.9%減となった。 また、有効求人数は27.0千人、前年同月比7.7%増と17カ月連続のプラス、有効求職者数は26.2 千人、前年同月比7.1%減と33カ月連続の減少。 就職件数については、2.8千件、前年同月比 0.6%減と2カ月連続の減少。また、雇用保険 受給者実人員は4.9千人、前年同月比9.8%減と なり40カ月連続で減少した。 県内の雇用データをみると、緩やかな改善傾 向が続いている。 企業倒産 低水準続く 6月の県内の企業倒産件数(東京商工リサー チ調べ)は1件、前年同月比では4件の減少。 一方、負債総額は前年同月比98.6%減の0.3億円 となり、前年を大幅に下回った。 倒産件数を業種別にみると、サービス業が1 件。また、倒産原因は「販売不振」。 38 ながさき経済 2016.8
© Copyright 2025 ExpyDoc