月次県内経済

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月次県内経済
概 況
横這い圏内ながら持ち直しの動き
〈1月〉生産面では大手・中堅造船は既往受注により概ね高めの操業を維持、重電機械も堅
調、電子部品は弱めの動きも。需要面では、公共工事請負金額が減少傾向ながら、新設住宅
着工戸数は持ち直し。個人消費では大型小売店販売額が前年を上回り、乗用車(登録車)販
売台数は小幅マイナス。観光面は世界遺産やクルーズ寄港増もあって主要施設の入場者数・
宿泊者数とも堅調。雇用面では有効求人倍率が1.0倍台で上昇傾向続き、県内企業では人手
不足の状況。企業倒産件数は引き続き低水準。2月入り後も生産、消費等底堅く、観光消費
面は追い風続く。
造 船
大手・中堅、地場中小とも高めの操業を維持
大手・中堅造船では、バルク船の新造需要は市況を反映して低調、一方でタンカーやガス運搬
船などの受注がみられる。生産面では客船やガ
ス運搬船、省エネ船など高付加価値船を中心に
受注残高を確保していることもあり、高めの操
業を維持している。
地場中小造船でも、既往の受注を背景に高め
の操業を続けているほか、更新需要もあって貨
物船や漁船、官庁船などの受注を確保している。
機 械
重電機械は堅調、電子部品は弱めの動きも
重電機械では、原動機(タービン、ボイラー、
エネルギー関連等)は新興国の需要を背景とし
た海外プラント関連に加え、国内でも一定の受
注を確保。電動機(大型、中小型モーター)
、
列車空調装置は受注持ち直しの傾向。
電子部品では、海外との競争など厳しい環境
のなか、一部最終製品需要の動向から、やや弱
めの動きもみられる。
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小売商況
概ね横這い圏内の動き
小売商況をみると、1月の県内大型小売店販売額は3カ月振りに前年を上回る一方、乗用車販
売は前年割れが続き、サービス消費面の旅行取扱高も前年を下回った。なお、16年2月度の大型
店売上げについては比較的堅調な推移。
1月の大型小売店販売額(百貨店・スーパー36店、九州経済産業局調べ)は93億円、前年同月
比0.6%増(同一店舗比較)と3カ月振りにプラスとなった。品目別では、飲食料品が2.2%増、
雑貨・家庭用品等が4.2%増となり、衣料品の不振(5.1%減)を補った。衣料品では、主力の婦
人服等が5.6%減となったほか、紳士服洋品3.8%減、身回り品8.9%減。このうち百貨店は、食料
品が前年並みながら、天候不順もあって婦人服を始め衣料品が振るわず、身回り品、雑貨も低調
であった。一方、スーパー・大型店等では食料品が堅調ながら、衣料品等の動きが鈍く低調。な
お、2月度は、百貨店・大型店等では前年を概ね上回っている。
乗用車販売では、1月の新規登録台数は1,672台、前年同月比2.2%減と引き続きマイナスも小
幅減となった。このうち、普通車は781台、16.6%増と2カ月連続のプラスとなったが、小型車
が891台、14.2%減と4カ月連続の2桁減。一方、
軽乗用車は1,667台、21.7%減(2月、22.2%減)
と大幅減が続く。また、軽を含む総販売台数で
は3,339台、13.0%減となり、引き続き2桁減。
サービス消費面では、1月の県内主要旅行業
者の旅行取扱高が6.4%減となり、一進一退の
状況。うち海外は9.4%増ながら、国内旅行が
11.9%減と3カ月連続のマイナスとなった。
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水 産
取扱量、金額ともに減少
1月の県内3魚市と県漁連の取扱い状況をみると、取扱量は1.9万トン、前年同月比15.8%減少
し、取扱金額も52億円、同23.4%減少した。
また、魚種別の水揚げ(日本遠洋旋網漁業協
同組合調べ)をみると、アジは数量が前年同月
比15.8%減少し、単価も4.4%下落したことから、
金額は19.5%減少した。一方、サバは数量が
15.4%増加したものの、単価が31.7%下落し、
金額は21.1%減少した。
観 光
主要施設の入場者数は減少、宿泊客数は増加
1月の県内観光をみると、主要観光施設の入場者数は前年比減少するも、主要宿泊施設の宿泊
客数は増加した。
主要観光施設等(13施設)の入場者は391千人、前年同月比1.1%の微減となった。地区別にみ
ると、県南地区の長崎市では、グラバー園(6.4%増)が増加したものの、長崎原爆資料館(3.4%
減)と長崎歴史文化博物館(10.7%減)は減少した。また、島原半島では冬の風物詩「霧氷」の
発生から雲仙仁田道(4.0%増)が増加したものの、島原城(1.7%減)は減少し、雲仙岳災害記
念館(0.2%減)も微減となった。一方、
県北地区をみると6年目を迎えた冬期恒例のイベント「光
の王国」が開催されているハウステンボスが一服、九十九島パールシーリゾート(12.3%減)も
減少した。なお、平戸城(耐震工事のため、前年同時期全館休館)は一昨年比18.1%減。離島地
区では特別企画展「ルーヴル美術館の銅版画展」の二期展示が始まった一支国博物館(12.8%増)
が増加したものの、堂崎天主堂(23.9%減)と万松院(15.2%減)はそれぞれ減少した。
県内主要宿泊施設(43社、日本銀行長崎支店
調べ)の宿泊客数は前年同月比6.0%増加した。
このうち、県南地区は世界遺産と夜景観光の好
調に加え、客船建造従事者増もあって17.5%増
加、県北地区も4.5%増加した。また、雲仙・小
浜の各観光協会の調べによると雲仙地区の宿泊
客数は23千人、18.4%増加したものの、小浜地
区は8千人、20.9%減少した。
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公共工事
件数、請負金額とも減少
1月の県内公共工事(西日本建設業保証取扱分)をみると、請負件数は272件、前年同月比2.5%
減と2カ月連続のマイナス、請負金額は79億円、同11.6%減と2カ月連続で前年を下回った。
主要発注者別の請負金額では、「国」(15億円、54.8%増)と「市町」
(39億円、24.4%増)が前
年を上回ったものの、「県」(19億円、46.0%減)は前年割れとなった。
また、地区別の請負金額をみると、前年を上回ったのは、諫早地区(24億円、14.1%増)
、島
原地区(20億円、2.8倍増)など5地区。一方、長崎地区(18億円、34.2%減)、田平地区(5億円、
68.8%減)など5地区では前年を下回った。
同月の主な大型工事は、島原市発注の島原市
汚泥再生処理センター建設工事(9億円)
、長
崎市発注の東長崎浄水場中央監視制御設備ほか
更新工事(7億円)
、(福)みのり会発注の社会
福祉法人みのり会めぐみ保育園改築工事(5億
円)など。
住宅建設
持ち直しの動き
1月の新設住宅着工戸数は772戸、前年同月比37.1%増と4カ月連続で前年を上回った。
利用区分別にみると、持家(250戸、12.1%増)、
貸家(287戸、1.8%増)、分譲(150戸<うちマ
ンションは126>、2.7倍増)いずれも前年を上
回った。
主な市郡別(県建築課調べ)では、長崎市(280
戸、60.9%増)、佐世保市(169戸、83.7%増)、
諫早市(155戸、70.3%増)が高い伸びとなり、
大村市(59戸、13.5%増)も前年を上回った。
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雇 用
緩やかな改善傾向続く
1月の県内の有効求人倍率(季節調整済)は前月を0.01ポイント上回る1.04倍。また、全国の
有効求人倍率は前月を0.01ポイント上回る1.28倍となった。
新規求人数は11.2千人、前年同月比2.5%増となり、14カ月連続のプラスとなった。形態別では、
一般求人が0.6%増と9カ月連続のプラス、パート求人は5.1%増となり、2カ月振りの増加。主
な業種別にみると、飲食店・宿泊業(26.1%増)
、運輸業(6.5%増)
、サービス業(1.4%増)な
どでは前年を上回ったが、建設業(9.7%減)、製造業(5.6%減)、卸売・小売業(3.9%減)は前
年を下回った。一方、新規求職者数は6.5千人、前年同月比19.4%減と2カ月連続の減少。形態別
では、一般求職者が20.4%減、パート求職者が17.2%減となった。
また、有効求人数は25.5千人、前年同月比6.2%増と13カ月連続のプラス、有効求職者数は22.4
千人、前年同月比10.3%減と29カ月連続の減少。
就職件数については、1.9千件、前年同月比
9.6%減と9カ月連続の減少。また、雇用保険
受給者実人員は5.0千人、前年同月比8.4%減と
なり36カ月連続で減少した。
県内の雇用データをみると、緩やかな改善傾
向が続いている。
企業倒産
低水準続く
2月の県内の企業倒産件数(東京商工リサー
チ調べ)は1件、前年同月比では3件の減少。
一方、負債総額は前年同月比95.7%減の0.9億円
となり、前年を大幅に下回った。
倒産件数を業種別にみると、サービス業が1
件。また、倒産原因は「販売不振」。
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