月次県内経済

月次県内経済
概 況
横這い圏内ながら一部持ち直しの動き
〈3月〉生産面では大手・中堅造船は既往受注により概ね高めの操業を維持、重電機械も堅
調、電子部品は持ち直しの動き続く。需要面では、公共工事が前年割れ続くも、新設住宅着
工戸数は貸家中心に大幅増。個人消費では前年の駆け込み消費の反動などから大型小売店販
売額、乗用車販売(軽含む)とも前年割れ。一方、観光面は、主要施設の入場者数・宿泊者
数とも前年を上回った。雇用面では有効求人倍率が緩やかな上昇傾向。企業倒産件数は低水
準続く。なお、4月入り後は、消費面が持ち直すなど、概ね横這い圏内の動き。
造 船
大手・中堅、地場中小とも高めの操業を維持
大手・中堅造船では、貨物船を中心に新造船需要が停滞していることから受注は引続き低調と
なっている。生産面では客船やガス運搬船、省
エネ船など高付加価値船を中心に受注残高を確
保していることもあり、高めの操業を維持して
いる。
地場中小造船でも、既往の受注を背景に高め
の操業を続けているほか、更新需要もあって貨
物船や漁船、官庁船などの受注を確保している。
機 械
重電機械は堅調、電子部品は持ち直しの動きが続く
重電機械では、原動機(タービン、ボイラー、エネルギー関連等)は海外向けプラント関連で
新興国の需要を背景に一定の受注を確保。電動
機(大型、中小型モーター)は受注持ち直しの
中、生産面も堅調に推移。列車空調装置は受注
持ち直しの傾向。
電子部品では、海外との競争など厳しい環境
が続くも、需要回復から生産持ち直しの動きが
続いている。
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月次県内経済
小売商況
概ね横這い圏内の動き
小売商況をみると、3月は前年の駆け込み消費の反動から県内大型小売店販売額、乗用車販売
が大幅な前年割れとなり、サービス消費面の旅行取扱高も前年を下回った。もっとも、基調とし
ては底堅く、4月度の大型店売上げ等は比較的堅調に推移。
3月の大型小売店販売額(百貨店・スーパー41店、九州経済産業局調べ)は98億円、前年同月
比12.8%減(同一店舗比較)となった。品目別では、飲食料品が4.1%減と比較的小幅なマイナス
となったが、家庭用品等が24.6%減、衣料品も16.0%減となった。衣料品のなかでは、主力の婦
人服等が16.9%減と減少幅が大きく、身の回り品(15.4%減)
、紳士服(12.1%減)も2桁減。こ
のうち百貨店は、来店客数が前年を下回り、全般的に反動が大きかったが、催事等は比較的好調
であった。一方、スーパー・大型店等では、衣料品が低調ながら、食料品が堅調に推移。なお、
4月度は、百貨店・大型店等とも、前年が消費税引き上げ後の落ち込みの反動もあって、比較的
堅調に推移。
乗用車販売では、3月の新規登録台数は2,556台、前年同月比17.9%減と7カ月連続の前年割
れ。うち普通車は1,177台、14.3%減、小型車は
1,379台、20.7%減。一方、軽乗用車は3,179台、
10.5%減(4月、33.8%減)
。軽を含む総販売台
数では5,735台、13.9%減となった。
サービス消費面では、3月の県内主要旅行業
者の旅行取扱高が13.5%減となった。うち、海
外旅行が円安もあって19.8%減となったのに加
え、国内旅行も10.5%減。
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水 産
取扱量、金額ともに増加
3月の県内3魚市と県漁連の取扱い状況をみると、取扱量は2.8万トン、前年同月比78.0%増、
また取扱金額も65億円、同22.8%増となった。
また、魚種別の水揚げ(日本遠洋旋網漁業協
同組合調べ)をみると、アジは数量が前年同月
比2倍強となり、単価が13.4%下落したものの、
金額は78.4%増となった。一方、サバは数量が
43.5%減少し、単価も55.9%低下、金額は75.1%
減となった。
観 光
主要施設の入場者数、宿泊客数ともに増加
3月の県内観光をみると、主要観光施設の入場者数、主要宿泊施設の宿泊客数ともに増加した。
主要観光施設等(13施設)の入場者は684千人、前年同月比2.6%増と3カ月振りに増加した。
地区別にみると、県南地区の長崎市ではグラバー園(1.3%増)と長崎原爆資料館(3.1%増)
、長
崎歴史文化博物館(10.1%増)がそれぞれ増加した。一方、島原半島では島原城(5.5%減)と雲
仙岳災害記念館(8.6%減)が減少したものの、雲仙仁田道(0.1%増)は前年並みとなった。県
北地区では、恒例「チューリップ祭り」に人気アニメ「妖怪ウオッチ」とのコラボイベントを展
開したハウステンボスが好調。なお、九十九島パールシーリゾート(8.3%減)は減少したが、
耐震工事が終了し、1日に通常開館した平戸城(5.6%増)は増加した。離島地区では、堂崎天
主堂(45.4%増)と万松院(0.5%増)が増加、入館者が55万人を突破した一支国博物館(2.7%減)
も小幅減にとどまった。
県内主要宿泊施設(44社、日本銀行長崎支店
調べ)の宿泊客数は、前年同月比2.9%増加した。
県南地区は4.7%増と、ランタンフェスティバル
開催時期の影響もあり増加、ハウステンボスが
牽引する県北地区も1.3%増加した。また、雲仙・
小浜の各観光協会の調べによると、雲仙地区の
宿泊客数は34千人、4.4%減少し、小浜地区は
12千人、8.5%増加した。
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公共工事
請負金額、前年割れ続く
3月の県内公共工事(西日本建設業保証取扱分)をみると、請負件数は338件、前年同月比
10.1%増と2カ月連続のプラス、請負金額は208億円、同21.9%減と7カ月連続で前年を下回った。
主要発注者別の請負金額では、
「市町」(65億円、74.5%増)は前年を上回ったものの、
「国」(20
億円、72.0%減)と「県」(115億円、19.0%減)は前年割れ。
また、地区別の請負金額をみると、前年を上回ったのは、島原地区(19億円、3.7倍増)
、上五
島地区(16億円、2.5倍増)
、下五島地区(13億円、1.9倍増)の3地区。一方、長崎地区(54億円、
5.5%減)
、諫早地区(43億円、28.8%減)など
7地区は前年を下回った。
同月の主な大型工事は、長崎県発注の一般県
道諫早外環状線道路改良工事(4件、28億円)、
長崎市発注の小榊小学校移転改築主体工事(2
件、14億円)
、水産庁発注の五島西方沖地区湧
昇マウンド礁ブロック投入工事(2件、9億円)
など。
住宅建設
4カ月振りのプラス
3月の新設住宅着工戸数は678戸、前年同月比58.0%増と4カ月振りに前年を上回った。
利用区分別にみると、分譲(24戸<うちマンションは0戸>、60.7%減)が前年を割り込んだが、
持家(251戸、1.6%増)と貸家(402戸、3.3倍増)
が前年を上回った。
主な市郡別(県建築課調べ)では、佐世保市
(128戸、23.8%減)などで前年を下回ったが、
長崎市(311戸、2.7倍増)、諫早市(70戸、89.2
%増)、西彼杵郡(52戸、57.6%増)などでは
大幅増となった。
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雇 用
緩やかな改善傾向が続く
3月の県内の有効求人倍率(季節調整済)は前月を0.04ポイント上回る0.97倍に上昇した。また、
全国の有効求人倍率は前月と同水準の1.15倍となった。
新規求人数は10.1千人、前年同月比14.2%増となり、4カ月連続のプラスとなった。形態別では、
一般求人は12.6%増と4カ月連続の増加、パート求人は16.5%増と3カ月連続の増加。主な業種
別にみると、製造業(39.1%増)、教育・学習支援業(35.6%増)、情報通信業(19.2%増)、卸売・
小売業(18.1%増)、運輸業(16.5%増)医療・福祉(11.4%増)が、いずれも2桁増となった。
一方、新規求職者数は7.6千人、前年同月比2.5%減と19カ月連続の減少。形態別では、一般求職
者が5.0%減、パート求職者が2.7%増となった。
また、有効求人数は27.3千人、前年同月比14.3%増となった。また、有効求職者数は27.9千人、
前年同月比7.1%減と19カ月連続で減少した。
就職件数については、3.1千件、前年同月比9.7
%減と9カ月連続の減少。一方、雇用保険受給
者実人員は5.2千人、前年同月比9.1%減となり
26カ月連続で減少した。
2014年度平均の有効求人倍率は、前年度平均
を0.12ポイント上回る0.87倍となり、5年連続
の上昇となった。
企業倒産
低水準続く
4月の県内の企業倒産件数(東京商工リサー
チ調べ)は前年同月を5件下回る3件。一方、
負債総額は同58.2%減の8億円となり、4カ月
連続で前年を下回った。このうち負債金額が
1億円以上の倒産は2件。
倒産件数を業種別にみると、製造業、建設業、
卸売業がそれぞれ1件。また、倒産原因は「販
売不振」 が2件、「他社倒産の余波」が1件。
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