月次県内経済 概 況 横ばい圏内の動き 〈12月〉生産面では大手・中堅造船は既往受注により概ね高めの操業を維持、重電機械も堅 調、電子部品は持ち直しへ。需要面では、公共工事請負金額は増勢、新設住宅着工戸数は持 ち直し。個人消費では大型小売店販売額が弱含み、乗用車(登録車)販売台数は回復傾向。 観光面は主要施設の入場者数が持ち直し、宿泊者数は回復足踏み。雇用面では有効求人倍率 が1.1倍台が続き、人手不足の状況続く。企業倒産件数は引き続き低水準。1月入り後も生産・ 投資が底堅く、観光面は緩やかな持ち直し続く。 造 船 大手・中堅、地場中小とも高めの操業を維持 大手・中堅造船では、新造需要は海運市況を 反映して低調。生産面では客船やガス運搬船、 省エネ船など高付加価値船を中心に受注残を確 保していることもあり、高めの操業を維持して いる。 地場中小造船でも、既往の受注を背景に高め の操業を続けているほか、更新需要もあって貨 物船や漁船、官庁船などの受注を確保している。 機 械 重電機械は堅調、電子部品は持ち直しの動きも 重電機械では、原動機(タービン、ボイラー、 エネルギー関連等)は新興国の需要を背景とし た海外プラント関連に加え、国内でも一定の受 注を確保。列車空調装置は受注持ち直しの傾向。 電子部品では、海外との競争など厳しい環境 のなか、持ち直しの動きもみられる。 32 ながさき経済 2017.3 月次県内経済 小売商況 概ね横ばい圏内 小売商況をみると、12月は県内大型小売店販売額が前年を下回る一方、乗用車販売は2桁増と 回復傾向、サービス消費面の旅行取扱高は前年割れ続く。なお、1月度の大型小売店等の売上げ はやや持ち直し。 12月の大型小売店販売額(百貨店・スーパー35店、九州経済産業局調べ)は119億円、前年同 月比1.8%減(同一店舗比較)と前年割れの傾向が続く。品目別では、飲食料品が0.8%減と4カ 月ぶりにマイナス、雑貨・家庭用品等は0.9%減とマイナス幅が縮小、一方、衣料品は主力の婦 人服等と身の回り品が3.7%減、紳士服洋品6.2%減など衣料品全体では6.0%減。このうち百貨店 は、入店客数の前年割れ傾向がみられ、衣料品、食料品、雑貨などが振るわなかった。スーパー・ 大型店等では食料品が野菜高などもあって比較的堅調、衣料は動きが鈍かった。 一方、コンビニやドラッグストア等専門量販店は堅調な売上げが続いている。 乗用車販売では、12月の新規登録台数は1,884台、前年同月比26.3%増と3カ月連続のプラス。 うち普通車は796台、9.9%増、小型車は1,088台、 41.7%の大幅増。一方、軽乗用車は1,473台、1.1% 減(1月1.7%増)と小幅減。軽を含む総販売 台数では3,357台、12.6%増となり、回復傾向。 サービス消費面では、12月の県内主要旅行業 者の旅行取扱高が24.1%減と4カ月連続の2桁 減。うち国内旅行は7.8%減であったが、海外 が36.2%の大幅減。 ながさき経済 2017.3 33 水 産 取扱量、金額ともに減少 12月の県内3魚市と県漁連の取扱い状況をみると、取扱量が2.7万トン、前年同月比22.1%減少 し、取扱金額も67億円、同12.6%減少した。 また、魚種別の水揚げ(日本遠洋旋網漁業協 同組合調べ)をみると、アジは数量が前年同月 比76.6%減少し、単価が約2.5倍となったが、金 額は40.5%減となった。一方、サバも数量が 57.4%減少、単価が33.4%上昇したが、金額は 43.1%減少した。 観 光 主要施設の入場者数は持ち直し傾向 12月の県内観光をみると、熊本地震の影響が長引くなか、主要観光施設の入場者数は持ち直し 傾向ながら、主要宿泊施設の宿泊客数は減少が続いている。 主要観光施設等(13施設)の入場者は589千人、前年同月比0.9%減と前年並み近くまで回復し てきている。地区別にみると、県南地区の長崎市ではグラバー園(4.3%減)と長崎原爆資料館 (5.9%減)がともに減少したものの、「坂本龍馬展」が開催されている長崎歴史文化博物館(39.7 %増)は4割近くの増となった。また、島原半島では島原城(4.6%増)、雲仙岳災害記念館(4.1 %増)、雲仙仁田道(11.1%増)がいずれも増加した。一方、県北地区は「世界最大 光の王国」や、 「ヴァーチャルミュージアム展」などを開催したハウステンボス、平戸城(4.5%減)、九十九島 パールシーリゾート(0.0%)、いずれも持ち直してきている。離島地区では堂崎天主堂(6.6%減) と一支国博物館(20.9%減)がともに減少したものの、万松院(15.3%増)は増加した。 県内主要宿泊施設(43社、日本銀行長崎支店 調べ)の宿泊客数は、前年同月比9.6%減少した。 地区別でみると県南地区が13.5%減と大幅に減 少したが、県北地区は5.5%減と持ち直し傾向 にある。また、雲仙・小浜の各観光協会の調べ によると、雲仙地区の宿泊客数は23千人、前年 同月比25.7%減、小浜地区も11千人、同6.2%減 となった。 34 ながさき経済 2017.3 月次県内経済 公共工事 請負金額、4カ月連続の増加 12月の県内公共工事(西日本建設業保証取扱分)をみると、請負件数は397件、前年同月と同 水準。請負金額は95億円、同18.5%増と4カ月連続で前年を上回った。 主要発注者別の請負金額では、「県」(20億円、21.4%減)と「市・町」(40億円、2.6%減)が 減少したものの、「国」(21億円、71.9%増)は高い伸びとなった。 また、地区別の請負金額をみると、前年を上回ったのは、長崎地区(39億円、2.1倍増) 、県北 地区(22億円、10.0%増)、諫早地区(14億円、 14.6%増)など6地区。一方、対馬地区(5億円、 16.0%減) 、田平地区(4億円、60.7%減)など 4地区で前年を下回った。 なお、同月の大型工事は、西日本高速道路(株) 発注の長崎自動車道中里トンネル工事(13億 円)、九州防衛局発注の相浦宿舎等新設建築工 事(6億円)など。 住宅建設 持ち直しの動き 12月の新設住宅着工戸数は661戸、前年同月比34.1%増と2カ月振りに前年を上回った。 利用区分別にみると、持家(242戸、2.4%減)ではやや前年を下回ったものの、貸家(343戸、 77.7%増)と分譲(74戸<うちマンションは48 戸>、45.1%増)では前年を大幅に上回った。 主な市郡別(県建築課調べ)では、長崎市 (286戸、2.3倍増)、佐世保市(158戸、16.2%増) 、 諫早市(81戸、68.8%増)などがプラスとなり、 大 村 市(43戸、29.5 % 減 ) 、 西 彼 杵 郡(21戸、 32.3%減)などでは前年を割り込んだ。 ながさき経済 2017.3 35 雇 用 緩やかな改善傾向続く 12月の県内の有効求人倍率(季節調整済)は前月を0.03ポイント上回る1.15倍。また、全国の 有効求人倍率は前月を0.02ポイント上回る1.43倍となった。 新規求人数は8.9千人、前年同月比15.8%増となり、2カ月連続の増加となった。形態別では、 一般求人が12.2%増、パート求人も21.6%増といずれも2カ月連続の増加。主な業種別にみると、 飲食店、宿泊業(32.7%増)で大幅増、建設業(15.9%増) 、医療、福祉(15.1%増) 、サービス 業(10.8%増)なども2桁増となったが、教育・学習支援業(29.8%減) 、製造業(13.5%減)な どは前年を下回った。一方、新規求職者数は4.6千人、前年同月比2.1%減と2カ月振りの減少。 形態別では、一般求職者が3.1%減、パート求職者が0.4%増となった。 また、有効求人数は26.5千人、前年同月比8.2%増と24カ月連続のプラス、有効求職者数は21.8 千人、前年同月比2.4%減と40カ月連続の減少。 就職件数については、2.1千件、前年同月比 1.3%減と2カ月振りの減少。また、雇用保険 受給者実人員は4.8千人、前年同月比4.5%減と なり47カ月連続で減少した。 県内の雇用データをみると、緩やかな改善傾 向が続いている。 企業倒産 低水準続く 1月の県内の企業倒産件数(東京商工リサー チ調べ)は前年同月と同じく4件。一方、負債 総額は小売業の大型倒産(30億円)が発生した ことから31億円となり、前年(24億円)を29.5 %上回った。 倒産件数を業種別にみると、小売業が2件、 建設業と卸売業がそれぞれ1件。また、倒産原 因は4件とも「販売不振」。 36 ながさき経済 2017.3
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