月次県内経済

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概 況
横這い圏内の動き
〈8月〉生産面では大手・中堅造船は既往受注により概ね高めの操業を維持、重電機械も堅
調、電子部品は持ち直しの方向。需要面では、公共工事請負金額は足もと前年割れ、新設住
宅着工戸数は持ち直し。個人消費では大型小売店販売額が弱含み、乗用車(登録車)販売台
数はプラス。観光面は主要施設の入場者数・宿泊者数とも持ち直し。雇用面では有効求人倍
率が1.1倍台が続き、人手不足の状況続く。企業倒産件数は引き続き低水準。9月入り後も、
生産、投資、消費等、総じて底堅く、観光面は持ち直し続く。
造 船
大手・中堅、地場中小とも高めの操業を維持
大手・中堅造船では、新造需要は海運市況を
反映して低調。生産面では客船やガス運搬船、
省エネ船など高付加価値船を中心に受注残を確
保していることもあり、高めの操業を維持して
いる。
地場中小造船でも、既往の受注を背景に高め
の操業を続けているほか、更新需要もあって貨
物船や漁船、官庁船などの受注を確保している。
機 械
重電機械は堅調、電子部品は持ち直しの動きも
重電機械では、原動機(タービン、ボイラー、
エネルギー関連等)は新興国の需要を背景とし
た海外プラント関連に加え、国内でも一定の受
注を確保。電動機(大型、中小型モーター)
、
列車空調装置は受注持ち直しの傾向。
電子部品では、海外との競争など厳しい環境
のなか、持ち直しの動きもみられる。
ながさき経済 2016.11
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小売商況
概ね横這い圏内も弱めの動き
小売商況をみると、8月は県内大型小売店販売額が前年割れも、乗用車販売は登録車がプラス、
軽を含む総台数もプラスに転じ、サービス消費面の旅行取扱高は小幅減に。なお、9月度の大型
小売店等の売上げは低調に推移。
8月の大型小売店販売額(百貨店・スーパー35店、九州経済産業局調べ)は90億円、前年同月
比2.8%減(同一店舗比較)とマイナスに転じた。品目別では、飲食料品が1.4%減にとどまった
ものの、衣料品は主力の婦人服等5.5%減、紳士服洋品2.8%減、身の回り品5.6%減、衣料品全体
では5.7%減と振るわず、雑貨・家庭用品等も4.1%減であった。猛暑やリオ五輪等もあって客足
が落ちたほか、前年のプレミアム商品券の反動もみられた。このうち百貨店は、入店客数が前年
割れし、衣料品、食料品、家庭用品、雑貨など全般的に振るわず、セール・催事等の日程変更な
ども影響。一方、スーパー・大型店等では食料品が比較的堅調も、衣料品等は振るわず。なお、
9月度も地合いが悪いなか、気温高め・台風接近などもあり、百貨店・大型店等とも低調。
乗用車販売では、8月の新規登録台数は1,430台、前年同月比6.0%増と6カ月連続のプラス。
うち普通車は16.8%増の674台、小型車は2.1%減の756台。一方、軽乗用車は1,323台、4.5%増(9
月:0.8%増)となり、20カ月振りのプラスに転
じた。軽を含む総販売台数でも2,753台となり、
5.3%増となった。
サービス消費面では、8月の県内主要旅行業
者の旅行取扱高(速報)が1.4%減とマイナス
幅が縮小。うち国内旅行が1.4%増と4カ月振
りにプラス、海外は8.7%減と持ち直し傾向。
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ながさき経済 2016.11
月次県内経済
水 産
取扱量が増加、金額は減少
8月の県内3魚市と県漁連の取扱い状況をみると、取扱量が1.8万トン、前年同月比5.3%増加
したものの、取扱金額は47億円、同5.9%減少
した。
また、魚種別の水揚げ(日本遠洋旋網漁業協
同組合調べ)をみると、アジは数量が前年同月
比25.5%減少し、単価が10.2%上昇したが、金
額は17.9%減となった。一方、サバは数量が5.4%
増加し、単価が16.9%下落、金額は12.4%減少
した。
観 光
主要施設の入場者数、宿泊客数とも持ち直し
8月の県内観光をみると、主要観光施設の入場者数、主要宿泊施設の宿泊客数とも熊本地震の
影響から前年割れながら持ち直してきている。
主要観光施設等(13施設)の入場者は817千人、前年同月比7.5%減となり、先月に引き続き減
少幅が1桁台にとどまった。地区別にみると、県南地区の長崎市では地震の影響に世界遺産認定
の反動も加わったグラバー園(21.6%減)が大幅減、長崎原爆資料館(13.1%減)も減少し、昨
年同時期にレゴブロックによる世界遺産展が開催された長崎歴史文化博物館(48.7%減)は反動
からほぼ半減した。一方、島原半島では島原城(0.7%減)が微減にとどまり、雲仙岳災害記念
館(5.5%増)と雲仙仁田道(31.2%増)が増加するなど持ち直している。また、県北地区をみる
と夏期恒例のイベント「夏の光の王国」と「水と冒険の王国」に加え、「世界一美しい昆虫展」
と4つの花火大会を実施したハウステンボスと平戸城(5.3%増)が増加したものの、九十九島パー
ルシーリゾート(5.0%減)は減少した。離島地区では万松院(21.9%増)が増加したものの、堂
崎天主堂(5.3%減)と一支国博物館(10.9%減)は減少した。
県内主要宿泊施設(43社、日本銀行長崎支店
調べ)の宿泊客数は前年同月比9.2%減と減少
幅が1桁台に縮小した。地区別でみると県南地
区10.5%減、県北地区7.8%減となっている。ま
た、雲仙・小浜の各観光協会の調べによると、
雲仙地区の宿泊客数は34千人、前年同月比10.6
%減、小浜地区も14千人、同13.0%減少した。
ながさき経済 2016.11
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