地方公共団体金融機構が準備金を国庫納付―格付に響かず

NEWS RELEASE
2016年12月26日
地方公共団体金融機構が準備金8000億円を国庫納付―格付に響かず
政府が 22 日閣議決定した 2017 年度予算案によると、地方財政対策の一般財源のうち 4000 億円につい
ては、地方公共団体金融機構(発行体格付=AA+)の公庫債権金利変動準備金を活用することになった。
まち・ひと・しごと創生事業費を中心とした財源に活用される。2017 年度に当初予定していた 1000 億
円に加え、3000 億円が追加される。また、2017 年度から 2019 年度までの 3 年間では、8000 億円以内(当
初予定の 1000 億円を加えると総額 9000 億円以内)を活用することも決まった。
機構の前身である公営企業金融公庫から引き継いだ債権の管理等は管理勘定に区分されており、借り
換えを含む金利変動のリスクに備えるため公庫債権金利変動準備金を計上している。管理勘定を廃止し、
残余財産がある場合は、その財産を国に帰属させると、地方公共団体金融機構法に定められている。た
だし、管理勘定廃止前でも、公庫債権管理業務を将来にわたり円滑に運営するために必要な額を上回る
と認められるときには国に帰属させることができるとしており、今回の措置は、この規定に沿っている。
地方公共団体金融機構の準備金は潤沢だ。管理勘定で発生する利益相当額を公庫債権金利変動準備金
に繰り入れているが、低金利の恩恵で借換益が生じており、繰入額は毎年 1000 億円超になっている。
機構発足から 2015 年度末までで累計 1.6 兆円を国庫納付してきたが、同準備金の残高は同年度末で約
1.6 兆円ある。これ以外に、一般勘定の金利変動準備金の残高が同年度末で約 1.8 兆円ある。
3 年間で総額 9000 億円を国庫に納付しても、金利変動のリスクを十分吸収できるだけの財務基盤を確
保していける見通しだ。また、納付に必要な資金は政府保証債を発行して充てられる予定だ。今回の措
置が信用力に与える影響は極めて限定的で格付に響かない。
主任格付アナリスト:奥村
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