11月の米雇用統計は良好=利上げ条件が整う

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REPORT
DAIICHI COMMODITIES CO.,LTD.
2016/12/03
11月の米雇用統計は良好=利上げ条件が整う
米労働省が12月2日発表した11月の雇用統計によると、景気動向を反映する非農業部門就業者数は、季節調整済
みで前月比17万8000人増加と、前月(14万2000人増=改定)から伸びが拡大し、市場予想の17万500
0人増を上回った。また、前月は下方修正されたが、9月は20万8000人に上方修正された。
失業率は4.6%と、市場予想と前月の4.9%から0.3ポイント改善し、2007年8月に並ぶ9年3カ月ぶり
の低水準。
平均時給は25.89ドルと前月比0.1%減少し、市場予想の0.2%増を下回った。前年同月比では2.5%増
と前月から0.3ポイント低下。週平均時間は34.4時間と横ばい。
働く意欲のある人の多さを示す労働参加率は62.7%と前月から0.1ポイント低下。半年以上の長期失業者、フ
ルタイム勤務を望みながらパートしか職が見つからない人はいずれも減少した。
●米利上げペースが焦点に
11月の米雇用統計は失業率、非農業部門就業者数のいずれも良好で、米連邦準備制度理事会(FRB)による利上
げの条件がほぼ整った。市場も13-14日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ決定を織り込み済みで、
来年以降、トランプ次期政権下で利上げペースが加速するかに関心が集まっている。
11月は非農業部門就業者数が約17万人増と労働市場の安定に必要とされる水準を上回ったほか、失業率はFRB
が現時点で長期目標とする4.8%を大きく下回った。賃金は減少に転じたものの、労働市場の過熱への懸念から、来
年2回の想定を上回る利上げを求める声が強まる可能性がある。
次期政権をめぐっては、大幅減税やインフラ投資による景気拡大が、利上げを後押しするとの見方がある。ただ、保
護主義的な政策が先行すれば経済が打撃を受け、金利正常化が困難になるとの懸念も根強い。FRBは次期政権の政策
の行方を見極めながら、かじ取りを進める構えだ。
また、良好な米雇用統計を受けて、2日の米短期金利先物相場では、米FRBが今月利上げに踏み切るとの見方が圧
倒的となっている。CMEグループのフェドウオッチによると、13-14日FOMCで利上げが行われる確率は9
5%を示した。
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○NY金は反発=米雇用統計でマイナス圏に沈む場面も
週末12月2日のニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物相場は、外国為替市場でドル高・ユーロ安が一服
したことに伴う割安感から買われ4営業日ぶりに反発。期近12月限の清算値は前日比8.20ドル高の1175.1
0ドル。
朝方発表された11月の米雇用統計によると、非農業部門就業者数は前月比17万8000人増加と、前月の14万
2000人増(改定値)から伸びが加速し、市場予想の17万5000人増も上回った。失業率も4.6%と9年3カ
月ぶりの低水準となるなど、良好な内容となったのを受けて、発表直後はマイナス圏に沈んだ。ただ、価格が依然約1
0カ月ぶりの安値水準付近で推移しているため、この日は安値拾いの買いが入ったほか、外国為替市場でドル高・ユー
ロ安が一服し、ドル建てで取引される金に割安感が生じたことも相場を押し上げる要因となった。
アナリストによると、今月の利上げが既に織り込まれているため、米雇用統計は材料視されなかった。キャピタル・
エコノミクスの商品エコノミスト、シモナ・ガンバリニ氏は「トランプ次期米政権で何が起こり、何の政策を打ち出し、
そうした政策によるインフレへの影響を見極めようと、大半の投資家は2017年に目を向けている」と指摘した。
また、マレックス・スペクトロンの貴金属責任者デービッド・ゴベット氏は「2週間後に利上げが行われるのはほぼ
確実で、ドル高は継続し金は圧迫され続けるだろう。ただ、その前に若干の持ち高調整の買いが入る可能性はある」と
述べた。
○東京金は小幅続落=為替の円高で
東京商品取引所の金先物相場は12月5日付の夜間取引で、11月の米雇用統計の良好な内容を受けて、NY金が売
られたことが嫌気され、中心限月の2017年10月限は一時、2日終値17円安の4261円に下落。その後はNY
金の反発で同5円高の4283円まで上昇したか、為替の円高・ドル安を受けた売りに小幅安となった。
中心限月の2017年10月限は、日本時間12月3日午前5時30分現在、2日終値比5円安の4273円。
○円相場=米雇用統計発表直後は、値動きが荒くなる場面も
週末12月2日のニューヨーク外国為替市場の円相場は、米雇用統計が利上げペースを速めるほど強い内容ではなか
ったことからドル売り・円買いが優勢となり、1ドル=113円台半ばに上昇した。
米労働省が朝方発表した11月の雇用統計によると、非農業部門就業者数の増加幅が前月と市場予想を上回り、失業
率は9年3カ月ぶりの低水準に改善。ただ、平均時給は前月比0.1%減と約1年ぶりにマイナスに転じた。円相場は
雇用統計発表直後に114円台前半まで下落したが、その後はドルを売って円を買う動きが優勢となり、113円台前
半まで上昇した。
エコノミストの間では、今回の雇用統計の内容は米連邦準備制度理事会(FRB)による今月中旬の利上げを妨げな
い内容との見方が大勢。ただ、トランプ次期米政権による財政刺激策などでFRBが利上げペースを速めざるを得ない
のではないかとの観測を背景に最近ドル買いが急速に進行していた中、雇用統計が利上げペースを速めるほど強い内容
でなかったことから、逆にドルを売りに出す動きが広がったもようだ。
○NYダウは反落=利益確定売りが優勢
週末12月2日のニューヨーク株式市場は、イタリアの憲法改正の是非を問う国民投票を控え、利益確定売りが優勢
となり反落。優良株で構成するダウ工業株30種平均は前日終値比21.51ドル安の1万9170.42ドルで終了
した。一方、ハイテク株中心のナスダック総合指数は同4.54ポイント高の5255.65で終わった。
ダウは前日、長期金利上昇を背景とした利ざや拡大期待から金融株がけん引し、4営業日ぶりに史上最高値を更新。
2日は週末ともあって、その金融株を中心に利益確定売りが出て、相場を下押した。
イタリアの国民投票を4日に控えていることも、投資家心理を慎重にさせた。上院の権限を縮小する憲法改正が否決
されれば、レンツィ首相は退陣する意向で、政情不安や金融市場の混乱を招きかねないとの懸念が出ている。
一方、2日朝に発表された11月の米雇用統計は、非農業部門就業者数が市場予想を上回る増加となったが、市場は
すでに12月13-14両日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げを織り込んでおり、相場への影響は限
定的だった。
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