雇用の堅調な回復を示す

FUTURES
24
REPORT
DAIICHI COMMODITIES CO.,LTD.
2016/04/02
3月の米雇用統計=海外景気減速の中、雇用の堅調な回復を示す
米労働省が4月1日発表した3月の雇用統計によると、景気動向を反映する非農業部門就業者数は、季節調整済みで
前月比21万5000人増加と、市場予想の20万5000人増加を上回った。増加幅は前月(24万5000人増加
=改定)から鈍化したものの、2カ月連続で20万人台を維持し、海外の景気減速の中でも雇用が堅調に回復している
ことが示された。失業率は5.0%と、市場予想と前月から0.1ポイント悪化した。
民間部門の就業者数は19万5000人増加(前月23万6000人増加=改定)
。このうち物品生産部門は400
0人減少(同1万5000人減少)と2カ月連続のマイナス。内訳は鉱業・林業が1万2000人減少(同1万700
0人減少=改定)とマイナスが続き、建設業は3万7000人増加(同2万人増加=改定)
、製造業は2万9000人
減少(同1万8000人減少=改定)
。サービスは19万9000人増加(同25万1000人増加=改定)と減少し
た。政府部門は2万人増加(同9000人増加=改定)と大きく伸びた。
平均時給は25.43ドルと前月比0.3%増加と、市場予想の0.2%増加を上回った。前年同月比では2.3%
増加。週平均労働時間は34.4時間と前月から横ばいだった。
米連邦準備制度理事会(FRB)は3月の連邦公開市場委員会(FOMC)で年内の追加利上げの見通しを従来の4
回から2回に引き下げた。4月26-27日のFOMCでは雇用情勢のほか、物価動向、海外の経済情勢を見極め、利
上げの是非を慎重に協議するとみられる。
また、働く意欲のある人の多さを示す労働参加率は前月比0.1%上昇の63.0%と、2014年3月(63.2%)
以来の高水準を記録。市場関係者からは「労働人口の増加で賃金の伸びが抑制される可能性があり、米FRBは利上げ
に対し慎重姿勢を維持する」との見方が聞かれた。
●6月の米利上げ見通し維持=雇用統計発表後のディーラー調査
ロイター通信が4月1日まとめたプライマリーディーラー16人を対象とした調査によると、米国では6月に利上げ
が行われ、年内に計2回の利上げがあるとの見方が有力だ。これは1カ月前の前回調査とほぼ同じ。この日発表された
雇用統計は、賃金上昇を含め力強い雇用改善を示す内容だったが、米利上げをめぐるディーラーの見方に変化はない。
ドイツ銀行のアラン・ラスキン氏は「雇用統計はイエレン米FRB議長のハト派寄りの姿勢を変えるほどの内容では
ない」と指摘した。ディーラー10人は、6月末までに追加利上げが行われると予想。
第一商品株式会社 〒150-0045 東京都渋谷区神泉町 9 番 1 号 神泉プレイスビル フューチャーズ・24
このレポートは、投資の参考となる情報提供を目的としたもので投資勧誘を意図するものではありません。投資の最終的な決定はご
自身の判断と責任でなされますようお願い致します。レポートに記載の内容等は作成時点のものであり、当社はその正確性、完全性
を保証するものではなく、今後予告なく修正、変更されることがあります。商品先物取引業者 日本商品先物取引協会会員
当社お客様相談窓口 0120-770-266 日本商品先物取引協会相談センター03-3664-6243。
2|
○NY金は反落=米雇用の持続的な改善を受け
週末4月1日のニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物相場は、為替のドル高・ユーロ安を受けた割高感や
利食い売りに押されて反落。中心限月期近4月限の清算値は前日比12.00ドル安の1222.20ドル。
3月の米雇用統計では、景気動向を反映する非農業部門就業者数が前月比21万5000人増加と市場予想の20万
5000人増加を上回り、米雇用情勢の持続的な改善を示した。このため、外国為替市場ではドル高・ユーロ安となり、
ドル建てで取引される金に割高感が生じたため売りが先行し、午前中に一時、前日比25ドル安の1209.20ドル
まで急落した。
その後、外国為替市場では、
「3月の米雇用統計で非農業部門就業者数の増加幅が市場予想を上回ったが、4月の米
連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げを後押しする内容ではない」との見方からドルが反落したのに加え、テク
ニカル要因により買い戻され、1220ドル台前半まで値を戻した。
商品投資会社ロジック・アドバイザーズ(ニュージャージー州)の共同創業者、ビル・オニール氏は「米雇用統計を
受けて、6月にも利上げが行われると考える人がさらに増えた可能性はあるが、私は同意しない。年内の利上げはたっ
た1度だろう」と分析。
「現段階では相場は感情的で、FRB理事らは異なるシグナルを出している。人々はFRBの
中で意見が割れていることを懸念している」と述べた。
▽東京金は急落=NY相場安と円高で
東京商品取引所の金先物相場は4月4日付けの夜間取引で、NY金が3月の米雇用統計を受けて下落したことや、円
相場が1ドル=111円台後半まで上昇したことから、中心限月の2017年2月先限は一時、1日終値比74円安の
4346円まで急落し、2月24日(4343円)以来、約1カ月ぶりの安値を付けた。
中心限月の2017年2月先限は、日本時間4月2日午前4時現在、1日終値比60円安の4360円。
○円相場=111円台後半に上昇
週末4月1日のニューヨーク外国為替市場の円相場は、堅調な米雇用統計を受けて売られる場面もあったが、早期利
上げ観測が再燃するまではなく、1ドル=111円台後半に上昇した。
同日朝に発表された3月の米雇用統計では、非農業部門就業者数の増加幅が市場予想を上回ったのを受け、円相場は
一時112円台半ばまで売られたが、すぐに反転。その後発表された3月の米ISM製造業景況指数も市場予想を上回
る改善を示すと再び円は下落したが、ドル売り基調は強かった。
米雇用統計に対し、市場では「4月利上げを後押しする内容ではない」との受け止め方が大半。追加利上げに慎重姿
勢を示した今週のイエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演を受け、ドル売りの流れが継続しているという。
○NYダウは反発=堅調な米経済統計で
週末4月1日のニューヨーク株式市場は堅調な米経済指標が好感され、優良株で構成するダウ工業株30種平均は、
前日終値比107.66ドル高の1万7792.75ドルと反発して引けた。ハイテク株中心のナスダック総合指数は
44.69ポイント高の4914.54と続伸して引けた。
朝方発表された3月の米雇用統計は、非農業部門就業者数の増加幅が市場予想を上回った。ただ、製造業の就業者数
が2万9000人減少となったほか、主要産油国による増産凍結期待の後退で原油安が進んだことも嫌気され、この日
のダウは下げて始まった。
しかし、3月の米ISM製造業景況指数が51.8と前月の49.5から大幅に上昇。雇用統計で高まっていた製造
業に対する不安が和らぎ、ダウは午後にかけて上げ幅を広げる展開となった。市場では「米製造業に改善の兆しが見え
始め、景気の先行きへの安心感が広がった」との指摘が聞かれた。
Futures 24