FUTURES 24 REPORT

FUTURES
24
REPORT
DAIICHI COMMODITIES CO.,LTD.
2016/09/01
東京金は為替主導で買われる展開に
~ イエレン議長の最終判断、注目の米雇用統計 ~
8月26日の米ワイオミング州ジャクソンホールで開催された経済シンポジウムで、米連邦準備制度理事会(FRB)
のイエレン米FRB議長が「追加利上げの根拠がこの数カ月で強まっている」と述べたうえ、フィッシャー米FRB副
議長がテレビのインタビューで9月の利上げを否定しなかった。さらに、カプラン・米ダラス連銀総裁や、ジョージ・
米カンザスシティー連銀総裁も早期利上げに前向きな姿勢を示した。こうした米FRB高官のタカ派的な発言で、市場
では早期の米利上げ観測が広がっており、日本時間9月2日午後9時30分に発表される8月の米雇用統計が注目され
ている。
8月の米雇用統計の市場予想は、景気動向を反映する非農業部門就業者数が前月比18万人増加と、増加幅は前月の
25万5000人を下回る見込み。失業率は4.8%と前月の4.9%を下回る見込み。
米雇用統計を占ううえでの判断材料となる、米民間雇用サービス会社オートマティック・データ・プロセッシング(A
DP)が8月31日発表した8月の全米雇用報告は、非農業部門の民間就業者数が前月比17万7000人増加と市場
予想の17万5000人増加を上回り、7月分が同17万9000人増加から19万4000人増加に上方修正された。
非農業部門就業者数の増加幅は過去2カ月、景気の力強さを示すとされる20万人増加を上回っているうえ、ADP
の結果から判断すると、8月の非農業部門就業者数が市場予想を下回る可能性は低いとみている。
8月31日時点のCMEグループが金利先物に基づき算出した9月利上げの確率は27%、12月利上げの確率は5
5%となっており、8月の非農業部門就業者数が予想通りとなれば、9月利上げ確率は上昇することが予想される。た
だ、12月利上げ確率に並ぶか上回るには、3カ月連続で20万人増加を超えることが必要とみている。
8月の米雇用統計が市場予想通りとなれば、9月20-21日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ
観測が継続することとなり、NY金相場は売られ中心限月である期近12月限は1300ドルを割り込むことが予想さ
れる。しかし、相場は既に9月利上げを織り込む動きが出ており、大きな下ブレはないだろう。逆に大きく反応しそう
なのは為替であり、東京金は円安効果が上回り、逆行高となる可能性もある。
外国為替市場では、米FRB高官らのタカ派的な発言が相次いだ一方、総務省が発表した7月の消費者物価指数(除
く生鮮食品)が前年同月比0.5%下落と日銀が量的・質的金融緩和を導入する直前の2013年3月以来3年4カ月
ぶりの大きさとなったうえ、黒田総裁が「必要に迫られれば追加金融緩和を講じる」との考えを改めて表明したことで、
日米金利差拡大観測を背景に円安・ドル高傾向となっている。
以上のことから、東京金は8月の米雇用統計が為替の円安・ドル高要因となり、買われる展開になると予想する。
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