高级日语Ⅰ 第3课 日常の思想 梅原 猛 授業の内容 ●背景知識 ●本文の解説 ●単語の勉強 ●文法・表現の勉強 ●練習 ●本文の内容について考えよう 背景知識 作者について 梅原 猛(うめはら たけし、1925 年3月20日 - )は、日本の哲学 者。京都市立芸術大学名誉教 授、国際日本文化研究セン ター名誉教授。立命館大学文 学部教授、京都市立芸術大学 学長、国際日本文化研究セン ター所長(初代)、社団法人日 本ペンクラブ会長(第13代)な どを歴任した。 背景知識 二宮尊徳(にのみや そんとく、天明7年7月 23日(1787年9月4日) - 安政3年10月20日 (1856年11月17日))は日本の江戸時代後期に「報徳思想」 を唱えて、「報徳仕法」と呼ばれる農村復興政策を指導した 農政家・思想家。 本文の解説 【一】「哲学的考察をせよというのが新聞社が私に 与えた課題である」: 所謂「伝言」の言い方で、AがBに要求・命令したことをCに 伝える、という使い方。このような場合、使役の助動詞を 使ってはいけない。 本文の解説 ★なんとかしてくれと言われても、私にはなにもできない。 (森村誠一-凶通項) ★そういう「武士道」精神の国松広報課長だから、休めと 言ったって休むわけがない。(佐々淳行 - 連合赤軍「あさ ま山荘」事件) ★また、家の中の仕事を手伝えと言っても、いやな顔をし てやりたがらなかった。(小林道雄-翔べ!はぐれ鳥) ★もう少し待ってくれと言っても、スガは一向に聞き入れな かった。(松本清張-絢爛たる流離) 本文の解説 【二】「望ましい」: 一部の動詞の未然形に「~しい」が付くと、形容詞が作られ る。その意味は、「そういうさまである、そう感じられる」。 頼もしい 輝かしい 好ましい 腹立たしい 喜ばしい 痛ましい 羨ましい 騒がしい 本文の解説 【三】「このような調和は問題ではなく」: 問題: (2)取り上げて討論・研究してみる必要がある事柄。解決を 要する事項。 ★大臣の失言を問題にする。(『大辞林』) ④人々の注目を集めている(集めてしかるべき)こと。 ★これが問題の文書だ。(『広辞苑』) 本文の解説 【四】「欠くべからざる」: 「~べからざる」は助動詞「~べし」の未然形「~べから」に 否定の助動詞「~ず」の連体形「~ざる」が付いたもの。意 味は「~べきではない」と同じ。「欠くべからざる」は堅い文 章表現で、口頭表現では「欠くことのできない」「欠いてはい けない」などと言う。 本文の解説 ★子供がいるべきではない場所である。(皆川博子-聖女 の島) ★しかし、メグレたちは入ってくるべきではない場所に入っ てきてしまったような気づまりな感じをうけた。(ジョルジュ・ シムノン・メグレと首なし死体) ★見てはいけないものを見てしまったように感じた。(阿刀 田高-響灘 そして十二の短篇) ★花を取っちゃいけないことを自分ではちゃんと知ってるん ですよ。(H・B・ストウ・アンクル・トムズ・ケビン) 本文の解説 【五】「さらば救われん」: 古文の表現。 (古)さ+あり→さり=(今)そうである (古)ん=(今)(よ)う 「そうであれば(そうだったら)救われよう。」 「そうであれば(そうだったら) 救われるだろう。」の意。 本文の解説 【六】「それが、近代人の信念というより、信仰でも あった。 」: 「~というより、~といったほうがいい(正確だ、ふさわしい、 正しい、…)」の省略で、中国語の“与其说…不如说…”の 意味。中国語と違って、日本語では、「~といったほうがい い」の部分が省略されることが多い。 本文の解説 ★小さな病室だ。病室というよりは独房みたいだった。(石 川達三-充たされた生活) ★似ているというより、同じなのだ。(半村良-回転扉) ★高志はうなずいた。それは“こくん”という表現がぴったり で、彼の動作は若々しいというより幼く見える時がある。(林 真理子-最終便に間に合えば) ★操縦は嘘のように軽く楽であった。操縦するというより、 飛行機が勝手に飛んで行ってくれる感じであった。(城山三 郎-忘れ得ぬ翼) 本文の解説 【七】「資本主義国と社会主義国とを問わず」: 「Aに関係なく」「Aを問題にせず」という意味を表す。「男 女」「昼夜」「有無」などの対になる言葉を受けることが多い。 「~にかかわらず」の類義表現。 本文の解説 ★駅の向かいにあるデパートはパートを募集している。そ して経験者なら、年齢や男女を問わず採用すると言って いる。 ★これは、洋の東西を問わず、子供が成長するときには常 に必ず起きることである。 ★太極拳は老若男女を問わず楽しめるスポーツだ。特に あなたのような病気が治ったばかりの人にいい。 ★しかし、一旦共有経験を持てば、人種、民族の如何を問 わず、外国人を差別せず待遇するのが普通である。 本文の解説 「男女」「昼夜」「有無」などの対になる言葉を受ける使い方 のほかに、 「~が(の)何(誰、どこ)であるかを問わず」 「述語Aか述語Bかを問わず」 「述語A+対義述語Bを問わず」 などの言い方もある。 本文の解説 ★若い芸術家には、その芸術の何であるかを問わず、戦う べき恐ろしい敵がいる。(永六輔・タレントその世界) ★相手が誰であるかを問わず、気持ちのよいあいさつを心 がけます。 ★以下の罪を犯すものは何人たるを問わず、また犯罪の既 遂・未遂を問わず死刑に処する 本文の解説 ★そうは言っても、アメリカでは「私は大学生です」と言うと きは、総合大学か単科大学かを問わず、I am a college student. と言い、university studentとはあまり言いません。 (講談社インターナショナル編・これを英語で言えます か?) ★直接損害か間接損害かを問わず、弊社は一切責任を負 いません。 ★自己の所管であるか否かを問わず、 業務上知り得た機 密情報を漏洩-公表してはいけません。 本文の解説 ★目上、目下を問わず、相手が受話器をおくのを確かめて から、受話器をおいた。(三浦綾子・三浦綾子小説選集1 氷点) ★船酔いに苦しんでいるいないを問わず、隊員たちはバケ ツその他の容器を使って、水をかき出した。(三好徹・チェ・ ゲバラ伝) ★食事の種類も、好むと好まざるを問わず、完全に西洋人 型になっている。(岩城宏之・棒ふりの控室) ★それよりも自分の好きなものを、時代のいかんを問わず、 また日本と外国とを問わず、自由に読んでいたい。(和辻 哲郎・埋もれた日本) 本文の解説 【八】「アメリカにおいてもっとも多く出ていることに 注意したい」: ここの「たい」は 「ある」「である」「なさる」「くださる」や尊敬の助動詞「れる」 「られる」に付いて、他に対する希望・要求を表す。 →『大辞泉』 「れ・られ」「なされ」などの敬語に付けて)相手の行為に対 する希望をあらわす。文章語の用法。…してほしい、また、 …であってほしい。 →『国語大辞典』 本文の解説 ★別表を参照されたい。 ★正直者がばかを見ない世の中でありたい。 ★この件について再検討されたい。 ★さらに、同じ日本国内にもアイヌ語(アイヌ文化)のような 独自の民族文化があることを忘れないでほしい。「単一 言語」や「単一民族」といった言葉も、軽々しくは口にし たくない。(現代日本語6・3) ★なお、観光道路が、大型動物、例えばカモシカの行動圏 を寸断し、彼らの生活をしばしば脅かす結果となってい ることにも注意したい。(現代日本語5・9) 単語の勉強 【一】てってい【徹底】 徹底する (一)考え方・行動・態度などが中途半端でないこと。 徹底した合理主義者。 けちもあそこまで徹底すればたいしたものだ。 (二)△余す所無く(すみずみにまで)行き渡ること。 命令が徹底しない。 単語の勉強 【二】みみち・い (形) しみったれている。けち臭い。 それぐらいの金でみみちいことを言うな。 そんなみみちいまねはよせ。 単語の勉強 【三】ちっとも: 1((すこしも)) ちっとも知らない/一点儿也不知道. ちっとも顔をみせない/老不来 ちっともかまわない/毫无关系; 一点也不碍事 ちっとも気がつかなかった/完全没有理会; 一点儿也没注 意到. 2((すこしの間も)) 昨夜はちっとも眠れなかった/昨天夜里 一会儿也没有睡着. 単語の勉強 【四】好都合 名・形動 ⇔不都合 条件・要求などにかなっていて、都合がよいこと。 来てくれるなら好都合だ」 それならなおさら好都合です。 文法・表現の勉強 【一】~以外の何物でもない 「~以外の何物でもない」、はと「~にほか(他)ならない」い う他の選択を否定する強い断定表現です。 1.言語は意思伝達の手段以外の何物でもない。 2.今日のわが国の繁栄は、国民のたゆまぬ努力の結果 以外の何物でもない。 文法・表現の勉強 【二】~を余儀なくされる/~を余儀なくさせる 「余儀ない」は「他に方法がない・やむを得ない」を意味する 語で、例文1のように単独でも使われます。そこから生まれ たのがこれらの文語表現で、「~を余儀なくされる」と受身 形を使ったときは、周囲の事情に強制されて「~するしかな くなる/やむを得ず~する」という不本意の選択を表します。 また、「~に~を余儀なくさせる」と使役形を使ったときは、 「相手に~を強制する」という意味を表します。 文法・表現の勉強 【二】~を余儀なくされる/~を余儀なくさせる 1.余儀ない事情で退社することになりました。みなさん、 これまで本当に色々お世話になりました。 2.経営責任を追及され、社長は辞任を余儀なくされた。 3.相次ぐ事故の発生で、政府も原発政策の再検討を余儀 なくされた。 4.震災で避難所暮らしを余儀なくされた人々の胸に、将来 の生活不安が重くのしかかった。 文法・表現の勉強 【三】~ゆえ 「~故に」は原因・理由を表す文語表現で、一般真理であ ることを強調した表現です。接続助詞としても、使われます。 1.故あって、しばらく閉店いたします。 2.子供のしたこと故、大目に見てやってください。 3.今はちょっと取り込み中故、御用件につきましては、日 を改めてということにしていただけませんか。 練習 次の慣用句の( 1、( 2、( 3、( 4、( )に入る語を入れなさい。 )を立てる。(その人の名誉を保たせる) )を抱える。(非常に困る) )を盗む。(見つからないようにこっそりする) )を貸す。(相談を聞く) 本文の内容について考えよう ●かつての価値観が崩れつつあるからといって、 新しい価値観はそれに取って替わることができ るか。なぜか。 ●筆者の見方に賛成するのか。しないのか。その 理由を述べなさい。
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