高级日语Ⅰ 紅山桜 辰濃 和男 第7课 授業の内容 ●背景知識 ●本文の解説 ●単語の勉強 ●文法・表現の勉強 ●練習 ●本文の内容について考えよう 背景知識 作者について 辰濃 和男(たつの かずお、1930年1月1日 - )は、元朝日新 聞記者のジャーナリスト、エッセイスト。元日本エッセイスト・ クラブ理事長。東京生まれ。1953年東京商科大学(一橋大 学)卒業。大学卒業後朝日新聞社入社。ニューヨーク特派 員、社会部次長、編集委員、論説委員、編集局顧問を歴任。 この間1975年から1988年まで「天声人語」を担当。1993年 退社。1994年朝日カルチャーセンター社長。また日本エッセ イスト・クラブ理事長も務めた。 背景知識 桜は国花であるとか,「大和心 (やまとごころ)」を象徴するとか, 日本人にとって桜は特別な花で あると,今日においても大多数 の日本人が自覚しています。 本文の解説 【一】「刻み始めたところ」: 動作を表わす動詞のタ形に付いて、後に続く事柄の成立 や、発見のきっかけを表わす。前後に来る事柄には直接的 な因果関係はなく、「~したら、たまたま/偶然そうであっ た」という関係である。後に続く事柄は前の動作をきっかけ に話し手が発見した事態で、すでに成立している事実の表 現が用いられる。(4)のように「~たところが」の形で「が」 を伴うこともある。その場合は、後件が期待に反する内容 であることが多い。 本文の解説 ★先生にお願いしたところ、早速承諾のお返事をいただい た。 ★駅の遺失物係に問い合わせたところ、届いているとのこ とだ。 ★ホテルに電話したところ、そのような名前の人は泊まって いないそうだ。 ★教室に行ってみたところが、学生は一人も来ていなかっ た。 本文の解説 【二】 「こんげな景色見てんと、写真というちんけえ 四角の枠に収めんのがばからしくなっちゃう。」: 「~てんと」:方言。意味は、「~ていると」の他、地域によっ ては、 一、「~ていないで」 二、「~ていないと」 の二つあります。 本文の解説 「~ていないで」の場合: ★「こら、アノネ。ヒクヒク泣いてんと、ちゃんと話してみい。 」(阿久悠 - 瀬戸内少年野球団) ★そんなとこにつっ立ってんと、真由美さんにお茶。(黒川 博行 - キャッツアイころがった) ★ひとりごと言うてんと、ちゃんと分るように説明せんかい 。(黒川博行 - 二度のお別れ) ★竜ちゃん、そんなところへ立ってんとこっちへ入って来な はれ。(横溝正史-蔵の中・鬼火) ★おい曾田、むつかしい顔してんと、一寸は、相談にのっ たれよ。(野間宏-真空地帯) 本文の解説 「~ていないと」の場合: ★熱はありまへんけどな……ま、あの病気は寝てんとあき まへん。栄養とって寝てんとあかん病気で。(水上勉 - 雁の 寺) ★曹長殿……、一寸、この曾田の野郎を監視してんと、あ きまへんで!(野間宏-真空地帯) 本文の解説 【三】「もうすぐ五月だというのに、夜ふけて雪にな った。」: 「~というのに」: 试比较: ★もう四月なのに、まだ綿入れを着ている。 ★もう四月だというのに、まだ綿入れを着ている。 本文の解説 「というのに」是词组「という」和助词「のに」的重叠,具有 连接助词性质。「のに」只是客观地叙述反常现象,而「と いうのに」具有强烈的感情色彩,感到意外、不满、惊呆 等的语气很强烈。 ★空気がよくないというのに、窓を開けない。 ★ボートが沈むというのに、まだ乗ろうとする。 ★お茶を入れるというのに、まだお湯を沸かさない。 本文の解説 【四】「花びらの一枚一枚がにおいたち」: 『大辞林』: におい-たつ ニホヒ― [4] 【匂い立つ】 (動タ五[四]) (1)においが立ちこめる。 (2)(美しさなどで)あたりが輝くように感じられる。「―・つば かりの美しさ」 本文の解説 例: 匂うばかりの美しさ:闭月羞花之貌 朝日に匂う山桜:旭日映照得非常鲜艳的野樱花 本文の解説 ★お角の顔は酒のために上気して、眼もとが匂い立つよう にもも色に染まり、唇は蠱惑《こわく》的に光っている。(藤 沢周平・暁のひかり) ★彼女の肌はさくら色に匂い立って、この世のものとは思 われぬ妖艶さを発散させていた。(山田風太郎・忍法剣士 伝) ★美しい顔がいっそう美しくにおいたって、澄《す》んだ目が きらきらと光を帯びていた。(海音寺潮五郎・天と地と) ★ギーゼキングの演奏には、匂い立つような高貴な輝きが あった。(中村紘子・ピアニストという蛮族がいる) 本文の解説 【五】雪はみぞれになり、みぞれがまた雪になった。雪に打 たれながらも、花はほとんど散らない。これしきのことで、 散ってたまるかという調子でしがみついている。雪がやん だ。雲が割れて、日がさす。切り裂くような透明な空気の中 で、橅の新芽が光る。キブシの黄の花が輝く。 谷川のそばに一本のはぐれ桜があった。やあと呼びかけ れば、やあと答えれくれそうな、ほどほどの大きさの紅山桜 だった。群れからきっぱりと離れているところがいい。幹が ぬれぬれと黒い。 光をあびて、桜の花の一つ一つ、花びらの一枚一枚がに おいたち、なんというか、すっきりとした情念を放っている。 本文の解説 ハとガの使い分けに注意しましょう。 ★(1)妹は怪我をしたので、仕事を休みます。 ★(2)妹が怪我をしたので、仕事を休みます。 ★ (1)お姉ちゃんは帰ってきたらすぐピアノの練習をする。 ★ (2)お姉ちゃんが帰ってきたらすぐピアノの練習をする。 本文の解説 ★母が病気で死ぬ二、三日まえ台所で宙返(ちゅうがえ)り をしてへっついの角で肋骨(あばらぼね)をうって大いに痛 かった。(夏目漱石・坊ちゃん) 母亲病逝前两三天,我在厨房翻筋斗时撞到灶角,痛得 半死。 本文の解説 ★昔あるところにおじいさんとおばあさん[ が ]いました。 おじいさん[ は ]山へ柴刈りに、おばあさん[ は ]川へ洗 濯に行きました。 おばあさん[ が ]洗濯をしていると、川上から大きな桃 [ が ]流れてきました。 本文の解説 ★その人は15年目の医師で、給料はいいから、とにかくこ こで働きたいという人です。 ★顔はいいから優しい人がいい。 ★家柄はいいから、妹を幸せにしてくれる男はいないかと、 そう願った。 本文の解説ー俳句の鑑賞 菜の花や 月は東に 日は西に ー与謝蕪村 本文の解説 【六】「そういいきかせています」: 言いきかせる: 『類義語使い分け辞典』: 「言い聞かせる」は「言い聞かす」とも使うが、子供など目下 の者に「言って聞かせる・教え聞かせる・反省させる・励ま す・あきらめさせる・言ったことを守らせる」ために、よく分か るように説明する・教えること。「諭す」は「教え諭す」とも言 い、ことの是非を説いて「言い聞かせる」の文章語。 本文の解説 大辞林: (1)(子供などに)十分に説明して納得させる。教えさとす。「道 路で遊ばないように―・せる」 広辞苑: わけを説明して教えさとす。言って聞かせる。説き聞かせる。 さとす。「私からよく―・せます」「我慢しろと自分に―・せる」 大辞泉: (1)よくわかるように教え諭(さと)す。説教する。「事の理非を こんこんと―・せる」 本文の解説 小学館中日日中辞典: [聞かせる]说给……听;[諭す]劝说,忠告,开导,教诲。 ▲ 道理をもって~/讲道理给他听。 ▲ あきらめるように私から言い聞かせよう/由我来劝他死 了心吧。 ▲ かんで含めるように彼女に~/仔细耐心地开导她。 ▲ しっかりしなければいけないと自分に~/我对自己说: “一定要坚强。“ 本文の解説 ★「心配ないさ。すぐ終る」 自分に言い聞かせるように、口に出して言ってみた。(赤 川次郎・いつか誰かが殺される) ★落ちつくんだ。自分に、いいきかせる。(喜多嶋隆・夏物 語 In The Summer Wind) ★子供にはよく言い聞かせますから、どうか卒業させてくだ さい。お願いします。」(みどり平山・バトンリレーの人生: 清 く正しく生きる) ★キラにはわたくしがよく言い聞かせますから、許してやっ てください。 本文の解説 【七】「私は勝手に解釈している」: 「勝手」の意味はもともと、「様子。事情。(例:勝手が分から ずまごつく。) 」だから、「勝手に」もただ、誰かの都合で何 かをする、という意味だけだ。誰にも迷惑をかけない、ただ そうするほうが誰かにとって一番都合がいい、というような 場合、中国語の“任性、任意、随意”で翻訳しない。 本文の解説 ★この駐車場に勝手に停められちゃあ困るんだ!(赤川次 郎・怪奇博物館) ★今度は、向うが、いいたいだけいって、勝手に電話を切 ってしまった。(西村京太郎-一千万人誘拐計画) 本文の解説 ★あ、鍵置いてくから、気分よくなったら勝手に帰っていい ぜ。(岡野麻里安-桜の降魔陣 銀の共鳴) ★「そろそろ、おやすみにならないと……」 「睡たくなりゃ、自分で勝手にするよ!」(阿部公房・砂の 女) 本文の解説 ★「あなたは奥さまと別れなくてもいいのよ。わたしは勝手 にそうするんだから。彼にはあなたのことは何も云ってない のよ。ただ、別れてほしいと云っただけなの」(松本清張・虚 線の下絵) ★沼田はベッドから勢い良く飛び出して来た。 「そんなもん、あるわけないじゃない」 「フロントに行って、買って来い」 「勝手に行ってらっしゃいな」 「買って来いよ。面白いものを見せてやるぜ」(赤川次郎・ 自殺行き往復切符) 単語の勉強 【一】なまなましい【生生しい】(形) きわめて新しい感じがするさま。また、その場の情 景を目の前に見るように現実的であるさま。 「─事故現場」 「被災者の─体験談」 単語の勉強 【二】ぬくぬく (副ト) ★あたたかくて心地よいさま。「─と布団にくるまる」 ★苦労や不足がなくのんびりと楽をしているさま。「親がか りで─(と)暮らす」 ★周囲のことは気にかけず、ずうずうしく振る舞うさま。「大 臣のポストに─と居座る」 単語の勉強 【三】まみ・れる [3] 【塗れる】 (1)汚いものが一面につく。たくさんついてよごれる。 「汗に―・れる」 「血に―・れる」 (2)落ちぶれる。 [慣用] 一敗地に― 単語の勉強 【四】はや・る【▽逸る】 (自五) その時期ではないのに早く実現させようと心があせる。ま た、心が奮い立つ。勇み立つ。「早く帰ろうと気が─」 「血気に─若者たち」 ◇「早る」の意で、「流行はやる」と同語源 文法・表現の勉強 【一】調子に乗る 仕事などが順調に進む。おだてられたりして、いい気になっ て物事を行う。 その日、彼女は調子にのらなかったし、私も拍子抜け気 味であった。 今度は調子に乗りすぎて失敗を招いてしまった。 文法・表現の勉強 【二】腰を据える どっしり構える。おちついて事をする。 旅から旅に明け暮れてきた私だが、この町は居心地が いいので、当分ここに腰を据えるとこにした。 今度の交渉相手は甘くないとみた。しっかり腰を据えて かからないと、えらい目にあいそうだ。 文法・表現の勉強 【三】肩を落とす 失望・落胆を抑えきれず、肩もすぼまり、前かがみの姿勢 になる。 3時間にわたって交渉したが、何の結果もなかった。二 人は肩を落として日盛りの中を帰っていった。 文法・表現の勉強 【三】体を張る 一身を投げ出して行動する。 一般国民の利益を守るために、彼は体を張ってまでやっ ているのに、何でこんなひどい言い方で彼を中傷するの か。 あまりいも無謀なその計画を白紙に戻さない限り、私は 体を張ってでも計画の実行を阻止すうつもりだ。 練習 言葉の決まり。 「無機質」のように「無」がついて熟語となるものを、次から 選びなさい。 自由 常識 関係 公式 案内 愛想 気味 意識 本文の内容について考えよう ●筆者はどこに桜の生命力を見たのか。 ●桜の両面性はどういうことなのか。
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