為替政策もにらみレアル堅調 (PDF/455KB)

グローバル・マクロ・
トピックス
2016/
6/9
投資情報部
シニアエコノミスト
折原 豊水
中銀総裁交代、為替政策もにらみレアル堅調
 ブラジル中銀は市場予想通り政策金利を14.25%で据え置き。インフレ圧力が続いており、利下げ
を行う状況にないとした。
 次回7月会合はゴールドファイン新総裁のもとで行われる。インフレ抑制に努め、変動為替相場
を尊重するとしている。メイレレス財務相とともに市場寄りのスタンスがうかがえる。
 レアルは米利上げが夏場以降に先送りされるとの観測により堅調。新総裁の議会証言から為
替介入に消極的と市場は受け取り、金融当局の為替に対するスタンスを試す展開。
中銀は 金利据え 置
き、タカ派的な姿勢を
維持
ブラジル中央銀行(以下、中銀)は6/8、金融政策委員会(COPOM)において政
策金利を14.25%で据え置くことを全会一致で決定した。7会合連続の金利据え置き
となる。トンビニ中銀総裁のもとでの最後の決定会合となった。
声明文では、消費者物価は前年比でみて高いことや市場のインフレ予想がイン
フレターゲットの目標からかい離していることが、金融緩和(利下げ)を行うことを許
容しないという前回の文言を踏襲した。中銀総裁の交代を控えて金融政策は大きな
変更がないという事前の市場予想通りの結果となっている。タカ派的な姿勢が維持
され当面、様子見姿勢が続くことを示唆する内容と言えよう。みずほ証券投資情報
部では金融政策はしばらく様子見姿勢が続くとみている。利下げを行うかどうかを判
断するのは早くとも2017年以降の物価安定が見えてくる秋口以降とみている。
ゴールドファイン新総
裁はインフレ抑制に
努め、変動為替相場
を尊重するとした
ブラジルの連邦上院は6/7、イラン・ゴールドファイン氏の中銀総裁就任を承認し
た。次回7/19~7/20の会合は新総裁のもとで行われる。ゴールドファイン氏は上院
の経済問題委員会において、経済を回復させるためには財政規律の回復やインフ
レ抑制、変動為替相場制の維持が必要とした。歳出の伸びに上限を設けるといった
政府の取り組みが議会の支持を得て行われ、公的債務残高が抑制されることが重
要であると述べるとともに、中銀としては、インフレ抑制に努めることが、カントリーリス
クの抑制やマインドの回復を通じて景気回復につながるだろうとしている。また、変
動為替相場制はリーマンショック等、過去の外的ショックに対してバッファーの役割
を果たしており、引き続き尊重していくとした。
この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する
最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全
性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随
時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。
1
2016/6/9
グローバル・マクロ・トピックス
ブラジル政策金利とインフレ率
(%)
(月次:2001/1~2016/6)
30
26.5
政策金利
消費者物価(IPCA)
実質金利
25
19.75
20
16.0
15
11.25
8.75
10
5
13.75
12.5
7.25
14.25
9.3
4.9
レンジ
0
01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 (年)
(注)レンジはインフレターゲット(06年以降は+2.5%~+6.5%)、17年は+3.0%~+6.0%
実質金利=政策金利-インフレ率(IPCA)、実質金利、消費者物価は5月まで
出所:ブラジル中銀、IBGEの資料よりみずほ証券作成
レアルは米利上げの
後ず れ 観測や 市場
寄りの新総裁の誕生
で堅調
ブラジルレアルは6/1に1ドル=3.63レアルまでレアル安となった。一方、6/3に発
表された米5月雇用統計が事前の市場予想を下回る弱い結果となり、米利上げが
夏場以降に後ずれするとの観測により、足元では他の新興国通貨や原油等の商品
市況とともに上昇した。さらに、6/7にゴールドファイン新中銀総裁が変動為替相場
制を尊重し、ルセフ政権下で行われた頻繁な為替介入に否定的な姿勢を示したこ
とが、レアル高につながったようだ。中銀は3月下旬から5月下旬にかけてレアル売り
ドル買いに相当するリバーススワップの入札を行ってきたが、米利上げ観測でレア
ルの上値が重くなった5月下旬以降、入札を見送っていた。レアルは新総裁あるい
はメイレレス新財務相の為替に対するスタンスを試す形で2015年7月以来の3.3レア
ル台まで上昇している。
レアルは財政審議の
行方や 金融当局の
為替政策にらみの展
開に
今後は、短期的にこうした金融当局のスタンスを試す展開も想定される。スワップ
残高については620億ドル程度あり、将来的にレアル安となった場合には為替差損
のリスクがある。今後3ヵ月~11ヵ月程度の満期が来るごとになにもしなければ残高
は減っていくが、トンビニ前総裁は満期前に残高を圧縮しレアルの変動を抑制する
ことに利用した。ちなみに、2016年2月下旬の4.0レアル前後から3月中旬に3.6レア
ル前後に上昇した際は、中銀は入札を実施した。今回に単純に当てはめれば、6月
初めの3.6レアル台を起点とすると、3.2レアルに近づくようなレアル高の場面ではそ
の可能性が意識されるのではないか。
このほか、注目されるのは、6月の財政等に関する憲法改正審議の行方であろ
う。歳出の伸びに上限を設ける憲法改正案は野心的なものであるが、与党の一部
で例外分野を設ける等、修正を求める動きがある。最終的に市場の期待に沿うもの
になるか注目される。また、閣僚の辞任が相次いでおり、カリェイロス上院議長につ
この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する
最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全
性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随
時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。
2
2016/6/9
グローバル・マクロ・トピックス
いても汚職疑惑がくすぶっている。同議長は与党の派閥のリーダーのひとりで財政
審議やルセフ大統領の弾劾裁判において票の取りまとめを行ううえで重要人物であ
り、どのタイミングで最高裁や検察が動くのか注目される。直近発表されたテメル暫
定大統領個人に対する世論調査では、支持が約3割程度と2月に行われたルセフ
大統領個人に対する支持率の約2割を上回った。テメル暫定政権に対する支持率
は1割にとどまっており、今後の政策や汚職捜査に対する取り組みを国民が注視し
ていることがうかがえる。10月には政権にとって初めての信任投票になる大型地方
選挙(全国市長、市議選)を控えており、選挙キャンペーンがスタートする8月下旬ま
でに財政改革法案の成立やルセフ大統領の弾劾等を進める必要があるだろう。こう
した改革が進展すればレアルは16年末にかけて上値余地があるとみている。外部
要因としては、米追加利上げ時期を巡る投資家のリスク姿勢や原油価格の動向に
も留意したい。
米ドル・ブラジルレアルと原油価格
(日次:2014/1/2~2016/6/8)
(1ドル=レアル)
ドル・レアル(左逆目盛)
2.00
2.50
14年半ば~
原油価格下落
3.00
3.50
WTI原油価格(右目盛)
110
15年夏・米利上げ観測 100
15/8・人民元ショック
90
15/9・格付けジャンクに
80
大統領弾劾等
70
で政治混乱
60
50
14年秋~
ペトロブラス汚職疑惑
14年10月
ルセフ大統領再選
4.00
40
30
政権交代期待
原油反発
4.50
14
(1バレル=ドル)
15
20
10
16
出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成
(年)
ブラジル・レアル円の推移
(日次:2012/1/2~2016/6/8)
(1レアル=円)
55
レアル円
200日移動平均
+10%かい離
▲10%かい離
50
↑レアル高
45
40
35
30
25
12
13
14
15
16
(年)
出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成
この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する
最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全
性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随
時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。
3
2016/6/9
金融商品取引法に係る重要事項
グローバル・マクロ・トピックス
■国内株式のリスク
リスク要因として株価変動リスクと発行者の信用リスクがあります。株価の下落や発行者の信用状況の悪化
等により、投資元本を割り込むことがあり、損失を被ることがあります。
■国内株式の手数料等諸費用について
○国内株式の売買取引には、約定代金に対して最大 1.134%(税込み)、最低 2,700 円(税込み)の委託手数料を
ご負担いただきます。ただし、売却時に限り、約定代金が 2,700 円未満の場合には、約定代金に 97.2%(税込
み)を乗じた金額を委託手数料としてご負担いただきます。
○株式を募集等により購入する場合は、購入対価のみをお支払いいただきます。
○保護預かり口座管理料は無料です。
■外国株式のリスク
○外国株式投資にあたっては、株価変動リスク、発行者の信用リスク、為替変動リスク(平価切り下げ等も含
む)、国や地域の経済情勢等のカントリーリスクがあります。それぞれの状況悪化等により投資元本を割り込
むことがあり、損失を被ることがあります。
○現地の税法、会計基準、証券取引に関連する法令諸規則の変更により、当該証券の価格に大きな影響を与
えることがあります。
○各国の取引ルールの違いにより、取引開始前にご注文されても、始値で約定されない場合や、ご注文内容が
当該証券の高値、安値の範囲であっても約定されない場合があります。
○外国株式において有償増資等が行われた場合は、外国証券取引口座約款の内容に基づき、原則権利を売
却してお客さまの口座に売却代金を支払うことになります。ただし、権利売却市場が存在しない場合や売却市
場があっても当該証券の流動性が低い場合等は、権利売却ができないことがあります。また、権利が発生し
ても本邦投資家が取り扱いできないことがあります。
○外国株式の銘柄(国内取引所上場銘柄および国内非上場公募銘柄等を除く)については、わが国の金融商
品取引法に基づいた発行者開示は行われていません。
■外国株式の手数料等諸費用について
○外国委託取引
国内取次手数料と現地でかかる手数料および諸費用の両方が必要となります。現地でかかる手数料および
諸費用の額は金融商品取引所によって異なりますので、その金額をあらかじめ記載することはできません。
詳細は当社の担当者までお問い合わせください。国内取次手数料は、約定代金 30 万円超の場合、約定代金
に対して最大 1.08%+2,700 円(税込み)、約定代金 55,000 円超 30 万円以下の場合、一律 5,940 円(税込み)、
約定代金 55,000 円以下の場合、約定代金に対して一律 10.8%(税込み)の手数料をご負担いただきます。
○国内店頭(仕切り)取引
お客さまの購入単価および売却単価を当社が提示します。単価には手数料相当額が含まれていますので別
途手数料および諸費用はかかりません。
○国内委託取引
当社の国内株式手数料に準じます。約定代金に対して最大 1.134%(税込み)、最低 2,700 円(税込み)の委託
手数料をご負担いただきます。ただし、売却時に限り、約定代金が 2,700 円未満の場合には、約定代金に
97.2%(税込み)を乗じた金額を委託手数料としてご負担いただきます。
○外国証券取引口座
外国証券取引口座を開設されていないお客さまは、外国証券取引口座の開設が必要となります。外国証券
取引口座管理料は無料です。
外貨建商品等の売買等にあたり、円貨と外貨を交換する際には、外国為替市場の動向をふまえて当社が決
定した為替レートによるものとします。
商品ごとに手数料等およびリスクは異なりますので、当該商品等の契約締結前交付書面や目論見書または
お客さま向け資料等をよくお読みください。
商 号 等 : みずほ証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第 94 号
加入協会 : 日本証券業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、
一般社団法人第二種金融商品取引業協会
広告審査番号 : MG5690-160609-23
この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する
最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全
性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随
時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。
4