ノバルティス ファーマ株式会社 〒105-6333 東京都港区虎ノ門1丁目23番1号 虎ノ門ヒルズ森タワー http://www.novartis.co.jp MEDIA RELEASE • COMMUNIQUE AUX MEDIA • MEDIENMITTEILUNG 2016年4月25日 報道関係各位 ノバルティス ファーマ株式会社 「イラリス®」、家族性地中海熱、TNF受容体関連周期性症候群、 メバロン酸キナーゼ欠損症/高IgD症候群の治療薬として効能追加の承認申請 ノバルティス ファーマ株式会社(代表取締役社長:ダーク・コッシャ)は本日、「イラリ ス®皮下注用150mg」 (一般名:カナキヌマブ[遺伝子組換え]、以下「イラリス」)に ついて、遺伝性周期性発熱症候群のうち、新たに「家族性地中海熱」、「TNF受容体関連 周期性症候群」、「メバロン酸キナーゼ欠損症/高IgD症候群」の治療薬として効能追加 の承認申請を行いました。 遺伝性周期性発熱症候群は、炎症性サイトカインであるインターロイキン(IL)-1βの過剰 産生が原因で、慢性的な炎症反応や進行性の組織障害を引き起こします1。この疾患では、 日常生活に支障を来すほどの高熱を伴う全身性炎症発作を繰り返し、また炎症性サイトカ インの標的となる臓器に漿膜炎、好中球性皮疹、粘膜潰瘍、関節痛・関節炎、無菌性髄膜 炎・頭痛など特有の症状と徴候が伴います2, 3, 4。 この希少な遺伝性自己炎症疾患のグループにはクリオピリン関連周期性発熱症候群(以下 CAPS)、家族性地中海熱(以下FMF)、TNF受容体関連周期性症候群(以下TRAPS)お よびメバロン酸キナーゼ欠損症/高IgD症候群(以下MKD/HIDS)が含まれます2。 FMFは、周期性発熱症候群の中で最も発症頻度の高い疾患ですが、日本における患者数は 約300人です5。TRAPSの国内患者数は少なく10~30人程度と報告されています6, 7。また国 内におけるMKD/HIDS患者数は4家系6名が報告されています8。 現在、TRAPS、MKD/HIDSの治療には、経口抗炎症薬やコルチコステロイドが多く使用さ れており、解熱や発熱を伴う症状の軽減にはある程度の効果が得られていますが、発作を 予防することはできません1。FMFについて発作時は有効な治療がなく、ステロイドや免疫 抑制剤は無効です。また発作予防には、コルヒチン*の長期継続投与が行われ、約2/3の症 例で発作を完全に抑制し、約1/3で頻度の減少がみられますが、約5%は無効です2。 よって、 これらの疾患に対して再発性の発熱を伴う全身性炎症を良好にコントロールでき、 長期に安全に使用できる治療法の確立が望まれています1。 「イラリス」は、炎症性サイトカインの一つであるヒトIL-1βに対する遺伝子組換えヒト免 疫グロブリンG1モノクローナル抗体であり、IL-1βに結合してIL-1β受容体への結合を阻害 し、その活性を中和することで炎症を抑えます9。 「イラリス®」について 「イラリス」は、CAPSについて世界約70カ国(2016年3月現在)で承認されており、日本 においても2011年9月に承認を取得しています。また、カナキヌマブは、IL-1β が重要な 役割を果たす炎症性の疾患である「心筋梗塞後患者における心血管イベントのリスク軽減」 および「全身型若年性特発性関節炎」についても開発を進めており、国内では臨床第III相 試験を実施中です。 1/2 *コルヒチンは、FMFの基本治療としてガイドラインでも推奨はされておりますが、日本 における「効能又は効果」は次のとおりです10。 痛風発作の緩解及び予防 ノバルティス ファーマ株式会社について ノバルティス ファーマ株式会社は、スイス・バーゼル市に本拠を置くヘルスケアにおける 世界的リーダー、ノバルティスの医薬品部門の日本法人です。ノバルティス グループ全体 の2015年の売上高は494億米ドル、研究開発費は89億米ドル(減損・償却費用を除くと87 億米ドル)でした。ノバルティスは約119,000人の社員を擁しており、世界180カ国以上で 製品が使われています。詳細はホームページをご覧ください。http://www.novartis.co.jp 以上 参考文献 1. Hoffman HM, Simon A. Recurrent febrile syndromes: what a rheumatologist needs to know. Nat Rev Rheumatol. 2009; 5(5): 249-56. 2. 楠原浩一 (2010a) 自己炎症性疾患の診断と治療. 小児感染免疫; 22:43-51. 3. Piram M, Frenkel J, Gattorno M, et al. A preliminary score for the assessment of disease activity in hereditary recurrent fevers: result from the AIDAI (Auto-Inflammatory disease Activity Index) Consensus Conference. Ann Rheum Dis. 2011; 70(2):309-14. 4. ter Haar N, Lachmann H, Ozen S et al. Treatment of autoinflammatory diseases: results from the Eurofever Registry and a literature review. Ann Rheum Dis. 2013; 72(5):678-85. 5. 右田 清志, 上松 一永. (2011) 日本臨床免疫学会会誌; 34 (5) 355-360 6. 楠原 浩一. (2010) 医学の歩み: 235(12, 13),1164-1169, 7. 難病情報センター「TNF受容体関連周期性症候群(平成24年度)」 2016年4月21日 (http://www.nanbyou.or.jp/entry/3245) 8. 酒井秀政、平家俊男「高IgD症候群(メバロン酸キナーゼ欠乏症)」、近藤直実、平家俊男『自己炎症性 疾患・自然免疫不全症とその近縁疾患』診断と治療社、2012年、70~71 9. イラリス®皮下注用150mg添付文書 10. コルヒチン錠0.5mg「タカタ」添付文書 2/2
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