マーケットに「油」をそそがないで!

2016年
1月15日号
Vol.283
マーケットに「油」をそそがないで!
 原油価格12年ぶり安値
年明け早々、乱高下が続くマーケットになっ
ています。中国経済の減速懸念に加え、サ
ウジアラビアとイランの国交断絶、北朝鮮の
水爆実験など地政学リスクも高まり、日経平
均株価も戦後初となる6営業日続落でスター
トしました。こうしたなか、新聞で大きく取り上
げられているのが「原油安」です。
1月12日には原油価格がおよそ12年ぶりに1
バレル30ドルを一時下回りました。
12年ぶりに安値をつけた背景は、需要側と
供給側、それぞれにあります。
 需要側:中国景気の減速懸念
今まで、中国やインドなど新興国の経済成
長に伴う旺盛な原油の需要があったため、
2000年代は原油高で推移してきました。
中国企業は積極的に設備投資を行い、世界
の原油消費量のシェアは約12%(2014年日
量1,106万バレル)もありました。
しかし、中国は投資主導から消費主導の経
済への移行を図っており、景気減速と相まっ
て需要が減ると懸念されています。
モノの値段は、ニーズが高ければ上昇しや
すく、ニーズがなければ下落しますよね?
同様に今までいっぱい買ってくれていた国が
買ってくれなくなれば、値段も下がることにな
ります。
そして、さらに原油価格が下落している理由
が産油国であるサウジアラビアとイランの対
立です。
 供給側:イランとサウジの対立
そもそも、原油を買ってくれる国がないなら、
減産すればいいのに、と思いませんか?
しかし、2015年12月、OPEC総会では減産が
見送られました。イランが増産を主張したた
めです。核開発疑惑を巡る経済制裁が解除
されれば、原油輸出を増やしたいイランは減
産に反対、サウジアラビアも原油生産のシェ
ア確保のために一歩も引けない状態にあり
ます。両国の断交で産油国の協調減産は難
しい状態にあるなか、ロシアなども加わり国
際政治の睨み合いが続きます。加えてシェ
ールオイルとの価格競争もあり、原油価格
の持ち直しが難しい状態にあります。
 「油」をそそがないで!
今回のキーワードは、「中国」、「中東諸国」、
「原油価格」、「シェール」でしょうか。
今や中国経済が世界経済の行く末を担って
いるといえるかもしれません。
需要側か供給側か、どちらからか解決のき
っかけが出てくることを期待したいものです。
これ以上、マーケットに「油」がそそがれませ
んように。
●当資料はピクテ投信投資顧問株式会社が作成した資料であり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市
場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。●当資料に記載された過去の実績
は、将来の成果等を示唆あるいは保証するものではありません。●当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全
性、使用目的への適合性を保証するものではありません。●当資料中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることが
あります。●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護
機構の対象ではありません。●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象とはなりません。●当資料に掲載されているいかな
る情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。