長いトンネルを抜けつつある新興国株式

楽読
(ラクヨミ)
2016年3月31日
Vol.
1,082
長いトンネルを抜けつつある新興国株式
長らく軟調が続いた新興国株式が、足元で上昇傾向となっています。その背景には、原油相場の持ち直しに
加え、中国の政策期待や米ドル高の一服などがあるとみられます。
金融市場では、昨年後半から続く原油安が投資家心理の重石になっていましたが、米国で原油掘削リグ稼
働数が大幅に減少していることに加え、主要産油4ヵ国が他の主要産油国の追随を条件に増産凍結に合意
したことなどから、原油の需給改善期待が高まりました。こうした動きを受け、2月下旬以降、原油価格が大き
く持ち直したことから、投資家のリスク回避姿勢が後退しました。
また、3月上旬には中国で全国人民代表大会(日本の国会に相当)が開催され、減速が懸念される中国景気
の下支えに向けて、財政政策の拡充と柔軟な金融政策を行なうことで、製造業の強化、高速鉄道・道路など
のインフラ整備の拡大などが発表されました。これにより、同国景気の下支えのみならず、新興国の中国向
け輸出の追い風になるとの期待が高まったことも支援材料となりました。
さらに、3月中旬には、米国における年内の利上げの想定が従来の4回から2回に下がったことで、為替市場
で米ドル安が進みました。新興国の企業や政府は米ドル建て債務を多く抱えており、米ドル高が進むと債務
負担の拡大が嫌気される傾向にありますが、米ドル高の一服によってそうした懸念が和らぎました。
新興国のファンダメンタルズはあまり強くないものの、足元で今までの悪材料が和らいできたことは、新興国
経済への追い風になるとみられます。それに加え、これまでの通貨安による輸出企業の国際競争力の改善
などを背景に、今年は新興国の経済成長率が持ち直し、企業収益にも伸びが予想されることなどから、今後、
新興国株式への注目が高まっていくと期待されます。
新興国株式と原油の推移
120
(2015年1月初~2016年3月30日)
(2015年1月初~2016年3月30日)
70 105
100
60
95
原油価格(右軸)
110
米ドル・インデックスの推移*
(米ドル/バレル)
米ドル高
50
90
90
40
85
15/1 15/3 15/5 15/7 15/9 15/11 16/1 16/3 (年/月)
80
30
新興国のGDPとEPS※の成長率
100
新興国株式(左軸)
(2010年~2016年予想)
(%)
70
20
10
10
5
新興国株式は起点を100として指数化
60
15/1 15/3 15/5 15/7 15/9 15/11 16/1 16/3
(年/月)
(%)
100
実質GDP成長率(左軸)
50
0
0
予想
EPS成長率(右軸、前年比)
新興国株式: MSCIエマージング・マーケット・インデックス(米ドルベース)
原油価格:WTI原油先物
(信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成)
米ドル安
*複数の主要国通貨に対する米ドル相場を指数化したもの
-5
10
11
12
13
14
15
-50
16 (年)
※新興国株式(左記指数)のEPS成長率、16年は資料作成時の市場予想
上記はIMFのデータなどをもとに日興アセットマネジメントが作成
※上記は過去のものおよび予想であり、将来の運用成果等を約束するものではありません。
■ 当資料は、日興アセットマネジメントが市況等についてお伝えすることを目的として作成したものであり、特定ファンドの勧誘資
料ではありません。また、弊社ファンドの運用に何等影響を与えるものではありません。なお、掲載されている見解は当資料作成
時点のものであり、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。■投資信託は、値動きのある資産(外貨建資産に
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