楽読 (ラクヨミ) 2016年5月11日 Vol. 1,100 過剰供給の改善・解消を想定し、 米当局が原油価格見通しを上方修正 米国のEIA(エネルギー情報局)は5月10日に発表した短期エネルギー見通しにおいて、WTI原油の価格予想 を2016年平均:1バレル=40.32米ドル、17年平均:50.65米ドルとし、前回4月の予想からそれぞれ、16.5%、 24.8%引き上げました。上方修正の主な背景は、原油の過剰供給状態が改善・解消に向かうとの見通しです。 最新見通しによると、原油の供給面では、短期間で生産調整が可能な米シェール・オイルを中心に、OPEC (石油輸出国機構)非加盟国の生産量が16、17年とも減産見通しとなっているものの、OPEC加盟国の生産量 が増え続けるため、世界全体では両年とも増産見通しとなっています。しかも、サウジアラビアなど、OPECの主 要加盟国が生産量シェア重視の姿勢を鮮明にしていることなどから、EIAは主要産油国による増産凍結のような 協調行動を想定しておらず、今回、OPEC加盟国の生産量は上方修正されました。また、米シェール・オイル以 外のOPEC非加盟国での生産については、市況低下によって投資が削減されたものの、生産量低下につなが るのは17年以降とされています。一方、原油の需要面では、中国やインドなどの新興国を主な牽引役とした消 費量の拡大が見込まれており、17年にかけての世界見通しが上方修正されました。そして、需要面での上方修 正が供給面の上方修正を上回り、原油の在庫増加が徐々に和らぐだけでなく、17年後半には在庫減となる局面 も見込まれています。また、こうした需給の改善を見越して、原油価格の持ち直しが続くと予想されています。 WTI原油の価格(16年4-6月期以降はEIAの予想) 中央値 最高 最低 なお、世界銀行も、やはり過剰供給が改善に向かうとして、4月下旬に原油価格見通しを上方修正しています。 原油価格の市場予想を見ると、上下にかなり幅があり、EIAの予想水準を概ね中間値として特に上方に大きく振 れています。これまでは供給増が問題視されてきましたが、今後、需要拡大への注目が高まり、過剰供給状態 が改善・解消に向かうとの見方が拡がれば、市場見通しの上方修正が拡がることも考えられます。 原油の世界需給および平均価格の推移 120 (2010年1-3月期~2017年10-12月期予想) 103.35 (米ドル/バレル) 95.00 90 53.50 60 56.94 30 WTI原油の価格(16年4-6月期以降はEIAの予想) 市場予想*: 価格(16年4-6月期以降はEIAの予想) 中央値 最高 最低 0 米ドル/バレル) 10,000 9,600 9,200 8,800 8,400 8,000 7,600 7,200 中央値 33.35 42.00 最高 (万バレル/日) *市場予想は2016年5月9日時点、2017年7-9月期まで 生産量(左軸) 500 消費量(左軸) (万バレル/日) 400 EIA予想 120 (米ドル/バレル) 103.35 最低 103.35 在庫増減量(右軸) 95.00 90 10年 11年 12年 13年 14年 15年 16年 17年 EIAのデータ(2016年5月10日発表分)などをもとに日興アセットマネジメントが作成 60 300 200 100 0 -100 -200 95.00 53.50 53.50 ※上記は過去のものおよび予想であり、将来を約束するものではありません。 30 56.94 56.94 42.00 ■当資料は、日興アセットマネジメントが市況等についてお伝えすることを目的として作成したものであり、特定ファンドの勧誘 33.35 42.00 資料ではありません。また、弊社ファンドの運用に何等影響を与えるものではありません。なお、掲載されている見解は当資料 33.35 0 作成時点のものであり、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。■投資信託は、値動きのある資産(外貨建 資産には為替変動リスクもあります。)を投資対象としているため、基準価額は変動します。したがって、元金を割り込むことが あります。投資信託の申込み・保有・換金時には、費用をご負担いただく場合があります。詳しくは、投資信託説明書(交付 目論見書)をご覧ください。 1/1
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