期待インフレ率は短期・長期ともに低下 - 三菱UFJモルガン・スタンレー証券

景気循環研究所レポート
期待インフレ率は短期・長期ともに低下
2016 年 10 月 13 日
日銀「生活意識に関する
消費者の物価見通しは依然として下向きである。日本銀行が 13 日に発
アンケート調査」の物価
表した「生活意識に関するアンケート調査」(9 月調査)によると、1 年後
予想
の物価が「上がる」(「かなり上がる」と「少し上がる」の合計)と予想
した回答割合は 65.1%となり、前回 6 月調査(72.4%)に比べ、7.3%ポ
イント低下した。5 年後の物価についても、「上がる」回答割合が 6 月調
査の 83.6%よりも 3.5%ポイント低い 80.1%だった。
期待インフレ率は短期・
長期ともに低下
日銀は、同調査の結果を用いた「家計の予想物価上昇率(期待インフレ
率)」の推計手法を公表している。同手法をもとに、当研究所が算出した
16 年 9 月の期待インフレ率は、短期(今後 1 年間)で 0.13%、長期(今
後 5 年間)では 0.83%となった。6 月調査に比べ、短期の期待インフレ率
は 0.18%ポイント低く、長期では 0.20%ポイント低い(図 1)。
長期の期待インフレ率は
短期の期待インフレ率は、15 年 12 月以降、4 期連続で低下しており、
QQE 直前の水準を再び下
かつ低下幅は直近 4 回の中で今回の 9 月調査が最も大きい。一方、長期の
回る
期待インフレ率は、前回 6 月調査で 6 期ぶりに上昇し、日銀が量的・質的
金融緩和(QQE)を開始する直前(13 年 3 月調査)の水準を上回ったが、
嶋中 雄二
景気循環研究所長
今回の 9 月調査で再び下回っている。今回 9 月調査の実施時期は 8 月 10
日から 9 月 5 日であり、日銀が 9 月 21 日に導入を決定した「長短金利操
作付き QQE」は同調査の結果に反映されていないが、期待インフレ率を重
鹿野 達史
景気循環研究所副所長
シニアエコノミスト
視する日銀の姿勢に変化はない。日銀が期待インフレ率を引き上げるべ
く、追加の金融緩和に踏み切る可能性は、依然として残っている。
図 1. 長期と短期の期待インフレ率
宮嵜
浩
シニアエコノミスト
03-6627-5132
miyazaki-hiroshi@sc.mufg.jp
福田
圭亮
シニアエコノミスト
03-6627-5133
fukuda-keisuke@sc.mufg.jp
本レポートは、嶋中雄二の見方に基づ
き、宮嵜・福田が執筆を担当しています。
景気循環研究所
東京都千代田区大手町 1-9-2
大手町フィナンシャルシティ
1.4
1.2
1.0
0.8
0.6
0.4
0.2
0.0
-0.2
-0.4
-0.6
(%)
期待インフレ率
今後5年間
13年3月
0.96
16年9月
0.83
0.42
0.13
同・今後1年間
10
11
12
13
14
15
16
( 年、四 半期)
(注)修正カールソン・パーキン法を用いて当研究所が算出。
(資料)日本銀行「生活意識に関するアンケート調査」をもとに三菱UFJモルガン・
(以
スタンレー証券景気循環研究所作成
みやざき
(16.10.13 宮嵜
グランキューブ
1
上)
ひろし
浩)
2016 年 10 月 13 日
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