EUを離脱した場合の経済的影響に関する報告書

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欧州
2016年4月19日
EUを離脱した場合の経済的影響に関する報告書
英国のEU離脱を問う国民投票を10週間後に控え、離脱・残留両陣営による公式キャンペーンが始まりました。EU残
留を支持するキャメロン政権はEU離脱の経済的影響の報告書を公表し影響の大きさを示唆、残留を訴えています。
オズボーン英財務相:EU離脱なら英経済へ
の打撃は長期にわたり続く
英国財務省が2016年4月18日に英国が欧州連合(EU)から
離脱した場合の経済への打撃を分析した報告書を公表しま
した。この中では、英国がEUから離脱した場合、経済に長期
的にマイナスの影響が及ぶと指摘、英国のEU残留を国民に
呼びかけています。
どこに注目すべきか:
国民投票、世論調査、態度未定、EU離脱派
英国のEU離脱の賛否を問う国民投票(6月23日)を10週間
後に控え、離脱・残留両陣営による公式なキャンペーンが4
月15日に始まりました。EU残留を支持するキャメロン政権は
EU離脱の経済的影響の報告書を公表、英国への影響の大
きさを示唆することで残留支持を訴えています。
最終的に残留となる可能性として次の3つがあげられます。
まず、現在、態度未定の人々が現状維持を選択することが
見込まれることです。世論調査でEU残留、離脱の状況を確
認すると、各世論調査により多少のばらつきは見られます
が、概ね拮抗してます(図表1参照)。ただしどの調査でも、
態度未定(または投票しない)は約2割程度です。経験則で
は、態度未定の人は最終的には現状維持を選ぶ傾向が見
られることなどを考えると、EU残留の可能性の方が高いとの
見方を維持しています。余談ですが、なんでも賭け事にして
しまう英国(オッズ)ではEU残留が優位な状況です。
次に今回の報告書で、具体的に経済的なマイナスが示され
たことです。EU離脱派を増やす要因である難民問題やベル
ギーのテロなどが発生しており、国民投票の先行きに不透
明感も漂いますが、今回のEU離脱の影響の報告書では投
資や貿易の落ち込みの影響が示唆されています。例えば、
報告書では離脱を3つのケース(EU非加盟ながら欧州経済
地域(EEA)に残る「ノルウェー型」、EUと二国間協定を交渉
する「カナダ型」、世界貿易機関(WTO)の規則にのっとって
英国がEU市場にアクセスする「WTO型」に分類して影響度
ピクテ投信投資顧問株式会社
を分析しています(図表2参照)。EUを離脱した場合、図表2に
あるように15年後の英国のGDP(国内総生産)は残留する場
合と比べ3.8~7.5%低下すると指摘しています。これは、国民1
人当たり1,100~2,100ポンド(約17~33万円)毎年失う計算で
す。税収は200億から450億ポンドが毎年マイナスとなる見込
みで、増税の必要額なども示されています。
最後に、英国の過去の国民投票の失敗例を振り返ると、例え
ば、ユーロ導入に積極的だったブレア首相(当時)が英国の
ユーロ加盟を画策しましたが、ユーロ導入に慎重なブラウン
財務相(当時)は導入に消極的な報告書(5つのテスト)を公表、
結局導入は見送られました。同じ政権内でユーロ導入に対す
る考え方は食い違っていたわけで、当時の政権に比べれば、
財務相(並びに中央銀行も)と首相がEU残留で一致している
分、最後は国民の判断ながら、キャメロン首相のチームワー
クについては良さそうです。
図表1:YouGovによる英国のEU残留・離脱の世論調査
(期間:2015年9月17日~2016年4月14日、図中数字は16年4月14日)
50%
残留 40%
40%
離脱 39%
30%
20%
態度未定 21%
10%
EU残留
0%
15年9月17日
EU離脱
15年12月17日
態度未定
16年3月17日
出所:各種報道等のデータを参照しピクテ投信投資顧問作成
図表2:英国財務省EU離脱の場合の影響の推定
ノルウェー 型
GDP(%)(2030年まで)
カナダ型
WTO型
-3.8
-6.2
-7.5
一人当たりGDP(ポンド)
-1,100
-1,800
-2,100
年税収減(ポンド)
200億
360億
450億
出所:英国財務省のデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
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