機能から CL 項を逆算するための初等的方法 大島理総 ∗ † 平成 27 年 2 月 22 日 組み合わせ論理における CL 項は引数をとる関数を表していると解釈でき る.CL 項が与えられれば機械的な操作によって値を計算できるが,逆に,関 数としての機能が与えられたとき,それを実現する CL 項を求めるにはどう すればよいだろうか.この点を例題に即して考えてみる. 例題 1 M xyz ▷ xy となるような M を求めよ. 解答 M が M0 a という形をしているものとする.試みに M0 ≡ B として計算 してみると Baxyz ▷ a(xy)z となるので a として K を採用すれば目的は達せ られる. 例題 2 M xy ▷ yx となるような M を求めよ. 解答 はじめから BM0 N0 xy ▷ yx となるような M0 ,N0 だけを考えることに する.このとき,BM0 N0 xy ▷ M0 (N0 x)y であるが,もし,M0 が SM1 と書 けたとすると SM1 (N0 x)y ▷ M1 y(N0 xy).そこで,M1 として I,N0 として K を採用すれば目的は達せられる.すなわち,M として B(SI)K を採用すれ ばよい. このように,解答の各ステップ毎でどのような形の項を想定するかは(い まのところ)直観と経験に依存する.しかしながら,組み合わせ論理につい ての一般論を勉強すれば,欲しい機能を CL 項として実現するための有力な 道具が得られるに違いない. ∗ 学習院大学理学部数学科 † 目白ロジックサークル 1
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