財務省近畿財務局 News Release 和歌山財務事務所 Kinki Local Finance Bureau Ministry of Finance 平成 27 年 10 月 28 日 和歌山県内経済は、一部に弱さがみられるものの 持ち直しつつある (和歌山県内経済情勢報告) 【総括判断のポイント】 個人消費は、一部に弱さがみられるものの、緩やかに持ち直しつつある。企業活動をみる と、生産活動は緩やかに回復しつつある。また、企業収益は増益見通し、設備投資は前年を 下回る計画となっている。雇用情勢は緩やかに持ち直している。このように、県内経済は、 一部に弱さがみられるものの、持ち直しつつある。 先行きについては、各種政策効果などを背景に、県内経済が回復に向かうことが期待され る。ただし、海外景気の下振れなどにより県内景気が下押しされるリスクがあるなど、これ らの動向を注視していく必要がある。 【総括判断】 【今回の情勢判断の主なポイント】 ※27 年 10 月判断は、前回 27 年 7 月判断以降、27 年 10 月に入ってからの足下の状況までを含めた期間で判断している。 (連絡・問い合せ先) 財務省 近畿財務局 和歌山財務事務所 財務課 ℡:073-422-6142 【各 論】 個人消費・・・一部に弱さがみられるものの、緩やかに持ち直しつつある 百貨店・スーパー販売額(既存店ベース)は、衣料品が前年を下回っているものの、身 の回り品、飲食料品、家具・家電・家庭用品は前年を上回っている。 乗用車の新車登録届出台数は、軽自動車税の引上げなどもあり、前年を下回っているが、 減少幅は縮小している。 観光の動向は、外国人観光客だけでなく、国内観光客も増加傾向にある。 生産活動・・・緩やかに回復しつつある 企業の生産活動は、鉱工業生産指数では、主要業種である、鉄鋼業は下降しているもの の、機械工業、化学工業は上昇しており、総じてみると、緩やかに回復しつつある 。 雇用情勢・・・緩やかに持ち直している 雇用情勢は、有効求人倍率でみると横ばいで推移しているものの、新規求人数に増加の動 きがみられるなど、全体として、緩やかに持ち直している。 設備投資・・・27 年度は前年を下回る計画 企業の設備投資は、法人企業景気予測調査(27 年 7-9 月期)でみると、27 年度通期の設 備投資は、全産業で前年を下回る計画となっている。産業別では、製造業、非製造業とも に前年を下回る計画となっている。 企業収益・・・27 年度は増益見通し 企業収益は、法人企業景気予測調査(27 年 7-9 月期)でみると、27 年度通期の経常利益 は、全産業で増益見通しとなっている。産業別では、製造業で減益見通しとなっているも のの、非製造業で増益見通しとなっている。 住宅建設・・・前年を下回る 住宅建設は、新設住宅着工戸数(3 ヶ月後方移動平均値)でみると、全体で前年を下回っ ており、内訳でも、持家、貸家、分譲の全てで前年を下回っている。 公共事業・・・前年を下回る 公共事業は、前払金保証請負金額(年度累計額)でみると、前年を下回っている。内訳 でみると、独立行政法人等で前年を上回っているものの、国、県、市町村で前年を下回っ ている。 企業倒産・・・倒産件数、負債総額ともに前年を下回る 企業倒産は、倒産件数、負債総額ともに前年を下回っている。 景況判断・・・「上昇」と「下降」が均衡している 企業の景況判断は、法人企業景気予測調査(27 年 7-9 月期)の景況判断 BSI でみると、 全産業で「上昇」と「下降」が均衡している。 産業別では、製造業で「上昇」超となっているものの、非製造業で「下降」超となって いる。 規模別では、大企業、中堅企業で「上昇」超となっているものの、中小企業で「下降」 超となっている。 (参 考) 和歌山県内の経済情勢に関する「生の声」【ヒアリング結果】 (個人消費) ○ 昨年の競合店出店や消費税率引上げの影響を脱し、売上は前年比プラスとなってい る。ただし、一昨年比でみると未だ弱さが残る状況。なお、外国人客への売上は、昨 年と比較して大幅に増加している。 ○ (小売業) 7-9 月期の売上については、競合激化で来店客数は減少しているが、営業努力や商品 の値上がりによる客単価の上昇で、トータルでみると前年並み。 (小売業・中堅企業) ○ モデルチェンジが続き売上が伸びているため、前年比プラスとなっている。高級車の 売上も好調。明るい色の商品が売れており、景気の回復を感じる。 (自動車販売・中小企業) ○ 他店との競合や価格競争が大きなマイナス要因となっている。なお、8 月は猛暑でエ アコンなどの季節家電が伸びたことから好調であった。 ○ (家電販売) 高野山開創 1200 年の記念イベントに加え、シルバーウィークなど例年と比べて長期 休暇があったことや天候に恵まれたこともあり、入込客は増加傾向。 (官公庁) (生産活動) ○ 海外向けは ASEAN 諸国等の新興国で設備投資需要が順調に推移している。国内向け は 4-6 月期に比べると設備投資が動き出した感がある。 ○ (機械工業・大企業) 6、7 月は気温の上昇などが影響して一部製品の売上が伸び、持ち直した。また、付 加価値が高く質の良い製品が伸びている。 ○ (化学工業) 原油価格下落の影響を受けて、受注が減少している。また、中国経済の減速により 中国鉄鋼メーカーが輸出量を増加させ、需給ギャップが拡大したため、鋼材価格が弱 含みな状況であることも、マイナス要因となっている。 ○ (鉄鋼業) 国内向けは受注が堅調であり、海外向けについても中国や東南アジアを中心に順調 に売上が伸びている。今後もシェアの拡大を目指し、海外への進出を活発に行ってい きたいと考えている。 (他製造業・中小企業) (雇用情勢) ○ 平年の業務量で推移すると想定すれば人員は確保できているが、前年から受注が増 加しているため、現在の状況においては不足気味である。 (建設業・中堅企業) ○ 世代交代や円滑な技能伝承のために必要な人数の採用は実施する。 (鉄鋼業) ○ 正社員の求人が増えている。業種でみると、医療・福祉業、宿泊・サービス業で多 くなっている。また企業からは、臨時雇用で勤務態度等の様子を見てから正社員に切り 替えたいとの声が多く聞かれる。 (官公庁)
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