剛体の力学その5:斜面を転がる剛体

2011 年度 3EC 応用物理 I (力学) 補助プリント No.19
剛体の力学その 5:斜面を転がる剛体
群馬高専 一般教科 (自然科学) 小林晋平
2012. 2. 7.
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講義のまとめ
• 斜面を転がる剛体の加速度について
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演習
角度 θ の斜面を質量 M , 半径 a の剛体が滑らずに(スリップせずに)転がり落ちるとする.ここで
剛体としては,球・円柱・球殻・円柱殻の 4 つを考えており,それらの慣性モーメントをまとめて I と
しておく.重力加速度の大きさは g とせよ.
(1) 剛体に働く力を全て図示せよ.
(2) 斜面から剛体に加わる垂直抗力の大きさはいくらか.
(3) 剛体(の重心)の斜面方向の運動方程式が
M ẍ = M g sin θ − F
(2.1)
であることを確認せよ.ここで x 軸は斜面に沿って下向きを正に取っている.また F は斜面から
剛体に加えられている静止摩擦力の大きさである.
(4) 剛体を回転させる原因である力のモーメントの大きさが F a であること,およびそれを使うとこの
剛体の回転の運動方程式が
I φ̈ = F a
(2.2)
となることを確認せよ.ここで φ は最初の状態から測った,剛体の回転を表す角度である.
(5) 剛体が斜面に沿って進んだ距離 x と,剛体の回転角 φ の間には x = aφ の関係があることを図を
使って確認せよ.
(6) 斜面方向の運動方程式・回転の運動方程式および x と φ の関係式を使って ẍ を g, M, θ, I で表せ.
(7) 前問の結果へ球・円柱・球殻・円柱殻の慣性モーメントの値を代入し,それらと摩擦がなく傾き θ
の斜面を滑る質点の加速度とを比較せよ.最も加速度が大きいもの・小さいものはそれぞれどれに
なるか.様々な形状の剛体における慣性モーメントの値はプリント No.18 にまとめてあるので,参
考にせよ.
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